スキップやり方を子供に教える保育士向け完全ガイド

子供へのスキップのやり方と保育士が知るべき発達の基礎知識

実は、スキップができない5歳児は約30〜40%おり、「できなくても焦らせる指導」が運動嫌いを引き起こすリスクがあります。

この記事でわかること
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スキップの発達目安

スキップは一般的に4〜5歳で習得されますが、個人差が大きく6歳でも習得途中の子が約30〜40%います。

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ステップ別の教え方

片足ケンケン→リズムジャンプ→スキップの3段階で、子供が無理なく習得できる指導手順を紹介します。

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音楽・遊びを使った練習法

「タン・タン・タン」のリズム打ちや音楽に合わせた遊びが、スキップ習得を効率よくサポートします。

スキップとは何か:子供の運動発達におけるスキップの位置づけ

 

スキップは「ステップ+ホップ」を交互に繰り返す動きで、片足で跳び、着地した足で再びステップを踏む複合的な運動です。歩く・走るとは異なり、リズム感バランス感覚・左右の協調性が同時に必要になります。

これが基本です。

文部科学省が2012年に発表した「幼児期運動指針」では、幼児期(3〜6歳)に多様な動きを経験させることが推奨されています。スキップはその中でも「複合的な移動運動」に分類され、特に4〜6歳の時期に自然習得が期待される動きのひとつとされています。

つまり、スキップは「遊びの中で自然に育てる動き」です。

運動発達の観点では、以下の順に習得が進むとされています。

  • 2〜3歳:歩く・走る・ジャンプの基礎
  • 3〜4歳:片足立ち・片足ケンケンの習得
  • 4〜5歳:スキップの萌芽期(片足ずつのぎこちない動き)
  • 5〜6歳:スキップが安定してリズミカルになる

スキップができない子が5歳クラスに数名いても、発達的には正常範囲内です。焦らせる指導が運動嫌いを生む原因になることも、保育士として覚えておきたい重要な知識です。

スキップのやり方:子供に教える3ステップの基本手順

スキップを教える際に多くの保育士が陥りがちなのが、「見せてまねさせる」だけの指導です。しかし、スキップは複合運動であるため、部分に分解して段階的に教えることが習得の近道になります。

以下の3ステップが基本です。

  1. ステップ1:片足ケンケンの練習(左右各5〜10回)

    まず片足ケンケンを安定してできるかを確認します。左右どちらの足でもケンケンできることが、スキップの前提条件です。できない場合はこの段階からスタートします。

  2. ステップ2:「ステップ+ホップ」を片足ずつ確認

    「右足で踏み出して→右足でポンと跳ぶ」動作を繰り返し練習します。「タン・タン」という2拍のリズムを声に出しながら行うと、子供が動きを体感しやすくなります。次に左足でも同様に行います。

  3. ステップ3:左右を交互につなげてスキップへ

    右足のタン・タンと左足のタン・タンをつなぎ「右・右・左・左」のリズムで進みます。最初はゆっくり、慣れてきたらスピードを上げていきます。

「タン・タン」のリズムが鍵です。

保育現場では、口でリズムを言いながら一緒に動いて見せると子供が理解しやすくなります。「先生も一緒にやってみるね」というアプローチが、子供の模倣欲を引き出す効果的な方法です。なお、1日の練習時間は5〜10分程度が集中力の観点から理想的で、毎日短時間継続することが習得を早めます。

スキップの練習に使える遊びとリズム活動:保育士向けアイデア集

スキップの習得を早める最大のコツは、「練習させる」のではなく「遊びの中で自然にやらせる」ことです。子供にとって「練習」は義務に感じやすく、楽しくないと身体が動きにくくなります。

これは大切なポイントです。

以下に保育現場で実践しやすい遊びを紹介します。

  • 🎵 リズム遊び(タンブリン・ハンドクラップ):「タン・タ・タン・タ」のリズムを手拍子や太鼓で打ちながら、そのリズムで歩いたり跳んだりします。スキップに必要なリズム感が自然と育ちます。
  • 🎶 音楽に合わせたフリー移動:スキップのテンポに適した曲(例:「おどるポンポコリン」など3拍子・軽快な曲)を流し、「好きに動いていいよ」と声かけします。自然にスキップが出る子もいます。
  • 🦘 ケンパー遊び:床にフラフープや丸を描いて「ケン・ケン・パ」のリズムで跳ぶ遊びです。片足着地の感覚をゲーム感覚で養えます。
  • 👑 スキップリレー運動会や体育活動でスキップリレーを取り入れることで、練習に目的感と楽しさが生まれます。
  • 🐇 動物まねっこ遊び:「ウサギさんみたいに跳ねながら進んでみよう」と声かけすることで、スキップに似た動きを自然に引き出せます。

特にリズム遊びはスキップ習得に直結します。音楽や手拍子は言葉より先に身体が反応するため、言葉で説明するより速く習得につながる場合があります。

スキップができない子供への対応:保育士が知るべき個別支援のポイント

「スキップができない=指導が悪い」ではありません。この思い込みを手放すことが、適切な個別支援の第一歩です。

スキップの習得が遅れる背景には、いくつかの異なる要因があります。

  • ⚠️ 筋力・体幹の未発達:片足でのバランス保持に必要な筋力が不足しているケース
  • ⚠️ リズム感の未発達:2拍子のリズムを体感できていないケース
  • ⚠️ 発達的な個人差:神経系の発達が他の子より少し遅いだけで、病的な問題ではないケース
  • ⚠️ 経験不足:外遊びや運動遊びの量が少なく、複合運動の経験値が低いケース

まず「なぜできないか」を見極めることが大切です。

特に、発達的な個人差については、国立成育医療研究センターの研究でも「同じ年齢でも運動発達に最大1〜2年の個人差がある」とされています。保育士として重要なのは、できない子を他の子と比較するのではなく、その子自身の成長を縦に見ることです。

個別支援の具体的な方法としては、以下が有効です。

  • まず片足ケンケンができるかを確認し、できなければそこから練習を開始する
  • 「なんでできないの」という言葉を避け、「一緒にやってみよう」の声かけを徹底する
  • 少しでも動きが改善したら「さっきより上手になったね」と具体的に褒める
  • 5〜10分の短い練習を保護者にも家庭で行うよう連絡帳で共有する

なお、6歳を超えてもスキップが困難で、片足立ちや段差昇降など他の運動にも著しい遅れが見られる場合は、専門機関(小児科や作業療法士)への相談を保護者に提案することも選択肢のひとつです。

保育士だけが知っておきたい:スキップ指導と感覚統合の意外な関係

一般的にスキップは「運動の問題」と捉えられがちですが、感覚統合(固有覚・前庭覚・触覚の統合)の観点から見ると、実は「感覚処理の問題」として現れていることが少なくありません。これは保育士養成課程ではあまり触れられない視点です。

意外ですね。

感覚統合とは、脳が複数の感覚情報を同時に整理・処理する能力のことです。スキップには以下の感覚が複合的に関わっています。

  • 🧠 固有覚(筋肉・関節の感覚):自分の足がどこにあるかを感知し、力加減をコントロールする
  • ⚖️ 前庭覚(平衡感覚):片足跳びの際に倒れないよう姿勢を保つ
  • 🎵 聴覚的リズム処理:2拍子のリズムを身体で表現する

感覚統合が基礎にあります。

感覚統合の研究者であるアメリカの作業療法士A.ジーン・エアーズ(A. Jean Ayres)は、1970年代に感覚統合理論を提唱し、「複合運動の困難は感覚処理の問題を反映している場合がある」と指摘しています。この知見は現在も作業療法・特別支援教育の現場で活用されています。

保育士として実践できる感覚統合へのアプローチは以下の通りです。

  • 🌀 トランポリン遊びや平均台歩きで前庭覚・固有覚を刺激する
  • 🧩 粘土・砂遊びなど触覚を使う遊びを日常的に取り入れる
  • 🥁 手拍子やリズム楽器遊びで聴覚的リズム処理を育てる

これらは「スキップの練習」を直接しなくても、スキップに必要な感覚基盤を底上げする活動です。スキップだけでなく、走る・投げる・跳ぶといった他の運動能力向上にも波及するため、保育活動に日常的に組み込む価値があります。

感覚統合の視点を取り入れた保育実践については、日本感覚統合学会が研修や資料を提供しています。

日本感覚統合学会 ― 感覚統合療法・保育への応用について

スキップができない子への対応を「運動の反復練習」だけで済ませず、「なぜ動きにくいのか」を感覚統合の視点から考えることが、保育の質を大きく上げる一歩になります。これは使えそうです。


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