しあわせならてをたたこう歌の由来と保育への活かし方

しあわせならてをたたこう歌の由来・歌詞・保育での活かし方

この歌、実は日本の童謡ではなく戦争の傷跡から生まれた平和の祈りです。

この記事でわかること
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歌の誕生秘話

「しあわせならてをたたこう」がフィリピンでの戦後体験をきっかけに生まれた、驚きの背景を解説します。

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歌詞の意味と12番まであるって本当?

「態度でしめそうよ」の深い意味や、保育現場ではあまり知られていない全12番の歌詞を紹介します。

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年齢別のねらいと保育での活用法

2歳児から5歳児まで、発達段階に合わせたねらいの立て方・導入方法・アレンジアイデアをまとめています。

しあわせならてをたたこう歌の誕生秘話:スペイン民謡×フィリピン×聖書

 

「しあわせならてをたたこう」は、多くの保育士が「古くからある日本の童謡」だと思っています。ところが実際は、日本人の大学院生が1959年にフィリピンで体験した出来事をきっかけに誕生した、比較的新しい曲です。

作詞者は早稲田大学名誉教授の木村利人氏。1959年、当時の彼は国際ボランティアとしてフィリピンのYMCAワークキャンプに参加していました。日本の占領下だった戦時中の記憶が色濃く残るフィリピンの農村で、村の子どもたちが歌う古いスペイン民謡のメロディを耳にします。反日感情が残る地でも、現地の若者ラルフ青年らは木村氏を受け入れ、共に汗を流しました。つまり歌の根っこには「赦し合い」があるのです。

帰国の途についたフランス貨物船の船上で、木村氏はそのメロディに日本語の歌詞をつけました。歌詞のヒントになったのは旧約聖書の詩篇47篇「すべての民よ、手を打ち鳴らせ」という一節です。こうして、戦後の和解と感謝の気持ちを込めた歌が誕生しました。

その後、1964年に坂本九がこの歌を歌って大ヒット。東京オリンピックが開催されたこの年に全国へ広まり、やがて世界中に知られるようになりました。つまりこの歌、東京オリンピック生まれといっても過言ではありません。

メロディのルーツについては「スペイン民謡説」と「ソ連映画のサントラ説」の2つがあり、研究者の間でも議論が続いています。どちらが正しいにせよ、この曲が複数の文化をまたぐ、まさにボーダーレスな歌であることは間違いありません。意外ですね。

保育士として子どもたちと歌う前にこの背景を知っておくと、歌の持つ「みんなで喜びを体で表そう」というメッセージがより深く伝わるはずです。歌そのものが平和の象徴だということを覚えておけばOKです。

「しあわせならてをたたこう」誕生秘話(ピースボート公式)|木村利人氏がフィリピンでの体験をもとに作詞した背景を詳しく解説

しあわせならてをたたこう歌詞の意味:「態度でしめそう」が伝える感情教育

保育の現場でよく使われる歌詞は1番〜3番(手をたたく・足ならす・肩たたく)が中心ですが、木村利人氏の書いた日本語歌詞はなんと12番まで存在します。多くの保育士が「4番か5番まで」と思っているのは自然なことですが、全12番を把握しておくと保育のアレンジの幅が一気に広がります。

各番の動作は以下のとおりです。

番号 動作
1番 🙌 手をたたこう
2番 👣 足ならそう
3番 💆 肩たたこう
4番 😄 ほっぺたたこう
5番 😉 ウィンクしよう
6番 👇 指ならそう
7番 😢 泣きましょう
8番 😂 笑いましょう
9番 🤝 手をつなごう
10番 🦘 とび上がろう
11番 👍 相づち打とう
12番 🔁 最初から

注目したいのが7番の「泣きましょう」です。「しあわせならてをたたこう」なのに、なぜ「泣く」のかと思う方もいるでしょう。これは感情の多様性を認め、「泣くことも幸せの一形態として体で表してよい」という深い意味を持ちます。子どもたちの感情教育にとって、非常に豊かなメッセージです。

また12番の「最初から」は、1番に戻って永遠に繰り返すことを意味します。「幸せがいつまでも続くように」という作詞者の願いが込められているとも言われています。つまり無限ループが幸せの象徴なのですね。

全番の中で特に保育で重要なのが「態度でしめそうよ」というフレーズです。これは旧約聖書に由来する表現で、「感情を内側に留めず、体の動きで表現してよい」というメッセージを持っています。子どもが笑ったり飛び跳ねたりするのは、まさに「態度でしめして」いる状態です。この歌詞の意味を知ると、子どもの自由な体表現を保育士がどう受け止め、どう促すかという視点が変わってきます。

「幸せなら手をたたこう」歌詞全12番・原曲解説(World Folk Song)|歌詞の全番と英語版の比較、ルーツのスペイン民謡説まで詳しく掲載

しあわせならてをたたこう歌の年齢別ねらいと導入方法

「しあわせならてをたたこう」は2歳児から5歳児まで幅広く使える歌ですが、同じ歌でも年齢によってねらいは大きく異なります。ここが原則です。年齢を無視して同じ導入をすると、子どもが戸惑ったり、せっかくの体験が浅くなってしまいます。

年齢別の主なねらいと導入のポイントは次のとおりです。

  • 🍼 2歳児:拍を取って手をたたく・足踏みをするなど、シンプルなジェスチャーを通じて模倣力とリズム感を育む。導入は「手をたたくってどんな感じかな?一緒にやってみようね」と体の動きに注目するだけで十分です。
  • 🌱 3歳児:「態度でしめそうよ」の意味に少しずつ気づき始め、動作と感情表現をリンクさせる体験が中心。「幸せな気持ちを体で表すってどうやるかな?」と問いかけると、子どもが自分で考えるきっかけになります。
  • 🌻 4歳児:手→足→肩と複数の動きを組み合わせて身体表現を広げ、全員で動きを揃える協調性を育む段階。「次は足、次は肩…せーので全部やってみよう!」という段階的な挑戦が効果的です。
  • 🌟 5歳児:自分たちで動きや歌詞の順番を考え、オリジナルの展開に挑戦する創造力を育む時期。「今度は自分たちで動きを決めてみよう」と投げかけると、主体的な活動に発展します。

特に注目したいのが、この曲が「室内でできる全身運動」になるという点です。悪天候で外遊びができない日でも、「しあわせならてをたたこう」を全12番通して行うと、手・足・肩・頬・指・跳び上がりと、実にさまざまな部位を使った運動になります。これは使えそうです。

2歳児に使う場合はピアノ伴奏なしで、保育士が歌いながら行うだけで十分盛り上がります。ピアノが苦手な保育士も安心です。

「幸せなら手をたたこう」年齢別ねらいと導入方法(ほいくnote)|シンガーソングライター近藤夏子氏による振り付き動画・年齢別ねらいと実演ポイント

しあわせならてをたたこう歌のアレンジと「子ども参加型」への発展

「しあわせならてをたたこう」が保育の現場で長く愛されている理由の一つが、アレンジのしやすさです。シンプルな繰り返し構造なので、少し工夫するだけで子どもたちが「自分でも作れる」と感じる参加型の活動に発展させられます。

代表的なアレンジのアイデアを紹介します。

  • 🎤 子どもが動きを決める:「幸せなら〇〇しよう」の〇〇部分を子どもたちに考えてもらいます。「ジャンプしよう」「おなかたたこう」「ぐるぐる回ろう」など、子どもたちのアイデアは毎回新鮮で盛り上がります。4・5歳児に特に効果的なアプローチです。
  • 🎵 テンポを変える:最初はゆっくり、慣れてきたら少しずつテンポを上げていく方法です。子どもたちが動きについていこうと集中するため、集中力を高める効果があります。「速くなるよ〜!」と予告するだけでワクワク感が増します。
  • 🤝 「手をつなごう」を活用する:9番の「幸せなら手をつなごう」は、友達との関係づくりに最適な歌詞です。隣の子と手をつなぐ動作を通じて、自然な形でスキンシップや親密さを育むことができます。
  • 🌍 英語版「If You’re Happy」と組み合わせる:英語版は「Clap your hands(手をたたこう)」「Stomp your feet(足ならそう)」と日本語版とほぼ同じ構成です。年長クラスで日本語→英語と交互に歌うだけで、国際理解活動の導入にもなります。

アレンジを行う際に一つだけ注意したいのが「テンポ設定」です。楽しさを優先してテンポを上げすぎると、子どもが動作についていけずに混乱し、達成感よりも疎外感を生んでしまうことがあります。子どもが歌いながら動ける速さを基準にするのが原則です。特に2〜3歳児クラスでは、保育士が少しゆっくりめに歌うくらいがちょうどよいです。

また、この曲のメロディには「タッカのリズム」と呼ばれる付点音符が多く使われています。「タン・タタ」のような跳ねるリズムです。このリズムが崩れると、歌の楽しさが半減してしまいます。保育士自身がリズムを体感してから子どもたちに届けるのが、活動を成功させる一番の近道です。

保育園でのシンプル手遊びアイデア(保育求人ラボ)|「幸せなら手をたたこう」のアレンジ案を含む年齢別の手遊び紹介記事

しあわせならてをたたこう歌が保育士試験の実技課題になった理由と対策

令和5年(2023年)度の保育士試験実技試験で、「しあわせならてをたたこう」は課題曲の一つに指定されました。馴染み深い曲だからこそ、落とし穴があります。「知ってる曲だから大丈夫」と思い込んで準備不足のまま受験し、不合格になったケースが毎年一定数報告されています。厳しいところですね。

この曲が課題に選ばれた理由は、試験の評価基準と深く関係しています。保育士試験の音楽実技で求められるのは「高い演奏技術」ではなく、「子どもが正しく楽しく歌えるような表現力」です。「幸せなら手をたたこう」は動作を伴う歌のため、保育士が笑顔で楽しそうに弾き歌いできているか、子どもに届ける意識があるかを見るのに適した曲なのです。

実技試験で特に注意したい点は以下のとおりです。

  • 🎹 タッカのリズムを正確に:「しあわせ”なら”てをたたこう」の付点音符(タッカのリズム)は崩れやすいポイントです。楽譜をしっかり確認せず思い込みで練習すると、本番で正しいリズムが出せません。
  • 🎤 歌声がメイン:ミスタッチよりも声が小さいことの方が評価に響きます。ピアノに集中するあまり歌声が小さくなってしまうのは、この試験で最も多い失点パターンの一つです。
  • 😊 表情と笑顔:硬い表情のまま演奏しても、子どもに届ける意識が伝わりません。試験官は「この人の前で子どもが歌いたくなるか」を見ています。
  • 🎼 移調はOK:歌いやすいキーへの移調は認められています。自分の音域に合わせて調を変えても減点にはなりません。ただし移調後の楽譜が弾きやすいかどうかも事前に確認が必要です。

著作権については、「しあわせならてをたたこう」のメロディ原曲アメリカ民謡パブリックドメイン)です。著作権が切れているため、楽譜の無料ダウンロードや保育現場での使用に著作権上の問題はありません。これは保育現場でも知っておくと便利な情報です。ただし、木村利人氏による日本語歌詞部分は別途著作権の扱いとなる場合があるため、商業利用などの場面では確認が必要です。

保育士試験の実技が不安な方には、四谷学院のような実技試験対策の通信講座を活用する方法があります。楽譜・お手本動画・担任制サポートが揃っており、初心者でも自宅で体系的に練習できます。「ミスタッチで落ちる」という不安を持っている場合、まず「試験の目的は何か」を確認することが対策の第一歩になります。

令和5年保育士試験課題曲「幸せなら手をたたこう」対策(四谷学院通信)|弾き歌いのポイント・移調の可否・試験の目的について詳しく解説

しあわせならてをたたこう歌がもたらすリズム遊びの発達効果と保育のねらい

「しあわせならてをたたこう」は単なる楽しい手遊びではなく、子どもの発達に複数のアプローチをかける音楽活動です。この視点を持っているかどうかで、保育の質が変わってきます。

大阪芸術大学の研究によると、保育における「手遊び」は「言葉の発達・数の理解・旋律の記憶・拍子を感じる・リズムを記憶する」といった複合的な効果を持つことが確認されています。この曲に当てはめると、次のような発達効果が期待できます。

  • 🎵 リズム感・音感の発達:「タッカのリズム」を繰り返し体験することで、跳ねるリズムパターンが体に染み込みます。これは後の楽器演奏や合唱活動の基礎になります。
  • 🗣️ 言語発達:「しあわせなら」「たいどでしめそうよ」「ほらみんなで」という歌詞を繰り返すことで、語彙と発音能力が高まります。特に「態度でしめそうよ」は日常会話では使わない豊かな表現です。
  • 🤸 身体協応能力:歌いながら手を叩き、足を踏み、肩を叩くという複合動作は、脳と体を同時に使うトレーニングになります。12番の動作をすべて行うと、全身の主要部位が動くため、いわゆる「脳トレ」の要素も含まれています。
  • 🧑‍🤝‍🧑 協調性・社会性みんなで動きを合わせる体験は、集団における「同調」の喜びを学ぶ機会です。9番の「手をつなごう」は友達との身体的なつながりを自然に生む場面でもあります。
  • 😊 感情表現力:7番「泣きましょう」や8番「笑いましょう」など、感情を体で表現する歌詞が含まれているため、自己表現力を育む機会になります。これは保育所保育指針でも重視されている「感情を豊かに表現する」という発達目標に直結します。

保育のねらいを指導案に書く際は、「何となく楽しく歌う」ではなく、年齢と発達段階に応じた具体的なねらいを設定することが重要です。たとえば3歳児クラスの場合は「歌に合わせた動作を通じて、動作と感情表現をリンクさせる体験をする」という形で書くと、保育の意図が明確になります。

この曲を繰り返し活動に取り入れることで、子どもたちは「音楽って体で感じるもの」という感覚を自然に身につけていきます。それが音楽表現全体への興味につながっていくのです。リズム遊びが発達の礎になるということですね。

保育における「手遊び」の効果(大阪芸術大学・学術論文PDF)|言語発達・リズム記憶・拍子感覚など手遊びがもたらす複合的な発達効果を研究で検証

しあわせならてをたたこう (つまみひきしかけえほん)