高野辰之ふるさとの意味
「うさぎおいし」は実はウサギを料理したという意味ではありません。
高野辰之の生い立ちとふるさとの作詞背景
高野辰之は1876年に長野県中野市(旧豊田村)の農家に生まれた国文学者です。彼は明治31年9月に上京し、東京帝国大学で国文学者の上田萬年に師事して国文学を学びました。heartful-rhythm+1
その後、1909年に文部省の小学校唱歌教科書編纂委員となり、作曲家の岡野貞一とのコンビで数々の名曲を生み出しました。「ふるさと」は大正3年(1914年)に尋常小学校唱歌六年用として発表されたものです。hmtskz.seesaa+1
高野は出世を条件に結婚を許され、小学校教師を1年半で辞めて上京した経緯があります。家や親の面倒を10歳下の弟に任せて東京へ向かった彼自身の体験が、この歌詞に深く反映されているんですね。
参考)http://asahi-lirio.org/chorus/zatsu/zatsu96.pdf
ふるさとの歌詞に込められた本当の意味
「うさぎおいし」を「ウサギが美味しい」と勘違いする人は実は多いんです。正しくは「兎追いし」、つまりウサギを追いかけたという意味です。
参考)歌ってみて♪童謡『ふるさと』歌詞の誤解釈いろいろ – 迷子の…
同様に「こぶなつりし」も「小鮒釣りし」で、小川で小さなフナを釣った思い出を表しています。高野の出身地である長野県中野市では、実際に「兎追い」が学校の伝統行事として行われており、マントを着て手をつなぎ輪になって大声を上げながら雪の山を登っていたそうです。
歌詞の「かの山」は熊坂山や大平山といった信州の里山を、「かの川」は班川を指していると考えられています。ただし、高野は意図的に具体的な地名を避け、誰もが自分の故郷を思い浮かべられるよう普遍的な表現にしたとされています。douyou-shouka.himawari-song+1
三番の歌詞には「志を果たして いつの日にか帰らん」とあり、これは当時の若者が立身出世を夢見て田舎から都会へ出ていった時代背景を反映しています。功成り名遂げたら故郷に帰るという大望が込められているんですね。
ふるさとの教育的価値と文部省唱歌の位置づけ
「ふるさと」は現在も小学校学習指導要領の音楽における「共通教材」に指定されています。6学年で必ず学ぶべき24曲のうち、高野辰之作詞・岡野貞一作曲の歌が6曲も含まれているんです。
具体的には1学年「日のまる」、2学年「春が来た」、3学年「春の小川」、4学年「紅葉」、6学年「おぼろ月夜」「ふるさと」が該当します。これは高野の作品が日本の音楽教育において極めて重要な位置を占めていることを示しています。
文部省唱歌は明治42年6月22日に文部省が突如「小学唱歌教科書編纂委員会」を招集して作られました。日露戦争の戦勝気分で弛んでいる国民の心を唱歌で結びつけようという意図があったとされています。
東日本大震災の後、「ふるさと」が涙ながらに合唱される光景がよく見られるようになったのは、この歌が単なる童謡を超えた普遍的な情感を持っているからです。
保育現場でのふるさとの活用方法
保育士が「ふるさと」を教える際、歌詞の誤解を防ぐ工夫が必要です。「うさぎおいし」を「ウサギが美味しい」と勘違いする子どもは珍しくありません。
まず歌詞を音読させて内容を理解させることが重要です。「追いかける」という動詞の意味を絵や身振りで示すと効果的ですね。
参考)https://www.pref.nara.jp/secure/211180/%E5%B0%8F%E9%9F%B3%EF%BC%96%E5%B9%B4.pdf
年齢別の指導では、3〜4歳児にはメロディーの美しさを楽しませる段階から始めます。5〜6歳児になったら歌詞の意味を丁寧に説明し、自分たちの住む地域の山や川と結びつけて考えさせると理解が深まります。
保育所での音楽活動では、頭声発声や呼吸に気をつけることも学習指導要領で示されています。ただし、技術面よりも歌詞の情景を想像する楽しさを優先することが大切です。
参考)http://www.art.hyogo-u.ac.jp/hrsuzuki/students/suwaki.pdf
図書室やインターネットを利用して「ふるさと」について調べる活動を取り入れると、子どもたちの探究心が育ちます。高野辰之記念館のウェブサイトなどには、作者の生涯や唱歌の原風景に関する資料が豊富にあります。
こちらのサイトには高野辰之の生涯や「ふるさと」の背景について詳しい情報が掲載されており、保育計画の参考資料として活用できます。
ふるさとを通じた情操教育の実践ポイント
「ふるさと」を単なる歌唱教材としてだけでなく、情操教育の素材として活用する方法があります。歌詞に描かれた自然の美しさや家族への思いは、子どもたちの感受性を育てる絶好の機会です。
保育活動では、歌を歌った後に「あなたの好きな場所はどこ?」と問いかけると効果的です。子どもたちが自分の思い出や大切な場所について語り合う時間を設けることで、他者理解や自己表現の力が育ちます。
季節の変化と結びつけた指導も有効ですね。春には「春の小川」、秋には「紅葉」と組み合わせて、高野辰之の作品群を通じて日本の四季を感じさせることができます。
表現の工夫について振り返る時間も大切です。それぞれの表現のよさを認め合い、自分がどのような思いで歌ったかを言葉にさせることで、音楽表現が豊かになります。
録音機器等を使用して児童の表現の変容を客観的に聴き取らせる方法も効果があります。思いや意図をもって歌唱の活動に取り組むことで、表現が豊かになったことを価値付けられます。
保護者との連携では、家庭でも「ふるさと」を一緒に歌う機会を作るよう呼びかけるといいでしょう。世代を超えて歌い継がれる曲だからこそ、祖父母も含めた三世代での合唱は家族の絆を深める素晴らしい体験になります。


