共鳴の意味を簡単に・保育士が現場で使うための完全ガイド
「共感」でうなずくだけでは、子どもの意欲を引き出せず保護者からの信頼も下がります。
共鳴の意味を簡単に説明すると?物理と保育の2つの定義
「共鳴(きょうめい)」という言葉は、日常会話でも専門書でも使われますが、実は意味が2層に分かれています。まずその土台を整理しておくことが、保育現場で正しく使いこなすための第一歩です。
物理学の観点から見ると、共鳴とは「振動体が、その固有振動数に等しい外部振動の刺激を受けると、振幅が増大する現象」を指します。音叉を2本用意して一方を鳴らすと、もう一方も音を出し始める現象が代表例です。これは「自分の固有の周波数と同じ波長が来たとき、自発的に大きく振動し始める」というイメージで覚えると理解しやすいです。
保育や心理の文脈では、意味がもう一段階深まります。共鳴とは「他者の考えや行動に対して、ただ同意するだけでなく、自分の内側から自発的に動かされること」です。焼津市の公開している保育研修会資料では、「共鳴とは、子どもと同じ思いに立ち、子どもと同じ『やってみよう』という意志をもって目標に向かっていくこと」と定義されています。
つまり共鳴が基本です。
| 区分 | 共鳴の意味 |
|---|---|
| 物理学 | 固有振動数が一致したとき、振幅が自然に増大する現象 |
| 心理・保育 | 他者の感情や意志に自分の内側から自発的に動かされること |
| 保育士試験 | 新生児が大人の表情を無意識に模倣する「共鳴動作」として出題 |
この2つの文脈を混同したまま「共鳴した」と言葉を使ってしまうと、保育記録や連絡帳での表現がぼやけてしまいます。これは使えそうです。
物理的な共鳴の例として覚えやすいのが「ハウリング」です。マイクをスピーカーに近づけたときに「キーン」と鳴る現象で、音が共鳴してループし増幅されます。保育現場でもこの「ループして増幅される」イメージが、子どもとの共鳴的な関わりを考えるときにヒントになります。
共鳴動作の意味と保育士試験での出題ポイントをまとめると
保育士試験を受験中の方、または受験を予定している方にとって、「共鳴動作」は避けて通れないキーワードです。実際に平成30年後期・令和7年前期など、複数回にわたって「保育の心理学」の科目で出題されています。
共鳴動作(きょうめいどうさ)の定義は、「新生児や乳児が大人の表情や動作と同様の反応を示す現象」です。たとえば、保育者が赤ちゃんに向かって舌を出したり口を開けたりを繰り返すと、しばらくして赤ちゃんが同じような動きをすることがあります。これが共鳴動作です。
共鳴動作が基本です。
研究者はメルツォフ(Melzoff, A.N.)とムーア(Moore, M.K.)で、彼らは「新生児には生後まもなくから、大人の顔の動き(舌出し、口の開閉など)を模倣する生得的な能力がある」と主張しました。この能力は意図的なものではなく、自動的・無意識的に生じる模倣行動とされています。生後1か月ごろが最も見られやすい時期です。
| 用語 | 意味 | 時期の目安 |
|---|---|---|
| 共鳴動作 | 大人の表情・動作を無意識に模倣する生得的反応 | 生後0〜2か月ごろ |
| エントレインメント | 大人の話しかけに合わせて身体を同期させる相互作用 | 新生児期から |
| 情動伝染 | 他児の泣き声を聞いてつられて泣く反応 | 新生児期から |
| 共同注意 | 他者の視線や指さしの先を追って注意を向ける | 生後9か月前後 |
試験対策として重要なのは、この4つを混同しないことです。特に「共鳴動作」と「エントレインメント」は似て非なるもので、エントレインメントは「音声・リズム的な同期」、共鳴動作は「顔の表情・動作の模倣」と切り分けて覚えると整理しやすくなります。
保育士試験「保育の心理学」は科目合格点が100点中60点と定められており、9科目すべてで6割を超えなければなりません。一発合格率はわずか約15%というデータもあります。つまり共鳴動作のような頻出用語を確実に押さえることが合格への近道です。
頻出用語を体系的にまとめた参考資料として、以下のリンクが役立ちます。過去問の解説と用語の整理が丁寧にまとめられています。
保育士試験「保育の心理学」の共鳴動作・エントレインメント・共同注意・情動伝染の解説(過去問分析)。
ふくしかくネット:また出る過去問分析 保育の心理学(新生児期・乳児期の発達【用語】)
共鳴と共感の違いを保育士が現場で理解するための比較
「共感」と「共鳴」は、保育の現場でも混同されがちな言葉です。しかし両者には決定的な違いがあり、その差を理解しているかどうかで、子どもへの関わりの深さが変わってきます。
共感(きょうかん)とは、「自分と他者はもともと違う」という前提に立ち、他者の感情や気持ちを理解しようとすることです。「そう感じているんですね」と寄り添う姿勢がベースにあります。一方、共鳴(きょうめい)は、他者の考えや行動に対して自分の内側から自然に動かされる状態です。「いいね」と理解するだけでなく、「自分もやってみたい」「一緒にやろう」という行動への衝動を伴う点が大きく異なります。
どういうことでしょうか?
具体例で比べてみましょう。子どもが「砂で大きなお城を作りたい!」と言ったとします。
- 共感の関わり:「すごいね、やってみたいんだね。じゃあ先生が見ていてあげる」
- 共鳴の関わり:「おもしろそう!先生もやってみたい!一緒に作ろう!」
共感は子どもの気持ちを「理解・受け止める」ことですが、共鳴は保育士自身の意欲も動かされて「共に動く」ことです。焼津市の保育研修会の資料では「共感を超えて共鳴する関わりをすることで、子どもの『やってみたい(意欲)』を『やってみよう(態度)』へつないでいく」と明記されています。これはまさに保育の核心的な考え方です。
つまり共鳴の方が「一歩踏み込んだ関わり」です。
保育現場では「共感だけで終わってしまう」関わりが実は多く見られます。「そうだね、わかるよ」と言葉では受け止めても、保育士自身が行動として動かない場合、子どもは「分かってもらえた」という安心感は得られますが、「よし、やろう」という次の一歩が生まれにくいとされています。
| 項目 | 共感 | 共鳴 |
|---|---|---|
| 立ち位置 | 相手を外から理解する | 相手と同じ側に立ち、自分も動かされる |
| 行動 | 受け止める・うなずく | 共に動く・一緒にやってみる |
| 結果 | 安心感を与える | 意欲を行動へと引き上げる |
保育現場での実践として、まず意識したいのは「自分の気持ちが本当に動いているか」を内省する習慣をつけることです。形だけの「共感の言葉」を重ねても、子どもには保育士の本音が伝わります。子どもの提案や遊びに対して、「自分は本当に面白いと感じているか?」を問い直すことが、共鳴的な保育の第一歩です。
焼津市こども部:保育研修会資料(共鳴・共感・共体験の定義と活用例)PDF
共鳴の意味を簡単に子どもの遊びや日常場面に当てはめる方法
「共鳴の意味は分かった。でも実際の保育にどう使えばいいの?」という疑問は自然です。ここでは、乳幼児それぞれの年齢帯における共鳴の具体的なシーンを整理します。
🍼 0〜1歳(乳児クラス)での共鳴
この時期は「共鳴動作」が現れるまさにその時期です。保育者が赤ちゃんに向かってゆっくり口を開けたり、舌を出したり繰り返すと、赤ちゃんが同じ動きをすることがあります。これは意図的なコミュニケーションではなく、生得的な模倣反応です。保育士はこの動きを「応答してくれた!」と喜びながら繰り返すことで、赤ちゃんとの情緒的なつながりが深まります。
共鳴動作が条件です。つまり、保育者側が顔を近づけて表情豊かに関わることが前提です。机の端から声をかけるだけでは共鳴動作は引き出しにくく、顔と顔を合わせた距離感(約30cm以内、新聞1枚分くらいの距離)が重要とされています。
🧒 2〜3歳(保育士試験でも登場する節目の時期)
2〜3歳になると、言語を通じた共鳴が始まります。「これ見て!」「一緒にやろう!」という子どものアプローチに対して、保育士が「面白い!どうやるの?」と自分も夢中になる様子を見せることが共鳴的な関わりです。この時期に大人から「共鳴された体験」を多く積んだ子どもは、自己肯定感が育ちやすいという観察報告もあります。
👧 4〜5歳(協同遊び・集団での共鳴)
年長クラスになると、子ども同士の間にも「共鳴」が起きます。一人がブロックで塔を作り始めると、気づいた瞬間に数人が集まってきてそれぞれ積み始める。これは「仲間の意欲が自分に伝わって、自分も動かされた」という集団レベルの共鳴現象です。
保育士の役割はこの連鎖を意図的に作ること。つまり「誰かが夢中になっている姿を他の子が見やすい環境配置をする」ことが共鳴を呼び込む環境構成のポイントです。
また、0〜2歳児と保育者の共感的関係を事例研究した論文(兵庫教育大学)では、「子どもの気持ちを受け止めることから、共感的関係が出発している」とされており、共感なき共鳴は成立しにくいことも示唆されています。共感が土台にあって初めて共鳴が生まれるという順序は押さえておくべき視点です。
兵庫教育大学リポジトリ:0〜2歳児と保育者との共感的関係についての事例研究(PDF)
共鳴の意味を簡単に伝える保育記録・連絡帳への書き方(独自視点)
保育士が「共鳴」を理解しても、それが保育記録や連絡帳の文章に反映されなければ、保護者や同僚との共有には活かせません。この視点は検索上位の記事にはほとんど取り上げられていない、実務に直結する内容です。
保育記録において「共鳴」を表現しようとするとき、多くの保育士がつまずくのは「子どもが楽しんでいました」という観察の記録にとどまり、「保育士自身がどう動かされ、どう動いたか」が書かれない点です。これでは「共感の記録」にはなっても「共鳴の記録」にはなりません。
共鳴の記録が条件です。具体的には以下のような書き方が参考になります。
❌ 共感どまりの記録例
「〇〇くんが砂で山を作ろうとしていたので、声かけをして見守りました。」
✅ 共鳴が伝わる記録例
「〇〇くんが砂を積み上げ始めたとき、私もその形が気になって思わず隣に座りました。『ここにこうしたら崩れないかな』と話しながら一緒に試すうちに、〇〇くんは集中を深め30分以上継続しました。」
2つの違いは明確です。後者には「保育士自身が動かされた瞬間」と「それによって子どもに起きた変化」の両方が記述されています。これが共鳴の本質を文章化したものです。
また、連絡帳に共鳴のエピソードを書くことで、保護者との「共鳴」も生まれやすくなります。保護者が「先生が本当に子どものことを面白いと感じてくれているんだ」と実感できる記録は、信頼関係の土台になります。
保育記録の書き方に悩んでいる場合は、「子どもの行動 → 自分の心が動いた瞬間 → 自分の行動 → 子どもの変化」という4ステップの構成を意識すると整理しやすくなります。これだけ覚えておけばOKです。
なお、保育記録の書き方を体系的に学べる資料として、こども家庭庁が公開している保育所保育指針の第2章「保育の内容」も参考になります。保育士としての専門的な関わりを言語化する際の基準として役立ちます。
こども家庭庁:保育所保育指針 第2章 保育の内容(PDF)

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