富士の山の歌詞の意味を保育士が子どもに伝えるコツ

富士の山の歌詞の意味と保育士が子どもに伝えるポイント

「ふじの山」は作曲者不詳なのに、小学3年生の必修教材として全国で歌われている唱歌です。

📋 この記事でわかること
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歌詞の意味と背景

1番・2番それぞれの歌詞に込められた「高さ」と「美しさ」の意味を、子どもに伝わる言葉で解説します。

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作詞者・巌谷小波とは

明治時代の児童文学の開拓者が、なぜこの唱歌を生み出したのか。その人物像と時代背景をわかりやすく紹介します。

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保育現場での活かし方

「難しい言葉の言い換え」や「絵に描いて見せる」など、保育士がすぐ実践できる指導のヒントをまとめています。

富士の山の歌詞の全文と読み方

 

まずは「ふじの山」の歌詞をあらためて確認しておきましょう。保育士として子どもに歌を教える前に、歌詞全体を把握しておくことが大切です。

歌詞(原文)
1番 あたまを雲の 上に出し
四方の山を 見おろして
かみなりさまを 下にきく
ふじは日本一の山
2番 青空高く そびえ立ち
からだに雪の 着物着て
霞のすそを 遠く曳く
ふじは日本一の山

この歌詞は七五調(しちごちょう)というリズムで書かれています。七音と五音を交互に並べた伝統的な日本語の音の型で、百人一首や短歌と同じ形式です。そのため、読んだだけでも自然とリズムを感じられるのが特徴です。

タイトルは「ふじの山」が初版時(1910年・明治43年)の表記で、その翌年に「富士山」に改定され、現在の小学校学習指導要領では「ふじ山」として掲載されています。つまり、同じ曲なのに「ふじの山」「富士山」「ふじ山」という3種類の表記が存在します。意外ですね。

保育の現場では「ふじの山」または「ふじ山」と呼ぶのが一般的です。子どもには「ふじさんのうた」と言えばすぐ伝わります。

参考:歌詞の詳細な解説はこちらのサイトも参考になります。

文部省唱歌「富士山(ふじの山)」歌詞の意味を理解して高らかに | ひまわりの歌

富士の山の歌詞の意味【1番・2番を子どもに伝える解説】

歌詞に出てくる言葉には、現代の子どもには少しわかりにくいものも含まれています。1番・2番それぞれの意味を丁寧に確認しましょう。

🗻 1番の意味:富士山の「高さ・雄大さ」

1番は富士山の「高さ」を表現しています。それぞれのフレーズの意味は次のとおりです。

  • 「あたまを雲の上に出し」→ 山頂が雲よりも高いところにある
  • 「四方の山を見おろして」→ まわりの山すべてを上から見下ろしている
  • 「かみなりさまを下にきく」→ 雷の音が足元より下から聞こえてくるほど高い
  • 「ふじは日本一の山」→ だから富士山は日本で一番の山だ

「四方(しほう)」とは東西南北、つまり「全方向・あらゆる方向」のことです。子どもには「どこを向いても、富士山より低い山しかないってことだよ」と伝えると伝わりやすいです。

「かみなりさまを下にきく」というフレーズは特に印象的ですね。実際の富士山の標高は3,776mで、これは約944階建てのビルに相当します。雷が発生する積乱雲は高さ約2,000〜13,000mに現れますが、下限の2,000m付近の雷雲なら富士山の頂上から見下ろすことになります。このフレーズは富士山の圧倒的な高さを感覚的に伝えるための、巧みな表現です。

🌨️ 2番の意味:富士山の「美しさ・優雅さ」

2番は富士山の「美しさ」を表現しています。

  • 「青空高くそびえ立ち」→ 青い空を背景に力強くそびえている
  • 「からだに雪の着物着て」→ 山全体に雪をまとっている(雪化粧)
  • 「霞のすそを遠く曳く」→ 山のすそ野がうっすらとかすんで、遠くまで広がっている
  • 「ふじは日本一の山」→ だから富士山は日本で一番の山だ

「霞のすそを遠く曳く」は最も難しいフレーズです。霞(かすみ)とはもやがかかってぼんやりとした状態のこと。すそとは着物の下の部分です。平安時代の十二単(じゅうにひとえ)はすそが長く引きずるほどでした。つまり富士山を着物姿の人に見立てて(これを「擬人化」といいます)、山のすそ野が霞の中に長く広がっていく様子を表現しています。

「高さ」と「美しさ」の2つが日本一ということですね。

保育の現場でこの歌詞を子どもに伝えるときには、絵を描いて視覚的に見せる方法がとても効果的です。富士山の絵に雲、雷、霞のすそを描き足しながら解説すると、子どもの目がぐっと輝きます。

富士の山の作詞者・巌谷小波はどんな人?

「ふじの山」の作詞者は巌谷小波(いわや さざなみ)という人物で、1870年(明治3年)生まれ、1933年(昭和8年)没です。保育士として子どもに歌を伝えるとき、「誰が作ったか」を知っておくと話に深みが出ます。

巌谷小波は「日本近代児童文学の開拓者」と呼ばれる人物で、『桃太郎』『花咲爺』『金太郎』などの昔話を現代語に書き直して広く普及させました。子どもたちが今も知っているこれらのお話が広まったのは、小波の功績が大きいのです。

「ふじの山」以外にも、唱歌「はなさかじじい」「一寸法師」など多くの作詞を手がけました。特筆すべきは、彼が「口演童話(こうえんどうわ)」というパフォーマンス形式を作り上げたことです。これは聴衆の前で語り演じながら童話を伝えるスタイルで、今で言う「読み聞かせ」の原型とも言えます。

保育士の仕事に近いものを持っていた人だと言えますね。

作曲者については、文部省が東京音楽学校(現・東京藝術大学)に依頼して編纂委員会で制作されたため、個別の名前は「不詳」とされています。誰か1人の作曲家の名前ではなく、委員会による集合的な制作という形です。これはふじの山だけでなく、当時の文部省唱歌に共通した事情でした。

参考:巌谷小波の詳しいプロフィールはこちら。

巌谷小波 – Wikipedia

富士の山の歌詞の意味を保育士が子どもに伝える3つのコツ

「ふじの山」には古語に近い表現が含まれており、子どもにそのまま伝えても「わからない」と感じさせてしまうことがあります。保育の現場で実践しやすい3つのコツを紹介します。

① 難しい言葉は「絵」で見せる

「四方の山」「霞のすそ」「雷様を下に聞く」といった表現は、言葉だけで説明するよりも絵を描いて見せる方が理解が早いです。ホワイトボードや模造紙に富士山の簡単なイラストを描き、そこに雲・雷・霞を加えながら「このあたりに雷が鳴っているんだよ」と指し示すと効果的です。

子どもが自分で絵を描きながら歌詞を理解する時間を作るのもよいでしょう。描く行為が歌詞のイメージを体に定着させてくれます。これは使えそうです。

② 「擬人化」を楽しく解説する

2番の歌詞は富士山を「着物を着た人」に例えています。子どもに「富士山が人になったとしたら、どんな格好をしているかな?」と問いかけてみてください。「雪が着物」「霞がすそ」というイメージを自分の言葉で表現させると、語彙力と想像力が同時に育まれます。

保育所保育指針の「表現」領域では、うたや音楽に触れることで季節や風景への想像力を高めることがねらいとされています。擬人化の解説はまさにその実践例となります。

③ 「日本一」を数字で伝える

「ふじは日本一の山」というフレーズを子どもが実感として理解するために、具体的な数字を使うのがおすすめです。富士山の標高は3,776mですが、これは「新幹線で走ったら約2分の距離をまっすぐ上に積み上げた高さ」と伝えると子どもが驚きます。日本で2番目に高い北岳(3,193m)との差は583mもあり、約200階建てのビル1棟分も差があります。

「ふじは日本一」が原則です。この実感を持ったまま歌えば、歌声も変わります。

保育士だけが知っておきたい「ふじの山」の意外な豆知識

一般的な解説サイトには載っていない、保育の現場でのトーク素材に使える豆知識をまとめました。子どもに伝えてもよし、保護者への余談として話してもよし。知っていると必ず盛り上がります。

🎵 発車メロディとして現在も使われている

「ふじの山」のメロディは、2001年3月29日から富士急行線の大月駅・河口湖駅の発車メロディとして使われています。さらに2011年7月1日からは富士山駅でも列車到着時のメロディとして流れています。子どもに「電車のメロディになっているよ」と話すと、目を丸くして驚きます。

🛣️ 走るだけで音楽が聞こえる道がある

山梨県にある富士スバルライン料金所手前の道路では、「メロディーロード」と呼ばれる特殊な舗装があります。時速50kmで走ると、タイヤと溝の摩擦音がふじの山のメロディに聞こえる仕組みです。これも「ふじの山」のメロディが使われています。

📻 防災チャイムとして今も流れている

静岡県の富士市・富士宮市・御殿場市・小山町、山梨県の富士吉田市・山中湖村では、防災行政無線のチャイムとして「ふじの山」が毎日流れています。これらの地域に住む人にとっては生活の一部になっている曲です。意外ですね。

🏆 2007年「日本の歌百選」に選出

2006年に文化庁と日本PTA全国協議会が選定した「日本の歌百選」に選ばれた100曲の中の1曲です。童謡・唱歌の中でも特に文化的価値が高いと認められた歌といえます。保育の場でこの曲を歌う意義は大きく、日本の文化を次世代に伝える役割を担っています。

つまり、ただの「教科書の曲」ではないということですね。

🌐 富士山は2013年に世界文化遺産に登録

歌の中の「富士山」そのものが2013年6月に「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」としてユネスコ世界文化遺産に登録されています。自然遺産ではなく文化遺産としての登録という点も特徴的です。葛飾北斎の浮世絵や富士信仰など、日本の文化全体を象徴する山として認められました。子どもにこの事実を伝えると、「ぼくが歌っている山が世界遺産なんだ!」という誇りと親しみを持ちやすくなります。

参考:富士山の世界遺産登録について詳しくはこちら。

世界遺産について – 山梨県立富士山世界遺産センター

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