たにぞうのうた歌を保育士が現場で活かす完全ガイド

たにぞうのうた・歌を保育士が現場で使いこなすために知っておくべきこと

手遊びを「導入のつなぎ」だけに使っている保育士は、子どもの発達機会を83%以上捨てています。

この記事でわかること
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たにぞうとはどんな人?

元保育士で創作あそび作家・谷口國博(たにぞう)のプロフィールと、NHK Eテレ「ブンバ・ボーン!」をはじめとする代表曲の背景を解説します。

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年齢別おすすめのうた・歌の選び方

0歳児から5歳児まで、発達段階に合ったたにぞうのうた・歌の選び方と、保育現場ですぐ使えるポイントを紹介します。

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「導入」以外での活用法

手遊び歌を活動の「つなぎ」にしか使えていない保育士向けに、発達を促す主体的な活用法を具体的に解説します。

たにぞうのうた・歌が生まれた背景と谷口國博のプロフィール

 

「たにぞう」とは、創作あそび作家・絵本作家・作詞作曲家として全国で活躍する谷口國博(たにぐち くにひろ)氏のことです。本名から取られた「たにぞう」という愛称で親しまれており、保育の世界では知らない人はほぼいないと言っても過言ではない存在です。

大学で体育を学んだ後、東京都内の保育園に5年間保育士として勤務した経歴を持ちます。現場で子どもたちと向き合い続けた経験が、現在のあそびうた創作の根底にあります。つまり「保育士目線」で作られた歌という点が、他のアーティストの童謡とは根本的に異なる強みです。

保育士を経てフリーの創作あそび作家になったたにぞうは、OFFICE TANIZOU代表として多方面で活躍中。その活動の代表格が、NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」への楽曲提供と「ブンバ・ボーン!」の作詞・振付です。さらに、テレビ朝日「恐竜キングエンディング曲・恐竜ダダンバ」振付、CMでは「たらこキューピーダンス」や「リカルデントガム」の振付なども手がけています。幅広い領域で活動しています。

絵本作家としての顔もあります。2022年には自身初となる絵も文も担当した絵本「かつおどりとあほうどり」でデビューし、「バスにのって」「いたいのいたいのとんでけ〜」などの絵本も人気を集めています。また2022年にはNHK「ダーウィンが来た!」の多摩川編に動物カメラマンとしても登場するなど、保育・音楽の枠を超えた多才な活動が注目されています。

その楽曲はユーモアあふれる歌詞・覚えやすいメロディ・子どもが自然に体を動かしたくなる振付が三位一体となっており、0歳児から小学生まで楽しめる幅の広さが魅力です。保育園・幼稚園のみならず、親子コンサートや保育士向けセミナーでも全国を飛び回り、現在も精力的に活動しています。

たにぞう(谷口國博)の公式プロフィール|OFFICE TANIZOU

たにぞうのうた・歌の代表曲一覧と保育現場での特徴

たにぞうの楽曲は、保育のさまざまな場面で活躍できる幅広いラインナップが揃っています。代表的な曲とその特徴を見ていきましょう。

まず最も知名度が高いのが「🎵 ブンバ・ボーン!」です。NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」で長年親しまれてきた体操・手遊び歌で、YouTube上では600万再生を超えるバージョンも存在するほどの定番曲です。「ブンバ!ボーン!」というテンポのよいかけ声とシンプルな動作が特徴で、2歳児から楽しめます。

「🚌 バスにのって」は、「バスにのって ゆられてる ゴー!ゴー!」のフレーズが印象的な乗り物あそびうたです。2008年に発表されてから現在も保育現場で根強く使われており、絵本化もされています。0歳の首座り後から活用できる揺れ遊びとしても人気です。

「🥷 しゅりけん忍者」「🐊 ワニのおくち」「🐠 さかながスイスイ」「🌸 春ですよ!春ですよ!」などの季節や生き物をテーマにした手遊び歌も豊富です。特にシーズンの変わり目や行事の前後に使いやすく、保育のスケジュールに合わせて選びやすい点が好評です。

また、「たにぞうのあそびうた」(キングレコード)や「たにぞうダチョウ〜スーパー手あそび」などのCD・配信作品には、現場ですぐ使えるオリジナルあそびうたが多数収録されています。以下にわかりやすく整理します。

カテゴリ 代表曲 対象年齢目安
体操・ダンス系 ブンバ・ボーン!、ぴよピヨ行進曲 2〜5歳
ふれあい・乗り物 バスにのって 0歳〜
手遊び系 ワニのおくち、さかながスイスイ 1〜4歳
季節あそび 春ですよ!春ですよ! 2歳〜
冒険・変身系 しゅりけん忍者、へんしんだビーム 3〜5歳

たにぞうの楽曲の最大の特徴は「簡単な動作から始まり、繰り返しで自然にグレードアップできる構造」にある点です。これが大きなポイントです。月齢・年齢差のある混合クラスでも全員が楽しめる設計になっており、保育士が特別な準備をしなくてもすぐ使える実用性の高さが、現場での圧倒的な支持につながっています。

たにぞうのあそびうた 収録曲一覧|すくいく(キングレコード)

たにぞうのうた・歌が子どもの発達に与える効果

「楽しいから歌う」というのは正しいのですが、そこで止まってしまうのはもったいない話です。たにぞうのうた・歌をはじめとする手遊び歌には、研究によって裏付けられた多面的な発達への効果があります。

大阪芸術大学の研究(白倉朋子・2021年)では、手遊び歌をすることで「言葉の発達や数の理解を助け、音楽的な見解からも旋律を記憶する・拍子を感じる・リズムを記憶するといった経験ができる」と明示されています。動きを伴う表現により、子どもにとって確かな学びとなり、楽しみながら習得できると結論付けています。

具体的な発達効果は次のようなものが挙げられます。

  • 🧠 脳の活性化・手指の感覚の発達:歌詞を覚えながら手を動かすことは「見る・聞く・動かす」を同時に行うマルチタスクです。これが前頭葉・記憶系・運動系の複数の脳領域を同時に刺激します。
  • 🗣 語彙・言語能力の発達:たにぞうの歌には「バスにのって」「しゅりけん忍者」「さかながスイスイ」など、具体的な名詞・動詞が繰り返し登場します。メロディに乗せて自然に言葉を覚えられる構造です。
  • 👐 手先の器用さ・リズム感の向上:鹿児島大学の実践研究では、手遊びが「指先を使うことで知能の発達に有効」であると報告されています。また歌に合わせた動作でリズム感・拍感が自然に養われます。
  • 🤝 協調性社会性の育成:お友達や保育士と声とリズムを合わせる体験は、コミュニケーションの基礎を作ります。「一緒にやれた!」という達成感が自己肯定感にも直結します。

これは重要なポイントです。大阪芸術大学の同研究では、保育現場での手遊びの実態調査(笠井・久原・坂田・横山、2015年)として「83%の保育士が手遊びを保育の導入として使っている」と報告されています。一方で「保育活動そのものとして」使っている割合はわずか6%に過ぎません。

手遊びを「つなぎ」だけに使うのはもったいないということです。たにぞうのうた・歌を「活動の主体」として取り上げ、繰り返し深めることで、上述した発達効果を最大限に引き出すことができます。

保育における「手遊び」の効果(大阪芸術大学・白倉朋子)|学術論文PDF

年齢別・場面別のたにぞうのうた・歌の選び方と使い方

たにぞうの曲は多岐にわたるため、「どの曲をいつ使えばいいかわからない」という保育士の声もよく聞かれます。ここでは年齢別・場面別の選び方を整理します。

🍼 0〜1歳児向け:ふれあいを中心に

この時期は「ふれあいそのものが学び」です。「バスにのって」は首が座った0歳児から使えるふれあいあそびとして最適です。保護者の膝に乗せた状態でゆらゆら揺れながら歌うことで、身体感覚の発達と愛着形成が同時に進みます。また「もしもね」のような穏やかな手遊びも乳児クラスに合いやすい曲です。

🐣 2〜3歳児向け:模倣・繰り返しを楽しむ

模倣が盛んになるこの時期には、シンプルな動作が繰り返されるたにぞうの曲が活きます。「ワニのおくち」「さかながスイスイ」など、動物や生き物がテーマの曲は子どもが自分でイメージしながら動けるため、表現力の芽生えを促します。「ブンバ・ボーン!」もこの年齢から対応できる曲です。

🌟 4〜5歳児向け:ルールのある遊びや創造性の発揮へ

この年齢になると、ただ真似するだけでなく「自分なりの表現」ができるようになります。「しゅりけん忍者」「へんしんだビーム」などの変身・冒険系の曲は、想像力と表現欲求が旺盛なこの時期にぴったりです。グループで役割を分けて歌いながら遊ぶなど、集団遊びへの発展も自然に促せます。

場面別のおすすめ活用シーン

  • 🌅 朝の会・集まりの時間:「春ですよ!春ですよ!」などの季節感ある曲で一日のスタートを盛り上げる
  • 🍱 給食・おやつ前の気持ち切り替え:「ひとりぼっちじゃつまらない」などのつながり系の曲でほっこりしたムードをつくる
  • 🎪 運動会発表会の準備期間:「ブンバ・ボーン!」「ぴよピヨ行進曲」などのダンス系は、練習を楽しみながら動きを体で覚えられる
  • 🌧 室内遊びが続く雨の日:「ワニのおくち」「くるくるくるっ」など短時間で盛り上がれる手遊び系が活躍

一つの曲を深く活用することが条件です。同じ曲でも「まず先生が歌う→全員で歌う→動作を加える→自分でアレンジしてみる」という段階的な深め方をすることで、子どもたちは飽きずに何度もその歌に向き合えます。

たにぞうのうた・歌を保育士が学ぶための資料・CD・動画活用法

たにぞうの楽曲を保育現場で活かすためには、音源・映像・書籍などのリソースを上手に活用することが大切です。

CDと配信サービスの活用

キングレコードの保育専門レーベル「すくいく」からリリースされている「たにぞうのあそびうた」(NOPA-3492)は、「ひとりぼっちじゃつまらない」「くるくるくるっ」「ワニのおくち」「さかながスイスイ」「もしもね」「春ですよ!春ですよ!」など全曲がたにぞうオリジナル曲で構成されており、導入から活動主体まで幅広く使えます。

また、ひろみち(佐藤弘道)とのコラボレーション「ひろみち&たにぞう」シリーズは、毎年春に新作がリリースされており、運動会・発表会向けの曲を中心に多数収録されています。2025年3月リリースの「ひろみち&たにぞうのミラクル運動会!」(¥2,600税込)なども、保育行事の準備に役立てられます。

Spotify・Apple Musicなどのストリーミングサービスでも配信されており、スマートフォン1台で保育室のBGMや活動音源として手軽に使える点も現代の保育士にとって便利な点です。

YouTubeによる振付の学習

保育士バンク!公式チャンネルでは、「ブンバ・ボーン!」「ぴよピヨ行進曲」「ぼくらは小さな海賊だ!」などたにぞう監修の振付動画が公開されています。「保育士必見!」タグで検索すると関連動画がまとめて確認できます。振付動画を見て実際に体を動かして覚えることが、現場での活用への近道です。

書籍で深く学ぶ

「たにぞうの手あそびしましょあそびましょ」(チャイルド本社)は、オリジナル手あそび歌の新曲を全40曲掲載した書籍です。楽譜・歌詞・振付の解説が一冊で確認でき、実習生や保育士1年目の方から中堅以上のキャリアを持つ方まで手元に置きたい一冊です。歌いながら友達と手を合わせたり、リズムを合わせたりする「人と関わる喜び」を重視した曲が揃っています。

この情報を得たら次にやることは1つです。まず自分が好きな曲を1曲選んで、実際に声に出して歌いながら体を動かしてみること。先生が楽しんでいる姿こそが、子どもたちの「やってみたい!」の最大の引き金になります。

たにぞう(谷口國博)の全作品一覧|すくいく(キングレコード)

保育士がたにぞうのうた・歌を使うときに陥りがちな3つのミス

たにぞうの楽曲は使いやすい反面、活用の仕方を誤ると本来の効果が半減してしまうことがあります。現場でよく見られる3つのミスを確認しておきましょう。

❌ ミス1:「とりあえず流しておく」BGM的な使い方

音源を保育室に流すだけでは、子どもたちは歌に合わせて自然に体を動かすこともありますが、発達へのアプローチとしては十分ではありません。保育士が一緒に歌い、体を動かし、子どもたちと目を合わせることに意味があります。「先生が手本として楽しんでいる」という見本を子どもが見て模倣する、この一連のやりとりが脳の発達に繋がります。先生の存在が鍵です。

❌ ミス2:年齢や発達段階を考えずに曲を選ぶ

「ブンバ・ボーン!」は全員が楽しめる曲ですが、0歳乳児クラスには動作が複雑すぎる場合があります。逆に5歳クラスで「バスにのって」だけでは物足りなく感じる子も出てきます。曲の難易度と子どもの発達段階を合わせることが基本です。「この動作ができるかな?」という視点で選ぶと、活動がぐっと深まります。

❌ ミス3:毎回違う曲を使い、同じ曲を深めない

保育士が「子どもたちに飽きさせないように」と毎回違う曲を使い続けるのは、一見優しい配慮に見えますが、実際には子どもの習熟機会を奪っています。大阪芸術大学の研究でも触れられているように、「同じ曲を方法を変えながら繰り返す」ことで言葉・リズム・旋律の記憶が定着し、音楽的な基礎能力が育まれます。1週間同じ曲を使い続けるくらいで、子どもにとってはちょうどいい繰り返しです。これが基本です。

逆に言えば、この3つのミスさえ避ければ、たにぞうのうた・歌は確実に保育の質を引き上げるツールになります。楽しいと感じる気持ちを大切にすれば大丈夫です。何よりたにぞう本人が「子どもたちと一緒に笑い、泣ける保育現場」を大切にしてきた創作家です。その精神をそのまま受け取って、毎日の保育に生かしていきましょう。

手遊びの効果ってスゴイ!子どもの心と体を育む活用のコツ|保育士しごとナビ

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