スカルラッティ ソナタの難易度を正しく知り、選曲で失敗しない
「スカルラッティのソナタはどれも短くて簡単そう」と思っていると、練習を始めてから後悔することがあります。
スカルラッティ ソナタの難易度評価の仕組みと読み方
スカルラッティのソナタを選ぶとき、最初に理解しておきたいのが「難易度の評価基準」です。 世界的に信頼度の高い楽譜出版社「G.Henle(ヘンレ)」の評価では、1〜9の段階でピアノ曲の難易度が示されており、スカルラッティの人気曲はおおむね5〜7の範囲に集中しています。
5は「中級」、7は「上級」に相当します。 たとえばHenle難易度5のK.9(パストラーレ)はツェルニー40番程度が目安で、7のK.141はツェルニー50番以上のテクニックが求められます。pianeys+1
つまり「Henle評価を先に確認する」が基本です。
スカルラッティのソナタには「Kナンバー(カークパトリック番号)」と「Lナンバー(ロンゴ番号)」の2種類の作品番号があります。 1906年にロンゴが544曲を編纂してLナンバーを付けましたが、年代順の整理がされていなかったため、後にカークパトリックが全555曲を時代順に並べ直してKナンバーを付け直しました。 楽譜を探すときは両方の番号を確認しておくと、目的の曲を間違えずに選べます。
参考:スカルラッティ ソナタの難易度・楽曲一覧(うきうきピアノ楽譜.com)
スカルラッティ ソナタ 人気曲の難易度比較一覧
主要な人気曲を難易度別に整理すると、選曲の判断がしやすくなります。 以下の表はHenle評価を基準にまとめたものです。
| 曲名 | 作品番号 | 調性 | Henle難易度 | 目安レベル |
|---|---|---|---|---|
| ソナタ「パストラーレ」 | K.9 / L.413 | ニ短調 | 5(中級) | ツェルニー40番程度 |
| ソナタ | K.27 / L.449 | ロ短調 | 5(中級) | ツェルニー40番程度 |
| ソナタ | K.159 / L.104 | ハ長調 | 5(中級) | ツェルニー40番程度 |
| ソナタ | K.380 / L.23 | ホ長調 | 5(中級) | ツェルニー40番程度 |
| ソナタ「猫のフーガ」 | K.30 / L.499 | ト短調 | 6(中級上) | ツェルニー40〜50番 |
| ソナタ | K.460 / L.324 | ハ長調 | 6(中級上) | ツェルニー40〜50番 |
| ソナタ | K.20 / L.375 | ホ長調 | 7(上級) | ツェルニー50番以上 |
| ソナタ | K.141 / L.422 | ニ短調 | 7(上級) | ツェルニー50番以上 |
| ソナタ | K.454 / L.184 | ト長調 | 7(上級) | ツェルニー50番以上 |
Henle難易度5の曲が「初心者向け」かというと、少し注意が必要です。 ソナタアルバムやソナチネアルバムを一通り終えた人が対象で、まったくの初心者には向きません。 難易度5が条件です。
発表会での選曲はK.9・K.380・K.27あたりが定番です。 特にK.380(ホ長調)は小学3年生がピアノ発表会で演奏する動画も公開されており、適切な指導のもとであれば若い演奏者にも十分対応できる曲です。pianeys+1
スカルラッティ ソナタ 難易度を上げる「3つの技術的特徴」
楽譜上の見た目より実際の演奏が難しく感じる理由が3つあります。ne+1
それぞれを知っておくと、練習前に心構えができます。
① 手の交差(クロス・ハンド)
K.27やK.141では、左手が右手をまたぐように鍵盤の上を交差します。 特にK.141は16分音符の連続中に手の交差が頻出するため、腕と手首の柔軟性が不可欠です。 動きの大きさは「腕を30〜40cm水平に移動させるイメージ」で、慣れるまでに相当な練習が必要です。ne+1
② 高速同音連打
K.141の最大の難所は右手による高速の同音連打です。 ギターのトレモロ奏法を鍵盤で再現するような動きで、指の独立性と持久力が試されます。 速度がPrestoに指定されているため、テンポを落として丁寧に仕上げる練習が必要です。reddit+2
③ 装飾音とトリル
K.9(パストラーレ)の美しさを生む装飾音ですが、これが難易度を左右する要因でもあります。 トリルの増減で難易度が大きく変わるため、楽譜版によって「弾きやすさ」に差が出ます。 これは使えそうです。
スカルラッティのソナタはもともとチェンバロのために書かれた曲です。 ピアノとチェンバロは発音の仕組みが根本的に異なるため、現代のピアノで演奏する際はタッチや音量のコントロールに独自の工夫が必要です。 チェンバロ奏法をピアノに応用した演奏法を解説する教則本・解説書を一冊持っておくと、練習の方向性が明確になります。
参考:スカルラッティ ソナタの練習経験・技術的解説
スカルラッティ ソナタ 難易度別のおすすめの選び方と練習順
まず自分の現在のピアノレベルを「ツェルニー何番程度か」で確認するのが最初の一歩です。
🎹 中級(ツェルニー40番程度)から始めたい人
- K.9(パストラーレ):トリルが多いが旋律が美しく弾き映えする
- K.380(ホ長調):「おもちゃの行進」のような愛らしさで発表会向き
- K.27(ロ短調):哀愁ある旋律と手の交差が絶妙なバランス
🎼 中級上〜上級(ツェルニー40〜50番以上)を目指す人
- K.30(猫のフーガ):二声のフーガ構造を理解しながら弾く中級上の定番
- K.141(ニ短調):高速連打と手の交差が連続する上級者向けの名曲ne+1
- K.20(ホ長調):プレストで進む不協和音が個性的な上級曲
K.9とK.380を両方選べば、発表会1曲分の充実した構成になります。
練習を効率化するために役立つのが、演奏を録画して客観的に聴き直す習慣です。 自分の演奏の「揺れ」「ミスタッチの傾向」「手の動きの無駄」は録音・録画で初めて気づけることが多く、スマートフォン1台で十分に実践できます。
保育士がスカルラッティ ソナタを活用できる意外な場面
保育士としてピアノを弾く機会は「子ども向けの伴奏」が中心ですが、スカルラッティのソナタを学ぶことで得られる副産物があります。
スカルラッティのソナタで鍛えられる「左右独立のコントロール」「装飾音の扱い方」「手の交差動作」は、子ども向けの楽曲を弾く際にも直接役立つ技術です。 たとえばK.9(パストラーレ)の装飾音を練習すると、子ども向けポップスや童謡に登場する「ターン」「モルデント」の処理が自然に身につきます。ne+1
意外ですね。
スカルラッティのソナタは「二部形式(前半・後半を各2回繰り返す)」という構造を持ちます。 1曲を通じて楽曲の「形」を学べるため、音楽の構造を子どもに説明するときの引き出しにもなります。 短い1楽章のみの構成なので、時間的にも無理なく取り組めます。
K.380をBGMとして保育室で流すと、愛らしいリズムが子どもたちの情緒に穏やかに働きかける効果も期待できます。 「音楽を弾く人」だけでなく「音楽を使う人」としての視点で、スカルラッティのソナタを活用する発想は一石二鳥です。
参考:D.スカルラッティ 発表会おすすめ曲一覧(ピアノサプリ)
D.スカルラッティ作曲の発表会おすすめ曲

スカルラッティ:ソナタ集 (Sudbin – Scarlatti: Pisno Sonatas) [Import]

