ストラヴィンスキー 火の鳥の名盤を徹底解説
クラシック初心者には「組曲版より全曲版を先に聴くと損をします」。
参考)火の鳥 (ストラヴィンスキー) | おすすめ名盤レビュー【C…
ストラヴィンスキー 火の鳥とはどんな作品か
「火の鳥」は1910年にパリ・オペラ座で初演された、ストラヴィンスキーの出世作です。 もともとロシア5人組のリャードフに依頼されていた仕事でしたが、リャードフの遅筆もあり、バレエリュスの主宰ディアギレフがストラヴィンスキーに白羽の矢を立てました。
当時まだ30歳だったストラヴィンスキーにとって初の大規模バレエ作品でしたが、完成度は非常に高く、ドビュッシーも高く評価したとされています。 この成功を足がかりに「ペトルーシュカ」「春の祭典」と続く三大バレエが生まれ、20世紀音楽の歴史を根底から変えることになります。
全曲版と組曲版の違いは知っておくべき基本です。全曲版は約45分、1919年版の組曲は約21分と、演奏時間が大きく異なります。 組曲には収録されていない場面も多く、初めて聴く方は全曲版のほうが物語の流れをつかみやすいのです。
ストラヴィンスキー 火の鳥の名盤①:ブーレーズ=シカゴ響盤
ピエール・ブーレーズがシカゴ交響楽団と残した録音は、現在でも名盤の筆頭に挙げられます。 弱音の透明感、フォルテの圧倒的なパワー、そして高音質の三拍子が揃っています。つまり入門盤として最も失敗しにくい1枚です。
ブーレーズはニューヨーク・フィルとも録音していますが、シカゴ響盤は「派手さより深み」で聴かせるスタイルです。 カスチェイらの凶悪な踊りでも金管は整然とコントロールされ、凶暴な剥き出しよりも精緻な恐怖感を表現しています。 これは使えそうです。
参考)ストラヴィンスキー バレエ音楽「火の鳥」全曲 – クラシック…
ブーレーズ自身が現代音楽の作曲家でもあるため、ストラヴィンスキーの意図を深く読み取った演奏になっています。 弱音が続く「火の鳥の子守唄」では、録音の良さが際立ち、耳を澄ませて聴く楽しさを教えてくれます。
ストラヴィンスキー 火の鳥の名盤②:小澤征爾=パリ管盤
小澤征爾が1972年にパリ管弦楽団と録音したこの盤は、発売当時にレコード・アカデミー賞を受賞した名演です。 50年以上経った現在でも「火の鳥の名盤を挙げるなら」という話題で必ず名前が出るほどの作品です。意外ですね。
パリ管弦楽団は当時まだフランスの響きを色濃く残していた時代で、木管のやわらかさや弦の色彩感が独特です。 小澤征爾の若々しいインスピレーションとの化学反応が、他の録音にはない魅力を生んでいます。若さと完成度が同居した奇跡の1枚です。
2回目の録音であるボストン交響楽団盤(1983年)は端正さと高音質が売りですが、パリ管盤の「勢いと色彩」には敵わないという評価が多いです。 両方聴き比べると、指揮者の成熟がどう演奏に影響するかがよくわかります。
ストラヴィンスキー 火の鳥の名盤③:ゲルギエフ=マリインスキー盤
ヴァレリー・ゲルギエフがマリインスキー劇場管弦楽団と1995年に録音したこの盤は、ロシアの土の香りが漂う正統派の演奏です。 マリインスキー劇場はバレエの殿堂とも呼ばれる場所で、「火の鳥」はまさにお手の物という雰囲気が伝わります。ロシア的な響きが条件です。
速めのテンポで推進力があり、「魔王カスチェイの登場」付近のキレの良いサウンドは圧巻です。 木の温かみを感じる劇場の音響が録音に生かされており、色彩感よりも劇場のスケール感を堪能できます。percussionist+1
終曲ではホルンの繊細なソロから始まり、じっくりとスケール大きく盛り上がります。 カップリングのスクリャービン作品も名演で、2枚組で買っても損をしない充実したディスクです。
ストラヴィンスキー 火の鳥を保育現場で活かす独自の視点
「火の鳥」は保育士にとって意外な活用価値があります。作品の構造が「悪役の登場→クライマックス→解放と喜び」という明快な物語展開なので、子どもたちへの読み聞かせや劇あそびの音楽として非常に使いやすいのです。
参考)ストラヴィンスキー(1882~1971)バレエ 〈火の鳥〉 …
具体的には「カスチェイの凶暴な踊り」を怪獣が暴れる場面に、「王女たちのロンド」を優しい妖精の踊りに対応させると、子どもの想像力を刺激しやすくなります。 組曲版1919年版(約21分)なら、保育の活動時間に収まる長さで使いやすいです。組曲版なら問題ありません。
保育士がまず名盤CDで作品を深く知ることが、子どもへの伝え方のクオリティを上げる近道です。そのためにブーレーズ=シカゴ響盤のような高音質盤で繰り返し聴くことを、クラシック音楽の専門家たちも推奨しています。 自分が感動していないものは、子どもには伝わりません。それが原則です。
参考:火の鳥の詳細な楽曲解説と名盤レビューはこちら
火の鳥 (ストラヴィンスキー) | おすすめ名盤レビュー【CD,MP3,スコア,楽譜】
参考:各指揮者の演奏を場面ごとに細かく比較したレビューはこちら
ストラヴィンスキー バレエ音楽「火の鳥」全曲 – クラシック名盤試聴記

ドヴォルザーク: 交響曲第9番「新世界より」ほか(ネルソンス/バイエルン放送響)

