みんみんぜみの歌を保育で活かす方法と年齢別ねらい
西日本の平地の保育園では、園庭でミンミンゼミの鳴き声をほぼ聞けないまま夏が終わります。
みんみんぜみの歌の種類と歌詞の特徴を知る
保育現場でよく耳にする「みんみんぜみ」関連の歌は、実は複数の楽曲が存在します。代表的なものが2つあり、それぞれ成り立ちも作者もまったく異なります。
ひとつ目は、作詞・作曲ともに荒木一郎によるNHK「みんなのうた」の楽曲「みんみんぜみの歌」です。1968年6月〜7月に初回放送され、みすず児童合唱団とのコーラスが特徴的なナンバーです。長年お蔵入りしていたものが「発掘プロジェクト」で再び日の目を見たという経緯があり、昭和の夏の空気感を凝縮したような一曲です。
もうひとつは、童謡として広く親しまれている「せみのうた」(作詞:佐藤義美、作曲:中田喜直)です。こちらは歌詞が「せみ せみ せみ せみ せみん みーん」という繰り返しのフレーズで構成されており、子どもが口ずさみやすいリズムが魅力です。全文は以下のとおりです。
| 番 | 歌詞(抜粋) |
|---|---|
| 1番 | せみ せみ せみ せみ せみん みーん / どこで なくのか せみ / なくから すきだよ せみ / なくから みつかる せみ |
| 2番 | せみ せみ せみ せみ せみん みーん / どこに いるのか せみ / なかなか いないよ せみ / なかなか とれない せみ |
歌詞の中に登場する「なくから みつかる」という表現は、セミが鳴き声によって居場所を知らせてしまうという生態をそのまま反映しています。これが保育の場で非常に優れているポイントです。子どもが歌を通じてセミの生態を感覚的に理解できる構成になっているからです。
中田喜直は「ちいさい秋みつけた」「めだかの学校」などの童謡で知られる日本を代表する作曲家で、佐藤義美とのコンビによる「せみのうた」も、自然観察の視点を持った良質な作品です。
つまり「みんみんぜみの歌」には複数あるということですね。保育で使うときは、どちらのバージョンかを確認するのが大切です。
NHKみんなのうた「みんみんぜみの歌」公式ページ(作詞・作曲:荒木一郎)
みんみんぜみの歌を使った手遊びの振り付けと導入のコツ
「せみが鳴きました」として知られる手遊び歌は、保育の現場で特に人気が高い夏の定番アクティビティです。歌詞に合わせてセミの鳴き声をまねたり、静かにしたりという切り替えが繰り返されるため、子どもの集中力を自然に引き出せます。
振り付けの基本的な流れを整理すると、以下のようになります。
- 🙌 両手を広げてパタパタと動かし、セミが木の幹にとまる動きをまねる
- 🎤 「みんみん」のフレーズで大きな声を出す(元気よく)
- 🤫 「シーッ」の部分で口に指を当てて静かにする(メリハリが大切)
- 🌳 背中を丸めて木にへばりつくポーズで「セミになりきる」表現を加える
この手遊びは2歳児から楽しめる構成になっています。ただし、年齢によって保育士のアプローチを変えることが大切です。
導入の仕方に悩んだら、次の一言から始めてみましょう。
- 🐣 2歳児:「セミってしってる?”みーんみーん”ってなくんだよ」と鳴き声のまねから入る
- 🌱 3歳児:「せみさん、どこにいるのかな?木にとまってるかも!」と探索のイメージから入る
- 🔍 4歳児:「セミってどうして鳴くんだろう?」と生態への疑問を投げかける
- 🎭 5歳児:「みんながセミだったら、どんなふうに鳴く?演じてみよう!」とごっこ遊びへ発展させる
手遊びを活動の導入に使う場合は、「何のリスク・どの場面か」を意識すると効果が高まります。たとえば、給食前や午睡前など切り替えのタイミングで取り入れると、子どもの注意を引き寄せる効果が期待できます。これは使えそうです。
みんみんぜみ保育士が知っておきたい生態の豆知識
みんみんぜみの歌を子どもに教えるだけでなく、保育士自身がミンミンゼミの生態を知っておくと、活動の深みが格段に変わります。ここで少し面白い知識を整理しておきましょう。
まず、「ミンミンゼミは鳴くのはオスだけ」という事実があります。あの「ミーンミンミン」という大合唱は、すべてオスが発しているものです。オスの腹部には「腹弁」という構造があり、それを振動させることで大きな音を出します。目的はメスを呼び寄せるためで、言ってみれば夏の大合唱はセミたちの”恋のうた”です。この話を4歳以上の子どもにすると、「じゃあ女の子は鳴かないの?」という会話に発展し、生き物への興味が一段と深まります。
次に、ミンミンゼミの全長は約55〜63mmほどです。これはちょうどクレヨン1本分くらいの長さです。緑色と黒色の美しい模様が特徴で、日本産のセミの中では比較的鮮やかな体色を持ちます。保育士が子どもに伝えるとき「クレヨンと同じくらいの大きさだよ」と言うと、子どもがすぐにイメージできます。
また、ミンミンゼミの幼虫期間は約5年と推定されています。卵から孵化したあと、土の中で5年近く過ごしてから地上に出て、鳴く期間はわずか数週間です。この事実を知ると、「せみなくから すきだよ」という歌詞がより深く感じられるはずです。
ミンミンゼミの生態は、保育指針にある「自然への関心・観察力」を育てるうえでも絶好の教材です。
みんみん.com「ミンミンゼミ種類解説」詳しい生態と分布の情報
みんみんぜみの歌と季節感を育てる保育活動の展開
「みんみんぜみ」をテーマにした保育活動は、歌を歌うだけでは終わりません。歌を起点にして、複数の保育内容へ展開できるのが大きな強みです。
まず、歌と自然観察を結びつける方法があります。ミンミンゼミは7月中旬〜9月下旬に発生し、8月上旬〜中旬に最盛期を迎えます。保育園の近くに公園や樹木がある場合、散歩がてらセミの鳴き声を聞いたり、抜け殻を探したりするのが効果的です。「あの声、なんだろう?」という疑問が、歌の世界観とつながった瞬間、子どもの学びは一気に加速します。
次に、歌詞のオノマトペ(擬音語・擬態語)を活かした言語活動も有効です。「みーんみーん」「かなかな」「じりじり」など、セミの種類によって鳴き声が異なることを体感的に学べます。
- 🎵 ミンミンゼミ:「ミーンミンミン」(東日本の平地に多い)
- 🔊 クマゼミ:「シャアシャア」(西日本の平地に多い)
- 🍂 ヒグラシ:「カナカナカナ」(夕暮れ時に鳴く)
- 🌿 アブラゼミ:「ジージリジリ」(全国に広く生息)
このように「同じセミでも、種類によって鳴き声が全然違う」という驚きを子どもと共有できます。
さらに、歌から発展させた製作活動もあります。段ボールをこすってセミの鳴き声のような音を出す「鳴き声おもちゃ」作りや、セミの抜け殻や羽の形を観察しながら絵を描く活動など、表現領域との連携も図れます。季節感を育てることが、情操教育や感性の発達につながるということですね。
こどものこころ保育園「園児が楽しむ季節のうた10選とその魅力」
みんみんぜみの歌を深める地域差と知られざる保育士の視点
ここでは他のサイトにはほぼ取り上げられていない、保育士ならではの視点から「みんみんぜみ」を考えてみます。
「みんみんぜみの歌」を夏に教えると、子どもはセミ=「ミンミン」という音のイメージを持ちます。しかし、大阪や名古屋以西の保育士が気づくことがあります。「うちの園庭ではミンミンという声、あまり聞こえないな」という感覚です。
これには明確な理由があります。ミンミンゼミは東日本では平地に多いものの、西日本では主に山地に生息するという地域差があるからです。大阪市内ではミンミンゼミは「極めて珍しい」と言われるほどで、代わりにクマゼミ(シャアシャア)やアブラゼミ(ジージー)の声が支配的です。
この事実は、保育に直接影響します。関東の子どもと関西の子どもでは、「セミ=どの鳴き声」という感覚的なイメージがそもそも異なる可能性があるのです。
- 📍 東日本(東京など):ミンミンゼミが身近で「ミンミン」が夏のシンボル音
- 📍 西日本(大阪など):クマゼミが主流で「シャアシャア」が夏の代名詞
- 📍 山間部:ミンミンゼミとヒグラシが混在し、「カナカナ」の声も強い
だからこそ、保育士が「みんみんぜみの歌」を教えるときは、地域の実際の環境音とリンクさせる工夫が大切です。たとえば西日本の保育士であれば、「クマゼミのうた」などの関連曲も一緒に紹介する、あるいはセミの種類マップを見ながら「東京にはミンミンゼミがたくさんいるんだよ」と話題を広げるといった方法が考えられます。
「みんみんぜみの歌」をただ覚えさせるだけでなく、なぜその鳴き声が夏を代表するのかを一緒に考える保育は、子どもの探究心を長期的に伸ばす土台になります。地域差を知ることが、保育の引き出しを増やすことに直結します。


