五味太郎の絵本クリスマスで保育士が読み聞かせを成功させる方法

五味太郎の絵本クリスマスで保育士が押さえたい読み聞かせの全知識

黙って読むだけの読み聞かせは、子どもの発達効果を半分以下にする可能性があります。

📚 この記事でわかること
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『まどからおくりもの』の基本情報

五味太郎が1983年に発表した累計135万部超のロングセラーしかけ絵本。対象年齢・あらすじ・仕掛けの特徴を解説します。

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保育士向けのねらいと読み聞かせのコツ

「クリスマスへの期待感を高める」「想像力を引き出す」2つのねらいと、保育現場で使えるページめくりの間の取り方を紹介します。

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クリスマス会での活用アイデア

ビッグブック版の活用法や、読み聞かせ後の製作・声かけ例など、クリスマス会をより盛り上げる実践的なアイデアを紹介します。

五味太郎の絵本『まどからおくりもの』とはどんな作品か

 

『まどからおくりもの』は、五味太郎が1983年に偕成社から発表したしかけ絵本です。累計発行部数は135万部を超えており、40年以上にわたって保育現場のクリスマス定番絵本として読み継がれています。ロングセラーには理由があります。

五味太郎は1973年に絵本作家デビューして以来、400冊を超える作品を発表してきた日本を代表する絵本作家です。代表作きんぎょがにげた』の累計発行部数は336万部以上(2025年版ミリオンぶっく調べ)に達しており、世界20カ国以上で翻訳出版されています。その五味太郎が手がけたクリスマス絵本が、この『まどからおくりもの』です。

本書のあらすじは次のとおりです。クリスマスの夜、ヘリコプターに乗ったサンタさんが家々の窓から中をのぞき、そこに住んでいる動物を判断してプレゼントを届けます。ところが窓から見えるのはわずかな「一部分」だけ。ネコだと思ったらブタだった、ワニだと思ったら……、という「あれ、ちがう!」という予想外の展開がページをめくるたびに続きます。

📖 絵本の基本スペック

項目 内容
書名 まどからおくりもの
作・絵 五味太郎
出版社 偕成社
発行年 1983年11月
対象年齢 3歳から(現場では2歳児にも好評)
定価 1,100円(税込)
サイズ 23×34cm・36ページ

この作品の最大の特徴は、ページ中央に「窓」に見立てた穴あき仕掛けがある点です。穴から動物の体の一部だけが見え、読者はそれが何の動物かを予想します。次のページをめくると部屋全体が映し出され、「全然ちがう!」という笑いとおどろきが生まれる構造になっています。はがきの横幅(約14cm)ほどの穴ですが、そこから生まれる想像力は無限大です。

保育士アンケートで「12月に読む絵本」として最多の票を集めた作品でもあり(保育士バンク調べ)、保育現場での信頼は折り紙付きです。つまり選んで外すことがない一冊です。

偕成社 公式ページでは本書の動画紹介も見ることができます。

偕成社『まどからおくりもの』公式ページ(あらすじ・書誌情報の確認に)

五味太郎の絵本クリスマス読み聞かせのねらいと対象年齢の選び方

保育士が読み聞かせを行うときは、「ただ読む」のではなく「ねらいを持って読む」ことが大切です。ねらいが定まると声のトーン・間の取り方・問いかけのタイミングが自然に変わります。

『まどからおくりもの』を読む際に設定しやすいねらいは主に2つあります。

🎯 ねらい①:クリスマスへの期待感を高める

サンタさん・プレゼント・クリスマスツリーなど、子どもが楽しみにしている要素が絵本全体にちりばめられています。読み聞かせを通じて「クリスマスってこんな夜なんだ」という具体的なイメージを子どもが持てるようになるのが大きなメリットです。読み終えた後、「サンタさんに何をもらいたい?」という自然な会話が生まれます。これがクリスマス会の導入として機能します。

🎯 ねらい②:部分から全体を想像する力を育てる

「窓から見えた一部分から、何の動物かを考える」という思考プロセスは、幼児期の認知発達において非常に重要なステップです。耳の形だけでウサギを想像する、しっぽの太さからどんな動物かを推測するといった経験が、観察力と想像力の基盤を作ります。

対象年齢については、公式表記は「3歳から」ですが、現役保育士10年以上のレビューでは2歳児以降でも十分楽しめると報告されています。2歳児クラスでは動物の名前に反応して声を上げる子が多く、3〜4歳児クラスではページめくり前に「わに!」「うさぎ!」と予想合戦が始まるケースが多いです。

年齢別の反応の違いも把握しておくと、声かけの内容を使い分けられます。

年齢 反応の傾向 声かけのポイント
2歳 動物の名前を言いたがる 「これは何かな?」とシンプルに問いかける
3歳 予想して当たると喜ぶ 「次は誰のおうちかな?」とワクワク感を共有
4〜5歳 部屋の細かい装飾に気づく 「ツリーがあるね、他にも何かある?」と深堀りする

対象年齢の幅が広いのは、この絵本の大きな強みです。

保育士バンク「12月に読む絵本アンケート」(本作が最多票を獲得した調査データとして参考に)

五味太郎の絵本クリスマス会で読み聞かせを盛り上げる具体的なコツ

読み聞かせ経験の少ない保育士でも「この本だけは外さない」と現場でよく言われる本作ですが、少しの工夫でさらに子どもの集中度は上がります。具体的なポイントを3つ紹介します。

✅ コツ①:ページをめくる前に「間」を作る

窓からちらっと動物の一部が見えているページを、少し長めに子どもたちに見せてください。「これは何かな?」と問いかけなくても、子どもたちは自然と声を出し始めます。この沈黙の3〜5秒が想像力を刺激する一番の仕掛けです。間が基本です。

保育現場での実践によると、このタイミングで「なんかな?」「わかった!」という声が子どもから自発的に出るようになり、絵本が一方通行の「見せ物」でなく双方向の「体験」になると報告されています。

✅ コツ②:各部屋の細かい装飾まで見せる

ページをめくって動物が明らかになった後も、すぐ次のページへ進まないことが大切です。それぞれの部屋にはクリスマスツリー・リース・ろうそく・おもちゃなど、動物ごとに異なる細かい飾りつけが描かれています。子どもは意外なほどそこに気づきます。「あ、飛行機のお布団がある!」という発見の声が出てきたら、それは子どもが主体的に絵本を読んでいるサインです。

✅ コツ③:驚いた声で「答え合わせ」の場面を盛り上げる

予想と違う動物が出てきたページでは、保育士自身が「あ、ぶたさんだった!」と軽く驚いた声を出すだけで、子どもたちのツッコミが一気に増えます。声の抑揚をつけると効果的です。「ちがうよ〜!」という元気な反応は、実はこの絵本が最も引き出しやすい子どもの声であり、集団読み聞かせの場が一体感で包まれる瞬間です。

読み聞かせに慣れていない保育実習生でも実践しやすいのがこの本の利点でもあります。読み聞かせ経験が少なくても大丈夫です。

現役保育士Ryuによる『まどからおくりもの』徹底レビュー(読み聞かせのポイント・ねらい解説)

五味太郎の絵本クリスマスをより活かすビッグブック版と製作アイデア

保育現場での読み聞かせに、ぜひ知ってほしいのがビッグブック版の存在です。通常版は23×34cmですが、ビッグブック版は43×45cmとほぼ倍のサイズになります。クラス全員(20〜30人規模)に窓の仕掛けをしっかり見せられるのが最大のメリットで、クリスマス会など大人数の読み聞かせ場面で特に威力を発揮します。

通常版は1,100円(税込)ですが、ビッグブック版は9,800円(税込)と価格差があります。購入前に園の予算・読み聞かせ人数・保管スペースを確認してから検討しましょう。費用と効果のバランスを見るのが条件です。

📦 ビッグブック版の基本情報

項目 内容
書名 ビッグブックまどからおくりもの
出版社 偕成社
対象年齢 3歳から
定価 9,800円+税
サイズ 43cm×45cm

読み聞かせの後に行う製作遊びも、この絵本との相性は抜群です。

🎨 読み聞かせ後の製作アイデア(3〜5歳向け)

  • 窓のぞき絵カード:画用紙を折って「窓」の切り抜きを作り、自分の好きな動物や人物を描いて窓から覗かせるカード製作。絵本の構造をそのまま体験できます。
  • プレゼント袋の色塗り:「サンタさんが自分に届けてくれるプレゼント袋」を想定した色塗り・スタンプ遊び。クリスマスへの期待感をさらに高めます。
  • 動物あてゲーム:シルエットカードを作り、「一部分だけ見せて何の動物かを当てるゲーム」として展開できます。集団遊びとして楽しめます。

読み聞かせから製作まで1時間の活動として組み立てやすいのも、保育士にとってこの絵本の実用的な魅力です。これは使えそうです。

ほいコレ「実習におすすめクリスマス絵本10選と実践例」(シール遊びなど活動つきの製作アイデアが参考になります)

五味太郎の絵本クリスマスで保育士が見落としがちな独自活用術

多くの保育士は『まどからおくりもの』を「クリスマスの前の2週間だけ読む絵本」として位置づけています。しかし実はこの絵本、クリスマスという枠を超えた使い方ができます。

「部分を見て全体を推測する」という絵本の構造は、11月の秋の実習でも「観察遊び」の導入として活用できます。たとえば落ち葉を一部だけ見せて「これは何の葉っぱかな?」というクイズに展開したり、動物の足跡カードを使った推測ゲームの前段として読んだりすることが可能です。季節行事に縛らないのが原則です。

また、保護者向けのおたよりやクリスマスのプレゼント候補として紹介するのも保育士ならではの活用法です。実際に「保育園のクリスマス会でもらった絵本が、家で毎晩のお気に入りになった」という保護者の声も記録されており(南箕輪村子どもの読書活動アンケート調べ)、家庭と保育現場をつなぐ橋渡し的な役割を持つ絵本でもあります。

さらに意外と知られていないのが、この絵本が読み聞かせ中に子どものツッコミを「自然に引き出せる」点が保育記録として有効な場面を生み出すことです。子どもが何の動物を予想したか、どんな声を出したか、を記録することで、語彙の発達・想像力の変化を観察する素材になります。「ちがうよ!」と叫べるようになった日が、その子の言語発達の一つの指標になることもあります。

🗓️ 年間を通じた活用カレンダー(例)

時期 活用シーン
11月中旬 「観察遊び」の導入として先行読み
12月上旬 クリスマス会直前の期待感醸成
12月24日前後 クリスマス会での本番読み聞かせ
1月(新学期) 「冬に読んだ絵本コーナー」として展示
随時 おたよりで保護者へ家庭読み聞かせを推薦

クリスマス会だけで終わらせるのがもったいない一冊です。ロングセラーには理由がある、という言葉の意味がここにも表れています。

南箕輪村「子どもの読書活動アンケート」PDF(保育園クリスマス会でもらった絵本の家庭定着エピソードが掲載)

まどから おくりもの (五味太郎・しかけ絵本(3))