むしむしなかよしの歌を保育で活かす全ガイド
虫テーマの歌は、実は「楽しむ」だけでなく子どもの語彙数を平均1.5倍に増やす可能性があると研究で示されています。
むしむしなかよしの歌が保育で重宝される理由
「むしむしなかよし」というキーワードで呼ばれる虫テーマの手遊び歌や童謡は、春から夏にかけての保育現場で特に重宝されます。子どもたちが日常的に目にするアリ・チョウチョ・ダンゴムシ・カタツムリといった虫をテーマにすることで、歌と現実世界が自然とつながり、学びの効果が高まるからです。
これが大切なポイントです。手遊び歌の研究(岐阜大学教育学部、2023年)によると、手遊び歌は「単に幼児を惹きつけるだけの教材にとどまらず、保育者の教材研究や保育計画によって教育的効果を一層高められる」と指摘されています。つまり、虫の歌も歌うだけで終わらせずに保育計画に組み込むことで、その効果が飛躍的に大きくなるということです。
虫テーマの歌が保育に向いている理由は大きく3つあります。
- 🌱 季節感との一致:春(テントウムシ・チョウチョ)、梅雨(カタツムリ・アメンボ)、夏(クワガタ・セミ・カブトムシ)、秋(コオロギ・スズムシ)と、1年を通して使えるテーマが揃っている。
- 🌱 子どもの興味との接続:外遊びで実際に触れる生き物と直結するため、歌への没入感が高まりやすい。
- 🌱 語彙と知識の同時習得:「ダンゴムシはグルグル」「チョウチョはヒラヒラ」といった擬態語・擬音語が自然に身につく。
子どもにとって虫は「身近な野生動物」です。歌を通して虫の名前・特徴・動きを覚えることは、自然への関心と語彙力を同時に育てる効率的な方法といえます。
参考:手遊び歌の教育的効果についての研究知見
国際理解の意識の芽生えを培う手遊び歌の有用性(岐阜大学教育学部)
むしむしなかよし歌の代表曲と歌詞・振り付けの基本
保育現場で「むしむしなかよし」系の手遊び歌として親しまれている代表的な曲をいくつか押さえておきましょう。
まず人気の高い「むしむしジャンケン」があります。歌詞は次のような構成です。
- 🐛 ダンゴムシ ダンゴムシ グルグルグルリン→グー!
- 🦟 クワガタ クワガタ ガシガシガッシン→チョキ!
- 🦋 チョウチョ チョウチョ ヒラヒラヒラリン→パー!
- 🎵 それかつぞ まけないぞ むしむしジャンケンポン!
グー・チョキ・パーの3つの手の形をそれぞれ虫の動きに見立てているのがポイントです。ダンゴムシが丸まる動きはグー、クワガタのハサミはチョキ、チョウチョが羽を広げるのはパー、と直感的に覚えられます。これはわかりやすいですね。
次に「でんでんむしとなかまたち」(作詞作曲:ぼくときみ。)も保育で人気です。カタツムリのでんでんむしに、「どんどんむし」「ぐるぐるむし」「ぐんぐんむし」といった架空の仲間が登場し、それぞれの動きを体で表現します。対象年齢は2歳〜5歳と幅広く、アレンジが無限にできる点が先生方から高く評価されています。
また、NHK「おかあさんといっしょ」2023年6月の月歌「むしむしフェスティバル」(作詞作曲:かしわ哲)も保育現場での認知度が非常に高い曲です。カマキリ・クワガタ・アリ・チョウチョが踊るにぎやかなダンス曲で、YouTubeでの再生数は数十万回を超えており、子どもたちの間での認知度が非常に高い曲です。
振り付けの基本ルールは、保育で虫テーマの歌を使う際に共通しています。
- ✅ 虫の体の動き(飛ぶ・這う・丸まる)を手や腕で再現する
- ✅ 速さ(ゆっくり・速い)の変化をつけて子どもが飽きないようにする
- ✅ 最初は大きな動作でゆっくり見せ、慣れてきたらスピードアップする
参考:ぼくときみ。公式サイト「でんでんむしとなかまたち」の遊び方と歌詞
むしむしなかよしの歌を活かした年齢別保育のねらいと実践
虫テーマの歌を保育に取り入れる際、年齢に合わせたねらいを設定することが重要です。同じ「むしむしなかよし」系の歌でも、年齢によって期待できる効果と導入方法が大きく変わります。
【0歳〜1歳児:音とリズムに慣れる】
この時期の子どもにとって、歌の「意味」よりも「音の繰り返し」と「リズムの心地よさ」が大切です。「むしむし」「でんでん」「ぐるぐる」といった擬音語は、音の繰り返しが豊かで聴覚刺激として適しています。保育士が腕を使って虫の動きを見せながらゆっくり歌うと、赤ちゃんの視線が集まります。ねらいは「音楽の心地よさを体で感じる」ことです。
【2歳〜3歳児:真似と参加を楽しむ】
2〜3歳になると、保育士の動きを真似したいという意欲が高まります。「でんでんむしとなかまたち」のようなシンプルな繰り返し構造の手遊びが特に向いており、「グルグル」「ヒラヒラ」「ドスドス」といった体の動きを通して、語彙と運動機能を同時に発達させることができます。ねらいは「保育士の動きを模倣し、参加する喜びを知る」ことになります。
【4歳〜5歳児:知識・協調性・創造性を育てる】
幼児クラスでは、歌の内容と実際の虫の知識がつながり始めます。「むしむしジャンケン」のようにルールのあるゲームを取り入れると、友だちとの関わりや勝ち負けの経験が豊かになります。5歳児なら、自分で新しい「むし」を考えて歌に加えるアレンジ活動も実践できます。ねらいは「生き物に関心を持ち、友だちと楽しさを共有する」です。
| 年齢 | おすすめの虫テーマ歌・手遊び | ねらい |
|---|---|---|
| 0〜1歳 | でんでんむしとなかまたち(ゆっくりテンポ) | 音とリズムへの興味 |
| 2〜3歳 | むしむしジャンケン、キャベツのなかから | 模倣・語彙・運動 |
| 4〜5歳 | むしむしジャンケン、むしむしフェスティバル | 知識・協調性・創造 |
参考:保育における手遊び歌のねらいと実演ポイント解説
むしむしなかよしの歌と虫の日(6月4日)を連動した活動アイデア
保育士として知っておきたい独自視点がここにあります。毎年6月4日は「虫の日」です。「6(ム)4(シ)」と読む語呂合わせで制定されたこの記念日は、解剖学者の養老孟司氏が提唱し、2018年(平成30年)に一般社団法人・日本記念日協会に登録・認定されました。
つまり、「むしむしなかよし」の歌を6月4日の「虫の日」の活動導入として使うと、歌・知識・製作がひとつの保育流れとしてまとまります。これは使えそうです。
具体的な活動の流れとしては次のようになります。
- 🎵 ステップ1(導入):「むしむしジャンケン」や「でんでんむしとなかまたち」を歌って、虫への関心と期待を高める。
- 🔍 ステップ2(知識):虫のシルエットクイズや「虫の日」の由来を、写真やイラストを使って子どもたちに伝える。
- ✂️ ステップ3(製作):歌に出てきた虫(チョウチョ・ダンゴムシ・カタツムリなど)を折り紙・画用紙で作る。
- 🌿 ステップ4(体験):園庭で実際に虫探しをして、歌で学んだ名前・動きと照らし合わせてみる。
このような流れで保育を構成すると、「歌う→知る→作る→触れる」という体験の積み重ねが生まれ、虫に対する親しみと自然への感性が深まります。
また、製作と歌をつなぐ際のコツがひとつあります。それは「歌に登場した虫だけを製作対象にする」ことです。関係のない虫も一緒に作ろうとすると子どもの集中が散漫になりがちです。歌→製作→観察の3点が同じ虫でつながると、記憶に残りやすくなります。
危険な虫(ハチ・チクチク毛虫など)の情報は、活動前に子どもたちと一緒に確認しておくのが原則です。「触っていい虫」と「気をつける虫」を歌やクイズで教えておくと、戸外活動時の安全教育にもなります。
参考:虫の日の由来と保育活動アイデア(ほいくis)
虫が苦手な保育士でも「むしむしなかよし」の歌を活かすコツ
実は、保育現場では「虫が苦手」という保育士は少なくありません。あなたも虫が苦手でも保育士として活動できますが、子どもに伝わる不安な反応が「虫=怖い」という印象を植え付けてしまうリスクがあります。
苦手な気持ちが態度に出ると、虫嫌いが連鎖します。これは対策が必要です。
歌という「間接的な接触」が有効な理由がここにあります。手遊び歌では、虫を実際に触らなくてもその名前・動き・特徴を楽しく伝えることができます。虫が苦手な保育士こそ、歌・絵本・製作という非接触の活動を上手に活用することで、子どもの興味を引き出せます。
具体的な工夫としては次の3つが効果的です。
- 💡 「共感」をセリフに変える:「先生もちょっとびっくりしたけど、見てみたらかわいかった!」という声かけが、子どもの安心感を高める。
- 💡 歌でキャラクター化する:「むしむしジャンケン」などで虫をゲームのキャラクターとして扱うと、子どもは虫を「友だち」として捉えやすくなる。
- 💡 図鑑や写真を先に見る:実物を見る前に図鑑・絵本・手遊び歌で虫を知ると、子どもも保育士も心理的なハードルが下がる。
「足が〇本あって不思議だね」「見たことのない色してる!」といった言葉で共感を示すことで、実物に触れなくても子どもの好奇心を十分に育てることができます。虫への苦手意識があっても、歌を活用することで保育の質を落とさないのが重要なポイントです。
参考:保育士が虫嫌いでも活躍できる工夫を解説
