子供の四季・春の連弾を保育士が現場で活かす完全ガイド
「初級」と書いてある楽譜を選んだのに、あなたの練習が1か月経っても仕上がらず発表会を欠席した保育士が実際にいます。
子供の四季・春の連弾とは?作曲家・小森昭宏と曲の背景
「こどもの四季〈春〉」は、日本を代表する児童音楽作曲家・小森昭宏(1931〜)が作曲した4手連弾ピアノ曲です。正式な英題は “Children’s four seasons, spring” で、もともと1998年に(社)日本作曲家協議会主催のコンサート「こどもたちへ ピアノの四季 1998 春夏編」で初演・発表された作品です。
小森昭宏は「アンパンマン」の音楽監督や童謡・保育のための音楽制作など、保育現場と長年密接に関わってきた作曲家として知られています。この曲が保育士・音楽指導者の間で広く愛されている理由の一つは、単なる「かわいいメロディ」にとどまらず、音の中に日本の春の情景が丁寧に描かれているためです。
演奏時間は約2分20秒とコンパクトで、発表会でも子どもたちの集中力が途切れにくい点が実用的です。この長さはA4用紙1枚の縦が約30cmだとすると、時間の短さを実感するより「凝縮された構成」と理解したほうが正確です。
楽譜はカワイ出版が発行する発表会ピアノ連弾曲集「もぐもぐブギ」(2009年刊行、全71ページ)に収録されています。この曲集には若松歓、すぎやまこういち、湯山昭など錚々たる日本人作曲家の連弾曲が計18曲収められており、「こどもの四季〈春〉」はその中の1曲です。グレードは初〜中級。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 曲名 | こどもの四季「春」(Children’s four seasons, spring) |
| 作曲者 | 小森 昭宏 |
| 演奏形態 | ピアノ4手連弾 |
| 演奏時間 | 約2分20秒 |
| 難易度 | 初級(ダウンロード版表記) |
| 楽譜出版 | カワイ出版「もぐもぐブギ」収録 / eスコア個別DL版(440円〜) |
| 著作権 | 保護期間中 |
楽譜は楽譜専門サイト「アット・エリーゼ」でダウンロード版440円、コンビニ印刷版540円で購入可能です。PDFファイル6ページ(A3サイズ3枚)のため、コンビニのコピー機で手軽に印刷できます。つまり手元に届くまで最短10分という利便性です。
参考:カワイ出版 eスコア「こどもの四季〈春〉」個別購入ページ

参考:アット・エリーゼ「こどもの四季〈春〉(4手連弾)」楽譜詳細・購入ページ

子供の四季・春の連弾のプリモ・セコンドの役割と難易度の実態
連弾には「プリモ(Primo)」と「セコンド(Secondo)」という2つのパートがあります。プリモはピアノの右側に座り、主にメロディラインを担当します。セコンドは左側に座り、主に低音の伴奏や和声を支える役割を持ちます。
「こどもの四季〈春〉」の楽譜表記は「初級」ですが、この評価はあくまでソロ曲との比較において相対的なものです。連弾ならではの難しさが別途存在します。
まずプリモは右手で旋律を歌わせながら左手で内声部を支える構造のため、一見シンプルに見えても「音の歌わせ方」に繊細な表現力が必要です。一方セコンドは左手でしっかりとした低音バスを維持しながら、右手で内声のハーモニーを担当する場面があります。バスの安定感が全体のテンポを左右するため、セコンドはある意味でリーダー的な責任を持ちます。
- 🎵 プリモのポイント:メロディを歌うように弾きつつ、左手の内声が浮き立ちすぎないようにコントロールする。音量バランスがカギ。
- 🎵 セコンドのポイント:左手の低音バスを一定のテンポで安定させることが最優先。テンポが揺れるとプリモも崩れる。
保育士として2人で合わせる場合、セコンドをピアノ経験が豊富な方が担当するのが実践的な選択です。これが基本です。
合奏の難しさは「自分が正確に弾けても相手とズレる」点にあります。個人練習を100%仕上げてからでないと、合わせ練習でテンポのズレが生まれやすく、直すのに時間がかかります。理想は個人練習90%の段階で合わせ練習に入ること。そのほうが互いの音を聴く余裕が生まれます。
また、発表会では緊張からテンポが走りがちになります。練習段階から意識してゆっくり目のテンポをキープする習慣を作っておきましょう。本番では必ず速くなると思っておけば大丈夫です。
参考:ピティナ・ピアノ曲事典「こどもの四季〈春〉」作品ページ(演奏動画3件あり)

子供の四季・春の連弾の練習ステップ〜保育士向け効率的アプローチ〜
保育士の日常は非常に多忙です。朝の受け入れから始まり、保育記録、保護者対応、翌日の準備と、ピアノ練習に使える時間は限られています。専門家の見解では「休日に5時間まとめて練習するより、毎日10〜20分継続するほうが上達が早い」とされています。
これは脳の記憶定着の仕組みによるものです。短時間でも毎日指を動かすことで、運動記憶として脳に定着しやすくなります。つまり「毎日少しずつ」が原則です。
以下のステップで練習を進めると、初級レベルの「こどもの四季〈春〉」であれば4〜6週間で本番に耐える仕上がりになりやすいです。
- 📌 第1週:楽譜の目読み(譜読み):まず楽譜全体を眺め、曲の構成と繰り返しの場所を把握。鍵盤は触らなくてよい。
- 📌 第2週:片手ずつ右手から:右手のみをゆっくり弾き、音が正確に出るまで繰り返す。左手は次の段階。
- 📌 第3週:両手合わせ(一人):片手の完成度が8割以上になったら両手合わせを始める。フレーズごとに細切れで練習する。
- 📌 第4週:2人で合わせ練習スタート:最初はメトロノーム不使用でゆっくり。お互いの音を聴くことを最優先にする。
- 📌 第5〜6週:テンポアップと仕上げ:本番テンポより10〜15%遅めで安定して弾けてから徐々にテンポを上げる。
練習の途中で詰まる箇所が出たとき、その「詰まった1小節だけ」を10〜15回集中的に繰り返すのが最も効果的です。これは使えそうです。
楽譜は全6ページ(A3サイズ)とコンパクトなので、職員室や休憩室に1部置いておき、空き時間に音を確認するだけでも有効です。楽譜を「眺めるだけ」でも脳内リハーサルになります。
なお、1人しかピアノ担当者がいない現場では、ピアノ経験のある保護者ボランティアや、近隣の音楽大学の実習生と組む形で発表会を組む方法もあります。こうした外部との連携は、子どもたちにとっても「知らない大人と音楽を通じて関わる」体験になります。
子供の四季・春の連弾が育てる子どもへの発達効果
連弾は演奏者同士の共同作業というだけでなく、それを聴く子どもたちにも豊かな体験をもたらします。音楽教育の研究では、幼児期に「音楽を一緒につくる活動」に触れた子どもは、自己表現力や他者への共感力が高まる可能性が指摘されています。
保育者養成校での研究(関東学園大学紀要)でも、学生が連弾学習を通じて「音楽的能力の習得」「教育的効果」「ピアノへの心境の変化」の3点で有意義な変容が見られたことが報告されています。
具体的に連弾が子どもたちに与える影響を整理します。
- 🌱 「聴く力」の育成:相手の音を聴きながら自分の音を合わせるという行為は、日常の「話を聴く力」と同じ神経回路を使います。発達心理の観点からも注目されています。
- 🌱 協調性・非認知能力:2人が1つの音楽をつくる過程は、スポーツのチームプレーと同じ協調性を育てます。結果だけでなく「プロセスを楽しむ」姿勢が培われます。
- 🌱 季節感・情操教育:「春」をテーマにした音楽は、桜や暖かな風といったイメージと音を結びつける感性教育として機能します。言葉では伝えきれない「春の感触」を音楽で感じ取る経験は貴重です。
脳の急速な発達期は4歳までと言われており、この時期に音楽体験を積むことは知育にも効果があるとされています。意外ですね。
保育士が子どもの前でいきいきと連弾を演奏する姿自体が、子どもたちに「音楽を楽しむモデル」を示すことになります。完璧な演奏でなくてもよいのです。2人が楽しそうに音を合わせている姿が、子どもたちの「やってみたい」という気持ちを引き出します。
参考:ピアノ連弾の教育的効果を扱った保育者養成校の研究論文(関東学園大学紀要)
https://www.kanto-gakuen.ac.jp/junir/info/pdf/bulletin_594250.pdf
参考:ピアノ教室の連弾効果まとめ(横山ピアノ)

子供の四季・春の連弾を保育士が現場で活かす独自視点〜選曲とプログラム構成のコツ〜
「こどもの四季〈春〉」を発表会や保育イベントで取り上げる際に、多くの保育士が見落としがちなのが「この曲をどのプログラムの位置に置くか」という構成の問題です。楽譜を買って練習して弾いて終わり、では子どもたちへの効果が半減します。
この曲は演奏時間が約2分20秒と短いため、単体でプログラムに入れると「あっという間に終わった」という印象を与えてしまいます。そこで有効なのが「3部構成の春コーナー」を作る手法です。
① 保育士による「こどもの四季〈春〉」連弾演奏(2分20秒)
② 子どもたちによる「春の歌」の歌唱(「チューリップ」「ちょうちょ」など2〜3曲)
③ 保育士と子どもによる簡単な手遊び・リズム遊び
この3部を組み合わせることで、「連弾を見る→自分たちも歌う・動く」という体験の流れができ、子どもたちの能動的な参加を促せます。また保護者からも「見るだけでなく子どもも参加する」構成として評価されやすいです。
もう一つ意識したいのが「春」という季節のタイミングです。4月・5月の入園・進級後の時期に合わせてこの曲を取り上げると、子どもたちが「新しいクラス・新しい友達と一緒に春の音楽を聴く」という強い記憶に残る体験になります。春の思い出に音楽を結びつける、それが保育士にしかできない演出です。
- 💡 4月の入園式後の音楽タイム → 「こどもの四季〈春〉」連弾を演奏し、新しいお友達との最初の共同音楽体験を演出する
- 💡 5月の親子参観日 → 保育士2人の連弾演奏+保護者と子どもが一緒に歌うプログラムに組み込む
- 💡 ピアノ発表会(春季) → ピティナなどのコンクール曲集にも掲載される曲のため、発表会のプログラムに組み込む際の格式も申し分なし
また、「こどもたちへ」コンサートで発表されたこの曲は、すぎやまこういちや湯山昭など日本を代表する作曲家と同じコンサートで生まれた作品です。つまり、保育現場で弾く「初級連弾曲」でありながら、その出自は日本音楽の本流にあります。この文脈を保護者に一言添えるだけで、演奏会としての格が上がります。これは知っておくと得する情報です。
楽譜の購入から発表会での活用まで、計画的に動ける目安として「発表会8週間前に楽譜を入手・練習開始、4週間前に2人合わせスタート、2週間前に通し練習開始」というスケジュールが実践的です。
参考:アット・エリーゼ「もぐもぐブギ」収録曲一覧と楽譜詳細ページ
https://www.at-elise.com/goods/list?title=こどもの四季「春」(4手連弾)

心やさしく賢い子に育つ みじかいおはなし366: (小学館)

