プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番の名盤を選ぶポイント
保育士として音楽に親しむ日々の中で、クラシックの名曲をもっと深く楽しみたいと思ったことはありませんか。プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番は、20世紀に作られたピアノ協奏曲の中でも特に演奏頻度が高く、世界中で愛されている作品です。 名盤の数は多く、どこから聴き始めるか迷いがちですが、この記事では選び方の基準から名盤の特徴まで徹底的に解説します。
参考)ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 Op.26/Concerto …
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番の基本情報と曲の魅力
あなたが「1曲だけ選ぶなら絶対に損しない名盤はどれ?」と思っているなら、まず曲自体の魅力を知ることが最初の一歩です。
プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番 ハ長調 作品26は、1917年にロシアで作曲が開始され、1921年に完成した作品です。 完成まで4年以上かかったのは、ロシア革命の混乱と日本経由のアメリカ亡命が重なったためでした。 作曲者プロコフィエフ自身がピアノ独奏を担当し、1921年12月16日にシカゴ交響楽団と初演しています。classic-info+2
全5曲あるプロコフィエフのピアノ協奏曲の中で、第3番は圧倒的に人気が高い作品です。 第1番・第2番が「聴きにくい先鋭的な作品」だったのに対し、第3番はキャッチーなメロディと高度なテクニックが絶妙にバランスしています。 つまり「入り口として最適な作品」です。tsvocalschool+1
演奏時間は約27〜30分の3楽章構成。 第1楽章はクラリネットのソロから始まる印象的な序奏、第2楽章はガヴォット主題による5つの変奏、第3楽章はロンド形式で突進するように終わります。 特に第3楽章には、プロコフィエフが日本滞在中に聴いた長唄「越後獅子」のメロディが引用されているという、日本人にとって興味深い事実があります。soe006+1
意外ですね。
この「越後獅子」の旋律は第3楽章の第1エピソードに使われており、少し日本的な雰囲気を感じさせる部分です。 プロコフィエフは2ヶ月間の日本滞在で京都・奈良・大阪・東京・軽井沢・箱根を訪れており、東京と横浜でピアノ・リサイタルも開催していました。 亡命の途中で日本文化と深く触れ合い、それが作品に刻み込まれているのです。classic-info+1
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 名盤の定番:アルゲリッチ&アバド盤
「まず1枚だけ聴くなら」という問いへの答えは、ほぼ全員が同じ名前を挙げます。
マルタ・アルゲリッチのピアノ、クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による1967年録音は、この曲の定番中の定番です。 録音から半世紀以上が経過した現在も「最初に聴くべき1枚」として各所で紹介され続けています。 これが基本です。tsvocalschool+1
アルゲリッチは1967年当時まだ20代。 その若々しい情熱と疾走感が、アバドのシャープで小気味よいテンポと見事にはまっています。 アルゲリッチはアルゼンチン出身で、スペイン的な情熱とロシア音楽への深い洞察を両立させており、色彩豊かでスケールの大きな演奏を生み出しています。classic-info+1
録音はベルリンのイエス・キリスト教会で行われ、音質も現在でも十分に通用する水準です。 ベルリン・フィルというオーケストラの底力と、アバドのアンサンブル構築力が、アルゲリッチのピアノを完璧に支えています。 スリリングで、かつ表現の豊かさも存分に楽しめる名盤です。tsvocalschool+1
参考:このアルゲリッチ盤の詳細レビューと購入情報はこちら
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 おすすめ名盤レビュー|Classic-Info
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 名盤のロシア系名演:マツーエフ&ゲルギエフ盤
「アルゲリッチ盤を聴き終えた次に何を聴くか」という問いに対して、多くのファンが迷わず選ぶのがこの盤です。
セルゲイ・マツーエフのピアノとワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団のコンビは、この曲を「知り尽くした」演奏をしています。 第1楽章は爆速で進み、ゲルギエフのロシア的・色彩的な伴奏が曲全体を染め上げます。 ヴィルトゥオーゾ(名技家)系ピアニストのマツーエフは、そのテンポでも完璧に弾きこなしてしまいます。
参考)プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 Op.26 | おすすめ…
これは使えそうです。
ライヴ録音であることも、この盤の大きな魅力の一つです。 一期一会の緊張感と、マリインスキー劇場管弦楽団の管楽器ソリストたちの素晴らしい個人技が随所で光ります。 ただし、ギリギリを攻めるテンポゆえに、荒っぽさが出る瞬間もあるのが正直なところです。
全体的に「楽しく聴ける」ことが最大の特徴です。 アルゲリッチ盤の「優雅さと疾走感」とは異なる、「ロシア的な豪快さとエネルギー」がこの盤の個性です。 初めてこの曲を聴く方の最初の1枚としても、ベテランのコレクターが楽しむ1枚としても、高いレベルでお薦めできます。
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 名盤のキーシン盤:2種類の違いを知る
キーシンの録音は2種類あり、それぞれ全く異なる個性を持っています。この違いを知ることで、自分の好みに合った1枚を選びやすくなります。
エフゲニー・キーシンの2種類の録音の違いは以下の通りです。
| 録音 | 伴奏 | 特徴 |
|---|---|---|
| フィルハーモニア管弦楽団盤(アシュケナージ指揮) | ロシア的風情のある伴奏 | 職人的・正確・グロテスクな表現も辞さない充実感 |
| ベルリン・フィル盤(アバド指揮) | 機微にリズムを刻む精密な伴奏 | 品格・しなやかさ・非常に高いクオリティ |
アシュケナージ指揮フィルハーモニア管との盤では、キーシンはしっかりしたタッチでヴィルトゥオーゾ性を前面に出しています。 不協和音も遠慮なくきちんと弾いており、グロテスクとも言える表現までボキャブラリーに含まれています。 この曲の「大胆なジョーク」という側面は薄いですが、内容を誠実に表現した充実感のある演奏です。
アバド指揮ベルリン・フィルとの盤は、まだ若いころのキーシンの録音です。 テンポの速い中でしなやかに弾き、品格すら感じさせます。 アバド=ベルリン・フィルの精密なアンサンブルと、若きキーシンの才能が互いを引き立て合う、極めて水準の高い演奏です。
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 名盤から保育士が音楽理解を深める独自視点
保育士として子どもの音楽教育に携わる立場から、この曲を聴くことには実は大きなメリットがあります。
プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番には「ガヴォット」という舞曲のリズムが第2楽章の主題として使われています。 ガヴォットはバロック時代のフランス舞曲で、2拍子系のはっきりしたリズムが特徴です。 保育の現場でリズム遊びや音楽活動を行う際、このような「明確なリズム感を持つ音楽」を大人自身がしっかり体に染み込ませておくことが、子どもへの指導の質に直結します。
また、第1楽章の序奏はクラリネットのソロで始まります。 木管楽器の音色が柔らかく聴こえる理由や、ピアノとオーケストラがどのように「会話」しながら音楽を作るかを意識して聴くと、音楽の構造への理解が一段と深まります。これは問題ありません。
さらに注目したいのが「変奏曲」という形式です。 第2楽章はガヴォット主題が5回変奏されていきますが、「同じメロディがどう変化するか」を意識して聴くことで、子どもたちに「音楽の変化とアレンジ」を教える際のアイデアが生まれやすくなります。名盤の聴き比べは、単なる趣味を超えた「音楽的素養の投資」になるということです。
参考:プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番の楽曲構造と演奏の詳細解説
プロコフィエフ / ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 作品26|Orchestra Canvas Tokyo
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 名盤の映像作品:ユジャ・ワン&アバド盤
「音で聴くだけでなく、演奏の様子を目で見て楽しみたい」という方には、映像作品が最適な選択肢です。
ユジャ・ワンのピアノとクラウディオ・アバド指揮ルツェルン祝祭管弦楽団による2009年ルツェルン音楽祭のライヴ映像は、この曲の映像作品として最も高く評価されています。 ユジャ・ワンは中国出身の若手ピアニストで、フレッシュさとシャープなテクニックが光ります。 年齢を重ねたアバドと若きユジャ・ワンの共演は、見どころが非常に多い内容です。
第1楽章は、ルツェルン祝祭管弦楽団の色彩的で透明感ある演奏から始まります。 ソリストが集まったこのオーケストラの気合いが映像からも伝わり、アバドのシャープなアンサンブルとの緊張感ある絡み合いを堪能できます。 ピアノのタッチが映像でよく見えるため、「どうやって弾いているのか」という技術的な部分への興味も満たしてくれます。
第2楽章ではユジャ・ワンの色彩感に溢れた妖艶な演奏が堪能でき、第3楽章では最後に向かってテンポを上げる追い込みが鳥肌ものです。 映像があると情報量が格段に増え、音だけで聴くより曲の理解が深まります。 DVDやBlu-Rayで所有することで、繰り返し鑑賞できるのもメリットです。
参考:ユジャ・ワンとアバドのルツェルン映像の情報・演奏解説
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 映像作品情報|Classic-Info

プロコフィエフ (作曲家別名曲解説ライブラリー)

