クラリネットをこわしちゃった歌詞の意味と保育への活かし方
実は「クラリネットをこわしちゃった」は、クラリネットが1本も壊れていない歌です。
クラリネットをこわしちゃったの歌詞全文と構成
「クラリネットをこわしちゃった」は、フランス伝承童謡を石井好子が訳詞し、1959年にダーク・ダックスとの共演で日本に紹介した楽曲です。 NHK「みんなのうた」でも1963年から放映され、日本全国で広く親しまれるようになりました。
歌詞の構成は「累積歌」のスタイルになっています。つまりこうです。
- 最初は「ドの音が出ない」
- 次に「ドとレとミの音が出ない」
- 最後は「ドからシまで全部の音が出ない」
という形で、出ない音が1つずつ増えていきます。 全部の音が出なくなるので、実質的に楽器はまったく演奏できない状態ですね。 このドミノ式に積み重なっていく歌詞の構成が、子どもたちの記憶に残りやすく、音楽的にも繰り返し楽しめる工夫です。
参考)クラリネットをこわしちゃった 歌詞の意味 和訳 フランス語 …
日本語歌詞で「こわれて出ない音がある」と表現されていますが、原曲フランス語では「J’ai perdu le do de ma clarinette」、つまり「ぼくはクラリネットのドを失った(出せなくなった)」という意味です。 楽器が物理的に壊れているわけではありません。
参考)クラリネットをこわしちゃった(フランス童謡、服部克久、石井好…
「オパキャマラド」はおまじない?フランス語の本当の意味
保育士がこの曲を子どもたちに教えると「オパキャマラドって何?」と必ず聞かれます。多くの人が「壊れたクラリネットが出す変な音」だと思っていたようですね。
参考)J’ai perdu le do de ma clarine…
この部分の正体はフランス語の「Au pas, camarade(オ・パ・キャマラード)」で、直訳すると「一歩一歩だ、友よ」という意味です。
参考)童謡「クラリネットをこわしちゃった」のフランス語原曲の歌詞と…
| フランス語 | 発音 | 日本語の意味 |
|---|---|---|
| Au pas | オ・パ | 一歩ずつ、足並みを揃えて |
| camarade | キャマラード | 友、仲間、同志 |
| Au pas, camarade | オパキャマラード | 一歩一歩だ、友よ |
実はこの「Au pas」は、ナポレオン時代のフランス軍隊行進曲「玉葱の歌(La chanson de l’oignon)」から採られた歌詞です。 もともと軍隊の「整列ーっ!」に使われる掛け声でした。
参考)https://www.yamaha.com/ja/musical_instrument_guide/clarinet/trivia/
つまり「オパキャマラド」は、クラリネットがうまく吹けない息子に対して、パパが「一歩ずつ練習していこう」と励ましているセリフだったのです。 これは使えそうです。
保育現場で使うとき、この意味を子どもたちに簡単に伝えるだけで、繰り返しの歌詞に「気持ち」が込められます。「一緒にがんばろう!という意味なんだよ」と一言添えると、子どもたちの歌い方が変わります。
クラリネットをこわしちゃったの歌詞が示す「パパ」の本当の立場
日本語歌詞だけ読むと「パパに見つかったら怒られる!」という内容に見えます。これが原因で「パパは怖い存在」というイメージを持つ人も多いですね。
ところが原曲フランス語の構造はまったく違います。
フランス語原曲でパパのセリフとして書かれているのは次の内容です。
- 「お前はリズムを分かっていないな」
- 「お前はダンスの踊り方を知らないようだ」
- 「リズムに合わせてやるんだ、坊や」
パパは怒っているのではなく、リズムの取り方を指導しているわけです。 石井好子は訳詞の意図について「たいした意味はなく、言葉とリズムのおもしろさで子どもたちに喜ばれている歌」と記しています。wikipedia+1
つまり「壊れた」という表現は、あくまで日本語版の訳詞上の演出です。 原曲では「演奏できない」=「技術が未熟」という文脈で、パパが丁寧に指導している歌なのです。
保育士としてこの歌を扱うとき、「失敗してもいい、一歩ずつ練習しよう」というメッセージを子どもたちに伝えられる歌として紹介するのがおすすめです。前向きな内容として届けると、クラス全体の雰囲気が変わります。
参考:フランス語原曲の歌詞と詳細な解説はこちら
童謡「クラリネットをこわしちゃった」のフランス語原曲の歌詞と解釈(Monsieur Langue)
クラリネットをこわしちゃったを使った保育士の歌唱指導テクニック
保育士資格の実技試験「音楽」では弾き歌いが求められ、2025年度の課題曲は「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」と「証城寺の狸囃子」でした。 「クラリネットをこわしちゃった」は試験課題ではありませんが、現場では非常に使いやすい教材です。
この歌を保育で使うときに効果的な指導法をまとめました。
- 🎵 累積歌の構造を活用する:毎回「音が1つ増える」形式なので、子どもが自然に音名(ドレミファソラシ)を覚えられる
- 🤝 手遊びと組み合わせる:COMPASS発達支援センターの動画のように、振り付けを入れることで発語を促す効果がある
- 😂 「リアル版」演奏で笑いを取る:クラリネット経験がある保育士なら、パーツを1つずつ外しながら演奏する「こわれていく演出」が子どもたちに大ウケ
- 🔁 繰り返しの安心感を活かす:同じメロディが繰り返されるため、落ち着きづらい子も自然と歌に参加しやすい
音楽的な発達という観点から見ると、ドレミの音名を順番に覚えることは幼児期の重要なステップです。これが基本です。
この曲は4歳〜5歳クラスでの活用が特に効果的です。音名認識が始まる年齢帯と合致しており、楽しみながら「ドからシまで7つの音がある」ということを身体で覚えさせることができます。
参考:保育士試験実技「音楽」の詳しい傾向と対策はこちら
【2025年保育士試験実技】ピアノ伴奏のコツは?(きらサポ)
クラリネットをこわしちゃったが保育で愛される理由:発達支援の視点から
この歌は保育士が弾き歌いしやすく、子どもの発達に多面的にアプローチできる点が際立っています。意外ですね。
発達支援の現場では、言語の遅れや発達障がいを抱える子どもへの指導ツールとして積極的に使われています。 具体的には次の3つの効果が報告されています。
- 発語の促進:「ドとレとミ」という繰り返し発音が言語トレーニングに役立つ
- リズム感の育成:「Au pas(一歩ずつ)」の原義通り、テンポに合わせて体を動かすことでリズム感が育つ
- 順序・系列の理解:ド→レ→ミと順に増えていく構造が「数・順序の概念」発達を助ける
指導される方(保育士)が一緒に振り付けを覚えて歌うことで、子どもたちが真似しやすくなり、トレーニングが楽しく進みます。 先生が笑顔で歌うことが一番の効果です。
音楽療法の視点では、繰り返し構造を持つ童謡は「予測できる展開」が子どもに安心感を与えます。自閉スペクトラム症やADHDの傾向がある子どもにとっても、パターン化された歌詞は落ち着いて参加しやすい環境を作ります。
発語が遅れている子どもへのアプローチを体系的に学びたい場合、COMPASS発達支援センターのような療育専門機関が提供する動画教材の活用が、日常の保育の質をさらに高めます。
参考:「クラリネットをこわしちゃった」手遊び歌の発語指導活用例はこちら
COMPASS発達支援センター(療育支援の最新情報)

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