第九那覇で合唱参加する保育士のための完全ガイド
参加費1万円を払うと、本番当日は出番がほとんどなくて損したと感じます。
第九那覇「沖縄国際音楽祭」の歴史と2013年からの歩み
沖縄で「第九」が年末の風物詩として定着するまでには、実は10年以上の積み重ねがあります。
沖縄国際音楽祭は2013年12月に第1回コンサートを開催しました。ベートーヴェン作曲の交響曲第9番「合唱付き」をメインに据え、国際的な音楽祭へ発展させようという志のもと、沖縄県立芸術大学出身者や琉球交響楽団など、沖縄出身および県内の洋楽家が中心となって企画された経緯があります。「沖縄の音楽文化の発展」「県民の豊かで文化的な生活への貢献」「県外・海外の参加者増による経済効果」を開催の目的・意義に掲げており、地域密着型の音楽イベントとして着実に育てられてきました。
つまり、「那覇の第九」は最初から市民参加を軸に設計されていたということです。
公募による一般合唱参加(有料)が特徴で、毎回100人前後が参加してきた実績があります。2024年に開催された第10回では参加者をコロナ禍以降最多の約200名まで拡大し、2025年の第11回では約160名が参加しました。この数は、大阪の「サントリー1万人の第九」とは規模が異なりますが、沖縄という地域で一から作り上げてきた文化的蓄積の重さは格別のものがあります。
会場は2021年10月に開館した那覇文化芸術劇場なはーと大劇場。ここは那覇市久茂地に位置し、沖縄でも最高水準の音響設備を持つホールです。第1回から第5回は沖縄コンベンションセンター劇場での開催でしたが、なはーとの開館にあわせて移転し、現在の本拠地として定着しています。
| 回数 | 開催年 | 主な見どころ |
|---|---|---|
| 第1回 | 2013年12月 | 沖縄初の本格的な国際音楽祭、ソプラノ:エヴァ・メイ |
| 第6回 | 2020年11月 | 首里城焼失後、守礼門前での特別公演(ピアノ版) |
| 第9回 | 2023年12月 | なはーとへ移転後の本格始動回 |
| 第11回 | 2025年12月 | 約160名の合唱団、「交響的前奏曲2025」世界初演 |
いいことですね。こうした歴史を知っておくと、第九への参加がより豊かな体験になります。
参考:沖縄タイムス掲載「第11回沖縄国際音楽祭『第九inNAHA』」記事
第九那覇の合唱参加費・条件と練習スケジュールの詳細
「参加してみたいけど、どんな条件なの?」と気になる方のために、具体的な数字で整理します。
沖縄国際音楽祭「第九inNAHA」の合唱参加費は、お一人あたり1万円(レッスン料込み)です。これはJリーグのシーズンシートのように、練習から本番まで込みの費用として設定されており、個別に練習室を借りたり教材を別途購入したりする必要はありません。また、高校生以下は無料という点も見逃せません。若い世代が気軽に参加できる設計になっています。
参加条件は沖縄県内在住者が未経験者・経験者ともに申し込み可能で、県外からの参加は経験者のみとなります。経験が原則です。パートはソプラノ・アルト・テノール・バスの4声部があり、各パート30〜70名程度で構成されます。定員は200名で、先着順での受付となっているため早めのエントリーが大切です。
那覇市文化協会が主催する「新春第九(あけもどろ総合文化祭)」については、沖縄県内の未経験者も参加可能で、会費は1万円。こちらは毎年1月になはーとで開催され、2026年1月12日には第34回が行われました。指揮の石崎真弥奈さん(第17回ニーノ・ロータ国際指揮者コンクール優勝)を迎え、ベートーヴェンの交響曲第9番ニ短調を演奏しています。入場料は1,000円(全席自由)とリーズナブルで、まず「聴き手」として足を運ぶのも十分な選択肢です。
練習は全10回ほどが一般的で、那覇地区では那覇市泊の音楽大学受験セミナー(那覇市泊1-8-8)、中部地区ではSDAコザ教会(沖縄市安慶田)、北部地区では名護中央公民館(名護市港)とエリア別に会場が分かれています。
練習会場が3カ所あるのは便利ですね。
参考:那覇市文化協会「新春第九2026」公式案内
新春第九2026|第34回 那覇市文化協会あけもどろ総合文化祭「第九」公式ページ
参考:琉球交響楽団「第10回沖縄国際音楽祭 第九inNAHA 合唱参加者大募集」
第九那覇と首里城復興支援の深いつながり
沖縄の第九は、ただの音楽イベントではありません。これが原則です。
2019年10月、首里城は火災により正殿を含む複数の建物が焼失しました。沖縄国際音楽祭はそのわずか1年後の2020年から「首里城再建を願う特別公演」として、毎年首里城公園内でのプレイベントを継続しています。2021年の第6回では公演収益の一部として50万円を首里城基金へ寄付し、以来毎年継続して寄付を実施しています。
この姿勢が参加者の心を動かし続けている理由でもあります。第11回(2025年)では約160名の合唱団が12月14日に首里城公園内の首里杜館でプレイベントを開催し、2026年に迫った首里城正殿の完成復興に向けて「歓喜の歌」を歌い上げました。参加した最年少は小学生、最年長は90代という、まさに世代を超えた合唱団です。
「音楽で平和を訴えるとともに、首里城の再建に協力したい」と語るのは沖縄国際音楽祭実行委員会の岩崎セツ子委員長です。実行委員会副委員長の祝嶺光彦氏も「沖縄の魂と激動の歴史をオーケストラの音で表現する」と位置づけており、音楽と歴史・地域復興が一体となったイベントとして独自の存在感を示しています。
厳しいところですね、首里城火災から5年以上が経ってもなお活動を続けているということは。
保育士として子どもたちに「音楽が持つ力」を伝えたいと考えるなら、この第九inNAHAへの参加は非常に強い実体験になります。「歌うことで社会とつながれる」という価値観を、保育士自身が身をもって経験できる場は多くありません。首里城復興という具体的なテーマがあるからこそ、子どもに「なぜ歌うの?」と聞かれたときの答えも自然と言葉になります。
参考:沖縄タイムス「第九収益一部 50万円を首里城基金へ寄付」
第九那覇「歓喜の歌」の歌詞に込められた意味と保育現場への活かし方
「第九」の合唱部分は難しそう、と思っているなら、少し見方が変わるかもしれません。
「第九」の第4楽章で歌われる「歓喜に寄せて(An die Freude)」は、ドイツの文豪フリードリヒ・シラーが書いた詩をベートーヴェンが採用したものです。「Freude, schöner Götterfunken(歓びよ、神々の美しき霊感よ)」という冒頭から始まり、「すべての人々が兄弟になる」という博愛の精神が全体を貫いています。自由・平等・博愛という理想を高らかに歌い上げる内容は、EU(欧州連合)の公式な歌にも採用されるほど普遍的な価値を持ちます。
保育士の視点でこの詩を読むと、「みんなが一緒に喜び合える場」を大切にする感覚と深く重なります。保育の現場では「みんなで声を合わせること」「一人では出せない音が重なること」を子どもたちに体験させる機会は多くありますが、その根っこにある思想が「歓喜の歌」の歌詞そのものとつながっているわけです。
歌詞はドイツ語ですが、カタカナふりがなをつけた楽譜での練習が一般的です。第九inNAHAでも楽譜は参加時に配布されるため、ゼロから音楽を勉強し直す必要はありません。ただし、ドイツ語の発音には多少の慣れが必要で、練習10回のうち初回から数回は発音確認に時間が割かれます。
これは使えそうです。「歓びに寄せて」の日本語意訳を印刷して子どもたちと読んでみるのも、音楽活動の導入として面白い試みです。
「お友だちみんなと一緒に喜べたら最高だね」というメッセージが詩の核心にあります。難しい言葉を使わずに絵本のように噛み砕けば、年長クラスの子どもにも伝わる内容です。保育現場で「歓喜の歌」を流しながら体を動かすリトミック的な活動に発展させる保育士もいます。音楽教育の素材として、第九は想像以上に奥が深いということですね。
参考:ベートーヴェン「歓喜の歌」歌詞・意味解説ページ
World Folksong|歓喜の歌(喜びの歌)合唱の歌詞と意味 ドイツ語の読み方
第九那覇への参加を保育士が迷ったときの独自視点チェックリスト
「参加してみたい気持ちはあるけど、自分に向いているかどうかわからない」という人が実は多いです。
まず大切なことを整理すると、沖縄在住の方なら未経験でも参加可能な公演が複数あります。那覇市文化協会の「新春第九」(あけもどろ総合文化祭)は未経験者OKで参加費1万円、入場料1,000円という間口の広さが特徴です。一方、沖縄国際音楽祭「第九inNAHA」は本格的なプロオーケストラとの共演ができますが、練習10回への参加が求められます。
保育士という職業柄、年末年始は行事や保護者対応が重なる時期でもあります。冬のシフト状況を12月前に把握し、練習日程との照合を早めに行うのが現実的です。那覇地区の練習は那覇市泊が拠点なので、那覇市内在住の方には通いやすい距離感です。
以下のチェックポイントで自分に合うかを確認してみてください。
- ✅ 沖縄県内在住(未経験でも参加可能なルートあり)
- ✅ 参加費1万円をレッスン込みで許容できる
- ✅ 約6〜7カ月間(6月〜12月)の練習スケジュールを確認できる
- ✅ 合唱経験があれば那覇以外(県外からの参加)も可能
- ✅ 首里城復興支援という社会的意義に共感できる
- ✅ 12月の本番当日に休暇・シフト調整ができる
「那覇だから参加しやすい」という地元のアドバンテージが原則です。
もし音程や声域に不安があれば、なはーとのロビーや公民館で行われる体験練習会や音楽教室の無料体験レッスンを先に受けておくと、本番の練習に慌てることが減ります。那覇市内には沖縄県立芸術大学出身の声楽家が主宰する個人音楽教室も複数あり、「第九のための短期集中レッスン」を提供しているところもあります。受講前に「第九inNAHAに参加予定」と伝えると、発音・音域に絞ったカリキュラムを組んでもらいやすくなります。
保育士としての経験は、合唱でも想像以上に活きます。子どもたちに「よく聴いてね」「声をそろえてね」と伝え続けてきた保育士は、耳の精度が磨かれています。音楽に敏感な感覚を持つ人が多く、パートリーダーからも「よく動いてくれる合唱メンバー」として頼りにされるケースも少なくありません。
那覇で第九に参加するなら、早い行動が条件です。
参考:沖縄国際音楽祭「第九inNAHA」公式サイト
