滝廉太郎 花 歌詞
作曲は滝廉太郎だけど作詞は武島羽衣です。
滝廉太郎「花」歌詞の全文と基本情報
「花」は明治33年(1900年)に発表された歌曲集「四季」の第1曲です。元々は「花盛り」というタイトルでしたが、第3曲「月」、第4曲「雪」と合わせるために「花」に変更されました。作詞は武島羽衣(たけしま はごろも)、作曲は滝廉太郎です。weblio+1
武島羽衣は1872年(明治5年)に東京の日本橋で生まれた歌人・詩人で、東京帝国大学文科大学(現在の東京大学)に入学し、後に日本女子大学教授として国語や国文学の教育に関わった人物です。dwc.doshisha+1
歌詞は七五調で作られた3番までの構成になっています。
参考)滝廉太郎「花」の歌詞と意味、形式・拍子について完全解説!
【歌詞全文】
- 一番:春のうららの 隅田川/のぼりくだりの 船人が/櫂のしづくも 花と散る/ながめを何に たとふべき
- 二番:見ずやあけぼの 露浴びて/われにもの言ふ 桜木を/見ずや夕ぐれ 手をのべて/われさしまねく 青柳を
- 三番:錦おりなす 長堤に/くるればのぼる おぼろ月/げに一刻も 千金の/ながめを何に たとふべき
実はこれが最初の合唱曲です。
日本で作曲された最初の合唱曲として音楽史上でも重要な位置を占めています。
参考)「花」滝廉太郎(歌詞付き)中学生教科書掲載曲|日本で作曲され…
花の歌詞に登場する難しい言葉の意味
保育士が子どもに教える際、歌詞に含まれる古語の理解が必要になります。
主な言葉の意味を以下にまとめました。
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【主要な古語の意味】
- うらら:穏やかで暖かい春の陽気
- 船人:船頭さん、船を操る人
- 櫂(かい):船を漕ぐオール
- たとふべき:たとえられるだろうか(たとえられないほど美しいという意味が込められている)
- 見ずや:見てごらんなさい(「見ないのか」という反語表現)
- あけぼの:明け方、夜明け
- もの言ふ:話しかける、語りかける
- 桜木:桜の木
- さしまねく:手招きする、招いている
- 青柳:青々と葉をつけた柳
さらに三番の言葉も重要です。
- 錦おりなす:美しい織物のように色とりどりに花が咲いている様子
- 長堤(ちょうてい):長い土手、堤防
- くるれば:日が暮れると
- おぼろ月:ぼんやりとかすんだ月
- げに:本当に
- 一刻も千金:ひとときさえもとても価値がある
これらの表現は現代の子どもには難しいため、保育の現場では年齢に応じた言い換えが必要になります。
滝廉太郎の花が描く隅田川の情景
「花」で歌われている「川」とは東京都にある隅田川のことです。明治時代の隅田川では、花見シーズンにボートレースが開催されてとても賑やかでした。武島羽衣がこの情景を詩に書き、それに滝廉太郎が曲をつけたのが「花」です。
一番では春の穏やかな陽気の隅田川で、船頭さんが漕ぐオールからしたたる雫が花びらのように散っている様子を描いています。この美しい眺めは何にもたとえられないほど素晴らしいと表現されています。
二番では朝と夕方の対比が印象的です。
明け方には露を浴びて輝き、まるで話しかけているような桜の木、夕暮れには手を伸ばして招いているような青々とした柳の木が描かれています。odekakeiku+1
三番では錦のような花々が咲く長い堤防に、日が暮れると朧月が昇る様子が歌われています。このひとときは千金にも値する価値があると締めくくられています。
興味深いことに、武島羽衣はこの歌詞を書く際に『源氏物語』胡蝶巻の描写を踏まえていたという指摘があります。「春のうららの隅田川、上り下りの舟人が、かいのしづくも花と散る、ながめを何にたとふべき」という表現は、古典文学の影響を受けた高度な文学作品なのです。
保育で花を歌う時の年齢別アプローチ
保育現場で「花」を扱う際は、子どもの発達段階に合わせた工夫が必要です。年齢によって理解度や興味の持ち方が大きく異なるためです。
【年少(3〜4歳児)の場合】
この年齢では歌詞の意味よりもメロディーを楽しむことが中心になります。「春のうららの隅田川」という冒頋部分だけを繰り返し歌い、リズムに親しませることが基本です。
言葉は全て現代語に置き換えましょう。「春のぽかぽかした川で、お花がきれいに咲いているよ」といった簡単な説明で十分です。
【年中(4〜5歳児)の場合】
この段階では簡単な情景理解ができるようになります。「船に乗っている人が見ている景色はとってもきれい」といった具体的なイメージを伝えると効果的です。
実際に桜や柳の写真や絵を見せながら歌うことで、視覚的な理解を促せます。水しぶきを花びらに例える表現などは、子どもたちの想像力を刺激する良い題材になります。
【年長(5〜6歳児)の場合】
就学前のこの時期には、少し踏み込んだ内容を伝えられます。「昔の言葉で書かれた歌だから、今とは違う言い方をしているんだよ」と説明し、古語の存在を意識させることができます。
「見ずや」を「見てごらん」と訳したり、「たとふべき」を「何に例えたらいいかな」と問いかけたりすることで、言葉の豊かさに触れる機会になります。この時期の子どもは小学校の音楽の授業でもこの曲を習うため、橋渡しとして重要です。meryteacher+1
発声の指導に関しても年齢差があります。
年少では口を大きく開ける基本動作、年中では明るい声で歌う練習、年長では言葉をはっきり発音することを意識させると段階的な成長につながります。
滝廉太郎の花を子どもに教える時の注意点
保育現場で「花」を指導する際、いくつか配慮すべきポイントがあります。適切な指導をしないと、子どもたちが歌詞の内容を誤解したり、興味を失ったりする可能性があるためです。
まず、作詞者の名前を正しく伝えることです。多くの大人が作詞も滝廉太郎だと勘違いしていますが、実際は武島羽衣が作詞しました。保育士自身がこの事実を把握していないと、子どもたちに誤った情報を伝えてしまいます。flowersoulword+1
無理に古語のまま暗記させないことも大切です。
「うらら」や「櫂」といった言葉は、現代の子どもには馴染みがありません。意味を理解せずに丸暗記させると、ただの音の羅列になってしまい、歌の持つ美しさや情景が伝わりません。年齢に応じて現代語訳を活用し、イメージを共有することが重要です。mujikurasu+1
発音の難しさにも注意が必要です。「見ずや」「われにもの言ふ」「さしまねく」などの表現は、子どもにとって発音しにくく、口の動きの練習が必要になります。無理に完璧を求めず、楽しく歌える範囲で進めることが原則です。
参考)https://ohka.repo.nii.ac.jp/record/353/files/12%E9%AC%BC%E9%A0%AD%E3%81%BB%E3%81%8B.pdf
季節感のズレにも配慮しましょう。
「花」は春の歌ですが、保育現場では行事の都合で秋や冬に練習することもあります。その場合、子どもたちが季節感を実感できるよう、春の写真や映像を見せたり、「これは春に歌う歌だよ」と説明したりする工夫が必要です。
合唱の形態も考慮すべき点です。「花」は日本で最初の合唱曲として作られており、本来は複数のパートに分かれて歌うものです。ただし保育の現場では全員が同じメロディーを歌う斉唱が基本になります。年長クラスで簡単な二部合唱に挑戦する場合は、パート分けの説明を丁寧に行う必要があります。
歌詞の情景を体験させる活動も効果的です。実際に川や桜を見に行く、柳の木に触れる、春の散歩で花びらが散る様子を観察するといった体験があると、歌詞の内容がより深く理解できます。座って歌うだけでなく、身体を使った表現遊びと組み合わせることで、子どもたちの記憶に残りやすくなります。
花の歌詞から広がる保育活動のアイデア
「花」の歌詞をきっかけに、さまざまな保育活動を展開できます。音楽活動だけでなく、造形や言葉の領域にも広がる可能性があります。
【造形活動との連携】
歌詞に登場する桜や柳を、子どもたちが実際に描いたり作ったりする活動が効果的です。
- 桜の花びらをちぎり絵で表現する
- 青柳の枝を紙テープや毛糸で作る
- 隅田川の情景を大きな模造紙に共同制作する
これらの活動を通じて、歌詞の情景が視覚的に理解できます。完成した作品を保育室に飾り、その前で歌うことで、子どもたちの興味がさらに深まります。
【言葉遊びとの組み合わせ】
「花」に出てくる美しい表現を使った言葉遊びも可能です。「何にたとえられるかな?」というフレーズから、子どもたちに「○○は△△みたい」という比喩表現を考えさせる活動ができます。
例えば「雲は綿あめみたい」「風は見えない友達みたい」など、子どもならではの感性を引き出せます。これは言葉の豊かさを育てることにつながります。
【季節の観察活動】
歌詞に登場する朝露や朧月といった自然現象を、実際に観察する活動も価値があります。
春の朝、園庭で露がついた草花を観察したり、夕方の空を見て「今日は朧月が出るかな?」と話したりすることで、自然への興味が育ちます。天候や時刻によって変わる景色の美しさに気づく経験は、感性を豊かにします。
【身体表現活動】
歌詞の情景を身体で表現する活動も楽しめます。
- 船を漕ぐ動作を真似る
- 花びらが散る様子をスカーフで表現する
- 柳の枝が風に揺れる動きを身体で表す
こうした動きを取り入れることで、歌詞の理解が深まるだけでなく、リズム感や表現力も育ちます。
絵本や紙芝居の活用も効果的です。
隅田川や桜の名所を紹介する絵本を読み聞かせてから歌うと、子どもたちのイメージが膨らみます。また、滝廉太郎の生涯を簡単に紹介する紙芝居などもあり、作曲家への興味を引き出すきっかけになります。
地域の文化資源との連携も検討できます。もし保育園の近くに川や桜の名所があれば、散歩のコースに組み込み、「花」を歌いながら歩くことで、歌詞と実際の景色が結びつきます。
地域の歴史や文化に触れる機会にもなります。
保護者との連携も大切です。お便りで「花」の歌詞の意味や歴史的背景を紹介し、家庭でも一緒に歌ってもらうよう呼びかけることで、家庭と園が連携した教育活動になります。発表会で披露する際は、プログラムに歌詞の現代語訳を載せると、保護者の理解も深まります。
