せみ歌で子どもが夢中になる保育の手遊び完全ガイド

せみ歌を保育で活かす完全ガイド

「せみのうた」は夏に1か月以上も生きているセミの話と深くつながる、知られざる生命教育の入り口になる曲です。

🦗 せみのうた 保育活用3つのポイント
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歌詞・作詞作曲を把握する

作詞:佐藤義美/作曲:中田喜直。2番構成で「せみ」の繰り返しが耳に残るシンプル設計。2歳児から楽しめる夏の定番童謡。

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年齢別のねらいと振り付けを設定する

2歳児は鳴き声のまね、5歳児は創作表現へと発展。手をパタパタ・背中を丸めるポーズで全身を使った表現遊びになる。

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セミの生態を組み合わせた自然教育に発展させる

「せみのうた」は自然観察・生命の不思議への入口。セミは成虫になっても実は約1か月生きることを伝えると、子どもたちの探究心が深まる。

せみのうたの歌詞と作詞作曲者を正しく理解する

 

「せみのうた」は、作詞:佐藤義美、作曲:中田喜直によって作られた夏の童謡です。中田喜直は「めだかの学校」「ちいさい秋みつけた」など数多くの名童謡を世に送り出した作曲家で、この曲もその一つとして保育現場に長く親しまれています。

歌詞は全部で2番構成です。全体を通じて「せみ」という単語とリズムが繰り返されるシンプルな構造になっています。

番号 主な歌詞(抜粋) 子どもの気持ち
1番 「どこにいるのか せみ/なかなかいないよ せみ/なかなかとれない せみ」 見つけたいのに見つからない、捕まえたいのに逃げてしまう🦟
2番 「どこでなくのか せみ/なくからすきだよ せみ/なくからみつかる せみ」 鳴いているから好き!鳴いているから場所がわかる🎵

1番では「逃げてしまうセミへのもどかしさ」、2番では「鳴き声があるからこそ見つけられるという発見の喜び」が素直な言葉で表現されています。これが子ども自身の心情にぴたりとはまるため、覚えやすく歌いたくなる曲になっているのです。

歌詞の「なくからみつかる」というフレーズは特に重要です。ここで保育士が「鳴き声を聞いてみよう」と声かけをするだけで、子どもたちの感覚は自然観察モードにスイッチが入ります。つまり「せみのうた」は歌うだけの活動にとどまらない題材なのです。

うたごえサークルおけら「せみのうた」歌詞全文・楽譜情報ページ

せみの歌の振り付けと年齢別ねらい・導入のコツ

「せみのうた」を保育で使うとき、振り付けや導入の工夫で子どもの反応は大きく変わります。歌だけで終わらせないことが基本です。

振り付けの基本は「セミになりきること」です。手を左右にパタパタと動かして羽の動きを表現し、背中を丸めて木にとまる様子をまねるポーズがよく取り入れられています。保育士自身がコミカルに演じると、子どもたちは笑いながら注目してくれるため、集中力を集めたいときの導入にも有効です。

年齢別には下記のようなねらいを意識すると活動がより充実します。

年齢 ねらい おすすめの導入
2歳児 鳴き声や動きをまねして音・リズムに親しむ 「セミってしってる?みーんみーんってなくんだよ」と鳴き声から入る
3歳児 セミという虫に興味を持ち、身体表現につなげる 「せみさん、どこにいるかな?木にとまってるかも!」と探索から
4歳児 セミの一生や夏の自然への関心・観察力を育てる 「セミってどうして鳴くんだろう?」と生態への問いかけから
5歳児 セミの特徴を踏まえ、自分で鳴き声や動きを工夫する創作力を育てる 「みんながセミだったら、どんな鳴き声にする?」とごっこ遊び

年齢が上がるほど、歌から「表現」「観察」「創造」へと広げていけます。これが基本です。

たとえば4歳児クラスでは、「なくからみつかる」という歌詞をきっかけに「セミはどこで鳴いているの?」「どんなセミがいるの?」という会話が生まれ、絵本や図鑑の読み聞かせへ自然につなげることができます。活動の流れが広がりやすいのも、この曲の強みと言えます。

ほいくnote「せみのうた」年齢別ねらい・導入・振り付き動画ページ

せみの歌のピアノ伴奏の難易度と弾き歌いを上達させるポイント

「せみのうた」のピアノ伴奏は、一見シンプルに聞こえますが、実は少し癖があります。難しくはないが簡単すぎない、というのが正直な難易度です。

最大のポイントは「せみ」という単語のリズムが頻繁にテンポを変えることです。「せみせみせみ せみん みーん」という部分は8分音符・付点音符・長音符が混在しており、弾き歌いをするとリズムがズレやすい箇所になっています。まずは歌だけをゆっくりと何度も口ずさみ、リズムを体に入れることが最初のステップです。

練習の手順は以下を目安にしてください。

  • 📌 ステップ1:歌だけを繰り返す。楽器なしで1・2番を通してリズムを体に覚えさせる。
  • 📌 ステップ2:左手だけで伴奏を練習する。和音の動きは少ないので、和音の形を覚えてしまえば安定する。
  • 📌 ステップ3:右手(メロディー)と左手(伴奏)を合わせる。この段階でもまだ歌は口で言いながら確認する。
  • 📌 ステップ4:ゆっくりのテンポで弾き歌いをして、徐々にテンポを上げる。最初から速く弾こうとしない。

楽譜はPiascore楽譜ストアやmucomeなどのオンライン楽譜配信サービスで「せみのうた 弾き歌い 初級」と検索すると、初級向けの簡単伴奏アレンジ版を購入・ダウンロードできます。1ページで2番歌詞つきのものが多く、保育実習の準備にも活用されています。

Piascore楽譜ストア「せみのうた」簡単伴奏アレンジ弾き歌い楽譜(初級)

また、ピアノが得意でない保育士の場合は「弾き歌いが苦手=保育に使えない」と思い込んでいることが多いですが、そうではありません。YouTubeに公開されている伴奏なし・カラオケバージョンを使えば、ピアノなしでも「せみのうた」は十分に子どもたちと楽しめます。これは大事なポイントです。

せみの歌を通じて伝えるセミの生態と子どもへの伝え方

「せみのうた」を歌い慣れてきたら、「なぜせみはなくの?」という問いかけをすることで、自然への探究が始まります。歌が自然観察の入口になるのです。

保育士が知っておきたいセミの生態の基礎知識を整理します。

  • 🌱 鳴くのはオスだけ。メスを呼ぶための行動で、オスは腹部に「発音筋」という器官を持ち、それを振動させて音を出す。メスは鳴かない。
  • 🌱 地中での幼虫生活は3〜5年。日本でよく見るアブラゼミ・ミンミンゼミ・クマゼミは地中で3〜5年をかけて成長する。土の中はセミの「長い準備の時間」。
  • 🌱 成虫の寿命は「1週間」ではなく約1か月。2022年に岡山県立笠岡高校サイエンス部の高校生による野外調査で、アブラゼミは32日間生存が確認されている。「1週間で死ぬ」は俗説。
  • 🌱 羽化は夜の19〜21時ごろ。夏の夕暮れ後に観察できるため、家族での観察活動にも向いている。

「1週間しか生きられない」は実は俗説です。子どもたちが「セミはかわいそう」と思い込むことなく、「長い地中生活を経て夏を全力で生きている」という視点で命の話に触れることができます。

4・5歳児に伝えるときのおすすめのフレーズは、「セミはずっと土の中にいて、夏になってはじめて外に出てくるんだよ。だからあんなに元気よく鳴くんだろうね」という一言です。このような言葉を添えると、「なくからすきだよ せみ」という歌詞が子どもの心に改めて刺さります。

日本自然保護協会「夏だっ!セミのくらし再発見」配布資料(保育・教育向け自然観察案内)

せみの歌と組み合わせたい夏の保育活動と発展アイデア

「せみのうた」は単体で歌って終わりにするより、いくつかの活動と組み合わせることで子どもたちの体験が何倍にも深まります。これは使えそうです。

① セミの抜け殻さがし

散歩や園庭で「せみのうた」を口ずさみながら、セミの抜け殻を探す活動です。抜け殻は木の幹や低い柵などによく残っており、子どもでも安全に観察できます。抜け殻のサイズはものによって異なりますが、アブラゼミの抜け殻はおよそ30〜35mm(小指の第一関節より少し大きいくらい)。触れることで生き物への親しみと感触を同時に体験できます。

② 「セミはどこだ?」クイズ絵本コーナーへの発展

「なかなかいないよ せみ」という歌詞を活かして、セミが隠れている絵を保育士が画用紙に描き、「どこにいるでしょう?」クイズをするコーナーを作ることもできます。3歳児クラスでは特に、「探す」「見つける」という達成感が大きな喜びになります。

③ セミの羽化の話をする絵本との連携

夏の自然をテーマにした絵本を読んだ後に「せみのうた」を歌うという流れは、体験と音楽をつなぐ効果的な保育の流れです。歌と絵本を組み合わせることで、子どもたちが「知っているもの」「感じているもの」を言葉とメロディで確かめる時間になります。

④ 「せみのうた」から広がる夏の歌メドレー

保育士バンク!の調査によると、夏の8月に保育園で特に人気の歌は「せみのうた」をはじめ「水あそび」「ミックスジュース」「さかながはねて」など複数あります。「せみのうた」を1曲目に置き、そこから夏の歌メドレーへ流れていくと、朝の会や季節の集会が自然にまとまります。

保育士バンク!「8月の保育園で人気!夏の歌・手遊び・童謡18曲」(歌詞入り動画つき)

保育士が「せみのうた」を自分自身がしっかり楽しんで歌える状態になっていることが、何より子どもたちへの一番の伝え方です。歌い手の楽しさが伝染する──それが保育における音楽の基本です。


蝉かえる (創元推理文庫)