バーバラ・クーニー絵本を保育士が読み聞かせで使うコツ
バーバラ・クーニーの絵本を読んだことがある保育士なら、「子どもが最後のページまで目を離さなかった」という経験が一度はあるはずです。
参考)バーバラ・クーニー / 海外絵本や古書絵本のフィネサ・ブック…
バーバラ・クーニー絵本の特徴と保育現場での評価
バーバラ・クーニー(1917年〜2000年)は、アメリカを代表する絵本作家・イラストレーターで、生涯に110冊以上の作品を残しました。 コルデコット賞を1959年(『チャンティクリアときつね』)と1980年(『にぐるまひいて』)の2度にわたって受賞した、数少ない画家の一人です。 コルデコット賞の複数受賞者は賞の創設(1937年)以来わずか7名のみで、いかに傑出した存在かがわかります。wikipedia+1
絵の美しさだけでなく、人生で大切なことをさりげなく伝えるストーリーが保育士から高く支持されています。 特に「読み聞かせ後に子どもたちが静かに考え込む」という反応が多く報告されており、情操教育の観点でも注目されています。 葛飾区立図書館の読み聞かせリストにも『ルピナスさん』が掲載されるなど、公的な教育機関でも積極的に活用されている作家です。nisaisa-ikuji+1
🌟 クーニー絵本が保育士に支持される理由
- 絵の細部まで丁寧に描かれており、繰り返し読んでも新しい発見がある
- 「世の中を美しくする」というテーマが、子どもの道徳心・共感力に自然に働きかける
- 大人が読んでも深みを感じる内容で、保育士自身が読み聞かせを楽しめる
- ページをめくるたびに場面が広がる構成で、子どもの集中力が続きやすい
保育士として読み聞かせに使う際は、絵をゆっくり見せる「間」を意識することが基本です。
参考)バーバラ・クーニー|世界を魅了する絵本作家のおすすめ作品15…
バーバラ・クーニー絵本の代表作と読み聞かせ効果
クーニーの代表作として保育現場でよく使われるのが、1982年発表の『ルピナスさん』です。 この作品で彼女は全米図書賞(1983年)を受賞しており、「世の中をもっと美しくするために何かをする」という主人公の使命感が、子どもたちの利他的な思考を育てるきっかけになります。
| 作品名 | 対象年齢目安 | テーマ | 読み聞かせ時間目安 |
|---|---|---|---|
| ルピナスさん | 4〜6歳〜 | 使命感・美しさ | 約8分
参考)https://www.lib.city.katsushika.lg.jp/images/upload/yomikou_202002.pdf |
| にぐるまひいて | 4〜7歳 | 家族・自然の循環 | 約7分 |
| ちいさな曲芸師バーナビー | 5歳〜 | 自己肯定・信仰 | 約10分 |
| ピーターのとおいみち | 4〜6歳 | 友情・挑戦 | 約8分 |
| エマおばあちゃん | 5歳〜大人 | 自立・生きがい | 約9分 |
『にぐるまひいて』はコルデコット賞受賞作で、家族が1年かけてつくったものを父親が売りに行き、また一から作り始めるという自然なサイクルが描かれています。 勤労感謝の日や秋の保育活動と組み合わせると、テーマと季節感が合わさって子どもたちの印象に残りやすいです。 これは活用しやすいですね。
『ちいさな曲芸師バーナビー』は、クーニー自身が13世紀の写本を見るためにパリへ渡航し、作品の舞台となるフランスの街をスケッチして回ったという、圧倒的な取材量に裏付けられた一冊です。 「自分にしかできないことで誰かを喜ばせる」という普遍的なメッセージは、自己表現が苦手な子どもへの読み聞かせにも有効です。
バーバラ・クーニー絵本の画風と技法——スクラッチボードの仕組み
クーニーの絵の最大の特徴は、作品ごとに技法を変えて描く点にあります。 初期の代表作『チャンティクリアときつね』で使われたスクラッチボード技法は、黒いインクを塗った板を細いニードルで削って線を描く手法で、鋭く繊細な線が特徴的です。 版画に近いこの技法は、細い線が重なりあって独特の質感を生み出し、他の絵本には見られないシャープな美しさをもちます。womangarden.powerful+1
スクラッチボードというのは版画と似た作業工程です。 白い下地に黒インクを重ね、ニードルで削ることで線が浮かびあがります。 削る力加減で線の太さが変わり、細部まで緻密な表現が可能になります。 一方、『ルピナスさん』などの後期作品ではアクリル絵の具を使った明るく透明感のある色彩が特徴で、同じ作家とは思えない画風の変化に驚かされます。
保育士が子どもたちに「絵のつくりかた」を紹介するときに、クーニーの作品比較は格好の教材になります。 「この絵は削って描いているんだよ」と説明すると、子どもたちの目が変わります。 絵本の世界への入り口が、画法の説明によって一段と広がるのです。
参考)大人の音読~絵本専門士が厳選!声に出して味わう絵本~ 202…
参考:バーバラ・クーニーの画法・スクラッチボード技法について(大阪市立図書館こどもの本リスト)
大阪市立図書館 こどもの本2025年リスト(バーバラ・クーニーのスクラッチ技法についての記述あり)
バーバラ・クーニー絵本の年齢別おすすめ——保育士が場面で使い分けるポイント
年齢や保育の場面に合わせた選書は、読み聞かせの効果を大きく左右します。 以下に保育士向けの目安をまとめます。
🍼 0〜2歳(乳児クラス向け)
- 『どこへいってた?』(マーガレット・ワイズ・ブラウン文):シンプルな問いかけとやわらかい絵が、聞く力の芽生えを促します
- 『7ひきのこうさぎ』:繰り返しの文体と動物の登場で、0〜1歳でも視覚的に楽しめます
🌱 3〜4歳(幼児前期向け)
- 『ピーターのとおいみち』:5歳の誕生日を迎えた男の子の冒険話で、同年齢への感情移入が生まれやすいです
- 『雪の日のたんじょう日』:誕生日という子どもに身近なテーマで、感情の起伏が丁寧に描かれています
🌿 5〜6歳(幼児後期〜年長向け)
- 『ルピナスさん』:「世の中を美しくする」という大きなテーマを、美しい絵とともに受け取れる年齢です
- 『にぐるまひいて』:家族の役割分担と自然の循環を、視覚的に理解できるようになる時期に最適です
📖 小学生以上の読み聞かせ向け
- 『エミリー』:詩人エミリー・ディキンソンをモデルにした作品で、「人と違うこと」を肯定的に捉える内容
- 『みずうみにきえた村』:ダム建設で沈んだ村の実話を元にした作品。環境・社会問題の入門として使えます
「とにかく1冊から始めたい」という保育士には、まず『ルピナスさん』が条件なしのおすすめです。 読み聞かせ後に「あなたは世界をどんなふうにきれいにしたい?」と問いかけるだけで、クラス全体が考えはじめます。
参考)「自分に何ができるのだろう」自分の価値に迷っている方におすす…
参考:保育士・読み聞かせボランティア向けの絵本リスト(葛飾区立図書館)
葛飾区立図書館 読み聞かせに向く絵本リスト(高学年向け・ルピナスさん掲載あり)
バーバラ・クーニー絵本が子どもの「自己効力感」を育てる理由——保育士だけが知る読み方
クーニー作品に通底するテーマは「自分にしかできないことをやり続ける」という自己効力感の育成です。 これは保育の現場で繰り返し大切にされる概念ですが、言葉で教えようとすると説教くさくなります。 だからこそ、絵本という形が力を発揮するのです。
たとえば『エマおばあちゃん』では、72歳のおばあちゃんが「もらった絵が気に食わないから自分で描く」という行動に出ます。 これは「自分でできる・自分でやってみる」という自己効力感の最もシンプルな形で、幼児が真似しやすいモデルになります。 子どもは主人公の行動を見て、「自分もやってみよう」という気持ちを自然に引き出されます。 これは使えそうです。
また、クーニー作品では「失敗や孤独」がきれいごとなしに描かれています。 『ちいさな曲芸師バーナビー』の主人公は修道院で無力感を感じ、『みずうみにきえた村』の少女は慣れ親しんだ村が沈んでいく現実と向き合います。 こうした「現実の困難」を絵本越しに安全に体験することが、感情のレジリエンス(回復力)を育てる訓練になります。
読み聞かせ後の保育士の一言が、効果をさらに高めます。 たとえば「バーナビーはどんな気持ちだったと思う?」と一問投げかけるだけで、子どもの言語化能力と共感力が同時に鍛えられます。 問いかけを習慣にするのが原則です。
参考:バーバラ・クーニーの生涯と作品(権威ある絵本作家紹介サイト・こそだてアルファ)
バーバラ・クーニー|世界を魅了する絵本作家のおすすめ作品15選(こそだてアルファ)
参考:バーバラ・クーニーの受賞歴・作品リスト(Wikipedia日本語版)


