いちごの旬はいつ?保育士が押さえる基本と食育活用法
「いちごは春の果物」と思って食育に使っていると、子どもへの説明が9割間違いになります。
いちごの旬はいつ?出荷時期と本来の旬の違い
スーパーでいちごを見かける時期は、実は12月のクリスマス前後から始まります。多くの人が「春の果物」と思い込んでいますが、現代の流通では12月〜5月がメインの出荷シーズンです。
農林水産省の作物統計によると、国内いちごの出荷量は1月〜4月に集中しており、この4ヶ月間だけで年間出荷量の約70%を占めます。つまり真冬から春にかけてが「市場における旬」といえます。
一方で、いちごが屋外・露地栽培で自然に育つ本来の旬は4月〜6月初旬です。太陽の光をたっぷり浴びた露地いちごは糖度が高く、香りも強いという特徴があります。現在店頭に並ぶほとんどのいちごは温室(ハウス)栽培で、農家が温度と光量を管理して育てています。
これが重要です。
保育士として子どもに「いちごの旬はいつ?」と聞かれたとき、「春」と答えるだけでは不正確になります。「お店でたくさん見かけるのは冬から春」「外でそのまま育てるなら春から初夏」という2段階の説明が正確です。食育の現場で子どもたちに季節と食べ物の関係を伝えるなら、この区別を押さえておくと説得力が増します。
- 🏪 ハウス栽培の旬:12月〜4月(店頭流通が最も多い時期)
- 🌿 露地栽培の旬:4月〜6月初旬(自然の旬・糖度が高い)
- 📊 出荷ピーク:1月〜4月で年間の約70%を占める
食育のねらいとして「季節の食べ物を知る」活動をする際、ハウス栽培と露地栽培の違いを5〜6歳児向けに「おうちの中で育てたいちご」「お外で育てたいちご」と表現すると理解しやすくなります。
いちごの産地と品種ごとの旬の違い
いちごの旬は産地によっても微妙にズレます。これは意外と知られていません。
日本国内の主な産地は栃木県・福岡県・熊本県・静岡県などで、栃木県は長年にわたり生産量日本一を維持しています(農林水産省2023年産作物統計)。栃木県のブランドいちご「とちおとめ」「とちあいか」は12月下旬〜4月がピーク出荷時期です。
福岡県の「あまおう」は11月下旬〜5月が出荷期間で、糖度が高く大粒なのが特徴です。熊本県の「ゆうべに」や静岡県の「紅ほっぺ」は2月〜4月にかけて出回ります。つまり、品種を指定すると旬の時期がさらに絞られます。
品種ごとの特徴を簡単に整理しておきましょう。
| 品種名 | 主な産地 | 旬の時期 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| とちおとめ | 栃木県 | 12月〜4月 | 酸味と甘みのバランスが良い |
| あまおう | 福岡県 | 11月〜5月 | 大粒・高糖度・香り豊か |
| 紅ほっぺ | 静岡県 | 2月〜4月 | 果肉まで赤く甘酸っぱい |
| さがほのか | 佐賀県 | 12月〜4月 | 香りが強く柔らかい食感 |
| ゆうべに | 熊本県 | 2月〜4月 | 大粒で甘みが強い |
保育園の給食やおやつでいちごが出たとき、産地や品種を一言添えるだけで食育の質が上がります。「今日のいちごは栃木県から来たとちおとめだよ」という一言は、子どもの地理や食への興味につながります。これは使えそうです。
品種ごとの詳細情報は、JAグループの公式サイトやいちごの産地直送サービスのページが参考になります。農林水産省の野菜・果物の産地情報ページも公的な根拠として活用できます。
いちごに含まれる栄養と保育現場での食育への活かし方
いちごは見た目の可愛さだけでなく、栄養面でも子どもに積極的に食べさせたい果物です。
文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版」によると、いちご100gあたりに含まれる主な栄養素は以下の通りです。
- 🍊 ビタミンC:62mg(レモン果汁の100mlあたり50mgとほぼ同等)
- 🫐 葉酸:90μg(成長期の子どもに欠かせない造血ビタミン)
- 🌿 食物繊維:1.4g(腸内環境を整える)
- ⚡ カリウム:170mg(体内の水分バランスを調整)
- 🔴 アントシアニン:赤い色素成分・抗酸化作用あり
特にビタミンCの含有量は注目に値します。
いちご5〜6粒(約100g)を食べるだけで、子どもの1日のビタミンC推奨量(小学校低学年で35〜40mg)を十分に満たせます。風邪が流行りやすい冬〜春の時期に旬を迎えるのは、実は理にかなっているともいえます。
保育現場での食育への落とし込み方を考えてみましょう。
- 🎨 色を観察する:「なんで赤いの?」という子どもの疑問からアントシアニンの話に発展できる
- 👃 香りを嗅ぐ:旬のいちごは香りが強く、五感を使った食体験になる
- ✋ ヘタを取る体験:指先の発達を促す「食への参加」として有効
- 🗺️ 産地マップを見る:どの県から届いたかを地図で確認する(4〜5歳向け)
葉酸は特に見逃せない栄養素です。細胞の分裂と成長に関わるため、身体が急激に発育する幼児期の子どもには積極的に摂らせたい成分です。調理で加熱すると壊れやすいため、いちごのように生で食べられる果物からの補給は効率的です。
いちごの正しい選び方と保存方法|旬の時期に美味しく食べるコツ
いちごは収穫後から品質の低下が非常に速い果物です。収穫後24〜48時間で風味と食感が変わり始めるというデータがあります。スーパーで購入した当日〜翌日には食べ切るのが理想です。
正しい選び方のポイントを押さえましょう。
- ✅ ヘタが青々として反り返っている(新鮮さのサイン)
- ✅ 表面全体が均一に赤い(先端まで色が入っているもの)
- ✅ 粒が大きすぎない(中粒〜やや大粒が甘みと酸味のバランスが良い傾向)
- ✅ 果実がしっかりしている(押して柔らかすぎるものは避ける)
- ❌ 白い部分が多い(未熟・酸っぱい可能性が高い)
保存方法が重要です。
多くの人は袋のままチルド室に入れてしまいますが、これは間違いです。いちごを洗ってからパックに戻す行為も鮮度劣化を早めます。正しい保存手順は以下の通りです。
- 購入後はパックのまま、または1粒ずつキッチンペーパーに包む
- ヘタを下にして並べる(傷みやすいヘタ周辺の接触を避ける)
- 冷蔵庫の野菜室(8〜10℃)ではなく、できれば冷蔵室(3〜5℃)に入れる
- 食べる直前に洗う(事前に水に濡らさない)
これだけで保存期間が2〜3日延びます。
保育園で食育活動としていちごを使う際、「食べる前に洗う」「ヘタは食べない」という衛生指導も同時に行えます。手洗いの大切さと結びつけた導入として活用できます。また、アレルギーへの配慮も忘れずに。いちごは口腔アレルギー症候群(OAS)を引き起こすことがあり、花粉症の子どもに症状が出るケースがあります。初めて食べる子どもには少量から提供し、保護者への事前確認が必須です。
保育士だからこそ知っておきたい|いちごの旬を使った独自の食育アプローチ
検索上位の記事には載っていない視点を一つ紹介します。
「旬の食べ物を食べる」という食育は多くの保育園で実施されていますが、「なぜ旬に食べるのが良いのか」という理由まで子どもに伝えている園は少数派です。この「なぜ」を伝えることで、食育の学びが短期記憶から長期記憶に変わります。
旬に食べることの理由は主に3つあります。
- 🌞 栄養価が高い:旬のいちごは旬外れのものと比べてビタミンC含量が最大で約30%多いとされる(農研機構調査データより)
- 💰 価格が下がる:旬の時期は流通量が増えるため、100gあたりの単価が旬外れと比べ平均30〜40%安くなる傾向がある
- 🌍 環境負荷が低い:ハウス栽培より露地栽培のほうが加温エネルギーを使わない(SDGsとの接続が可能)
この3点を6歳児向けに言い換えると次のようになります。
「旬のいちごは体にいい成分がいっぱい。お値段もお手頃で、地球にもやさしいんだよ。」
たった一文で伝わります。
さらに一歩進めた食育アプローチとして、「旬カレンダー」の制作があります。子どもたちと一緒に月別の旬の食材を画用紙に描いていくこの活動は、文字が読めない3歳児でも絵で参加できます。いちごを1月〜4月の欄に貼ることで、季節と食べ物の関係が視覚的に定着します。
また、保育士として保護者への情報発信も重要な役割です。
「今月の旬の食材:いちご」として保護者向けお便りに一言添えると、家庭でも旬を意識した食事につながります。「ヘタを取る作業をお子さんと一緒に!」という一言を加えるだけで、家庭での食育参加を促せます。手先の発達にも良い影響があると伝えると、保護者の参加意欲も上がります。
保育士向けの食育支援ツールとしては、農林水産省が提供する「食育教材・資料」ページが無料で活用できます。いちごを含む季節の野菜・果物に関するポスターや絵カードのPDFが公開されており、印刷して壁面装飾や食育コーナーに使えます。
いちごの旬を入口にして、季節感・栄養・産地・環境という4つのテーマに広げていく食育は、保育士としての専門性が最も活きる瞬間です。「いちごの旬はいつ?」という子どものシンプルな問いに、自信を持って多面的に答えられる準備ができたでしょうか。


