眠れる森の美女バレエのあらすじを保育士が子どもへ伝える方法

眠れる森の美女バレエのあらすじと保育士が知っておきたい見どころ

バレエ版「眠れる森の美女」のキスシーン、実は原作では王子がキスをしていません。

この記事でわかること
🩰

あらすじを幕ごとに理解できる

プロローグ・第1幕〜第3幕まで、子どもに伝えやすい形でストーリーの流れを整理します。

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登場人物と見どころがわかる

オーロラ姫・カラボス・リラの精など主要キャラクターの役割と、バレエならではの見せ場を解説します。

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保育現場での活かし方がわかる

読み聞かせや音楽活動など、保育士が日常の保育に「眠れる森の美女」を取り入れるヒントを紹介します。

眠れる森の美女バレエの基本情報と誕生の背景

 

バレエ「眠れる森の美女」は、チャイコフスキーが作曲し、振付家マリウス・プティパが手がけた全3幕プロローグ付きの大作です。1890年1月15日、ロシアのマリインスキー劇場にて初演されたこの作品は、チャイコフスキーが手がけた「白鳥の湖」「くるみ割り人形」と並ぶ”3大バレエ”のひとつに数えられています。

原作はフランスの詩人シャルル・ペローが17世紀に書いた童話集の一編です。バレエとして舞台化されるにあたり、ストーリーのほとんどはペロー版をベースにしつつも、より華やかで舞台映えするよう大幅に脚色されています。

注目すべきは、制作規模の大きさです。初演当時の制作費はなんとマリインスキー劇場の年間予算の4分の1にも上ったといわれています。そのため初演時の上演時間は休憩込みで4時間半以上という超大作となりました。現在は短縮・改訂版が主流で、日本での上演例を見ると新国立劇場バレエ団が約3時間15分(休憩含む)、東京シティ・バレエ団が約3時間(休憩含む)で上演しています。映画2本分の長さですね。

保育士として知っておくと便利なポイントが1つあります。初演時のオーロラ姫の設定年齢は20歳でしたが、その後の改訂版で「16歳」に変更されました。子どもたちに年齢を伝えると物語がより身近に感じられるため、読み聞かせや劇遊びの際に活用できます。

項目 内容
作曲 ピョートル・チャイコフスキー(1840〜1893年)
振付 マリウス・プティパ(1818〜1910年)
原作 シャルル・ペロー著「眠れる森の美女」
初演 1890年・マリインスキー劇場(ロシア・サンクトペテルブルク)
構成 プロローグ付き全3幕4場

バレエ「眠れる森の美女」の詳細な作品情報については、新国立劇場バレエの公式サイトが信頼度の高い情報源です。

新国立劇場バレエ「眠れる森の美女」公式ページ

眠れる森の美女バレエのあらすじ:プロローグと第1幕

ここでは物語の導入部分にあたるプロローグと第1幕のあらすじをわかりやすく整理します。子どもに語り聞かせる際は、「誰が何をしたか」をはっきり示すことが大切です。

プロローグ:オーロラ姫の誕生と呪い

国王フロレスタン14世と王妃のもとに、待望の姫が誕生しました。姫はオーロラと名付けられ、国をあげての盛大な洗礼式が開かれます。式には6人の善の妖精が招かれ、それぞれ「優美さ」「無邪気さ」「活力」「寛容さ」「美声」「情熱(勇気)」といったおくり物の魔法をオーロラ姫にかけていきます。

最後に妖精の長・リラの精が魔法をかけようとしたそのとき、悪の妖精カラボスが突然現れます。自分だけが招待されなかったことに怒ったカラボスは「オーロラ姫は16歳の誕生日に紡錘(つむ)の針に刺されて死ぬ」という呪いをかけてその場を去りました。

リラの精はすぐさま立ち上がり、「呪いを消すことはできませんが、弱めることはできます。もし針に刺されても、死ぬのではなく100年の眠りにつくだけです。そして100年後、運命の王子のキスで目覚め、その人と結ばれるでしょう」と告げます。国王は国中の紡錘を集めて燃やすよう命じました。つまり最初から滅びへの「布石」が丁寧に描かれているということですね。

第1幕:16歳の誕生日と呪いの成就

16年の歳月が流れ、オーロラ姫は美しく成長しました。誕生日のお祝いには、花婿候補の4人の王子たちが招かれます。4人の王子たちはそれぞれバラの花を手にオーロラ姫と踊り、求愛を示します。この場面が「ローズ・アダージオ」と呼ばれる第1幕の見どころです。

宴が盛り上がる中、老婆に変装したカラボスが花束を差し出します。オーロラ姫は無邪気にそれを受け取りましたが、花束の中に忍ばせた紡錘の針が指に刺さり、呪いが現実のものになってしまいます。正体を現したカラボスが勝ち誇る中、リラの精が現れ、「姫は死んではいません、眠っているだけです」と告げ、城全体に魔法をかけて全員を眠りにつかせます。これが第1幕の結末です。

  • 🌹 ローズ・アダージオ:4人の王子と片手バランスを繰り返す高度なパを披露する、第1幕最大の見せ場。バレエコンクールでも頻繁に取り上げられる有名な場面です。
  • 😈 カラボスの変装:悪の妖精が老婆に扮して姫に近づくシーンは、子どもたちが「どうして気づかなかったの?」と夢中になりやすいポイントです。

眠れる森の美女バレエのあらすじ:第2幕から第3幕まで

物語の核心と大団円を描く第2幕・第3幕のあらすじを紹介します。この部分は「なぜ王子がやってきたのか」「結婚式にどんなキャラクターが登場するのか」という2点が特に子どもの興味を引きつけるポイントになります。

第2幕第1場:デジレ王子とオーロラ姫の幻影

オーロラ姫が眠りについてから100年が過ぎました。隣国のデジレ王子は家臣たちと森に狩りへ出かけますが、なぜかひとり気乗りせず、仲間と別れて森に残ります。するとリラの精が現れ、王子の前にオーロラ姫の美しい幻影を見せました。王子は一目でその姿に心を奪われます。

リラの精に導かれた王子は、眠り姫のいる城へ向かいます。これが重要な展開です。

第2幕第2場:100年の眠りからの目覚め

城はつる草や植物に覆われ、カラボスとその手下たちが見張っていました。デジレ王子はカラボスを追い払い、ついに眠るオーロラ姫を見つけ出します。王子のキスにより、100年の眠りからオーロラ姫が目を覚まし、城全体が蘇ります。王子は姫に結婚を申し込みました。これが第2幕のクライマックスです。

第3幕:華やかな結婚式とおとぎのキャラクターたち

バレエ「眠れる森の美女」最大の見どころのひとつが、この第3幕の結婚式の場面です。オーロラ姫とデジレ王子の結婚式には、宝石の精(金・銀・ダイヤモンド・サファイア)のほかに、ペローが書いた他の童話から主人公たちがゲストとして登場します。

  • 🐦 青い鳥とフロリナ王女
  • 🐺 赤ずきんと狼
  • 🥾 長靴をはいた猫と白猫
  • 👸 シンデレラ姫とフォーチュン王子
  • 👦 親指小僧とその兄弟たちと人食い鬼

これら全員がペロー童話の登場人物であることは、あまり知られていないポイントです。つまり第3幕は「ペロー童話のキャラクターが大集結する祝祭場面」という構成になっています。子どもたちが知っている他のお話のキャラクターが登場するため、「あ、赤ずきんだ!」と喜んで物語に参加しやすい場面といえます。最後はオーロラ姫とデジレ王子の華やかなパ・ド・ドゥで物語は幕を閉じます。

バレエ三大作品のあらすじを公式解説で確認できます。

日本舞台芸術振興会(NBS)公式「眠れる森の美女」ストーリー解説ページ

眠れる森の美女バレエの主な登場人物と役割

保育士が子どもに説明する際、登場人物の役割を事前に把握しておくと話がずっとスムーズになります。登場人物が多いのがこの作品の特徴ですが、核となるのは4人です。

登場人物 役割・特徴
オーロラ姫 物語の主人公。フロレスタン14世国王の娘。プロローグから第3幕まで登場する。
デジレ王子 第2幕から登場する隣国の王子。ロイヤル・バレエ団では「フロリムント王子」と呼ばれる。
カラボス 悪の妖精。招待されなかった怒りから呪いをかける。女性役だが男性ダンサーが演じるバレエ団も多い。
リラの精(ライラックの精) 善の妖精の長。呪いを「死→眠り」に変え、物語全体を導く守護者的存在。プロローグから第3幕まで登場する。

リラの精は物語の語り部のような存在です。保育士が子どもに「誰がよい人で、誰が悪い人か」を説明する際、「リラの精が助けてくれる」「カラボスが意地悪をする」というシンプルな対比を使うと伝わりやすくなります。リラの精が原則です。

国王フロレスタン14世の名前は、バレエの起源を持つとされる「ルイ14世」にちなんで付けられたという説があります。保育士として覚えておくと、少し専門的な豆知識として語れる話題になります。意外ですね。

また、花婿候補として登場する4人の王子、結婚式に集まる宝石の精たちなど、サブキャラクターも多彩です。子ども向けの発表会や劇遊びに展開する場合は、登場人物の多さが配役の豊かさにつながるため、大人数のクラスにも向いている演目といえます。

保育士が知っておきたい原作との違いと子どもへの伝え方

保育士にとって「眠れる森の美女」は絵本や紙芝居でおなじみの題材ですが、バレエ版と原作のあいだには、知っておくべき重要な違いがあります。この違いを理解しておくと、子どもに説明する際に混乱を避けられます。

王子のキスは「バレエ版独自の演出」ではない?

多くの人が「眠れる森の美女=王子のキスで目覚める」と認識していますが、実はペロー版の原作では、目覚めの場面の描写が曖昧で、王子がキスをしたとはっきり書かれていないケースがあります。「100年が経って呪いの効果が自然に切れたため、自分で目覚める」という解釈も存在します。グリム版(いばら姫)では王子のキスで目覚める描写がより明確です。バレエ版はグリム版の流れを汲みながら、ロマンティックな演出として「王子のキスで目覚める」場面を強調しています。

ペロー版には「続き」がある

子どもにとって「結婚式でハッピーエンド」というイメージが強い本作ですが、ペロー版の原作には目覚めた後の続きがあります。王子の母である女王が食人の怪物(半人喰い)で、オーロラ姫と子どもたちを食べようとするという内容です。この後半部分はバレエでも絵本でも一般にほとんど描かれていません。保育現場で扱う際は、バレエ版のストーリーをそのまま使うのが安心です。

子どもへの伝え方のポイント

子どもたちに「眠れる森の美女」を紹介する際に意識したいポイントを以下にまとめます。

  • 🌸 登場人物の感情に寄り添って語る:「カラボスはなぜ怒ったの?」「オーロラ姫はどんな気持ちだったかな?」と問いかけると、子どもの共感力と想像力を引き出せます。
  • 🎵 チャイコフスキーの音楽を先に聴かせる:お話の前に音楽だけを流して「どんな気持ちになる?」と問いかけることで、バレエの雰囲気を体感させる導入ができます。
  • 🎭 シンプルな言葉に置き換える:「呪い=魔法でねむってしまった」「リラの精=助けてくれる妖精さん」のように、難しい言葉を子どもの語彙に合わせて置き換えましょう。

東京バレエ団は「子どものための眠れる森の美女」として、台詞によるストーリー解説付きの約1時間50分版を上演しています。幼児・低学年向けに再構成されたこの公演は、初めてのバレエ鑑賞にも適しており、行事の観劇先として検討する価値があります。子どもへの事前説明と組み合わせると鑑賞効果が高まります。

子ども向けバレエ公演の詳細はNBSの公式ページが参考になります。

NBS公式:子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」(地方公演ページ)

保育士がバレエ「眠れる森の美女」を保育に活かす独自視点

バレエのあらすじを「知識として知る」だけでなく、保育の中でどう使うかを考えることが保育士にとって本当に大切なことです。ここでは他の記事ではあまり触れられていない、保育現場ならではの活用法を紹介します。

劇遊び・発表会での題材として

「眠れる森の美女」は登場人物が多く、セリフの少ない役から踊りの場面まで構成が豊かです。そのため、クラスの人数が多くても役が分散しやすく、発表会の演目として非常に使いやすい作品です。特に第3幕の結婚式場面には「赤ずきん」「長靴をはいた猫」など子どもたちがすでに知っているキャラクターが登場するため、「自分の好きなキャラクターを選んで演じる」という自由度を持たせやすいという利点があります。

これは使えそうです。

音楽活動への活用

チャイコフスキーの「眠れる森の美女」の音楽は、情景が目に浮かぶような表情豊かなメロディーが特徴です。保育現場では、「お姫様が歩いてくる音」「魔法がかかった音」「目が覚めた音」のようにシーンと音楽を結びつけるリスニングゲームができます。特定の場面の音楽を流して「今どんな場面かな?」と子どもたちに当てさせる活動は、音楽的感受性と想像力の両方を育てる機会になります。

絵本との組み合わせ

バレエのあらすじを伝えた後、「眠れる森の美女」の絵本を読み聞かせすることで、同じお話でも「絵本版」と「バレエ版」の違いを子ども自身が発見できます。「絵本ではどんな顔をしていたかな?」「バレエでは踊っていたね」という対話が生まれることで、物語への理解が深まるだけでなく、表現の多様性に気づかせることができます。

保育士自身がバレエのあらすじを十分に理解しているかどうかが、こうした活動のクオリティを左右します。この記事を読んだあなたが得た知識を、ぜひ子どもたちへの豊かな保育体験に変えてみてください。

ノアバレエ教室によるバレエ作品の解説は保育士にも参考になります。

ノアバレエ教室「眠れる森の美女のバリエーションやあらすじを解説」

眠れる森のレガ(1) (週刊少年マガジンコミックス)