武島羽衣 花 歌詞
武島羽衣の歌詞は源氏物語から着想されています。
武島羽衣が作詞した花の歌詞全文
「花」の歌詞は3番まであり、春の隅田川の情景を詠んだ内容です。1番の歌詞は「春のうららの隅田川 のぼりくだりの船人が 櫂のしづくも花と散る ながめを何にたとふべき」となっています。この「うらら」は穏やかで明るい春の陽気を表す言葉で、「櫂(かい)」は船を漕ぐオールのことです。worldfolksong+1
2番では「見ずやあけぼの露あびて われにもの言ふ桜木を 見ずや夕ぐれ手をのべて われさしまねく青柳を」と、朝の桜と夕方の柳が擬人化されています。「見ずや」は「見ないのですか、ごらんなさい」という反語表現です。
3番は「錦おりなす長堤に くるればのぼるおぼろ月 げに一刻も千金の ながめを何にたとふべき」で、日暮れ時の朧月を詠んでいます。「げに」は「本当に」、「千金」は「非常に価値がある」という意味で、この美しい景色への感動が表現されています。utaten+1
つまり隅田川の春を時間の流れで描いているということですね。
武島羽衣と源氏物語の関係性
武島羽衣の歌詞には源氏物語からの影響が色濃く反映されています。1番の歌詞は、源氏物語「胡蝶」の巻で詠まれた紫式部の和歌「春の日の うららにさして 行く船は 棹のしづくも 花ぞちりける」が元になっているのです。この和歌では、春の日差しの中を行く船の棹(さお)から滴る水しぶきが、まるで花が散るように見える様子が詠まれています。dwc.doshisha+1
武島羽衣は日本女子大学教授で歌人という立場から、古典文学に精通していました。そのため「花」の作詞にあたって、約900年前の源氏物語の情景を明治時代の隅田川に重ねたわけです。
この知識があると、保育現場で日本の伝統文化を子どもたちに伝える際の深みが増します。古典文学と近代音楽のつながりを知ることは、文化の継承という点で重要ですね。
同志社女子大学の研究コラム「花と源氏物語」では、この歌詞と源氏物語との関係がより詳しく解説されています。
武島羽衣の花の歌詞に込められた季節感
武島羽衣は「花」の歌詞に春の一日の時間の移ろいを巧みに織り込んでいます。1番では日中の隅田川、2番では夜明けと夕暮れ、3番では日が暮れてからの朧月という構成です。この時間軸の設定により、春の一日全体の美しさが表現されているのが特徴です。
「櫂のしづくも花と散る」という表現では、船を漕ぐ水しぶきを桜の花びらに見立てています。実際の桜の花びらと水しぶきが重なり合う視覚的イメージが、読者の想像力を刺激します。また「われにもの言ふ桜木を」「われさしまねく青柳を」という擬人法により、自然との対話が描かれています。utaten+1
保育現場では、この季節感の表現を春のお散歩や自然観察の際に活用できます。子どもたちに「桜が話しかけてきたら何て言うかな?」と問いかけることで、想像力と言語表現力を同時に育てられます。
季節の変化を五感で感じることが基本です。
保育で武島羽衣の花の歌詞を活用する方法
「花」の歌詞は保育現場で多様な活動に応用できる教材です。まず春の散歩活動で、実際に川や池のそばを歩きながら「櫂のしづくも花と散る」の情景を子どもたちと一緒に探してみるとよいでしょう。水面に映る桜や風で舞う花びらを観察することで、歌詞の世界を体感できます。
言葉遊びとしては、「うらら」「おぼろ」といった春特有の美しい日本語表現を紹介する機会になります。これらの言葉は現代ではあまり使われませんが、季節を表す語彙として子どもたちの言語環境を豊かにします。5歳児クラスであれば「うららってどんな感じ?」と問いかけ、暖かい・明るい・気持ちいいなどの言葉を引き出せます。
制作活動では、歌詞に出てくる桜や柳を題材にした作品作りができます。朝・昼・夕方・夜という時間の変化を4枚の絵で表現させると、時間概念の理解にもつながります。
具体的な体験と結びつけることが大切です。
武島羽衣の花の歌詞から学ぶ日本語の美しさ
「花」の歌詞には現代では使われにくい美しい日本語表現が豊富に含まれています。「たとふべき」は「たとえるべき」の文語形で、「何に例えたらよいだろうか」という意味の反語表現です。つまり「何にも例えられないほど美しい」という最上級の賛辞なのです。utaten+1
「錦おりなす」は様々な色の花が咲き乱れる様子を、錦の織物に例えた比喩表現です。桜だけでなく、春の堤防には様々な花が咲いており、それらが織りなす色彩の豊かさを一言で表現しています。江戸時代から明治時代にかけて、隅田川の堤防は花見の名所として多くの人々に愛されていました。
保育士として子どもたちに日本語の美しさを伝える際、このような比喩表現や擬人法の実例を知っておくことは重要です。4歳児後半から5歳児になると、比喩的な表現を理解し始めるため、「桜がお話ししてるみたいだね」といった声かけができます。
言葉の響きと意味の両方を大切にしましょう。
武島羽衣と滝廉太郎のコラボレーション背景
「花」は1900年(明治33年)に刊行された滝廉太郎の歌曲集「四季」の第1曲として世に出ました。武島羽衣が作詞を担当し、23歳の若き作曲家・滝廉太郎が曲をつけたこの作品は、日本の音楽史に残る名作となりました。組歌「四季」は全4曲で構成されており、「花(春)」「納涼(夏)」「月(秋)」「雪(冬)」という四季を表現する試みでした。kyoukasyo+1
滝廉太郎は武島羽衣の歌詞を深く理解し、言葉のつながりを大切にした作曲を行いました。特に3番では、1番と同じ位置にあった休符を無くすことで「くるれば」という言葉が分断されないよう工夫しています。これは詩の情景をより正確に伝えるための細やかな配慮でした。
この作曲家と作詞家の協働作業は、保育現場での表現活動にも応用できる考え方です。劇遊びや音楽発表会で、子どもたちの作った詞に保育士が簡単なメロディをつける活動は、創造性を育てます。
お互いの表現を尊重し合うことが作品を高めますね。
保育現場での武島羽衣の花の楽しみ方
「花」を保育現場で扱う際は、子どもの発達段階に合わせた工夫が必要です。3歳児クラスでは、難しい歌詞の意味を説明するより、メロディに合わせて体を揺らしたり、桜のイラストを見せながら聴いたりする活動が適しています。
音楽に触れる楽しさを優先しましょう。
4歳児クラスになると、簡単な言葉の置き換えができます。「春のうららの隅田川」を「春のぽかぽか〇〇川」と地域の川の名前に変えて歌ってみると、子どもたちの生活に身近な曲になります。また「船人」を「船に乗ってる人」と言い換えるだけで理解度が上がります。
5歳児クラスでは、歌詞の情景を絵に描く活動ができます。「櫂のしづくも花と散る」という場面を想像して描くことで、言葉から視覚イメージへの変換能力が育ちます。描いた絵をみんなで見せ合い、それぞれの解釈を共有することで、多様な見方があることを学べます。
年齢に応じた楽しみ方を見つけることが鍵です。


