歌劇とオペラの違いを保育士が知っておくべき理由

歌劇とオペラの違いを保育士ならではの視点で理解しよう

保育士として子どもたちに歌や音楽を届けるとき、「歌劇」と「オペラ」という言葉の違いを正確に理解している人は少ないのが現実です。

この記事でわかること
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歌劇とオペラの言葉の関係

「歌劇」は日本語訳、「オペラ」は外来語。ただし指す範囲が微妙に異なります。

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オペラとミュージカルの決定的違い

発声法・マイクの有無・楽曲の種類など3つの観点で徹底比較します。

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保育士が知っておくと得すること

生活発表会や音楽活動に直結する知識として、子どもの感受性教育に役立てられます。

「歌劇」と「オペラ」の語源と意味の違い——実は同じで違う理由

 

「歌劇」と「オペラ」はほぼ同じ意味を持つ言葉ですが、厳密には使われ方に差があります。

「オペラ」はイタリア語の「opera」が語源で、もともとは「仕事・作品」を意味するラテン語から来ています。16世紀末にイタリアのフィレンツェで生まれた、演劇と音楽が融合した舞台芸術の形式を指します。文化庁の広報誌「ぶんかる」でも「演劇の台詞を歌にした舞台芸術」と説明されています。一方「歌劇(かげき)」は、そのオペラの日本語訳として使われてきた言葉です。

ここが重要なポイントです。

Wikipediaによれば、「歌劇」という語はオペラよりも広い意味でも使われています。つまり「歌唱を中心にした劇の総称」として機能することがあるのです。だから「宝塚歌劇団」のような日本独自の歌と踊りを組み合わせた舞台芸術にも「歌劇」という言葉が使われています。宝塚歌劇団は、女性のみで構成された独自形式の舞台芸術で、1914年の創設以来100年以上にわたって続く日本独特の文化です。

つまりこういうことですね。「オペラ」と言えばほぼ確実に西洋クラシック様式の歌劇を指しますが、「歌劇」という言葉は宝塚などを含むより広い概念として使われることもある、ということです。

保育現場での音楽活動や発表会の準備として子どもたちに「歌うお芝居」を紹介するとき、この違いを頭に入れておくと説明がしやすくなります。「歌劇」という言葉で子どもたちの発表作品を表現することも十分に正確な使い方です。

参考:オペラと歌劇についての基本情報はWikipediaにまとまっています。

オペラ – Wikipedia

オペラ・ミュージカル・オペレッタの違い——歌劇の種類を保育士目線で整理する

「歌劇」という大きな枠の中には、いくつかのジャンルが存在します。

まず「オペラ」は、セリフも含めてすべてを歌で表現するのが基本です。伴奏は生のオーケストラが担い、歌手はマイクを一切使いません。声量と音域の広さが求められるため、「ベルカント唱法(belcanto)」というイタリアの伝統的発声法が用いられます。これは喉に負担をかけず、身体全体を楽器として使う発声法で、武蔵野音楽大学の説明にもあるように「マイクを使わずに舞台で歌う」ための本物の技術です。

次に「オペレッタ」はオペラから派生した、よりエンターテイメント性を高めたジャンルです。セリフの部分が多く、演劇的な要素が強いのが特徴です。comical(コミカル)な内容が多く、初心者でも楽しみやすいとされています。

そして「ミュージカル」はオペレッタのエンターテイメント性をさらに高め、19世紀後半のアメリカで発展したジャンルです。歌とセリフは明確に分かれており、ポップスやジャズなどさまざまな音楽ジャンルが使われます。歌手自身がダンスも担当するため、マイクが必要です。

これが基本です。

ジャンル 言語・セリフ 発声 伴奏 マイク
オペラ(歌劇) ほぼ全て歌 ベルカント唱法 オーケストラ 使わない
オペレッタ喜歌劇 セリフが多い 声楽系 オーケストラ 基本なし
ミュージカル 歌とセリフ混合 ポピュラー系 録音が多い 使う

保育士として子どもたちの発表会を考えるとき、この分類が役立ちます。「こども歌劇」と呼ばれる幼稚園・保育園向けのミニミュージカル教材も市販されており、正確に言えばミュージカル形式に近いものです。子どもたちが歌いながら演じる劇は、広い意味での「歌劇」と呼べます。

参考:オペラとミュージカルの違いについての詳しい解説はこちら。

オペラとミュージカルの違いは? – Piacere音楽教室

オペラ誕生の歴史と日本への伝来——歌劇400年の流れを保育士がざっくり知る

オペラの歴史はとても長く、その起源は16世紀末のイタリアにあります。

兵庫県立芸術文化センターの解説によれば、当時フィレンツェのメディチ宮廷が芸術家や音楽家を庇護し、古代ギリシャ劇の復興を模索する中から、演劇と音楽が融合した新形式が生まれました。ちょうど日本では出雲阿国が歌舞伎の元となる「かぶき踊り」を始めた頃です。1637年にはヴェネツィアに世界初の商業オペラ劇場「サン・カッシアーノ劇場」が誕生し、貴族だけでなく一般市民もオペラを楽しめるようになりました。

面白いですね。

18〜19世紀にかけてオペラは全盛期を迎え、王侯貴族が社交の場として劇場を利用していました。この時代のオペラはロッシーニ、ベルディ、プッチーニなど名作曲家が次々と傑作を生み出した時期です。《椿姫》《カルメン》《フィガロの結婚》などの作品は今でも世界中で上演され続けています。

日本へのオペラ伝来は明治以降です。名古屋城南大学の研究によれば、1914年に宝塚少女歌劇団(現・宝塚歌劇団)が誕生し、日本独自の歌劇文化が形成されていきました。日本語のオペラ作品も生まれており、「夕鶴(ゆうづる)」は「鶴の恩返し」を題材にした日本語オペラとして有名です。

日本でオペラを観るためのチケット代は幅があります。新国立劇場や東京二期会などの大型公演では2〜3万円程度の席もあります。しかしハイライト公演(名場面集)であれば3,000〜5,000円程度で楽しめます。兵庫県立芸術文化センターのカルメン・ハイライトコンサートも3,000円台で鑑賞可能で、初心者や子ども連れに最適です。

これは使えそうです。

参考:兵庫県立芸術文化センターによるオペラの歴史と基本解説。

オペラの楽しみ方「オペラってなに?」 – 兵庫県立芸術文化センター

保育士が知って得するオペラの「マイクなし」という驚きの事実——発声と音楽表現の本質に迫る

オペラ最大の特徴は「マイクを一切使わない」という点です。

現代の公演では、映画でも演劇でもマイクやスピーカーを使うのが当たり前になっています。しかしオペラ歌手は文明が発達した今も、自分の生身の体だけを楽器として使い、数百〜数千席を持つ劇場の最後列まで声を届けます。そのためのトレーニングが「ベルカント唱法」です。

武蔵野音楽大学の教育資料にも「マイクを使わずに舞台で歌うのがオペラ歌手」と明記されています。Piacere音楽教室によれば、ベルカント唱法は「喉に負担をかけない発声法で、自らの身体をスピーカーにする」技術です。喉を壊さないよう身体全体でバランスを取る発声なので、長期間にわたって声を保てるという特徴があります。

身体が楽器ということですね。

この「マイクなし・生声」という要素は、実は保育士にとってとても重要な学びになります。大阪信愛女学院の研究「教育者・保育者が目指すべき発声法」では、幼児教育に携わる保育者自身が発声法を理解することの重要性が指摘されています。保育士は毎日大きな声で子どもたちに話しかけ、歌い、指示を出します。この時、間違った発声を続けると声帯に結節やポリープができてしまうリスクがあります。

💡 保育士の喉を守るポイント

  • 怒鳴る(叫ぶ)のではなく、腹式呼吸を使って声を出す
  • 声が枯れやすいと感じたら専門のボイスケアを検討する
  • ベルカント唱法の基礎を学ぶことで、声帯への負担が減る

声帯はとても繊細です。保育士として長く活躍するためにも、「声の使い方」を学んでおくことはメリットが大きいと言えます。

参考:保育者の発声法に関する学術論文。大阪信愛女学院の研究紀要に掲載。

教育者・保育者が目指すべき発声法 – 大阪信愛女学院

子どもの感受性を育てる「こども歌劇」活用術——保育現場での音楽表現に歌劇を取り入れるコツ

保育現場において、「歌劇」の要素を取り入れた活動はすでに広く行われています。

「こども歌劇®」はPETIPAが幼稚園・保育園の劇発表のために制作したミニミュージカルで、読み聞かせ文・脚本・演技DVD・歌や音楽CD・楽譜がセットになった教材です。子どもが歌いながら演じるという構成は、音楽と演劇を融合したオペラの本質的な形に近く、子どもの感受性・表現力協調性を自然に育てます。

意外ですね。

子どもたちの発表会で「歌劇形式」の活動を行うことで期待できる効果を整理すると、以下の通りです。

  • 🎤 表現力の向上:セリフを歌で伝えることで、言葉に感情を乗せる練習になる
  • 👂 音感リズム感の発達:オーケストラ音楽に合わせて体を動かすことで、音楽的感受性が磨かれる
  • 🤝 協調性の育成:合唱やアンサンブル形式の練習が仲間との息を合わせる力を育てる
  • 🧠 言語能力の発達:歌詞の意味を理解しながら歌うことが語彙力と表現力につながる

新国立劇場では「こどものためのオペラ劇場」という取り組みを通じて、子どもたちに生のオペラを体験させるプログラムを提供しています。本物のオペラ歌手が出す「生の声」の迫力は、録音や映像では決して伝わらない感動を子どもたちに与えます。これが音楽の原体験になることも少なくありません。

保育士として音楽活動を豊かにしたい場合、まず身近なところで「こども歌劇」教材を取り入れてみることが一番シンプルな一歩です。保育研修や音楽表現の授業の場で、オペラとミュージカルの違いを踏まえながら教材選びをすると、活動のねらいがより明確になります。

参考:子どもとオペラの体験について。

こどものためのオペラ劇場 – 新国立劇場

少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE エーデル- Delight