バナナのうた歌を保育で活かす完全ガイド
「とんでったバナナ」は0歳から歌える万能な童謡だと思っていませんか?実は歌詞の内容を理解できる3歳未満に歌わせると、子どもが無理な高音を出し続けて声帯を傷める可能性があります。
バナナのうた「とんでったバナナ」の歌詞と誕生の背景
「とんでったバナナ」は、1962年(昭和37年)にNHKテレビの音楽番組「うたのえほん(おかあさんといっしょ内コーナー)」で初放送された童謡です。作詞は片岡輝さん、作曲は桜井順さんによるもので、JASRACの管理番号は055-0523-2として登録されています。初演の歌唱者は服部恭子さんです。
歌詞は全部で6番まであります。1本のバナナが青い南の空の下から「ツルン」と飛んでいき、小鳥の巣に入ってついばまれたり、ワニと「ボンボコ」踊ったり、ひげを生やした船長の口の中へ飛び込んでしまう——という一貫したストーリー構造になっています。つまり「食べられる」という結末が最後に用意されています。
「バナナン バナナン バナナ」というリフレイン部分は耳に残りやすく、低年齢の子どもでもリズムにのれる工夫がされています。
ちなみに歌の世界観には、1960年代ならではの時代背景も反映されています。日本に安価なフィリピン産バナナが輸入開始されたのは、この曲が放送された翌年の1963年のことです。それまではバナナは台湾産のみで高級品扱いでした。この曲が作られた時期、バナナはまだ子どもにとって少し特別なくだものだったのです。意外ですね。
また、バナナが最後に食べられてしまうという「食べられオチ」の構造は、後に1975年に大ヒットした「およげ!たいやきくん」にも共通します。とんでったバナナはその10年以上前に、すでに食べられオチを実践していた先駆者だったということです。
バナナのうた歌の年齢別ねらいと導入の仕方
「とんでったバナナ」を保育現場で使う際には、対象年齢ごとにねらいと導入方法を変えることが重要です。同じ歌でも、伝え方ひとつで子どもの反応は大きく変わります。
まず0〜1歳児は、歌詞の意味を理解するよりも「音のリズムを楽しむ」ことがねらいです。「バナナン バナナン バナナ」という繰り返し部分をゆっくり強調して歌ってあげると、体を揺らして反応することが期待できます。保育士が大きなジェスチャーで「ツルン!」と手を動かすだけでも、視覚的な刺激になります。
2〜3歳児になると、ストーリーをなぞって楽しむことができるようになります。このねらいは「ストーリーを理解して楽しむ」です。歌をゆっくりめに歌いながら、登場する動物や人物を指差ししていくと、目で見ても内容が伝わりやすくなります。3歳児では保育士と一緒に声を出して歌い始めるクラスも出てきます。
4〜5歳児は言葉の力が格段に伸びる時期です。この年齢ではねらいを「言葉の理解を深める」に置くことができます。歌詞の中には「しろいしぶき」「いちだいじ」「いっそう(1隻)」「いちわ(1羽)」など、少し難しい助数詞や表現が登場します。歌い終わった後に「船は何でかぞえる?」とクイズ形式にすると、言葉への関心が高まります。
導入の工夫として、年齢に関係なく使えるのが「予告型の導入」です。「この歌の中に動物が3種類出てくるよ。何か数えながら聴いてみてね」と一言添えるだけで、子どもの聴き方が変わります。歌を聴くことに”目的”ができるからです。
| 年齢 | ねらい | 導入のポイント |
|---|---|---|
| 0〜1歳児 | リズムを体で感じる | 繰り返し部分をゆっくり強調 |
| 2〜3歳児 | ストーリーを楽しむ | 指差しで登場人物を見せる |
| 4〜5歳児 | 言葉の理解を深める | 助数詞クイズで展開 |
年齢別ねらいが整理されているほど、活動後の振り返りや指導案も書きやすくなります。
バナナのうた歌の振り付けと身体表現の工夫
「とんでったバナナ」は振り付けと組み合わせると、歌だけで楽しむ場合の2倍以上の盛り上がりが期待できます。動きをつけることで、歌詞の意味が視覚的に補われるからです。
基本の振り付けの考え方として、「ツルンと飛んでいく」場面では両手を前に伸ばし、すべるような動作を入れます。「バナナン バナナン バナナ」のリフレインでは、手を左右に振るなどリズムに乗った動きを繰り返すと、子どもたちが自然にまねしやすくなります。これが基本です。
動物が登場する場面では、それぞれのキャラクターに合わせた表現が有効です。
- 🐦 小鳥の場面:両腕を羽ばたかせる「バサバサ」の動き
- 🐊 ワニの場面:両腕を合わせてパクパクさせる口の動き
- ⚓ 船長の場面:片手でひげをなでるポーズ
振り付けは「完全に統一する」より「子どもが自分なりに表現できる余地を残す」形のほうが、5歳児クラスでは創造性の発揮につながります。3歳児以下の場合は、保育士がしっかり動きを見せるお手本を先行させることが大切です。
さらに一歩進んだ展開として、歌に合わせた「なりきり遊び」があります。クラスを「バナナ役」「小鳥役」「ワニ役」「船長役」に分けて、それぞれがストーリーを体で演じる活動です。5歳児の表現あそびや生活発表会のプログラムにもつながる発展性があります。これは使えそうです。
バナナのうた歌を使ったパネルシアター・スケッチブックシアター実践法
「とんでったバナナ」はストーリー性があるため、視覚的な教材との組み合わせが特に効果的な歌のひとつです。歌詞に6つの場面(6番まで)があるため、パネルシアターやスケッチブックシアターの構成要素として非常に使いやすい構造になっています。
パネルシアターで使う場合、最低限用意したいイラストは「バナナ」「小鳥」「ワニ」「船長(ひげあり)」「船」の5点です。Pペーパー(布状の不織布)に描いて切り抜くのが一般的な作り方で、型紙をダウンロードできるサービスも複数存在します。初心者はダウンロード型紙を使うのが最短ルートです。
スケッチブックシアターは、パネルシアターより手軽に作れるのがメリットです。スケッチブックに1ページずつ場面を描き、ページをめくりながら歌を進めます。特別な材料が不要で、画材と市販のスケッチブックだけで完成します。材料費は500円前後でそろうことが多いです。
演じる際の実践ポイントをまとめます。
- 📌 年齢が低いほどゆっくりめのテンポで歌い、イラストへの指差しを丁寧に行う
- 📌 「次に誰が出てくるかな?」と子どもに問いかけながら次のページを開けると集中力が持続する
- 📌 難しい言葉(しろいしぶき、いちだいじなど)は、絵で補足するか、歌後にクイズで確認する
- 📌 演じるテンポを子どもの反応に合わせて調整する(盛り上がったら少し間をとる)
スケッチブックシアターは保育実習でも使いやすい教材です。準備から演じるまでの工程が比較的シンプルなため、実習生でも1〜2日で完成できます。
とんでったバナナのパネルシアター型紙と作り方(パネルシアター型紙工房)
バナナのうた歌で保育士が知っておきたい音域と弾き歌いの注意点
「とんでったバナナ」を保育現場で歌う際に、意外と見落とされがちなのが「音域」の問題です。音域のミスマッチは、子どもが「怒鳴って歌う」状態を生み出し、声帯への負担につながる可能性があります。
子どもの声域は年齢によって大きく異なります。1歳ごろは非常に狭く(ファ〜ラあたり)、4〜5歳でようやく1オクターブ(ド〜ド)程度に広がるとされています。つまり幼い子どもに広い音域の曲を歌わせると、無理な発声になりやすいということです。
「とんでったバナナ」はメロディーの動きが比較的大きく、6番まで続く長い曲でもあります。そのため2歳以下には歌詞の全番を歌わせようとせず、繰り返し部分だけを一緒に楽しむ形が適切です。
保育士自身の弾き歌いにおいても、音域の確認が大切です。子どもが歌いやすいキーに移調する能力は、保育現場で求められるスキルのひとつです。音域が合わないと感じたら、1〜2音下げることを検討してみましょう。弾き歌いでは「音程を完璧に当て続ける」より「歌の最初の1音を安定させる」ことのほうが、全体のクオリティに大きく影響します。
また、歌声の質を保つために腹式呼吸の習慣も重要です。喉だけで声量を稼ごうとすると疲弊が早く、長い曲では特にガス欠になります。腹式呼吸で「楽に通す」発声を意識するだけで、声が長持ちします。
保育士が疲れずに同じ質で歌えると、クラス全体の歌の時間の安定感が変わります。
- 🎹 歌い出し前に鍵盤ハーモニカや鍵盤アプリで最初の1音を確認する習慣をつける
- 🎹 2歳以下には繰り返し部分(バナナン バナナン バナナ)だけ一緒に歌う形にする
- 🎹 移調が必要な場合は1〜2音下げた楽譜を事前に用意しておく
保育者向けの音楽指導に詳しい参考として、以下のサイトも役立ちます。
保育士向け歌唱力・音域・練習法の解説(保育園の歌)
子どもの音域に合わせた歌の選び方(保育ネクスト)

ライフコーポレーション フィリピン産 甘熟王バナナ 1袋

