よさこい発祥の地と経緯:高知から全国へ
よさこいの手に持つ鳴子は、もともと「田んぼの鳥よけ」農具で、祭り用に作られた道具では一切ありません。
よさこい発祥の地・高知での誕生の背景と経緯
よさこい祭りが生まれたのは、1945年(昭和20年)の高知大空襲と翌年の南海地震という二重の打撃を受けた直後の時代です。 街は焼け野原になり、商店街は客が来ない「夏枯れ現象」に悩み続けていました。story.nakagawa-masashichi+1
そこで高知商工会議所の常議員・入交太兵衛氏が1953年、「商店街に客を呼び込む何かをしよう」と発言したことが直接のきっかけになります。 食うや食わずの市民を元気づけたいという、切実な想いが原動力でした。 つまり、よさこいの根っこは「地域の生活再建」です。newskochi+1
実は発案段階で大きく意識されたのが、隣県徳島の阿波踊りでした。 「阿波踊りに負けないものを」という対抗心が、祭りの形を決定づけています。 そうした競争心が、高知ならではのエネルギッシュな祭文化を育てたとも言えます。smt.yosakoi+1
1950年3月に開催された「南国高知産業大博覧会」では、お座敷踊りを発展させた「新しいよさこい踊り」がすでに披露されており、これが祭りのプロトタイプとなりました。 そして1954年8月、第1回よさこい祭りがついに開催されます。 第1回には各チームが街の商店街を練り歩く形式が採用され、現在まで続く基本スタイルが確立しました。yomiuri-ryokou+1
よさこいの名前の由来と「よさこい節」のルーツ
「よさこい」という言葉自体のルーツは古語にあります。「夜さり来い(=今晩いらっしゃい)」という招待の言葉が転じたものとされています。 これは土佐の地で長く使われてきた言い回しで、温かみのある語感が残っています。
江戸時代には「よさこい節」と呼ばれるお座敷唄として高知で歌われており、「土佐の高知のはりまや橋で……」で始まる歌詞は現代でもよく知られています。 意外ですね。
別の説では、慶長年間(1596〜1615年)に山内一豊が高知城を築いたとき、作事場で歌われた木遣り唄「ヨイショコイ」という掛け声が変化したという説もあります。 複数の説が混在しているほど、よさこいの起源は深く古い歴史を持っています。
参考)よさこいチーム夢源風人
よさこい節の歌詞には「珊瑚の簪(かんざし)」が登場しますが、珊瑚は御禁制品であったことから、実際には「花かんざし」を指していたという見方もあります。 言葉一つにも時代の文脈が詰まっているということですね。
参考)https://www.k-hamacho.com/tosageiko/minyo/entry-111.html
よさこいに欠かせない鳴子の発祥と保育での活用
よさこいの象徴とも言える鳴子は、もともと平安時代から使われてきた「鳥よけ農具」です。 田んぼや畑に吊るして、鳥や獣から稲や作物を守るための道具でした。 祭り専用の道具ではなかったのです。kochi-marugoto+1
よさこい祭りの振り付けを考案した武政英策氏が「稲の二期作地帯である高知をイメージした打ち物として鳴子を使おう」と提案したのが、鳴子がよさこいのアイテムになったきっかけです。 農業文化の象徴を祭りに転用するという、土佐らしい発想がそこにあります。これは使えそうです。
参考)“よさこいエリート”と振り返る、商店街と共に歩んだ高知「よさ…
また阿波踊りが「素手で踊る」のに対し、「鳴子を持って対抗しよう」という差別化の意図も明確にありました。 つまり鳴子の採用は「農耕文化のシンボル」と「阿波踊りとの差別化」という二重の意味を持っていたわけです。
参考)https://smt.yosakoi.com/about-2.html
保育の現場では、鳴子の代わりにカスタネットやペットボトルのマラカスを使って、よさこい踊りを取り入れる園も増えています。 農具から生まれた鳴子の話を子どもたちにすることで、「道具が変わっていく面白さ」を伝える導入にもなります。鳴子の歴史が、保育の教材になるということですね。
YOSAKOIソーランが生まれた経緯と全国普及の理由
高知のよさこいが全国に広まった最大のきっかけは、1992年(平成4年)に北海道で誕生した「YOSAKOIソーラン祭り」です。 きっかけは一人の大学生の体験でした。
当時北海道大学2年生だった長谷川岳氏(現・参議院議員)が、母親の見舞いで訪れた高知でよさこい祭りを目撃し、その躍動感に強く感動します。 「北海道でもこんな祭りを」と学生仲間5名と実行委員会を発足させ、高知よさこいの「鳴子」と北海道の民謡「ソーラン節」を組み合わせた新しい祭りを作り上げました。
第1回YOSAKOIソーラン祭りは参加10チーム・約1,000人からスタートし、観客は約20万人を集めました。 現在では260チーム超・参加者約26,000人・観客約200万人規模に成長しています。 20年余りで規模が200倍になったということですね。
さらに普及に火をつけたのが、北海道稚内南中学校「南中ソーラン」の全国民謡民舞大会日本一とテレビドラマ「3年B組金八先生」での放映です。 現在、全国200か所以上でよさこい系の祭りが開催されており、よさこいはもはや全国文化になっています。
参考)YOSAKOI(よさこい)…日本人なら「ソーラン」は踊れると…
保育士がよさこいを園行事に取り入れるときに知っておきたい視点
保育園や幼稚園で「よさこい」を運動会や発表会に取り入れる園は、全国各地で増えています。ただ「派手な衣装で踊るもの」と思われがちですが、発祥の歴史を踏まえると伝えられる価値観が大きく広がります。
参考)https://senzoku.repo.nii.ac.jp/record/2000421/files/ronsou_53_05.pdf
よさこいの誕生は「戦後の困難な時代に人々が助け合い、街を元気にしようとした物語」です。 子どもたちによさこいを教えるとき、踊り方だけでなく「なぜこの踊りが生まれたか」を伝えることが、文化的な保育につながります。これが原則です。
参考)土佐人の心を復興させた「原点のよさこい」を次代に伝えたい。高…
幼児保育においてよさこい文化を取り入れる際は、祭り参加だけにとどまらない可能性があるという研究報告もあります。 音・リズム・身体表現・郷土文化理解・協調性の育成といった複数の教育的要素をよさこいは同時に持ちます。
鳴子の代用品(カスタネット・手作り打楽器など)を使って、まず「鳴らす楽しさ」から始めるのが低年齢児への導入として効果的です。年齢が上がれば「なぜ鳴子を使うのか」という問いかけから、農業・高知の文化・戦後の歴史へと学びを広げることができます。発祥の経緯を知ることは、保育の引き出しを増やすことに直結するということですね。
参考リンク(よさこい祭りの誕生背景・歴史的経緯の詳細が読めます)。
参考リンク(鳴子が農具から生まれた経緯と歴史的背景について詳しく解説)。
参考リンク(YOSAKOIソーラン祭りの誕生経緯と全国展開のプロセス)。
参考リンク(幼児保育へのよさこい文化導入に関する学術的な研究報告)。

