虫の声CDと歌を保育で活かす秋の音楽活動ガイド
「虫のこえ」の歌を秋に子どもと歌っているだけでは、実はその教育的価値の3割も引き出せていません。
「虫のこえ」歌詞に登場する虫の声CDで学ぶ5種類の特徴
「虫のこえ」は1910年(明治43年)に文部省が編纂した『尋常小学読本唱歌』に初出した唱歌で、2006年には文化庁と日本PTA全国協議会が選定する「日本の歌百選」にも選ばれた名曲です。100年以上にわたって歌い継がれてきたこの曲には、1番に2種類、2番に3種類、合計5種類の秋の虫が登場します。
子どもたちは「虫の名前が出てくる歌」としてなんとなく口ずさんでいることが多いですが、実際にどんな虫がどんな声で鳴くのかを知っていると、歌の世界がぐっと広がります。
5種類の虫とその特徴を整理してみましょう。
| 虫の名前 | 歌詞の擬音 | 実際の鳴き声の特徴 |
|---|---|---|
| 🦗 まつむし | チンチロ チンチロ チンチロリン | 松林や河原に生息。澄んだ高い声で鳴く |
| 🦗 すずむし | リンリンリンリン リインリン | 鈴を鳴らすような涼しげな声。平安時代から愛でられてきた |
| 🦗 こおろぎ | キリキリキリキリ こおろぎや | 実際は「コロコロ」に近い声。昔は「きりぎりす」と呼ばれていた |
| 🦗 くつわむし | ガチャガチャガチャガチャ | 5種類の中で最も声が大きく、力強い鳴き声 |
| 🦗 うまおい | チョンチョンチョンチョン スイッチョン | 「スイッチョン」という独特の声が特徴的 |
ここで一つ、面白い豆知識があります。2番の歌詞はもともと「きりきりきりきり きりぎりす」でしたが、1932年に「キリキリキリキリ こおろぎや」に改訂されました。昔の日本語ではコオロギのことを「きりぎりす」と呼んでいたからです。つまり歌詞は変わっても、表現している生き物は変わっていないということですね。
子どもたちに紹介するときは「この虫はどんな声かな?」と問いかけながら、CDや動画の実際の鳴き声と歌詞の擬音を比べてみると盛り上がります。特にクツワムシは本当に「ガチャガチャ」と鳴くので、子どもたちの反応が大きい虫です。楽譜上でも、他の4種類が2小節かけて鳴き声を表しているのに対し、クツワムシだけ1小節に凝縮されているほど、エネルギッシュな声を持っています。
参考:登場する5種類の虫について詳しく解説されています。
虫の声CDを保育で使うときの年齢別ねらいと導入のコツ
「虫のこえ」の対象年齢は3歳児以上が適しています。歌詞に複数の虫の名前と擬音が登場するため、具体的なイメージを持って聴く力が育つのがこの頃からだからです。
年齢ごとに、ねらいと導入のアプローチを変えるのが基本です。
🌱 3歳児(年少)の場合
ねらいは「言葉と音の響きをまねて、虫の鳴き声・リズムへの親しみを育む」こと。難しいことを覚えさせるのではなく、まず音を楽しむことが優先です。「松虫の音、みんなで〝ちんちろりん〟って真似してみよう!」と声かけするだけで十分です。CDを流しながら一緒に口ずさみ、体を揺らすだけでも立派な音楽活動になります。
🌿 4歳児(年中)の場合
ねらいは「擬音の変化を声と身体で表現しながら、観察と表現の感性を深める」こと。この年齢になると、虫によって声の大きさや高さが違うことを意識できるようになります。「ほかの虫はどんな音かな?大きい声、小さい声で歌おうね」と問いかけると、自然と表現が広がります。
🌳 5歳児(年長)の場合
ねらいは「オリジナルの虫の鳴き声や動きを創作し、即興的な表現力を促す」こと。「自分だけの虫を考えて鳴き声を作ってみよう!」と投げかけると、子どもたちは思い思いの擬音を考えます。これが言葉のリズム遊びにもつながります。
CDの使い方にも工夫の余地があります。歌入りバージョンで全体の雰囲気をつかんだあと、カラオケバージョンに切り替えて子どもたちが主役で歌う流れが効果的です。カラオケ付きのCDを一枚用意しておくと、活動の幅がぐっと広がります。
「保育園・幼稚園・こども園で人気のどうよう&あそびうた100」のような保育専門のCDには「虫のこえ」も収録されており、カラオケトラックつきのものが多いため、確認してから購入するとよいでしょう。
参考:保育で童謡を活用する際の年齢別アプローチが詳しく紹介されています。
虫の声CDと連動したペープサート・パネルシアターの作り方と活用法
CDで音を流しながら視覚的にも楽しめるペープサートやパネルシアターを組み合わせると、子どもたちの集中力と理解が格段に高まります。これは使えそうです。
ペープサートの基本的な作り方は次の通りです。
- 厚紙や画用紙に5種類の虫のイラストを描く(裏表でシルエットと正体を描くとクイズになる)
- 割り箸や竹串に貼り付ける
- 歌のテンポに合わせて虫が登場するタイミングで持ち上げる
シルエットクイズ形式にすると、「この虫はなんでしょう?」と問いかけながら進められるため、子どもたちが主体的に参加できます。フリー素材を活用すれば製作の手間を大幅に減らすことができ、印刷してラミネートするだけでも十分な教材になります。
パネルシアターの場合は、パネルボード上に虫を1匹ずつ貼っていきながら歌を進めると、「増えていく楽しさ」を視覚的に伝えられます。クツワムシを最後に大きな動きで貼ると盛り上がります。
製作活動への展開としては、子どもたちが自分だけの虫を折り紙や画用紙で作り、「自分の虫の鳴き声」を考えて発表するという活動が5歳児クラスに特に人気です。作った虫をペープサートとして使えば、自分たちで演じる「オリジナル虫のこえ発表会」にも発展できます。
参考:無料で使えるペープサート素材と活用方法が紹介されています。
【むしのこえ】無料(フリー)のペープサート&パネルシアター素材まとめ
保育士が知らないと損する「虫の声」のCDと歌にまつわる脳科学の話
「虫のこえ」を保育で歌うことには、実は脳科学的な裏付けがある、と知っている保育士さんはどれくらいいるでしょうか。
脳神経外科医の角田忠信教授の研究によると、日本人は虫の鳴き声を「言語を処理する左脳(言語脳)」で聴いていますが、西洋人は「音楽や雑音を処理する右脳(音楽脳)」で聴いているそうです。この違いは文化的背景によるものと考えられており、日本語話者とポリネシア語話者だけにみられる特徴とされています。中国人や韓国人でさえ西洋型を示すというのは意外ですね。
つまり日本人にとって「虫の音」は、音楽ではなく「言葉に近いもの」として処理されているのです。だから日本には古来から虫の声を愛でる文化があり、唱歌「虫のこえ」のような形で歌詞に擬音を取り込んだ曲が自然に生まれてきたといえます。
これは保育士として知っておくと非常に価値のある視点です。子どもたちが虫の擬音を楽しんで真似するとき、それは単なる遊びではなく、言語発達にも関わる活動になっているということです。「チンチロリン」「スイッチョン」といった擬音(オノマトペ)を声に出して歌うことは、言葉のリズム感覚や音韻意識を育てることにつながっています。
保護者への説明にも活用できる視点なので、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。
参考:日本人が虫の声を左脳で聴く理由についての解説記事です。
日本人の耳の話|自然の音を言語と同様に左脳で聴く不思議な特性
虫の声の歌CDを活用した秋の保育活動アイデアと保護者連携のポイント
「虫のこえ」を軸にした秋の保育活動は、歌だけにとどまりません。CDを使いながら展開できる活動のアイデアを整理してみましょう。
🎨 製作との連携
9〜10月の製作活動として、「秋の虫」をテーマにした作品づくりと組み合わせると相乗効果が生まれます。折り紙でスズムシを作ったり、画用紙でコオロギをちぎり絵にしたりしながら、できた作品を並べて「虫のこえ」を歌う流れは自然で盛り上がります。
🌿 自然観察との連携
実際に園庭や散歩先で虫の声に耳を傾ける「虫の声を聴く時間」をつくり、帰ってきてからCDで「虫のこえ」を流すと、体験と歌がつながります。「さっき聴いた声と同じかな?」という問いかけが子どもの探求心を引き出します。
📣 発表・行事への活用
秋の音楽発表会や保護者向けの行事で「虫のこえ」を取り上げる場合、子どもたちが手作りしたペープサートを持って歌う形式にすると、製作の成果も一緒に披露できます。保護者にとっても作品の意味が伝わりやすく、評価されやすい発表になります。
📱 保護者連携のヒント
「虫のこえ」の歌を保育で取り組んでいる期間中、おたよりや連絡帳で「今日は〇〇の鳴き声の擬音を練習しました。お家でも一緒に歌ってみてください」と伝えると、家庭との連携が生まれます。スマートフォンで検索すれば動画で本物の鳴き声を確認できることも添えると、保護者が自宅で取り組みやすくなります。
ただし、保護者に「動画で虫の声を聴かせて」と勧めるときに一つ注意があります。スズムシやマツムシの鳴き声は約4,000〜4,500Hzという高周波音で、古いスマートフォンや従来の音声通話では再現できないことがあります。音の確認には通話ではなく動画再生機能を使うようにアドバイスすると親切です。
参考:保育で9月・10月の歌を選ぶ際の幅広いアイデアが紹介されています。
【保育園で楽しめる9月の歌】秋の手遊びや童謡15曲!季節の歌を楽しもう|保育士バンク!

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