発達心理学と幼児の理解を深める保育士向け資格の選び方
臨床発達心理士は、大学院に行かなくても「保育士3年以上の実務経験」があれば受験資格が得られます。
発達心理学とは何か・幼児保育士が学ぶ理由
発達心理学とは、人間が誕生してから生涯にわたって心身がどのように変化するかを科学的に研究する学問です。なかでも乳幼児期(0〜6歳)の発達は変化のスピードが速く、認知・言語・社会性・情動といった複数の領域が同時に急発達するため、保育現場との関わりが極めて深い分野です。
保育士が発達心理学を学ぶメリットは大きく3つあります。1つ目は「子どもの行動の意味が読めるようになること」、2つ目は「年齢に合った環境設定ができるようになること」、3つ目は「保護者への専門的な説明力が上がること」です。
たとえば2歳のイヤイヤ期。これを「困った行動」ではなく、エリクソンの理論でいう「自律性の芽生え(自律性 vs 恥・疑惑)」として理解できると、対応がまったく変わります。叱るのではなく「どっちのシャツがいい?」と選択肢を提示する——この一手が、子どもの自信と信頼感を育てます。これは使えそうです。
また、ピアジェの「前操作期(2〜7歳)」の概念を知っていれば、おもちゃの取り合いで「なんでわかってくれないの」と感じなくなります。この時期の子どもは自己中心性という発達段階の特性があるため、相手の視点に立つことがまだ難しいのです。知識が「感情的になる前の一息」をくれます。
さらに、ボウルビィの愛着理論を理解すると、登園時に泣いてなかなか離れない子どもへの接し方が変わります。その子にとって保育士が「安全基地」になれているかどうかが問われているのです。つまり発達心理学は、現場での「なんでだろう」を「そういうことか」に変える羅針盤です。
保育士が発達心理学を体系的に学べるリソースとして、以下のサイトが参考になります。
保育士が知っておくべき発達心理学の基本とは?子どもの成長を支える専門知識(cheek.jp)
ピアジェ・エリクソン・ボウルビィ・ヴィゴツキーの理論が年齢別の保育ポイントとともに解説されています。
発達心理学の幼児理解に役立つ主な資格の種類と特徴
保育士が発達心理学や幼児の心理を深く学ぶために取得できる資格には、大きく分けて「国家資格系」「民間資格(難易度高め)」「民間資格(取り組みやすい)」の3カテゴリがあります。資格選びを間違えると、時間とお金だけが消えて現場での活用感がないまま終わってしまいます。カテゴリが基本です。
まず難易度の高い民間資格の代表が、臨床発達心理士です。発達心理学に基づく支援を専門とする資格で、認定運営機構が認定しています。保育園だけでなく療育施設・放課後等デイサービス・特別支援学校など、応募条件として明記されている求人が民間資格の中では比較的多いのが特徴です。
次に現役保育士が働きながら取得しやすい民間資格として注目されているのが、児童発達支援士と育児セラピストです。
| 資格名 | 認定機関 | 学習期間の目安 | 費用の目安 | 難易度 |
|---|---|---|---|---|
| 臨床発達心理士 | 臨床発達心理士認定運営機構 | 数年〜(実務経験3年以上必要) | 55,370円〜(別途大学院費用が必要な場合も) | ★★★★☆ |
| 児童発達支援士 | 人間力認定協会 | 1〜3ヵ月 | 約42,460円(税込) | ★★☆☆☆ |
| 子供心理カウンセラー® | 日本インストラクター技術協会 | 最短2ヵ月(通信) | 講座受講費用別途 | ★☆☆☆☆ |
| チャイルド心理カウンセラー® | 日本メディカル心理セラピー協会 | 最短2ヵ月(通信) | 講座受講費用別途 | ★☆☆☆☆ |
| 育児セラピスト2級 | 日本アタッチメント育児協会 | 1日間の講座 | 講座受講費用 | ★☆☆☆☆ |
「民間資格は意味がない」と思っている方もいるかもしれませんが、これは状況によります。転職先が療育・発達支援系の施設であれば、児童発達支援士などの民間資格でも「知識と意欲のある人材」として評価される場面が増えています。資格が目的に合っているかが条件です。
一方、保育園の中での給与アップを狙う場合は、国家資格のほうが直結しやすい傾向があります。社会福祉士や公認心理師などの国家資格は、処遇改善の対象になる施設が多く、年収への影響が出やすいです。痛いですね、でも現実は知っておく必要があります。
臨床発達心理士の受験資格と発達心理学の専門性
臨床発達心理士は、発達心理学の専門職として保育・療育・特別支援分野では知名度の高い資格です。認定審査料33,220円・登録料12,150円・日本臨床発達心理士会年会費10,000円、合計で初年度55,370円以上の費用がかかります。この数字だけ覚えておけばOKです。
受験資格(資格申請要件)は5つのルートがあります。
- タイプⅠ:発達心理学隣接諸科学の大学院修士課程在学中または修了後3年未満
- タイプⅡ-1:発達心理学隣接諸科学の大学院修了+臨床経験3年以上
- タイプⅡ-2:発達心理学隣接諸科学の学部卒業+臨床経験3年以上
- タイプⅢ:大学・研究機関での研究職
- タイプⅣ:公認心理師資格取得者
重要なのはタイプⅡ-2です。保育学・児童学・幼児教育学・社会福祉学などの学部卒業で「発達心理学隣接諸科学の学部卒業」とみなされる場合があります。そのうえで保育士として3年以上の実務経験を積んでいれば、受験資格を満たせる可能性があるのです。
ただし、「自分の卒業大学がタイプⅡ-2に該当するかどうか」は、問い合わせても事前確認ができない点に注意が必要です。これが保育士にとっての最大のハードルとも言えます。意外ですね。
資格の更新は5年ごとに必要で、その都度12ポイント分の研修受講と更新審査料20,020円がかかります。資格取得後も継続的なコストが発生する点は、キャリアプランに組み込んで考える必要があります。
臨床発達心理士の申請条件の詳細は、公式ガイドで確認するのが確実です。
臨床発達心理士 申請要件(臨床発達心理士認定運営機構 公式)
受験資格の5タイプと詳細な条件が記載されています。保育士がどのルートで申請できるかの判断に役立ちます。
発達心理学の幼児知識を活かせる民間資格の取得方法
現役保育士が働きながら取得を目指せる民間資格として特に注目したいのが、児童発達支援士と子供心理カウンセラー®の2種類です。
児童発達支援士は、一般社団法人「人間力認定協会」が認定する民間資格で、発達障害のある子どもへの理解と支援を学べます。受講料と試験料を合わせた費用は約42,460円(税込)で、通信講座の受講期限は8ヵ月ですが、実際は1〜3ヵ月で取得する人が多いです。試験の合格率は80〜90%といわれており、取り組みやすい資格といえます。
この資格のポイントは、発達障害の基礎から脳科学・心理学に基づく支援スキルまでを体系的に学べる点です。保育園内でインクルーシブ保育を実践したい、療育施設へのキャリアチェンジを考えている、という保育士に向いています。
子供心理カウンセラー®は、日本インストラクター技術協会(JIA)が認定する民間資格で、通信講座は最短2ヵ月で修了可能です。正答率70%以上で合格できる、現役保育士が仕事の合間に学びやすい設計になっています。胎児期から小学生までの心理・発達・アタッチメントを学べるため、保育現場での子ども理解と保護者対応の両方に活かせます。
これらの民間資格を取得したあとに「次は何をすればいいか」と悩む方も多いです。資格は「現場で使い続けること」で初めて価値が出ます。たとえば、担当する子どもの発達の観察記録を発達心理学の視点で書いてみる、保護者への説明に学んだ理論をひとつ取り入れてみる——こうした実践の積み重ねが、資格を「本物の武器」に変えていきます。
保育士が児童発達支援士の資格を取るメリットとは?取り方や転職活用も解説(ryoikubiz.com)
取得のステップ、費用、転職での活かし方が詳しくまとめられています。
発達心理学の幼児支援資格を活かした保育士のキャリアパス
発達心理学や幼児支援の資格を取得した後、それをどのようにキャリアに結びつけるかが最終的な問題です。資格を持つだけで給与が自動的に上がる職場はほとんどありません。「どこで活かすか」を先に設計することが原則です。
代表的なキャリアパスは3つあります。
🏥 療育・発達支援系への転職
児童発達支援事業所・放課後等デイサービス・療育センターへの転職は、発達心理学の知識が直接求められる場面です。一般的な保育士の平均年収は令和5年で約397万円(厚生労働省調べ)ですが、療育分野では専門性が評価されて処遇が高くなるケースがあります。発達系の民間資格や実務経験のある保育士は「即戦力」として見られやすいです。
🏢 子育て支援センター・地域支援職
就学前の子どもと保護者が集まる子育て支援センターでは、保育士が発達相談に応じる場面が多くあります。発達心理学の知識があることで、「うちの子の言葉が遅いのが心配」「友だちとうまく遊べない」といった保護者の相談に、根拠のあるアドバイスができます。地域の信頼を積み上げることで、キャリアの安定性も高まります。
📚 現職のままスペシャリストとして活躍
転職せず現在の保育園に残りながら、発達が気になる子どもへの支援や保護者面談の担当として専門的な役割を担うケースも増えています。主任・副主任への昇進、保育カウンセラーとしての認定取得など、現職内での評価に結びつく可能性があります。
どのキャリアを選ぶにせよ、まず手軽に始められる通信講座での学習が有効です。発達心理学の基礎から子どもの心理を学び直したい場合は、キャリカレの「子ども心理カウンセラー講座」のような通信講座が、働きながら体系的に学べる入口として活用されています。確認することを1つの行動目標にしてみてください。
保育士のプラスアルファになるおすすめ資格20選(保育士の人材バンク)
国家資格・民間資格を現場活用の視点で比較。キャリアアップに結びつく資格選びの参考になります。
保育士から児童発達支援・放課後等デイサービスへのキャリアチェンジ(kodomocareer.com)
年収・必要なスキル・転職の流れが具体的に解説されています。発達系資格を活かした転職を検討している方向けの情報です。


