わらいかわせみの歌を保育に活かす指導と歌詞の魅力

わらいかわせみの歌が保育で愛される理由と活用法

「ケラケラ笑う童謡を歌うだけで、子どもの語彙が増えます。」

この記事でわかること
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歌の由来と作者の背景

サトウハチローと中田喜直が1962年に生み出した名曲の誕生秘話と、実在する鳥「ワライカワセミ」の面白い生態を解説します。

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オノマトペと子どもの発達効果

「ケラケラ」「ケケラケラ」といった擬音語が子どもの語彙力・表現力・笑いの力にどうつながるのかを科学的な視点から紹介します。

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保育現場での具体的な活用アイデア

ピアノ弾き語りのポイントから、動物ごっこや手遊びへの発展方法、楽譜の入手先まで、現場ですぐ使えるヒントをまとめています。

わらいかわせみに話すなよ:歌詞の全体像と独特のユーモア

 

「わらいかわせみに話すなよ」は、作詞をサトウハチロー、作曲を中田喜直が担当し、1962年12月〜1963年1月にNHK「みんなのうた」で初めて放送された童謡です。歌唱を担当したのは楠トシエで、そのノリのよい歌声が子どもたちの心をつかみ、60年以上経った現在も歌い継がれています。

歌詞は全3番で構成されています。

動物 体の特徴部位 困った内容
1番 たぬきの坊や おなか しもやけができた
2番 キリンのおばさん おのど(首) しっぷをしている
3番 ぞうのおじさん はな 鼻かぜ用心に筒をはめた

各動物の「自慢の部位」が弱点になってしまうという逆説的なおかしさが、この歌のユニークな点です。つまり発想の逆転が笑いを生む構造です。たぬきの大きなおなか、キリンの長い首、ぞうの大きな鼻――それぞれの特徴がそのまま「困りごと」になっているため、聴いた子どもが頭の中にすぐ絵を描けます。

各番の最後には「わらいかわせみに 話すなよ/ケララ ケラケラ ケケラケラ とうるさいぞ」という繰り返しが登場します。この繰り返し構造は、子どもが自然と覚えられる形になっています。「話すなよ」と言いながら話してしまう矛盾と、「ケラケラ」という笑い声のオノマトペが重なり、声に出すだけで楽しくなる仕掛けです。

サトウハチロー(1903〜1973)は、「うれしいひなまつり」「ちいさい秋みつけた」「かわいいかくれんぼ」などを手がけた日本を代表する童謡詩人で、上野動物園の評議員を務めるほどの動物好きでもありました。その動物への深い親しみが、この歌の生き生きとしたキャラクター描写に直結しています。作曲の中田喜直(1923〜2000)は「めだかの学校」「雪の降るまちを」「夏の思い出」など数多くの名曲を残した昭和を代表する作曲家です。

NHK「みんなのうた」の公式サイトでは曲の詳細を確認できます。

わらいかわせみに話すなよ | NHK みんなのうた(楠トシエ・サトウハチロー・中田喜直)

わらいかわせみの実在する鳥としての生態:保育の「なぜ?」に答える知識

「わらいかわせみって本当にいる鳥なの?」と子どもに聞かれたとき、すぐ答えられると保育がさらに深まります。

ワライカワセミ(英語名:Kookaburra・クカバラ)は、オーストラリア東部に広く生息するカワセミの仲間で、カワセミとしては世界最大のサイズを誇ります。全長は約44センチメートルで、はがき縦2枚分ほどの大きさです。大きな頭と太くて頑丈なくちばしが特徴で、腹部は白っぽく、目のまわりに黒い線が入っています。

この鳥の最大の特徴は鳴き声です。「クッカカカカカ、コロロロロ」と、まるで人間が高笑いしているような複雑な声を響かせます。朝と夕暮れ時に特によく鳴くことから、オーストラリアでは「ブッシュマンの時計(Bushman’s clock)」と呼ばれてきました。ただし、この笑い声の正体は「笑っているから」ではなく、なわばりを主張するための威嚇行動です。意外ですね。

「Kookaburra(クカバラ)」という名前はオーストラリアの先住民・アボリジニの言葉が語源で、英語らしくない響きを持っています。日本語で「わらいかわせみ」と翻訳された際に「笑い声のカワセミ」というイメージが定着し、サトウハチローの歌詞に見事にはまりました。

ワライカワセミは日本の動物園でも飼育されています。天王寺動物園や掛川花鳥園などで実際に鳴き声を聞くことができ、掛川花鳥園では「わらいかわせみに話すなよ」の歌にちなんだ名前の個体「ララ」が飼育されていたこともあります。保育活動の一環として動物園見学と組み合わせると、より印象的な学びになります。

ワライカワセミの生態について詳しく解説された参考記事です。

オーストラリアの鳥は人間のように笑う?「ワライカワセミ」 – オーストラリア情報サイト

「ケラケラ」オノマトペが子どもの発達にもたらす効果

保育士として注目してほしいのが、「ケラケラ」「ケケラケラ」というオノマトペが持つ発達的な意義です。

近畿大学九州短期大学の研究(江川靖志・中野亮子、2021年)では、保育士向けのピアノ教本91曲・声楽教本24曲のうち、約半数の曲の歌詞にオノマトペが用いられていることが報告されています。オノマトペは音の繰り返し構造を持つため発音しやすく、子どもが最初に言葉として習得しやすい形式です。

「わらいかわせみに話すなよ」の「ケラケラ」は、笑い声を言語化した擬声語です。子どもは大人よりも音に敏感で、直感的に音を言葉へと変換する能力が高いとされています。「ケラケラ」というオノマトペを繰り返し歌うことで、感情と言葉が結びつく体験が生まれます。

オノマトペが子どもにもたらす効果をまとめると以下のとおりです。

  • 🗣️ 語彙の増加:音のイメージと意味が直接つながるため、語彙として定着しやすい
  • 🧠 表現力の向上:感情や動作を「音」で表現する手段を学べる
  • 😂 感情の共有:「ケラケラ」と声に出すだけで笑いが引き起こされ、クラス全体に伝染する
  • 🎵 音楽的感覚の育成:リズムに乗った擬音語の繰り返しがリズム感を養う

さらに重要なのは「笑い」そのものの発達的効果です。幼児教室コペルの研究記事によれば、子どもが心から笑うとき脳は快の状態になり、βエンドルフィンと呼ばれる物質が分泌され、集中力・創造性・学習意欲が高まるとされています。「わらいかわせみに話すなよ」を歌いながら子どもがケラケラ笑い出す光景は、発達的にも非常に意義深い瞬間です。

オノマトペと子どもの言語発達に関する研究論文(近畿大学九州短期大学)です。

子どもの歌におけるオノマトペの効果と役割について(江川靖志・中野亮子)

保育現場でのわらいかわせみ活用アイデア:動物ごっこから季節活動まで

この歌は3歳児〜5歳児クラスで特に活用しやすい一曲です。年齢ごとに導入の工夫を変えると、より効果的に楽しめます。

🐾 動物なりきりごっこへの発展

歌詞に出てくるたぬき・キリン・ぞうのキャラクターを活かして、子どもたちが動物に「なりきる」活動に発展させられます。手でおなかをぽんぽんたたいてたぬきを表現したり、首を長く伸ばしてキリンのまねをしたり、腕を鼻に見立ててぞうのまねをしたりすることで、歌と体の動きが連動します。これは幼稚園教育要領「表現」領域の「感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ」というねらいに直結する活動です。

😂 「ケラケラ」笑い声コーナーの演出

「わらいかわせみに話すなよ」のサビ部分で、子どもたちが一斉にケラケラ笑い声を出す「笑い声タイム」を設けると盛り上がります。保育士がわざとオーバーに動物の真似をして失敗してみせ、「ケラケラ!」と笑ってもらうという演出も、子どもが主体的に笑いに参加できる方法です。笑いが周囲に伝染することで、クラス全体の雰囲気がほぐれます。

🌟 秋から冬の季節活動への導入

たぬきの「しもやけ」(冬)、キリンの「しっぷ」(体調管理)、ぞうの「鼻かぜ用心」といったモチーフは、秋冬の健康教育にも応用できます。手洗いうがいの指導や、体を温める活動の導入として「今日はぞうのおじさんみたいに鼻かぜにならないようにしようね」というように歌とつなげると、子どもが覚えやすくなります。

📚 絵本・紙芝居との組み合わせ

歌詞の動物3体(たぬき・キリン・ぞう)の絵を画用紙に描いて「なんとなく困ってる顔」の動物カードを作り、歌いながらめくっていく手作り紙芝居を準備すると、絵本コーナーの延長として使えます。各動物の「特徴=弱点」という構造を視覚化することで、歌のユーモアがより深く伝わります。

わらいかわせみの歌をピアノで弾く:楽譜と演奏上のポイント

「わらいかわせみに話すなよ」は保育士試験でも取り上げられることがある曲で、弾き語り楽譜も複数の難易度・出版社から入手できます。楽譜の入手は簡単です。

主な楽譜の入手先は以下のとおりです。

  • 🎼 ヤマハ「ぷりんと楽譜」:難易度「初〜中上級」の複数バージョンをダウンロード販売
  • 🎼 Piascore(ピアスコア):弾き語り初〜中級のPDF楽譜(2番歌詞付き)
  • 🎼 at-elise(アットエリーゼ):ドレミ楽譜出版社・全音楽譜出版社・圭文社など複数社の楽譜を110円〜から購入可能
  • 🎼 チャイルド本社「やさしくひける幼児のうた」:保育向けのやさしい編曲版が掲載

演奏上のポイントとして押さえてほしい点があります。原曲ハ長調で編曲されることが多く、初級者でも取り組みやすい音域に収まっています。ただし「ケラケラ」の部分はリズムが跳ねるため、付点音符の扱いに慣れていないと歌とずれることがあります。この部分だけ繰り返し練習するのが効率的です。

歌詞のリズムは3拍子系のスキップリズムではなく、2拍子・4拍子ベースで軽快に進む構成です。テンポを上げすぎると「ケラケラ」が早口になって子どもが歌いにくくなるため、子どもの声のテンポに合わせてゆっくりめに設定するのが原則です。

また、作曲家・中田喜直の研究(青森明の星短期大学紀要第30号)によれば、中田の童謡作品には不協和音の活用が多く見られ、「わらいかわせみに話すなよ」も主音のみの単純な和声ではなく音楽的な工夫が凝らされていることが指摘されています。伴奏の左手部分に少し個性的な音が出てくる場合がありますが、それこそが中田喜直らしさです。

中田喜直の童謡作品の音楽的特質を詳しく分析した研究論文です。

中田喜直の童謡作品の音楽的特質と現代における意義(鎌倉女子大学機関リポジトリ)

保育現場における童謡の継承:わらいかわせみが選ばれ続ける理由

豊岡短期大学が2017年に発表した論文「保育の現場における童謡の認識のされ方と使用のされ方の傾向について」では、保育現場で実際に使用されている童謡の実態を調査しています。439曲を調査対象として豊岡市内の認定こども園に対してアンケートを実施したこの研究の中に、「わらいかわせみに話すなよ」も調査楽曲の一つとして含まれています。

保育の現場で長く歌い続けられる童謡には、いくつかの共通した特徴があります。

  • ✅ 繰り返し構造:同じフレーズが何度も出てくるため、記憶に残りやすく、覚えやすい
  • ✅ 明確なキャラクター:登場する動物のキャラクター性が強く、想像しやすい
  • ✅ ユーモアと驚き:「えっ、なんで?」という笑いを誘う内容で、聴くたびに楽しい
  • ✅ オノマトペの豊富さ:「ケラケラ」「ケケラケラ」など声に出して楽しいフレーズがある

「わらいかわせみに話すなよ」はこれらすべてを備えています。サトウハチロー×中田喜直のコンビは、「かわいいかくれんぼ」(1951年)など多くのヒット童謡を生み出しており、この曲もその延長にある傑作です。

現代の保育現場では、NHK「おかあさんといっしょ」での再放送や、YouTubeを通じて若い保育士世代が初めてこの歌に触れるケースも増えています。結果として世代を越えて歌われる曲となっています。

60年以上歌い継がれてきた背景には、笑いを共有することで子ども同士・保育士と子どもとの間に生まれる「つながり」があります。特定の時期や行事に縛られず、日常の保育の中でいつでも使えるフレキシブルさも、長く愛されてきた理由のひとつです。

保育現場における童謡使用の傾向についての学術研究(豊岡短期大学)です。

保育の現場における童謡の認識のされ方と使用のされ方の傾向について(豊岡短期大学論集第14号)

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