長谷川義史の絵本一覧から保育士が選ぶ厳選作品と読み聞かせのコツ
「いいからいいから」は面白いだけで、子どもの感情調整力を3歳から育てられる絵本です。
長谷川義史の絵本一覧とプロフィール:デビューから今日まで
長谷川義史さんは1961年、大阪府藤井寺市生まれの絵本作家・イラストレーターです。グラフィックデザイナーからイラストレーターへ転向し、2001年に『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』(BL出版)で絵本作家としてデビューしました。
デビューが2001年と遅めのスタートだったにもかかわらず、その後の活躍はめざましく、現在までに230作品を超える絵本・翻訳絵本に携わっています。これは、年間約10〜15冊ペースで作品を生み続けてきた計算になります。
受賞歴も充実しています。
- 🏆 2003年:『おたまさんのおかいさん』で講談社出版文化賞絵本賞
- 🏆 2004・2007・2009年:けんぶち絵本の里大賞(3度受賞)
- 🏆 2005・2008年:日本絵本賞(2度受賞)
- 🏆 2008年:『ぼくがラーメンたべてるとき』で小学館児童出版文化賞
- 🏆 2020年:『マンマルさん』で産経児童出版文化賞翻訳作品賞
複数の大きな賞を受賞しているのが基本です。また「翻訳絵本」の分野でも活躍しており、ジョン・クラッセンの『どこいったん』『ちがうねん』を大阪弁で翻訳したことでも有名です。これは意外と知られていませんが、あの独特の大阪弁が子どもたちの笑いを引き出し、保育の場でも高い人気を誇っています。
長谷川さんの絵の特徴として、太い筆で豪快に描く「おおらかさ」と「ぬくもり」があります。これは小学6年生のときの美術教師・大西先生に「はみ出してもいいから自分の感じたとおりに描くのよ」と教わったことが原点にあります。その教えが長谷川さんの絵本スタイルそのものとなっており、その経験を後に絵本『おおにしせんせい』として作品化するほど、大切な原体験になっています。
保育士として長谷川義史さんの絵本を選ぶとき、まず知っておきたいのはこの「豊かな作品数と多彩なジャンル」です。つまりどの年齢層にも、どんなテーマにも対応できるということですね。
長谷川義史さんのプロフィールと作品一覧(Wikipedia)
長谷川義史の絵本一覧から見るジャンル別おすすめ作品
長谷川義史さんの作品は、大きく3つのジャンルに分けられます。保育の場面に合わせて使い分けることが、読み聞かせの質を高めるコツです。
① ユーモア・日常系:笑いと安心感を届ける作品
代表作は何といっても『いいからいいから』シリーズ(絵本館)です。何があっても「いいから いいから」と言いながら全部受け容れてしまうおじいちゃんが主人公で、全4巻にわたって展開されています。シリーズ累計の読者レビュー数は絵本ナビだけで200件超と、人気の高さがわかります。
このシリーズが3〜5歳の保育に特に適している理由は、「繰り返しの言葉のリズム」にあります。読み聞かせのたびに「いいからいいから〜」と子どもたちが一緒に言い出すのは珍しくなく、言葉のリズムに乗りながら感情を整える練習にもなります。これは使えそうです。
他にも同ジャンルでは以下の作品が保育現場でよく使われています。
- 📖 『おへそのあな』(BL出版):おなかの赤ちゃん視点の作品。0〜6歳まで幅広く対応
- 📖 『パンやのろくちゃん』(小学館):元気なパン屋さんのシリーズ絵本
- 📖 『だじゃれ日本一周』(理論社):都道府県のだじゃれで日本を旅する、5歳〜小学校低学年向け
- 📖 『おならまんざい』(小学館):子どもが大喜びするユーモア絵本
- 📖 『おにのパンツ』(フレーベル館):節分の時期に大活躍する歌絵本
② 社会・平和系:想像力と共感力を育てる作品
保育士が「少し大きい子(5歳〜)に届けたい」と感じる作品群です。
- 📖 『ぼくがラーメンたべてるとき』(教育画劇):日本絵本賞・小学館児童出版文化賞ダブル受賞作。ラーメンを食べている自分の日常と、世界各地で同じ瞬間に起きていることが対比される絵本。想像力と共感力の土台を育てます
- 📖 『へいわってすてきだね』(ブロンズ新社):沖縄・与那国島の小学1年生・安里有生くんの詩に長谷川さんが絵を描いた作品。6月の「平和月間」に読み聞かせると効果的です
- 📖 『ほうれんそうはないています』(ポプラ社):放射能汚染をテーマにした社会派絵本
③ 自伝的シリーズ:大人も泣ける感動作品
長谷川さんの自身の子ども時代をもとにした4作品は、5歳以上の子どもにも届く深い内容です。講談社から刊行されている4冊を時系列で整理すると次のようになります。
| 作品名 | 学年 | テーマ |
|---|---|---|
| 『てんごくのおとうちゃん』 | 1年生 | 1年生で亡くなった父との思い出 |
| 『ミーコ』(2024年) | 2年生 | 飼い猫との命の別れ |
| 『おかあちゃんがつくったる』 | 3年生 | シングルマザーの母の愛情 |
| 『おおにしせんせい』 | 5年生 | 美術の恩師との出会い |
この4作は「それぞれ単独で読める」と著者本人も述べていますが、一連のシリーズとして読むと長谷川義史という絵本作家の原点が浮かび上がります。卒園・卒業の時期に保護者向けに紹介するのも良い選択です。
長谷川義史の絵本一覧から年齢別に選ぶ:0歳〜6歳の読み聞かせガイド
保育士が長谷川義史さんの絵本を選ぶとき、「年齢に合っているか」が最初の判断基準になります。ここでは年齢帯ごとの特徴と具体的なおすすめ作品をまとめます。
0〜2歳向け:シンプルな繰り返しと温かい絵で「聴く楽しさ」を育てる
0〜2歳の赤ちゃん・乳児クラスには、言葉のリズムや繰り返しが豊かな作品が適しています。長谷川さんの『おへそのあな』(BL出版)は0歳から対応しており、おなかの赤ちゃんが家族を眺めるという温かいストーリーが特徴です。産前産後のクラスや、「赤ちゃんが来るよ」という導入絵本としても活用できます。
また、内田麟太郎さんの文・長谷川さんの絵による『いいこねんね』(童心社)は0〜2歳向けの寝かしつけ絵本で、動物の親子が「ねんね」をするシンプルな内容ながら、長谷川さんの柔らかく温かい絵が赤ちゃんを穏やかに眠りへ誘います。0歳児クラスのお昼寝前の読み聞かせに最適です。
3〜4歳向け:笑いと感情体験を豊かにする作品
この年齢帯が長谷川さんの絵本を最も「笑いながら楽しめる」ゾーンです。
何があっても動じない「いいからいいから」のセリフは、感情調整という観点でも意味を持ちます。腹が立つことがあっても「まあ、いいか」と思える感覚の土台を、笑いながら育てられる絵本です。
『おへそのあな』も3〜4歳で改めて読むと、「赤ちゃんってこうやっておなかの中にいたの?」という驚きと、自分が愛されて生まれたことを体感できる作品として機能します。自己肯定感の育ちを支えるねらいで使うのがおすすめです。
5〜6歳向け:世界と自分をつなぐ絵本で考える力を育てる
5歳以上になると、少し複雑なテーマや長めの文章にも対応できるようになります。このタイミングで使いたいのが『ぼくがラーメンたべてるとき』(教育画劇)です。
「ぼくがラーメンを食べているとき、隣の男の子は何をしている?」という問いかけから始まり、どんどん視点が広がって、世界の裏側で困っている子どものことへと展開していきます。文字数は少なく、読み聞かせ時間は5分以内に収まりますが、読んだ後の「考える時間」が生まれる構成になっています。読み終えた後に「みんながラーメンを食べているとき、世界のどこかでは…?」と問いかけることで対話型の学びにつながります。
つまり年齢別に選ぶことが基本です。
| 年齢 | おすすめ作品 | 主なねらい |
|---|---|---|
| 0〜2歳 | おへそのあな、いいこねんね | 言葉のリズム・安心感 |
| 3〜4歳 | いいからいいから、おならまんざい | 笑い・感情調整 |
| 5〜6歳 | ぼくがラーメンたべてるとき、へいわってすてきだね | 想像力・共感力 |
長谷川義史さん自身が語る自作絵本10冊(HugKum・小学館)
長谷川義史の絵本が保育士に支持される理由:読み聞かせで子どもが変わる瞬間
なぜ長谷川義史さんの絵本は、保育の現場でこれほど長く使われ続けているのでしょうか。実際に保育士として現場で使っていた人の声から、その理由を探ります。
理由①:子どもが自然に「参加」できる構造になっている
長谷川さんの絵本には「繰り返しのフレーズ」が多く登場します。「いいからいいから」「おならまんざい」のリズムなど、子どもが声に出しやすい言葉が散りばめられています。
元保育士の方のレビューには「読み聞かせをすると、自然にみんなが『いいからいいから〜』と言い出す」という声が多く、子どもが受け身で聞くだけでなく、自分から参加できる絵本構造になっているのが特徴です。これは読み聞かせの集中力維持という観点でも、大きなメリットになります。
理由②:大人も一緒に笑える「多層構造」の笑いがある
表面的には子ども向けの笑いがありながら、読んでいる大人(保育士)も思わず笑ってしまう場面が随所に含まれています。保育士が本当に楽しんで読んでいると、子どもにはその雰囲気が伝わります。これが集中力や笑いの質を高めます。
「能天気に笑えるのは平和な世の中だってこと」という言葉を長谷川さん自身が語っているように、笑えること自体が平和の証だという哲学が作品の底流にあります。意外ですね。だからこそ笑いの絵本と平和の絵本が同じ作家から生まれるのです。
理由③:ほんのわずか「重いテーマ」が混ざっている
『てんごくのおとうちゃん』『ぼくがラーメンたべてるとき』など、笑いの作品だけでなく、感情を揺さぶる重みのある作品も長谷川さんの一覧には必ず含まれています。保育の年間計画の中で「今月は感情体験を広げたい」という月に選べる作品があることが、保育士にとっての使いやすさにつながっています。
理由④:絵本ライブという「生の体験」をもたらしてくれる
長谷川さんは全国で「絵本ライブ」を開催しています。これは自作の絵本を朗読しながら、その場でリアルタイムに絵を描くパフォーマンスで、保育園や幼稚園に招待することも可能です。絵本という「物」だけでなく、作家本人の「生の体験」を子どもたちに届けられることは、長谷川義史さんを選ぶ大きな理由のひとつになっています。
保育士向けにオンラインで行われた講演では「生の子どもたちと向き合うことの大事さ」を語っており、保育者への深いリスペクトを持っていることも伝わっています。
長谷川義史の絵本一覧:保育士が見落としがちな「翻訳絵本」と独自活用法
長谷川義史さんの絵本一覧を調べると、「翻訳絵本」のカテゴリが想像以上に多いことに気づきます。保育士のあいだでも、長谷川さんを「オリジナル絵本の作家」としてのみ認識しているケースが多く、翻訳作品を見落としているのはもったいないです。
大阪弁翻訳がもたらす「笑いの増幅効果」
長谷川さんが翻訳したジョン・クラッセンの帽子シリーズ(『どこいったん』『ちがうねん』)は、原書のシニカルなユーモアに大阪弁の訳がかけあわさることで、笑いが2倍以上になると評されています。「帽子がないねん」「ちがうねん」のシンプルすぎる大阪弁のオチが、子どもにも大人にも刺さります。
読み聞かせをするときに「大阪弁で読む」ことに最初は戸惑う保育士もいますが、むしろ関西以外の地域で読んだほうが「面白い」と感じる子どもが多いというレビューも見られます。
翻訳絵本一覧(主なもの)
| 作品名 | 原作者 | 出版社 |
|---|---|---|
| どこいったん | ジョン・クラッセン | クレヨンハウス |
| ちがうねん | ジョン・クラッセン | クレヨンハウス |
| みつけてん(マンマルさん) | マック・バーネット×クラッセン | クレヨンハウス |
| あめだま | ペク・ヒナ | 主婦の友社 |
| ねこのピート | エリック・リトウィン | ひさかたチャイルド |
| よふかしにんじゃ | バーバラ・ダ・コスタ | 光村教育図書 |
特に『あめだま』(ペク・ヒナ作)は第24回日本絵本賞翻訳絵本賞を受賞した作品です。韓国の絵本作家の原作を長谷川さんが日本語に訳しており、温かい色合いと子どもの視点から描かれる日常が魅力的です。
「2冊セット」で使う活用法
長谷川さんのオリジナル作品と翻訳作品をあえてセットで読み聞かせる活用法があります。たとえば「笑いの絵本」特集として、オリジナルの『いいからいいから』と翻訳の『どこいったん』を同じ日に読む。子どもたちは「あ、この絵の人だ!」と気づきながら、異なる笑いのトーンを比較体験できます。
つまり翻訳作品も含めた「長谷川義史一覧」を知っておくことが条件です。これにより年間の読み聞かせ計画の選択肢が一気に広がります。
保育の年間計画を立てる際、ひとりの作家の「作品一覧」から複数のジャンルを選べることは、選書の手間を大幅に減らします。長谷川義史さんの場合は230作品超という豊富なラインナップがその役割を果たしてくれます。絵本ナビや読書メーターで「長谷川義史」で検索するだけで一覧が確認できるので、まずそこから確認する、というワンアクションで十分です。


