反復記号と音楽の知識を保育士がしっかり身につける方法
D.C.(ダ・カーポ)に戻ったとき、リピート記号は無効になって演奏順序が変わります。
反復記号とは何か:音楽の楽譜を「コンパクト」にする仕組み
楽譜を開いたとき、太い縦線と点のセット、アルファベットの略語、🎯のような丸い記号などが目に入ることがあります。これらはすべて「反復記号」と呼ばれるもので、楽曲内の繰り返しや省略を指示するための記号です。
反復記号を使わないと、同じ音符の羅列が何ページにもわたって続くことになります。楽譜がかさばるだけでなく、視認性も下がり、演奏中に迷いやすくなる。つまり反復記号は「楽譜を読みやすくするための合理的な工夫」といえます。
保育士がピアノを弾く場面では、童謡・唱歌など比較的シンプルな曲が多いため、反復記号の登場頻度はそれほど高くありません。しかし保育士試験(保育実習理論の音楽問題)では、反復記号の読み方は頻出テーマの一つです。全20問中6問が音楽問題として出題されるため、ここを落とすと大きなダメージになります。反復記号をしっかり理解しておくことは、試験対策として非常に有効です。
反復記号は大きく分けると「小節単位の繰り返しを指示する記号」と「音符・拍単位の繰り返しを省略する略記号」の2種類があります。保育士試験で問われるのは主に前者です。種類は7つあり、それぞれ役割が異なります。
| 記号名 | 表記 | 意味 |
|---|---|---|
| リピート | |: … :| | 囲まれた小節を2回演奏 |
| 1番かっこ・2番かっこ | ①② | 1回目と2回目で異なる部分を演奏 |
| ダ・カーポ | D.C. | 曲の最初に戻る |
| ダル・セーニョ | D.S. | セーニョ(𝄋)の位置に戻る |
| フィーネ | Fine | D.C.・D.S.で戻った後、ここで終了 |
| コーダ(トゥ・コーダ) | 𝄌 | コーダ記号へジャンプして演奏 |
| シミレ | ・//・ | 直前の小節・拍を繰り返す |
記号の数を見ると多く感じるかもしれません。でも1つずつ覚えれば大丈夫です。次のセクションから、それぞれの記号の使い方を具体的に確認していきましょう。
OTO×NOMA「反復記号・略記号の基礎知識」:各記号の意味と譜例をわかりやすく解説している音楽理論サイト
反復記号の読み方:リピート・1番かっこ・2番かっこの演奏順序
最初に覚えたいのは「リピート記号」です。これは太い縦線と細い縦線の組み合わせに、2つの点がセットになった記号で、「|: … :|」のように表記されます。この記号で囲まれた小節を2回演奏するという指示です。シンプルですね。
たとえばA→B→C→D→(:|の地点)という楽譜があれば、「A→B→C→D→C→D」と演奏することになります。C→Dの2小節が繰り返されるイメージです。ここはそれほど難しくありません。
ところが、リピート記号と組み合わせて使われる「1番かっこ」「2番かっこ」が出てくると、少し注意が必要です。1番かっこ(①で囲まれた部分)はリピートの1回目だけ演奏し、2回目はその部分を飛ばして2番かっこ(②で囲まれた部分)を演奏します。
具体的な順番をイメージすると、次のようになります。
- A→B→①→(リピートでBに戻る)→B→①を飛ばして②→C→終了
カッコ部分を「1回目と2回目で差し替える」と覚えておくと理解しやすいです。これが基本です。3番かっこ以降も考え方は同じで、回数に対応したかっこの中を演奏します。
ここで一つ確認しておきたいポイントがあります。リピート記号は「左側の記号(:|)」がない場合、曲の最初まで戻るという解釈になります。楽譜によっては、最初の|:が省略されているケースがあります。これを見落とすと、どこに戻ればよいか迷ってしまいます。「戻る地点が明示されていなければ、曲頭まで戻る」が原則です。
ヤマハ「楽譜の読み方 #06」:リピート記号と1番カッコの基本ルールを図解付きで解説
反復記号の読み方:D.C.(ダ・カーポ)・D.S.(ダル・セーニョ)・Fine(フィーネ)の組み合わせ
「D.C.(ダ・カーポ)」は、イタリア語で「頭から」を意味します。D.C.が出てきたら、楽譜の最初(小節の1)まで戻って演奏し直す指示です。D.S.(ダル・セーニョ)は「セーニョ(𝄋)記号が書かれた位置まで戻る」という指示です。D.C.と1文字違うだけなのに、戻る先がまったく違います。ここは試験でも混同しやすい部分です。
そして「Fine(フィーネ)」はイタリア語で「終わり」を意味します。これは「D.C.やD.S.で戻ってきたとき、Fineのある場所で演奏を終了する」という記号です。つまり1回目に通過するときはFineを無視して先に進み、D.C.またはD.S.で戻ってきた2回目にFineで終了します。
演奏の流れを整理すると、以下のようになります。
- A→B→C(Fine)→D→E(D.C.)→A→B→C(Fine)でストップ
「Fineは1回目スルー、2回目で止まる」が条件です。この順序を守れれば迷いません。
ここで重要な「例外ルール」があります。D.C.やD.S.で戻った後、楽譜中に存在するリピート記号は原則として無効になります。つまり、D.C.で最初に戻っても、すでに通過したリピート記号はもう繰り返さずにそのまま先へ進みます。これを知らずにもう一度リピートを実行すると、演奏順序が大きく狂ってしまいます。
これは保育士試験の問題でも「ひっかけ」として出題されるポイントです。「D.C.の後はリピートをスキップする」を覚えておきましょう。
ヤマハ「楽譜の読み方 #07」:D.C.・D.S.・Fineの演奏順序を実例付きで丁寧に説明
反復記号の応用:コーダ(𝄌)とダル・セーニョの組み合わせパターン
コーダ(Coda)は「To Coda(𝄌)」と「Coda(𝄌)」のセットで使います。D.C.またはD.S.で戻った後、「To Coda」の記号が出てきたら、もう一つのコーダ記号が書かれた場所へジャンプして、そこから演奏を続けます。楽曲のエンディング部分に一気に飛ぶための記号です。
1回目に「To Coda」の前を通過するときは無視して先へ進みます。D.S.でセーニョに戻り、2回目に「To Coda」が出てきたときにコーダ記号へジャンプします。これが基本の流れです。
具体的な演奏順を示すと、以下のようになります。
- A→B(セーニョ)→C→D(To Coda・スルー)→E→F(D.S.)→B(セーニョへ戻る)→C→D(To Codaでジャンプ)→G(コーダ)→H→終了
「To Codaは1回目スルー、D.S.後の2回目でジャンプ」が条件です。
コーダ記号は楽譜によって「To Coda」「𝄌」「Ø」など表記が異なることがあります。見慣れない形でも慌てないようにするために、「コーダ記号=ジャンプの合図」と覚えておくのが一番シンプルです。
なお、楽譜が複数ページにわたるとき、コーダが前のページ、「To Coda」が後ろのページにあることも珍しくありません。ページをめくりながら追いかける練習も必要です。試験ではコンパクトな譜例で出題されるので、まず小さな譜例で順序を追う練習をするのが効果的です。
意外ですね。しかし、慣れれば楽譜の流れが一目でつかめるようになります。
Musica Musik「音楽用語・反復記号7種まとめ」:リピートからコーダまで、練習問題付きで演奏順を確認できる
保育士試験の音楽問題で反復記号が出たときの正しい解き方
保育士試験の筆記「保育実習理論」は全20問の選択式です。そのうち音楽問題は毎年6問程度出題されており、反復記号の演奏順序を問う問題は出題率が特に高い傾向があります。この6問を確実に取るかどうかで、合否に大きな差が出ます。
試験問題では、短い譜例が示されて「演奏順序として正しいものはどれか」という形式が一般的です。選択肢は「A→B→C→D→A→B」のように、小節の記号でアルファベット表記されています。落ち着いて1手順ずつ追えば必ず解けます。
試験問題を解くときの手順は、以下のように進めると迷いにくいです。
- ① まず反復記号をすべて確認する(Fine・D.C.・D.S.・コーダ・セーニョの場所をチェック)
- ② 1回目の演奏ルートを鉛筆で追いながら確認する
- ③ D.C.またはD.S.が出てきたら戻り、2回目のルートを確認する
- ④ Fineまたはコーダへのジャンプがあればそこでルートを変える
- ⑤ リピート記号はD.C.・D.S.後に再び通過しても繰り返さない
特に間違いやすいのが「D.C.後のリピートを再度繰り返してしまう」パターンです。これをやると選択肢が全部ズレてしまいます。「D.C.・D.S.の後、リピートは無効」は絶対に覚えておきましょう。
試験対策として使いやすいのは、過去問を使って演奏順序を手書きで追う練習です。頭の中だけで追おうとすると混乱しやすいので、紙に小節番号を書きながら順番を確認する癖をつけると得点につながります。
保育士試験過去問(平成26年・保育実習理論 問141):リピート記号の演奏順序を問う実際の出題例を確認できる
保育現場で楽譜を迷わず読むための反復記号の覚え方と実践ポイント
試験に受かってからも、保育士として現場で楽譜を使う機会は日々あります。入園式・発表会・毎日のお歌タイムなど、ピアノを弾く場面はさまざまです。楽譜をスムーズに読めると、子どもと向き合いながら演奏できる余裕が生まれます。
現場でよく使われる童謡・唱歌の楽譜は、リピート記号と1番・2番かっこの組み合わせが多いです。「1番の歌詞で1番かっこ、2番の歌詞で2番かっこ」という構造になっていることが多く、これさえ押さえれば大半の楽譜は読めます。これは使えそうです。
反復記号の覚え方として、実際に弾きながら声に出して演奏順を確認する方法がとても効果的です。「A、B、C(リピートでBへ戻る)、B、C(2番かっこへ)、D、終わり」と声でつぶやきながら弾くことで、手・耳・口の3方向から記憶に定着させることができます。保育の現場では、こどもに歌い聞かせる場面も多いので、実際の曲を使って練習するのが一番です。
もし反復記号が複雑に見える楽譜に出会ったときは、楽譜のコピーに鉛筆で矢印を書き込んで演奏順を「見える化」する方法がおすすめです。本番前の読み込み作業として5分あれば十分できます。
楽譜のアプリを活用する方法もあります。たとえば「Flat for Education」や「musescore」などのスコアビューアーは、楽譜をデジタルで開いて演奏を確認する機能があります。スマートフォンやタブレットがあれば無料で使えるものも多く、反復記号があっても自動で正しい順に再生してくれます。反復記号の演奏順を「音で確認したい」という場面で活用してみてください。
まとめると、反復記号への慣れは「読む→弾く→確認する」の繰り返しで身についていきます。最初はゆっくりで問題ありません。焦らず1つずつ覚えることが、長期的な上達への近道です。
kodomomusiq「音楽理論・楽典:記号と音楽用語(保育士試験対策)」:保育士試験の視点から音楽記号とリピート記号の意味をまとめた解説ページ

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