幼稚園唱歌「雪やこんこん」の歌詞と由来を保育士が徹底解説
「雪やこんこん」と「雪やこんこ」は別の曲で、混同すると保護者から「先生、歌詞が違います」と指摘を受けます。
幼稚園唱歌「雪やこんこん」の正しい歌詞と背景
幼稚園唱歌「雪やこんこん」は、1901年(明治34年)に出版された唱歌集「幼稚園唱歌」の第18曲目に収録されています。作詞は東くめ、作曲は瀧廉太郎。あの「荒城の月」を手がけた瀧廉太郎が、子ども向けに書き下ろした曲です。
正しい歌詞はこちらです。
| 行 | 歌詞 |
|---|---|
| 1行目 | 雪やこんこん、あられやこんこん。 |
| 2行目 | もっとふれふれ、とけずにつもれ。 |
| 3行目 | つもった雪で、だるまや燈籠(とうろう)。 |
| 4行目 | こしらへましょ、お姉様。 |
「犬は喜び庭かけまわり」というフレーズはこの歌には登場しません。それは別の曲(後述)です。この歌詞には登場しないということです。
歌詞の内容は純粋に子どもの目線で書かれています。雪が降り積もるのを喜び、積もった雪でだるまや燈籠を作ろうとお姉さんを誘う場面が描かれています。現代の子どもが「雪だ!雪だるま作ろう!」と走り回る様子と、感覚はまったく変わりません。いつの時代も同じですね。
東くめは当時の童謡に対して大きな変革をもたらした人物です。明治時代の唱歌は西洋の曲に難解な文語体の歌詞をあてたものが主流でした。夫・東基吉(東京女子高等師範学校教授)の教育学的提案を受け、東くめは「子どもの話し言葉で、子どもにもわかり、子どもが喜ぶ歌」を目指しました。こうして生まれたのが、口語体で書かれた幼稚園唱歌です。つまり日本初の口語体童謡集です。
和歌山県文化情報アーカイブ:東くめの生涯と幼稚園唱歌について(作詞者の背景・功績)
「こんこん」という言葉の語源については、国語学者・大野晋の説によると「来む来む(こむこむ)」が語源とされており、「雪よ、もっと降れ降れ」と雪に呼びかける言葉だとされています。擬音語(雪が降る音)ではなく、動詞の命令形に近い使われ方というのが興味深い点です。意外ですね。
幼稚園唱歌「雪やこんこん」と文部省唱歌「雪やこんこ」の違い
多くの保育士が混同しやすいのが、この2曲の関係です。結論は「完全に別の曲」です。
| 項目 | 幼稚園唱歌「雪やこんこん」 | 文部省唱歌「雪(ゆき)」 |
|---|---|---|
| 🎵 歌い出し | 雪やこんこん あられやこんこん | 雪やこんこ あられやこんこ |
| 📅 発表年 | 1901年(明治34年) | 1911年(明治44年) |
| ✏️ 作詞者 | 東くめ | 武笠三(むかさ さん) |
| 🎼 作曲者 | 瀧廉太郎 | 不詳 |
| 🐶 犬・猫 | 登場しない | 2番に登場する |
「こんこん」か「こんこ」かは、曲名・歌詞の両面で大きな違いがあります。文部省唱歌「雪」のタイトルは正式には「雪(ゆき)」であり、「こんこ」で終わります。一方の幼稚園唱歌「雪やこんこん」は「こんこん」が正式表記です。
よく知られている「犬は喜び庭かけまわり、猫はこたつで丸くなる」というフレーズは、文部省唱歌「雪」の2番の歌詞です。1番の歌詞は「山も野原も綿帽子かぶり、枯木残らず花が咲く」であり、犬猫の描写は実は2番だったということも、意外に知られていません。
2007年(平成19年)に文部省唱歌「雪」は「日本の歌百選」に選定されました。それほど知名度の高い曲ですが、「こんこん」か「こんこ」かの違いで混同される曲がここまで多いのは、かなり特殊な状況といえます。つまり2曲が誕生したことで、混乱が後々まで続いているということですね。
保育士が現場で幼稚園唱歌「雪やこんこん」を取り上げる際には、まず「犬と猫が出てくる『雪やこんこ』とは別の曲ですよ」と一言添えるだけで、子どもたちの理解が深まります。これは問題ありません。
Wikipedia:文部省唱歌「雪」の歌詞・作詞者・作曲者・補足情報(正式情報の確認に有用)
幼稚園唱歌「雪やこんこん」誕生の歴史的背景と瀧廉太郎の功績
「雪やこんこん」が生まれた1901年(明治34年)という時代背景を知ると、この曲の価値がよりはっきりわかります。
当時の日本の唱歌教育は、外国の曲に難解な文語体の歌詞をつけたものが中心でした。「子どもにとってわかりにくい」「歌っても楽しくない」という問題が教育現場にありました。この問題を正面から解決しようとしたのが、東くめとその夫・東基吉でした。
東基吉は当時の進んだ教育学説に基づき、「子どもの話し言葉で歌える唱歌を作ること」を提唱しました。これを実現するため、東くめが同じ東京音楽学校で学んだ後輩・瀧廉太郎に作曲を依頼。2人のコンビが生み出した「幼稚園唱歌」は、「鳩ぽっぽ」「お正月」「雪やこんこん」など、現在でも広く知られる曲を含む全18曲が収録されています。
瀧廉太郎はこの唱歌集を発表した後、ドイツ留学に旅立ちます。しかし留学中に肺結核を発症し帰国、1903年に23歳という若さで亡くなりました。「荒城の月」「花(春のうらら)」「箱根八里」などの名作とともに、幼稚園唱歌「雪やこんこん」は彼の遺産の一つです。短い生涯の中で日本の音楽教育に与えた影響は計り知れません。
東くめ自身は、その後90歳までピアノ教師を続け、1969年(昭和44年)に92歳で亡くなりました。瀧廉太郎が23歳で逝去したのに対し、東くめは92歳まで音楽と生き続けました。これは対照的な人生ですね。昭和34年には東京音楽学校創立80周年記念式典で表彰され、新宮市の名誉市民にも選ばれています。
保育士として「雪やこんこん」をただ「冬の歌」として歌うだけでなく、こういった背景も知っておくと、保護者への説明や歌唱指導の際に深みが出ます。「この歌は明治時代に、初めて子どもの言葉で書かれた唱歌なんですよ」と一言加えるだけで、保護者の関心も変わります。これは使えそうです。
幼稚園唱歌「雪やこんこん」の歌詞を保育活動へ活かす具体的な方法
歌詞の内容を理解したうえで保育活動に取り入れると、子どもたちの体験がより豊かになります。「雪やこんこん」の歌詞には「だるまや燈籠をこしらへましょ」という具体的な遊びのイメージが含まれています。これを起点にした活動展開が効果的です。
🎨 歌と連動した製作活動
- 雪だるまの製作:白い画用紙を丸く切って顔を描く(2歳〜)
- 雪の燈籠づくり:紙コップや牛乳パックで燈籠を作り、中にライトを入れる(5歳〜)
- 雪の結晶の切り絵:折り紙を折って切り込みを入れる(4歳〜)
製作を始める前に「この歌には雪で何を作るって出てくる?」と子どもたちに問いかけると、歌詞への関心が高まります。歌を「聞くだけ」から「知る」活動へ変えることが大切です。
❄️ 雪の日の活動との連携
実際に雪が降った日には、「雪やこんこん♪もっとふれふれ!ってみんなで歌ってたら雪が降ってきたね」と声かけをすることで、歌詞と現実がつながる体験になります。雪だるまを作った後にこの歌を歌うと、子どもたちが歌詞の意味をより感覚的に理解できます。
🎵 振り付きで楽しむ
「もっとふれふれ」の箇所で手を上に広げてひらひらさせる、「とけずにつもれ」で足踏みしながらドスドスと地面を踏む、「だるまや燈籠」で丸を描く動作をするなど、シンプルな振り付けを加えると、0〜3歳の小さな子でも楽しめます。
YouTubeには保育士・教員向けに振り付き動画も公開されています。事前に確認しておくと指導がスムーズです。
YouTube:ボンボンアカデミー「雪(ゆきやこんこ)振り付き」動画(保育士・教員向けの振り付き参考動画)
雪遊びや製作の前後に歌を挟むことで、活動が自然な流れになります。「歌う→作る→遊ぶ→また歌う」というサイクルが、子どもの記憶と学びを強化します。これが原則です。
保育士が知っておくべき「雪やこんこん」の間違いやすいポイントと指導の注意点
保育現場でよくある誤りをまとめておきます。知らないままにしておくと、子どもや保護者に誤情報を伝えてしまうリスクがあります。
⚠️ 間違いやすいポイント一覧
- ❌「犬は喜び庭かけまわり」はこの曲の歌詞ではない
- ❌「雪やこんこん」を「雪やこんこ(文部省唱歌)」と混同する
- ❌「こんこん」はキツネの鳴き声だと思い込む
- ❌ 幼稚園唱歌「雪やこんこん」の作曲者を不詳だと誤解する(正しくは瀧廉太郎)
- ❌ 犬と猫が出てくる「雪やこんこ」の1番と2番を入れ替えて覚えている
特に多いのが「こんこん=キツネの鳴き声」という思い込みです。X(旧Twitter)でも「こんこんだからキツネが出てくるのかと思った」という声が多く見られます。正確には「来む来む(降れ降れ)」という動詞由来の言葉であり、雪を歓迎して呼びかけている言葉です。
歌唱指導の場面では「どうしてこんこんって言うのかな?」と子どもたちに問いかけてみるのも良い方法です。「雪においで、もっと降ってって呼んでるんだよ」と伝えると、幼稚園唱歌の歌詞の意味と文部省唱歌「雪やこんこ」の意味がつながります。
また、「雪やこんこん」と「雪やこんこ」は発音が似ているため、子どもたちが混乱することも珍しくありません。保育士自身が2曲を明確に区別できていることが前提条件です。ここに注意すれば大丈夫です。
もし保護者から「先生が教えている歌詞は違いませんか?」と指摘を受けた際にも、「こちらは幼稚園唱歌の『雪やこんこん』で、瀧廉太郎が作曲した別の曲なんです」と自信をもって説明できます。正しい知識が信頼につながります。
