音楽鑑賞文の書き方と保育士向け例文・表現の完全ガイド

音楽鑑賞文の書き方を保育士向けに徹底解説

「楽しかった」だけで書くと、保育士としての専門性が7割以上失われます。

🎵 この記事でわかること
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音楽鑑賞文の基本構成

「導入→本論→まとめ」の3ステップで、誰でも読みやすい鑑賞文が書けます。

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保育士ならではの語彙・表現リスト

「明るい」「力強い」だけに頼らない、音楽を多角的に言葉にするための具体的な表現を紹介します。

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そのまま使える例文・テンプレート

保育園の音楽鑑賞会・研修報告書・子どもへの感想文など、シーン別の例文をまとめました。

音楽鑑賞文の書き方の基本:3つの構成ステップ

 

音楽鑑賞文を書くとき、多くの人が「何を書けばいいのかわからない」と感じます。実はこの悩みの原因は、語彙力の不足ではなく「構成のイメージがないこと」にあります。基本となる3つのステップを覚えるだけで、すっきりまとまった文章が書けるようになります。

①導入:印象と背景を書く

まず鑑賞した曲・場・状況を短く紹介します。「何を、どんな場面で聴いたか」を1〜2文でまとめましょう。聴く前の気持ちや期待感を添えると、文章に自然な流れが生まれます。

②本論:印象に残った具体的な場面を書く

ここが鑑賞文の核心部分です。「全体の感想」を書こうとすると言葉に詰まりがちです。ここが一番大切です。「どの部分が、なぜ印象に残ったか」を1〜2つのエピソードに絞って書きましょう。

たとえばこのように書くと具体性が出ます。

  • 🎶 テンポが速くなった瞬間に子どもたちが体を揺らし始めた
  • 🎶 弦楽器の柔らかな音色が保育室全体に広がり、子どもが自然と静かになった
  • 🎶 クライマックスの音量の変化に、子どもが驚いた表情を見せた

このように「子どもの反応」を具体的な場面として描写すると、保育士らしい視点が加わり、鑑賞文の質が一気に上がります。

③まとめ:鑑賞後の気づきや今後への展望を書く

「聴き終えて、どんなことを感じたか・今後に活かしたいか」を1〜2文で締めます。保育の観点から書くと、研修報告書などでも高い評価を得られます。

つまり「背景→具体的場面→今後の展望」の順が基本です。

演奏会の感想書き方ガイド完全版【初心者でも簡単】|オケミン!(演奏会感想の構成・例文を詳しく解説)

音楽鑑賞文で使える語彙・表現リスト|音楽を言葉にするヒント

「楽しかった」「すごかった」以外の言葉が出てこない。これは保育士に限らず、音楽の感想を書く人の多くが経験することです。語彙が増えると、鑑賞文の説得力がぐんと増します。以下の表現リストを参考にしてください。

🎵 音・音色を表す言葉

  • やわらかい音・かたい音・やさしい音色・温かみのある音・透き通るような音
  • 力強い・パワフル・堂々とした・繊細な・澄んだ

🎵 リズム・テンポを表す言葉

  • はねるようなリズム・細かいリズム・だんだん速くなる・一定のリズム
  • 軽やかな・急ぎ足のような・ゆったりとした・波のようなリズム

🎵 気持ち・イメージを表す言葉

  • 心地よい・すがすがしい・ワクワクする・おだやか・ドキドキする
  • 勇気が出る・前向きになれる・安心する・やすらぎ・温かくなる

🎵 強弱・曲の展開を表す言葉

  • だんだん大きくなる・静かに始まり盛り上がる・ふっと力が抜けるような
  • クライマックスに向けて盛り上がる・静と動のコントラスト・急に変化する

これらの言葉を組み合わせて使うだけで、感想文の表現が一気に豊かになります。語彙のストックが多いと便利です。

保育士として子どもの反応を観察する立場からは、「音楽を聴いて子どもがどう動いたか・どんな表情をしたか」という視点をプラスすると、保育実践の記録としても価値が高まります。たとえば「ゆったりとしたテンポの曲が流れると、ざわついていた子どもたちが自然と静かになり、目を閉じて聴き入る子が数人いた」というような記述です。

感じ取ったことを表す言葉の例(佐賀県教育センター)|音楽の感想で使える語彙を多数掲載

音楽鑑賞文の書き方でよくあるNG例と改善ポイント

鑑賞文を書いたあとに「なんか薄い…」と感じる場合、よくある3つのパターンに当てはまっていることがほとんどです。NG例と改善後の例文を比較してみましょう。

❌ NG例1:感想が一言で終わっている

> 「とても楽しかったです。」

これは感想ではなく”リアクション”です。どんな場面がなぜ楽しかったのかが書かれていません。

✅ 改善例:「テンポが速くなる場面で子どもたちが自然に体を揺らし始め、音楽が体に働きかける力を改めて実感しました。この経験を保育の音楽遊びに活かしたいと感じました。」

❌ NG例2:曲の紹介だけで終わっている

> 「ベートーヴェンの『運命』を聴きました。有名な曲です。」

曲の説明は必要ですが、そこで止まると鑑賞文ではなく「プログラムメモ」になってしまいます。

✅ 改善例:「ベートーヴェンの『運命』では、冒頭の4音(ジャジャジャジャーン)が繰り返されるたびに緊張感が増していき、子どもたちが思わず息をのむ場面が印象的でした。」

❌ NG例3:抽象的な言葉が続く

> 「感動的で素晴らしい演奏でした。また聴きたいと思います。」

「感動的」「素晴らしい」という言葉は、何についての感想なのかが伝わりません。

✅ 改善例:「バイオリンのソロ演奏では、音量が段階的に小さくなっていく場面で会場全体が静まり返り、最後の一音が消えた瞬間の静寂がとても印象的でした。」

こう比べると違いは明確です。「何が」「どのように」「だから自分はどう感じたか」の3点セットで書くことが改善の鍵です。

保育士向け音楽鑑賞文の例文:シーン別テンプレート

保育の現場では、音楽鑑賞に関する感想文を書く場面が複数あります。ここでは代表的な3つのシーンごとに、そのまま参考にできる例文を紹介します。

📝 シーン①:保育園の音楽鑑賞会(研修報告書・記録用)

> 本日の音楽鑑賞会では、クラシック音楽の生演奏を子どもたちと一緒に体験しました。ヴァイオリンとピアノによる2曲の演奏のうち、特にテンポが速い曲では、子どもたちが自然と手拍子を打ち始め、音楽への関心の高さに改めて気づかされました。

>

> 一方、スローテンポの曲では、普段落ち着きのない子も静かに聴き入っており、音楽のテンポや音色が子どもの情緒に与える影響を感じる貴重な場となりました。今後の保育では、子どもの状態に合わせて音楽を意図的に取り入れたいと思います。

📝 シーン②:保護者向け(音楽会・発表会後のお便り)

> 本日は素晴らしい演奏を披露してくれた子どもたちに、心から拍手を贈りたいと思います。毎日の練習を通じて、最初は音が揃わなかった場面も、本番では全員の息がぴったりと合い、ホール全体に温かいハーモニーが響いていました。

>

> 一生懸命な表情で演奏に向かう子どもたちの姿に、保護者の皆さまも感じていただけたと思います。この体験が子どもたちにとって、音楽を「楽しむもの」として長く心に残ることを願っています。

📝 シーン③:保育実習日誌・振り返り用

> 今日は音楽鑑賞の時間を子どもたちと共に過ごし、音楽が遊びや感情表現に与える影響を改めて学びました。特に、テンポや音の強弱によって子どもたちの動きや表情が変わることを実際に観察できたことは、大きな発見でした。

>

> 今後は音楽を「聞かせるもの」として受動的に捉えるだけでなく、子どもたちが音楽の変化を感じながら体を動かしたり表現したりできる場を意図的に作っていきたいと思います。

例文はあくまで参考です。自分の言葉に置き換えながら使うのがポイントです。

保育士の研修報告書の書き方とは?例文あり|コドモンカレッジ(研修後の感想・学んだこと・活用方法の書き方を解説)

保育士ならではの独自視点:音楽鑑賞文に「子どもの反応」を入れる理由

一般的な音楽鑑賞文の書き方のガイドには、あまり書かれていない視点があります。それが「子どもの反応を観察して記録する」というアプローチです。保育士が書く音楽鑑賞文には、教師・評論家・保護者とは異なる独自の視点が宿ります。

保育士は音楽会や保育活動の中で、常に子どもの表情・動き・発言を観察しています。この「観察力」を鑑賞文に活かすと、通り一遍の感想文とは一線を画す、専門性のある記録が生まれます。

たとえば、次のような観察ポイントを意識してみましょう。

  • 🔍 音楽が始まった瞬間の子どもの変化(動きが止まる・体が動き出すなど)
  • 🔍 特定の旋律・リズムで子どもが見せる独特の反応
  • 🔍 音楽が終わった後の子どもの様子や言葉
  • 🔍 年齢・クラスによる反応の違い

これらを鑑賞文に組み込むと、保育士としての「気づきの質」が記録に残ります。保育記録や研修報告書として提出する場合、上司や同僚に「この保育士は現場をしっかり見ている」という印象を与えることができます。

ある研究(長崎女子短期大学の保育内容表現の研究)では、保育者が音楽の感情表現的側面を通じて子どもとともに体験を共有することが、子どもの表現力の発達に直結することが示されています。つまり保育士が音楽を「記録する目線で観察すること」は、子どもの成長支援にも直結する専門的行為なのです。

これは使えそうです。「子どもの反応」を書くだけで、鑑賞文が保育記録にもなる、一石二鳥のアプローチです。


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