こおろぎの歌を保育に活かす指導ポイントと秋の活動アイデア
「こおろぎ」を3歳から歌わせると、語彙力が約1.5倍のペースで伸びるという報告があります。
「こおろぎ」の歌詞と作曲家・芥川也寸志の意外な素顔
「こおろぎ」は、作詞・関根栄一、作曲・芥川也寸志による童謡です。歌詞はたった3番で構成されており、全体を通してオノマトペ(擬音語)が繰り返される非常にシンプルな構造をしています。
歌詞の内容はこちらです。
| 番 | 歌詞 |
|---|---|
| 1番 | こおろぎ ちろちろりん/こおろぎ ころころりん/ちろちろりん ころころりん/くさのなか |
| 2番 | にいさん ちろちろりん/おとうと ころころりん/ちろちろりん ころころりん/うたいます |
| 3番 | やさしい ちろちろりん/かわいい ころころりん/ちろちろりん ころころりん/くさのなか |
「ちろちろりん」と「ころころりん」という2つのフレーズが交互に登場するだけで、メロディーも非常に覚えやすいのが特徴です。つまり「シンプルであること」が最大の強みです。
さて、この曲の作曲家・芥川也寸志について、保育士さんの間でもあまり知られていないエピソードがあります。芥川也寸志は、実はあの文豪・芥川龍之介の三男です。クラシック音楽の作曲家・指揮者として活躍し、1950年に発表した「交響管弦楽のための音楽」はNHK放送25周年記念管弦楽懸賞で特選入賞を果たしました。交響曲を手がけるほどの本格派クラシック作曲家が、保育園の定番童謡も書いていたわけです。意外ですね。
子どもたちに歌を教えるとき、この豆知識を少し話すだけで「コオロギのうたをつくった人は、すごい音楽家だったんだよ」という文脈を添えられます。子どもの好奇心に火をつける導入として使えそうです。
参考情報として、芥川也寸志の詳しい経歴は以下のNHKアーカイブスで確認できます。
こおろぎの歌の対象年齢と保育活動でのねらい
「こおろぎ」の歌は、一般的に3歳児(年少)クラスから取り入れやすい童謡です。低年齢向けと感じる保育士さんも多いかもしれませんが、5歳児クラスでも楽器遊びや表現活動に応用できます。年齢が上がるほどアレンジの幅が広がる曲です。
この歌を保育に取り入れるときの主なねらいは、以下の3点が挙げられます。
- 🎵 オノマトペ・言語発達:「ちろちろりん」「ころころりん」といった繰り返しの擬音語を口にすることで、言葉のリズムや音の面白さへの感覚が育まれます。語感を楽しむことが言語発達の土台になります。
- 🍂 季節感・自然への親しみ:秋という季節、草むらの虫の声という具体的なイメージを歌を通じて体感できます。散歩活動と組み合わせると、五感を使った学びにつながります。
- 🤝 社会性・協調性:クラス全員でリズムを揃えて歌う経験は、「みんなで何かをつくる」喜びを体で感じさせてくれます。合奏に発展させれば、互いの音を聴き合う力も育ちます。
保育の指導案を作成する際は、「季節の自然に親しむ」という表現領域のねらいと、「友だちと声を合わせて歌う楽しさを感じる」という社会性のねらいをセットで設定するのがポイントです。ねらいが2本あれば評価もしやすくなります。
季節の歌に関するねらいや歌の重要性については、以下の資料も参考になります。
保育園における歌の重要性とは?子どもが歌を歌いたくなるポイント(マザーシップケア)
こおろぎの歌の振り付けアイデアと子どもへの教え方のコツ
「こおろぎ」の振り付けは、歌詞がシンプルなぶん動きも直感的に作りやすい曲です。難しい振り付けは必要ありません。まず基本の動きを整理しておきましょう。
| 歌詞 | 動きの例 |
|---|---|
| ちろちろりん | 両手の指先をひらひらと細かく動かす(コオロギの翅のイメージ) |
| ころころりん | 両手をグーにして交互にくるくる回す |
| くさのなか | 両手を広げて下に向け、草むらを表現する |
| にいさん/おとうと | 背伸びをする/しゃがむ(大きい・小さいのイメージ) |
| うたいます | 両手を口元に添えて歌うジェスチャー |
これは使えそうです。振り付けがシンプルなほど、子どもは歌詞とメロディーに集中できるからです。
教え方の順番としては、まず歌詞なしでメロディーだけ聞かせる→次に歌詞カードや絵カードを使って言葉に慣れる→最後に振り付けを加える、という3ステップが有効です。いきなり全部を一度に教えようとすると、子どもは混乱しやすくなります。1ステップずつ丁寧に進めるのが原則です。
3歳児クラスでは「ちろちろりん・ころころりん」のリズムを手拍子で確認してから歌に入ると、テンポがずれにくくなります。年少クラスでも2週間程度繰り返せば、ほとんどの子が自分で歌えるようになる曲です。
保育士さん向けの振り付き動画も参考にしてみてください。
【童謡】こおろぎ〈振り付き〉簡単・覚えやすい歌・歌詞つき(YouTube・ドレミューチャンネル)
鈴などの楽器と合わせるこおろぎ歌の活用法
「こおろぎ」の歌の大きな強みのひとつは、鈴などの楽器と非常に相性がよいことです。「チンチロリン」というコオロギの鳴き声のイメージと、鈴の音色が自然にリンクします。これが活動の幅を大きく広げてくれます。
楽器を使った活動の基本的な流れとしては、まず歌だけで曲をしっかり覚えてから楽器を導入するのがスムーズです。楽器を最初から持たせると、音を出すことが目的化してしまい、歌を聴く機会が失われてしまいます。歌が安定してきた段階で楽器を加えるのが条件です。
- 🔔 鈴(スズ):「ちろちろりん」のフレーズに合わせて小刻みに鳴らす。コオロギのはかない音色のイメージにぴったりです。
- 🥁 カスタネット:「ころころりん」のフレーズにリズムよく合わせる。テンポが安定しやすく、3〜4歳児クラスから使いやすい楽器です。
- 🎶 タンバリン:フレーズの区切り(「くさのなか」「うたいます」)に合わせてアクセントをつける。5歳児クラスであれば、鈴チームとタンバリンチームに分けた合奏にも発展できます。
楽器を2種類以上組み合わせる際は、事前に「ちろちろりん担当」と「ころころりん担当」をグループに分けておくと混乱が少なくなります。クラスを2グループに分けて交互に演奏させると、「聴く・演奏する」の両方を体験させられます。
楽器遊びの導入やねらいについては、保育士バンクのこちらの記事も参考になります。
保育で楽器遊びを楽しもう!鈴や太鼓の正しい使い方や導入するポイント(保育士バンク!)
散歩・自然体験とこおろぎの歌を組み合わせた保育活動アイデア
「こおろぎ」の歌は、園外の散歩活動や自然観察と組み合わせることで、歌の理解がいっそう深まります。保育士さんの中には「歌は室内でしか使えない」と考えている方もいますが、実はその逆です。歌は外でこそ活きることがあります。
コオロギが生息する環境は、草むらや植え込みの周辺で、9月から10月にかけてよく見られます。実際に散歩に出て草むらをのぞいてみると、運がよければコオロギを発見できることもあります。見つけた瞬間に「あ!歌のこおろぎだ!」という発見の喜びは、絵本や動画では代替できないリアルな体験です。
コオロギについて子どもに伝えると面白い豆知識もいくつかあります。
- 🦗 鳴くのはオスだけ:コオロギが「ちろちろりん」と鳴くのはオス(お兄さん・お父さん)のコオロギだけです。歌の2番に「にいさん ちろちろりん」という歌詞があることと結びつけると、子どもたちの理解が深まります。
- 🎸 翅(はね)で音を出す:コオロギは足をこすり合わせているのではなく、2枚の前翅(まえばね)をこすり合わせて音を出しています。翅の表面にヤスリのようなギザギザがあり、それがバイオリンの弦のように振動します。
- 🌡️ 気温で鳴き方が変わる:気温15℃のとき、コオロギは約19回/15秒の速さで鳴き、気温30℃になると約46回/15秒まで増えることがわかっています。コオロギは「生きている温度計」とも呼ばれてきました。
こうした知識を3〜4歳児に話すとき、「コオロギはね、はねを使ってギター(バイオリン)を弾くみたいに音を出すんだよ」と例えると、子どもたちはとても喜びます。知識を得た子どもたちは歌を歌うとき、「コオロギのはねをこするイメージ」で手を動かすようになり、表現の豊かさが自然に育まれます。
散歩から戻ったあとに歌うと、「さっき見てきたコオロギのうた!」という感情とセットで記憶されます。記憶の定着が原則です。
コオロギの鳴き声の仕組みについては、以下のサイトも子ども向けにわかりやすく解説されています。
保育士が知っておきたい「こおろぎ」を使った年齢別アレンジ方法
「こおろぎ」の歌は、子どもの発達段階に応じてアレンジの仕方を変えることで、0歳児クラスから5歳児クラスまで幅広く活用できます。これが「こおろぎ」が長く保育現場で使われてきた理由のひとつです。
年齢別の使い方は次のとおりです。
| 年齢 | おすすめの使い方 | ポイント |
|---|---|---|
| 0〜1歳児 | 保育士が歌って聴かせる | ゆったりしたテンポで繰り返すことで、言葉の音に慣れ親しむ機会になります。 |
| 2歳児 | 手拍子・簡単なリズム打ち | 「ちろちろりん」でポンポン、「ころころりん」でパンパンなど、体で拍子をとらせます。 |
| 3〜4歳児 | 振り付き・鈴などの楽器遊び | 自分で歌いながら動けるようになる時期です。楽器を持たせると表現への意欲が上がります。 |
| 5歳児 | 役割分担の合奏・発表会 | 「ちろちろりん担当」「ころころりん担当」に分けた合奏や、グループ発表にも使えます。 |
5歳児クラスでは、歌詞を少し変えて「オリジナルのおとうとが歌う声はどんな声?」と問いかけ、子どもたち自身にオノマトペを考えさせる活動に発展させることもできます。「ぴろぴろりん」「くるくるりん」など、子どもが考えた言葉を採用して歌うと、創造力と語彙力が同時に育まれます。創意工夫が基本です。
一方、保育士の弾き歌いが不安という場合は、伴奏音源や動画を活用する方法もあります。ただし、子どもとのアイコンタクトや表情の共有が大切なため、音源を流すだけで終わらせず保育士自身も一緒に歌うことが重要です。
保育で歌を効果的に教えるヒントとしては、以下の記事も参考になります。
子どもが歌いたくなる!保育園での歌の教え方。選曲の基準や指導のポイント(保育士バンク!)

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