スーザ 楽器 声楽とマーチング

スーザ 楽器 声楽

この記事でわかること
🎼

スーザを声楽目線で読む

マーチの拍感・フレーズ感を、発声と語り口に変換する方法を整理します。

🎺

楽器の設計が音楽を決める

スーザフォンなど「音を前へ投げる」思想を、声の響かせ方に応用します。

🧠

独自視点:マーチを“歌わない”練習

あえて歌詞や母音を外し、呼吸・子音・歩幅で音楽を立ち上げる訓練を提案します。

スーザ 声楽と作曲の関係

 

スーザは「マーチ王」と呼ばれる作曲家・指揮者として知られ、100曲を超えるマーチに加えてオペレッタも書いた人物です。幼少期の記述として、7歳で音楽を学び始め、楽器演奏だけでなく声楽にも熱中したとされています。ここは声楽学習者にとって重要で、スーザのマーチを「管楽器のための音楽」と決めつけず、声のラインとして読み替える根拠になります。

声楽の観点で見ると、マーチは「強拍に体重が乗る音楽」でありながら、歌のフレーズと同じく“息の長さ”で成立します。例えば、歌の息の配分が不安定な人は、マーチの周期的な拍感を借りると、ブレス位置とフレーズのゴールが視覚化されます。逆に、拍を守ることに集中しすぎると声が硬くなる人は、スーザがオペレッタも書いた事実を思い出し、「舞台の台詞の流れ」を想像して言葉の方向性を先に置くと、拍が“結果として”整います。

声楽的に意外なのは、マーチの多くが「祝祭」「式典」「移動」と結びついた音楽だという点です。つまり、ホールで静止して歌うだけでなく、身体の状態(立つ・歩く・向きを変える)を含めて音楽が設計されています。声楽の基礎練習でも、同じ発声を座位・立位・歩行で試すと、支えの嘘が露骨に出ます。スーザを入口にするメリットは、こうした“身体込みの音楽性”を、正当なレパートリー研究として扱えることです。

参考:スーザの生涯・声楽への熱中(幼少期の記述)がまとまっているリンク

ジョン・フィリップ・スーザ(概要・生涯)

スーザ 楽器とスーザフォンの音の方向

「スーザの楽器」と聞いて真っ先に挙がるのがスーザフォンです。スーザフォンはマーチングで低音を担い、行進演奏で持ちやすく、ベルを前に向けて音を前方へ届けるよう改良された楽器として紹介されています。ここから声楽へ転用できる発想はシンプルで、「音を上へ響かせる」だけでなく「前へ届ける」設計思想です。

声楽レッスンでは“響きを上に集める”イメージが有効な局面が多い一方、言葉が客席に飛ばず、母音が立っても意味が伝わらないことがあります。スーザフォンのフロントベルは、その弱点を補う比喩として使えます。具体的には、次の2点をチェックします。

🎯 声を「前に向ける」セルフチェック

  • 子音の位置:破裂音(k,t,p)が奥に引っ込むと、音色だけが立って言葉が失速します。
  • フレーズの出口:語尾で音量を落とすのではなく、語尾ほど“方向”を濃くして抜けを作ります。

また、マーチングブラス全体は「音を特定方向に遠くまで響かせる」目的でフロントベル仕様にする、と説明されています。声楽も同様に、ホールの残響に頼るだけでなく、言葉が客席の耳に“直送”される要素が必要です。音色づくりを響き中心に偏らせてきた人ほど、スーザフォンの思想を借りると、発音・アタック・方向が整理されやすくなります。

参考:マーチングブラス/スーザフォンの説明(フロントベル、改良の経緯)があるリンク

ヤマハ:マーチングブラスについて(スーザフォン解説)

スーザ マーチとフレーズの作り方

スーザの代表曲は『ワシントン・ポスト』『雷神』『星条旗よ永遠なれ』などが広く知られています。声楽学習者がマーチを研究する狙いは、「拍に乗る」よりも「拍の上でフレーズを育てる」感覚を獲得することです。マーチは反復が多く、形式感が強いので、フレーズ設計のミスが隠れにくいという利点があります。

実践としておすすめなのは、マーチの旋律を“歌詞なしで”歌い、次に“仮の日本語”を当てる手順です。最初から歌詞がある曲だと、意味に引っ張られて息の設計が曖昧になりがちですが、マーチならまず「音と拍の構造」を裸のまま扱えます。次に言葉を置くと、子音のタイミングが拍の中でどこにあるべきか、はっきり決まります。

🎼 マーチを声楽練習に落とす例

  • 1回目:母音「a」だけで旋律を歌い、強拍で“押さない”ことを確認。
  • 2回目:子音「t,k,p,s」を増やして、テンポが上がっても息が浅くならないか確認。
  • 3回目:短いフレーズごとに「目的語→動詞」の順で仮テキストを作り、語尾の方向を統一。

意外な視点として、マーチは「全員が吹きっぱなし(演奏が途切れにくい)」編成感で鳴ることが多く、声楽のようなブレスの自由度が少ない音楽です。だからこそ、歌で同じことをやると支えが鍛えられます。もちろん、実際の歌唱では適切にブレスを取りますが、「本当はまだ息が残っているのに、怖くて吸ってしまう」癖がある人には、マーチの“途切れない圧”が処方箋になります。

スーザ 楽器と合唱の聞き分け

スーザはマーチだけでなくオペレッタも作曲しており、舞台的な歌(独唱や合唱を含む)と器楽の間を行き来できる人でした。声楽を学ぶ立場からは、ここを「歌の発想を持った器楽」として捉えると学びが増えます。具体的には、同じ旋律でも、楽器で鳴る時と、合唱で歌われる時では、情報の優先順位が変わります。

🎺 楽器で主役になる情報

  • リズムの輪郭:アタックの明確さ、揃い方。
  • 音色の統一:同じ音程でも、倍音の配列が揃うか。
  • 音量の分配:主旋律と内声の距離感。

🎤 合唱で主役になる情報

  • 子音の一致:破裂音の“同時性”が揃うと、一気にプロっぽく聞こえます。
  • 母音の整形:同じaでも口の縦横がバラつくと和音が濁ります。
  • 語尾の処理:音程よりも、語尾のエネルギーが音楽の推進力になります。

ここでの意外なポイントは、声楽側が「楽器っぽく歌う」こともできるし、逆に器楽側が「歌っぽく吹く」こともある、という相互乗り入れです。声楽の練習で、あえて“金管の発音”を模して、語頭を少し明確にし、語尾は軽く保ったまま前へ投げると、マーチのスタイルが身体に入りやすくなります。反対に、歌のレパートリーで子音が硬すぎる人は、木管的な柔らかい語頭を意識すると、フレーズが流れます。

スーザ 声楽の独自視点の練習

ここは検索上位の定番解説(経歴や代表曲、スーザフォン紹介)から一歩離れて、声楽の現場で効く“独自視点”として提案します。テーマは「歌わないのに、声楽が上手くなるスーザ練習」です。声を出す前段階の設計を変えると、発声そのものが自然に整うことが多いからです。

🧩 独自視点:スーザで作る「無声マーチ練」

  • 手順1:スーザのマーチを頭の中で再生しながら、一定テンポで歩く(メトロノームがあれば理想)。
  • 手順2:口は開けずに、子音だけを“息で”打つ(t,s,k など)。声帯は鳴らさない。
  • 手順3:次に、母音だけ(a,o,u)で旋律の山をなぞる。子音は入れない。
  • 手順4:最後に歌詞(または仮テキスト)を入れて歌い、子音でテンポが走らないか確認。

この練習の狙いは、声帯を酷使せずに「テンポ」「子音」「フレーズ」「方向」を分解し、最後に統合することです。特に、喉に力が入りやすい人は、歌っている最中に問題を直そうとしてさらに固くなります。無声→母音→言葉の順に積み上げると、喉以外で音楽を組み立てる回路が育ちます。

さらに、スーザフォンの“前へ投げる”発想を加えるなら、歩行の向きと視線を使います。真正面だけでなく、斜め45度の方向へ視線を送り、そこへ言葉を届けるつもりで歌うと、身体が勝手に音の方向を作り始めます。ホールでの本番やオーディションでは、緊張で視野が狭くなりがちですが、マーチ的な「前進の身体感覚」は、その対抗策になります。


スーザ:管楽のための音楽集 第18集