子鹿のバンビ歌詞を保育で活かす全知識
「バンビ」という名前はただのキャラクター名ではなく、イタリア語で「子ども・赤ちゃん」を意味するため、この歌を歌うたびに子どもたちは自分自身の名前を呼ばれているのと同じです。
子鹿のバンビの歌詞全文と読み方・意味
「子鹿のバンビ」の歌詞は全部で4番まであります。保育現場では1番だけを歌うケースも少なくありませんが、実は4番まで通して歌ってこそ、この童謡のメッセージが完成します。
まず歌詞の全文を確認しましょう。
| 番 | 歌詞 |
|---|---|
| 1番 | 子鹿のバンビは かわいいな お花がにおう 春の朝 森のこやぶ(小藪)で 生まれたと みみずくおじさん いってたよ |
| 2番 | 子鹿のバンビは くり毛色 せなかに白い てんてんよ 細いあんよで かけだせば 野原のちょうちょうも こんにちは |
| 3番 | 子鹿のバンビは 元気だね ちらちら雪が 降りだして 池に氷が はるころは とんすけうさぎと スケートよ |
| 4番 | 子鹿のバンビは やさしいな 弱虫いじめ しないもの 今に大きく なったなら すてきなぼくらの 王様だ |
各番のキーワードには、現代の子どもたちにとってなじみのない言葉も含まれています。「こやぶ(小藪)」は「小さな藪(低木がまとまって生えた場所)」のこと、「くり毛色」は明るい茶色(栗の実のような色)を指します。「あんよ」は赤ちゃん言葉で「足・脚」を意味しており、バンビの細くて頼りなげな脚の様子が目に浮かぶ言葉です。
「ちょうちょうも こんにちは」というフレーズは、バンビが走り出すと蝶々が出迎えてくれる明るい情景を描いています。つまり1番〜3番は、春・夏(秋)・冬と季節の流れを追いながらバンビの成長を描いているということです。
4番の「弱虫いじめ しないもの」は、この曲最大のメッセージです。優しさこそが王様の条件という価値観が、子どもにわかりやすい言葉で表現されています。
子鹿のバンビ 歌詞全文(歌詞ナビ)-ふりがな付きで歌詞の読み確認ができるサービスページ
子鹿のバンビの作詞・作曲と誕生した背景
この童謡が誕生したのは昭和26年(1951年)のことです。作詞は坂口淳(1908〜1974年)、作曲は平岡照章(1907〜1992年)が担当しました。リリースはビクターより昭和27年(1952年)、初代の歌手は古賀さと子です。
背景にあるのは、戦後日本に到来したディズニーアニメ映画「バンビ」の大ヒットです。1942年にアメリカで公開されたこの映画は、戦中の混乱期もあり日本での公開は約9年遅れ、1951年5月のことでした。戦後の物資不足や貧しさの中で育った子どもたちにとって、総天然色(カラー)で描かれたディズニーアニメは、まさに別世界の輝きでした。
作詞家の坂口淳は長野県出身で、写真館に勤めながら童謡作家として活動していました。映画「バンビ」を見て深く感動し、その物語を日本の子どもたちにも歌という形で届けたいと考え作詞しました。これが坂口の動機です。
注目すべきは作曲家・平岡照章のエピソードです。彼はあえて映画「バンビ」を観ずに作曲に臨みました。「先に映画を見ると潜在意識がついてしまい、自分独自の味が出せない」という考えからです。その結果、子鹿がピョンピョン跳ねるような軽快な3拍子のメロディーが生まれました。映画音楽とのダブりもなく、れっきとした独自の日本童謡として完成したわけです。
これは意外ですね。作詞者と作曲者で、映画に対するアプローチが真逆だったことになります。
子鹿のバンビ 歌詞と解説(worldfolksong.com)-作曲者が映画を観なかった理由など制作秘話が詳しく掲載されたページ
子鹿のバンビの歌詞に登場するディズニーキャラクターとその意味
「子鹿のバンビ」の歌詞には、ディズニー映画「バンビ」のキャラクターが直接登場しています。これに気づいている保育士は意外と少ないものです。具体的に見てみましょう。
- 🦉 みみずくおじさん:映画に登場するフクロウ(みみずくとも呼ばれる)。バンビが生まれたことを森の仲間たちに知らせる役割を果たします。
- 🐇 とんすけうさぎ:映画の人気キャラクター「タンパー(英語名:Thumper)」の日本語名がまさに「とんすけ」です。バンビの親友として登場します。
- 👑 すてきなぼくらの王様:映画でバンビは最終的に「森の王様」として父の地位を継ぎます。4番の歌詞はその結末を指しています。
つまり、この歌の歌詞は映画のストーリーを春・冬・成長という時系列でなぞるように構成されているということです。
映画を知っている保育士がこの歌詞を子どもに解説すると、歌の理解が格段に深まります。「とんすけうさぎってどんなうさぎだと思う?」と問いかけるだけで、子どもたちのイメージが一気に広がります。子どもが絵本や映画「バンビ」に興味を持つきっかけにもなるでしょう。
また、作詞者の坂口淳がディズニーの許諾を得てこれらのキャラクター名を使用したかどうかは記録に残っていません。現代の著作権・商標権の観点から見ると、グレーな側面があると指摘する研究者もいます。ただし、この歌が誕生した1951年当時は知的財産の管理がいまほど厳格ではなく、現在まで問題なく歌い継がれてきています。これが条件です。
子鹿のバンビ(坂口淳、平岡照章)解説と鑑賞ポイント(ASDの歌月さん)-ディズニーキャラクターと歌詞の関係性を詳しく考察した記事
保育士が子鹿のバンビの歌詞を活用する3つのポイント
保育士向けのアンケートによると、日々の保育で童謡を「よく歌う」と答えた保育者は全体の78%にのぼります(ほいくis調べ、N=1,845)。約8割の保育士が日常的に童謡を活用しているということです。
だからこそ、「ただ歌う」から「意図的に活用する」への一歩が大切になります。「子鹿のバンビ」を保育に取り入れる際に特に意識したい3つのポイントを紹介します。
- 🌸 ポイント①:季節の導入歌として使う
1番は春(お花のにおう春の朝)、3番は冬(雪・氷)と、歌詞が季節の移ろいを明確に描いています。季節の変わり目に合わせて該当の番を取り上げると、子どもが季節感を自然に身につけられます。たとえば雪が降り始めた頃に3番を歌えば、「とんすけうさぎとスケートよ」という歌詞が子どもの生活体験と結びつきます。 - 💬 ポイント②:4番を道徳の入口にする
「弱虫いじめ しないもの」という4番の歌詞は、いじめ防止や思いやりの心を育む保育活動の導入として非常に効果的です。「バンビはどうして王様になれたと思う?」という一言が、子どもたちに自発的な気づきをうながします。難しい道徳の言葉を使わなくても、歌詞そのものが子どもに語りかけてくれます。 - 🎨 ポイント③:絵や工作と組み合わせる
歌詞に登場するバンビの「くり毛色のからだ」「せなかの白いてんてん」を描く活動と組み合わせると、観察力・表現力を刺激できます。実際に鹿の背中の模様(鹿の子模様)は個体ごとにすべて異なり、人間の指紋のようなものだという知識を添えると、子どもたちの驚きと好奇心が引き出せます。
歌詞の内容を深く理解したうえで活用するのが基本です。
子鹿のバンビの歌詞が持つ独自の道徳的メッセージと現代保育への意義
「子鹿のバンビ」が70年以上にわたって歌い継がれている理由は、そのメロディーの美しさだけではありません。4番の歌詞に込められた「やさしさこそが王様の条件」というメッセージが、時代を超えて子どもの心に刺さり続けているからです。
「弱虫いじめ しないもの」というフレーズは、わずか11文字で「いじめはしない」「弱い存在を守る」という価値観を表現しています。現代の保育では「思いやり」「相互尊重」「多様性の受容」がより重視されるようになっていますが、この歌詞はすでに1951年の段階でそれを歌っていたことになります。
注目したいのは「王様だ」という結びの表現です。単純に「いい子になれる」ではなく、「王様になれる」と表現することで、やさしさの持ち主への憧れが強く刻まれます。子どもたちの視点から見ると、「やさしい子がいちばんすごい」という価値観が刷り込まれる構造になっています。これは使えそうです。
バンビが描く成長ストーリーは、春に生まれて(1番)→初めての体で世界を知り(2番)→冬の困難を友達と乗り越え(3番)→やさしい王様へと成長する(4番)という4幕構成です。この流れは、保育士が「自立」「探索」「困難への挑戦」「社会性の発達」という子どもの発達プロセスと重ねて語るのに最適なストーリーラインともいえます。
歌詞カードを作る際には、4番の「弱虫いじめ しないもの」に星マークや王冠のイラストを添えると、子どもたちの印象に残りやすくなります。また、「バンビはどんな王様になると思う?」という問いかけを絵日記のテーマにする活用法もおすすめです。歌から広がる表現活動で子どもたちの想像力がぐっと豊かになります。
子どもが歌うことを前提につくられた歌(マイナビ保育士)-高崎健康福祉大学教授による音楽と幼児教育の関係性についての専門的解説記事

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