金管五重奏の楽譜を無料でダウンロードする保育士向けガイド
「無料」と書いてあっても、そのまま使うと著作権違反になる楽譜サイトが実在します。
金管五重奏の楽器編成と保育現場での魅力
金管五重奏は、トランペット2本・ホルン・トロンボーン・チューバという5つの金管楽器で構成されるアンサンブルです。オーケストラの金管セクションを小さくまとめたような形で、高音域から低音域までバランスよくカバーできるのが最大の特長です。
弦楽四重奏が「弦楽アンサンブルの標準形」とされるように、金管五重奏は「金管アンサンブルの標準形」とも言われています。それだけ多くの楽曲がこの編成向けに書かれており、無料楽譜の数も豊富です。
保育士にとって金管五重奏が魅力的な理由の一つは、子どもへの視覚的・聴覚的インパクトです。大きな音が出るチューバや、スライドが動くトロンボーンは、子どもたちが目を輝かせる楽器として知られています。音色のバリエーションが広く、明るいポップスからしっとりしたクラシックまで1つの編成で対応できます。
つまり演奏会や保育発表会で幅広い選曲ができる、ということです。
各楽器の役割は以下のとおりです。
| 楽器 | 役割 | 特徴 |
|---|---|---|
| トランペット①② | 主旋律・対旋律 | 明るく華やかな高音域 |
| ホルン | 内声部のハーモニー | 柔らかく丸みのある音色 |
| トロンボーン | 内声部・低音域 | スライドが子どもに大人気 |
| チューバ | 低音の土台 | 大きな見た目と深い響き |
なお、ホルンはギネス世界記録で「金管楽器の中で最も演奏が難しい楽器」に認定されています。5人それぞれに高度な技術が求められる編成ですが、だからこそ完成した演奏は聴き応え十分です。保育施設への出張演奏を依頼する際にも、金管五重奏団はよく選ばれる編成です。
金管五重奏の楽譜を無料でダウンロードできるサイト3選
無料で楽譜を入手できるサイトはいくつかあります。ただし、それぞれ使える楽曲の範囲や利用条件が異なります。目的に合ったサイトを選ぶことが、トラブルを防ぐ第一歩です。
① IMSLP(国際楽譜ライブラリープロジェクト)
IMSLP(別名:ペトルッチ楽譜ライブラリー)は、世界最大規模の無料楽譜サイトです。2026年2月時点で収録曲数は数十万点を超えており、バッハやベートーヴェン、チャイコフスキーなど著名なクラシック作曲家の楽譜が豊富に揃っています。
金管五重奏の楽譜を探す場合は、検索窓に「2trumpets trombone horn tuba」と英語で入力すると、金管五重奏カテゴリが表示されます。ダウンロード時には約15秒の待ち時間がありますが、完全無料で利用できます。
ここが重要です。IMSLPはカナダの著作権法(著作者の死後50年が保護期間)に基づいて運営されています。日本では原則として死後70年が保護期間のため、「IMSLPで無料でもカナダ法と日本法では扱いが異なる曲」が存在します。念のため日本国内での著作権状況も確認するようにしましょう。
主に使える楽曲の目安は「作曲家が1954年以前に亡くなっている」こと。エヴァルド(1935年没)の「金管五重奏曲第1番」などは日本でもパブリックドメインです。
楽譜配信数・使いやすさともにトップクラスのサイトです。
IMSLP(国際楽譜ライブラリープロジェクト)公式サイト – 無料楽譜の宝庫。金管五重奏作品も多数収録
② ズーラシアンブラス公式サイト(スーパーキッズ)
子ども向けの金管五重奏グループ「ズーラシアンブラス」を運営する株式会社スーパーキッズが、「おうちでズーラシアンブラス」企画として楽譜を無料公開しています。「メリーさんの羊」の金管五重奏版パート譜が、トランペット1・2、ホルン、トロンボーン、チューバの全パート分ダウンロード可能です。
これは保育士にとって非常に使いやすいリソースです。子ども向けに作られた演奏動画も公開されているため、子どもたちに「どんな楽器でどんな演奏になるか」をビジュアルで見せることができます。ただし著作権はスーパーキッズ社に帰属するため、商用利用や無断転載は禁止です。演奏・保育利用の範囲で活用しましょう。
ズーラシアンブラス 公式サイト – 「メリーさんの羊」の金管五重奏パート譜を無料公開。子ども向け演奏動画あり
③ 村おこし事務局(アンサンブルスクランブル)
日本の吹奏楽・アンサンブル愛好家が運営する無料楽譜配布サイトです。金管五重奏(トランペット1・2、ホルン、トロンボーン、チューバ)の編成で、チャイコフスキー「子供のアルバム」より3曲セット(「木彫りの兵隊の行進」「古いフランスの歌」「ナポリの歌」)などが無料ダウンロードできます。スコア・パート譜・SMF(音源データ)の3点セットで提供されているため、練習の際に音源確認もできて便利です。
収録曲はクラシックの名曲が中心で、著作権の切れた作曲家の作品を丁寧に編曲しています。これは実用的なサイトです。
村おこし事務局(アンサンブルスクランブル) – 金管五重奏を含む無料アンサンブル楽譜を多数配布。スコア・パート譜・音源の3点セット
また、アンサンブルスクランブルの別サイトでは「ジェラシー(タンゴ)」「子供のアルバム」金管五重奏版なども配布されており、選択肢がさらに広がります。
アンサンブルスクランブル(Seesaaブログ) – 金管五重奏の無料楽譜ダウンロード一覧。タンゴや歌劇作品など多彩なラインナップ
金管五重奏の楽譜ダウンロードで知っておくべき著作権の基本
楽譜の著作権は、意外と複雑です。「無料でダウンロードできる=何でもOK」とはなりません。保育士として正しく理解しておきましょう。
まず、楽曲には「演奏権」と「複製権(コピーの権利)」という2種類の権利があります。
演奏権は、著作権のある楽曲を「公衆に直接聞かせる目的」で演奏する際に関係します。保育施設内での演奏は「公衆への演奏」に該当する場合がありますが、入場料を取らない演奏会では著作権使用料が免除されるケースも多いです。ただし、これはJASRAC管理楽曲ルールの話であり、すべての楽曲に一律に適用されるわけではありません。
注意が必要なのは「複製権」です。無料演奏会だから楽譜コピーも自由、と誤解している方が少なくありません。これは間違いです。演奏使用料がかからない演奏会でも、楽譜をコピーするには出版社の許諾が必要です。「演奏権」と「複製権」は完全に別物として扱われます。
安全な判断基準は「パブリックドメイン(著作権切れ)の作品かどうか」です。日本では作曲家の死後70年が経過すると著作権が消滅します。たとえばチャイコフスキー(1893年没)やエヴァルド(1935年没)の作品は、日本でも著作権フリーで演奏・コピーできます。
まとめると次の3ステップが原則です。
- Step 1:ダウンロードサイトが「著作権切れ作品専門」であることを確認する
- Step 2:サイトの利用規約で「演奏・印刷・教育利用OK」の記載を確認する
- Step 3:商用配信やSNS投稿は別途確認が必要と認識する
NexTone公式note – 「楽譜を作るときや使うときに知っておくべき著作権のルール」。演奏権・複製権の違いをわかりやすく解説
保育士におすすめ!子どもが喜ぶ金管五重奏の選曲ポイント
無料楽譜を入手したら、次は「どんな曲を演奏すると子どもが喜ぶか」という選曲の問題です。金管五重奏の音域・音量の特性を踏まえて選ぶと、演奏効果が格段に上がります。
子ども向けの金管五重奏で選曲する際のポイントは3点あります。
① テンポが一定でリズムが明確な曲
子どもは音楽のリズムに体で反応します。マーチ系の曲や、童謡ベースのアレンジ曲はとくに反応が大きくなります。チャイコフスキーの「木彫りの兵隊の行進」は、まさに子ども向けにぴったりの行進リズムで、無料楽譜(村おこし事務局)でも入手可能です。
② 知っているメロディーが含まれている曲
「あ、知ってる!」という瞬間が子どものエンゲージメントを高めます。「メリーさんの羊」(ズーラシアンブラス無料配布)のように、日常的に耳にしている曲は乳幼児にも親しみやすいです。
③ ダイナミクスの変化(強弱)が大きい曲
金管五重奏の魅力の一つは、小さな囁くような音から大きなファンファーレまで幅広い音量変化が出せる点です。ピアノ(弱音)→クレッシェンド→フォルテ(強音)というダイナミクスの変化は、子どもの感情を引き込む効果があります。
保育士が外部の金管五重奏団に出張演奏を依頼する場合は、「子ども向けプログラム対応可能かどうか」を事前に確認することが大切です。出張演奏の費用感としては、金管五重奏5名分の出演料・移動費を含めると数万円〜10万円以上になるケースが多く、保育施設の予算規模によっては費用負担が大きくなります。そのため自園でスタッフが演奏できる環境を整えることの価値は高いと言えます。
自分たちで演奏する場合、楽譜の準備と練習がセットで必要になります。無料楽譜サイトを使えばコスト0円で楽譜を揃えられる点は、保育施設にとって大きなメリットです。
保育士が見落としがちな「無料楽譜」の独自活用術
一般的なダウンロードサイトの紹介だけでは、もったいない使い方になります。ここでは、保育士ならではの楽譜活用術を紹介します。
「パート譜だけ」を活用するアイデア
金管五重奏のパート譜は、1パートずつ独立したシートになっています。これを利用して、「今日はトランペットのパートだけを聞いてみよう」「次はチューバの音に注目してね」という聴き方の指導ができます。保育現場での音楽鑑賞活動を一歩深めるアプローチです。ズーラシアンブラス公式サイトでは、各パートが抜けた状態の演奏動画も公開しているため、視聴覚教材としてもそのまま使えます。
音源データつき楽譜(SMFファイル)の活用
村おこし事務局のサイトでは、楽譜だけでなくSMF(スタンダードMIDIファイル)形式の音源データも無料配布しています。SMFとは、楽器の演奏データをデジタルで記録したファイル形式で、PCやタブレットで再生可能です。「楽譜を見ながら音を確認する」という練習サポートとして活用できます。スコアを読む習慣が少ない保育士にとっても、音で確認しながら進める学習法は取り組みやすいです。
エヴァルドの金管五重奏曲第1番という選択肢
本格的なクラシックの金管五重奏曲に挑戦したい場合、「エヴァルド:金管五重奏曲第1番 作品5」は外せない名曲です。世界中で最も演奏される金管五重奏曲の一つで、無料楽譜がオーケストラ・エストのウェブサイトから高品質な校訂版として配布されています。スコア・各パート譜をすべて無料でダウンロードでき、入場料を徴収する演奏会でも使用可能と明記されています。これは非常に便利です。
保育施設での演奏には少し難易度が高いかもしれませんが、出張演奏を依頼するプロ奏者にプログラムの参考として提案する際にも役立ちます。
オーケストラ・エスト公式サイト – エヴァルド「金管五重奏曲第1番」新校訂版を無料配布。入場料徴収の演奏会でも使用可能と明記
最後に整理すると、保育士が金管五重奏楽譜を無料で活用する際の基本フローは次のとおりです。
- 🎯 目的確認:練習用 / 発表会演奏 / 子ども向け鑑賞授業 のどれか
- 📂 サイト選択:IMSLP / ズーラシアンブラス / 村おこし事務局 の中から目的に合ったものを
- ✅ 著作権確認:作曲家の没年・サイトの利用規約を必ずチェック
- 🖨️ 印刷方法:プリンターがなければコンビニ印刷(セブンイレブンのnetprintアプリなど)が便利
正しい知識と信頼できるサイトを組み合わせれば、費用をかけずに質の高い楽譜を準備できます。保育の音楽活動をより豊かにするために、ぜひ活用してみてください。


