もろびとこぞりて 歌詞 日本語
もろびとこぞりて 歌詞 日本語 の全文と構造(節・反復)
声楽学習の第一歩は、歌詞を「読む」段階で止めず、反復や語尾の機能を理解して「息の設計」に変換することです。
「もろびとこぞりて」は、短い語句の反復(例:「主は来ませり」の繰り返し)が多く、合唱でも独唱でも“勢い任せに押す”と単調になりやすい一方で、同じ言葉の反復に段階(強調の深まり)を付けやすいという長所があります。
日本語歌詞(代表的に流布している形)は、以下のように5つの内容ブロックで進みます(行の反復を含む構造が特徴です)。
・諸人こぞりて 迎えまつれ/久しく待ちにし/主は来ませり(反復)
・悪魔のひとや(人牢)を 打ち砕きて/とりこをはなつと/主は来ませり(反復)
・この世の闇路を 照らしたもう/たえなる光の/主は来ませり(反復)
・しぼめる心の 花を咲かせ/恵みのつゆおく/主は来ませり(反復)
・平和の君なる 御子をむかえ/救いの主とぞ/ほめたたえよ(反復)
この「反復」は、音楽的には“同語反復によるカデンツ感の補強”として働き、息を長く使う練習にも、短く切り替える練習にもできます。
また、曲名が同じでも英語圏では歌詞の組み合わせが日本と異なる経緯があり、日本で一般に歌われる「もろびとこぞりて」は、英語の “Hark the glad sound!” の訳詞に同じ旋律(アンテオケ)が結びついた形として説明されています。ここを知っておくと、「英語版を直訳して意味が合わない」混乱を避けられます。
参考:日本で一般的な歌詞と、英語圏での歌詞の結びつき(別詞・ミーターの考え方)の説明
weblio(Wikipedia出典)「もろびとこぞりて」の経緯・原詞・歌詞差の解説
もろびとこぞりて 歌詞 日本語 の意味(古語・語釈)と発音のコツ
歌詞の意味は、発音の置き方(特に子音のタイミング)に直結します。古語は「意味がわからない=母音が薄くなる」現象を起こしやすいので、語釈を押さえておくほど声が安定します。
最低限、声楽学習者が押さえたい語釈は次の通りです。
- 「もろびと(諸人)」:多くの人、あらゆる人。合唱的な呼びかけの語感を持つので、語頭の「も」を明るく開き、続く母音を均一に保つと“集合のスケール感”が出ます。
- 「こぞりて」:「一人残らず、すべて」の意味。ここは“集まり”より“一斉に”のニュアンスなので、語尾「て」を弱く落とさず、次語へ息を回すと勢いが生まれます。
- 「迎えまつれ」:敬意を込めて迎える(奉る)。子音が多い語なので、m ts r の処理で喉を固めないことが課題です。ポイントは、子音を「短く置いて、母音を伸ばす」。
- 「主は来ませり」:「来(き)+ます(尊敬)+り(完了)」の複合で、「おいでになった/いらっしゃった」という意味になると説明されています。ここは“到来”が核なので、語尾の「り」を曖昧母音で消さず、フレーズの着地点として響きを残すと宗教曲らしい格が出ます。
- 「悪魔のひとや(人牢)」:「牢屋」のこと、という説明がよく引用されます。「ひとや」を「一夜」などと誤解する例がある、とも書かれており、意味の誤解は表情(ニュアンス)の誤解につながります。
- 「たえなる(妙なる)」:何ともいえないほど美しい・すぐれている、という語釈が挙げられます。ここは“美”の形容なので、声色をほんの少し柔らかくし、硬い子音で塗りつぶさないのがコツです。
語釈と文法の分解(例:「来ませり」の分解)や、「ひとや=牢屋」「たえ=妙」の説明は、学習者が歌詞を理解する補助としてまとまっています。
参考:古語の分解・語釈(もろびと/こぞりて/来ませり/ひとや/たえ)
もろびとこぞりて 歌詞 日本語 を声楽で歌う(フレーズ・母音・子音)
声楽的には、この曲は「短い語句×反復」によって、呼気の配分が雑でも“歌えてしまう”一方、上級者ほど差が出ます。狙うべきは、(1)母音の芯、(2)子音の統一、(3)反復の段階づけ、の3点です。
まず母音。日本語歌詞は母音が多く、旋律が明るく進むため、つい横に流してしまいがちです。
- 「もろびとこぞりて」:母音の列が続くので、口を開けすぎて散らさず、縦方向に響きを集めます。特に「ろ」「び」「と」のioが混ざる箇所は、母音が変わるたびに共鳴位置がブレやすいので、頬の内側に“響きの芯”を残したまま母音だけを変える意識が有効です。
- 「迎えまつれ」:子音の連続が母音を圧迫しやすいので、mで息を止めず、tsを「歯の前で一瞬だけ」作ってすぐ母音へ渡します。
次に子音の統一。合唱では特に「主(しゅ)」「きませり」の子音が揃わないと、アタックがばらついて音程が濁ります。
- 「しゅ」は、ɕ(シの子音)を強くしすぎると硬い音色になりやすいので、母音uの響きを優先して“子音は短く”が基本です。
- 「来ませり」は、意味の核が“到来”であり敬意と完了を含む語形だと説明されているため、単なる語尾処理として消すより、フレーズの結びとして響きを残すと説得力が出ます。
最後に反復の段階づけ。「主は来ませり」が繰り返されるたびに、同じ強さ・同じ色で歌うと平板になります。
- 1回目:呼びかけ(提示)として、子音を丁寧に置き、テンポ感を優先。
- 2回目:確信(宣言)として、母音の伸びと共鳴を増やす。
- 3回目(ある場合):祈りや賛美(解放)として、息を少し多めに回し、語尾を丁寧に収める。
この“段階”を作ると、同じ言葉でも音楽が前へ進みます。
もろびとこぞりて 歌詞 日本語 と Joy to the World の違い(混同しない)
「もろびとこぞりて」は、日本ではしばしば “Joy to the World(世界に喜びを)” と同一視されますが、歌詞としては同一ではない、という説明が広く見られます。具体的には、英語圏では同じ旋律(アンテオケ)が “Joy to the World!” で歌われるのが普通である一方、日本で広く歌われる「もろびとこぞりて」は “Hark the glad sound!” の訳詞がその旋律に結びついた形、という経緯がまとめられています。
この違いは、声楽学習者にとって地味に重要です。なぜなら、英語版の意味(Joy to the world…)を前提に日本語歌詞を表情づけすると、2番以降の「人牢」「捕虜」「闇路」といった強い言葉の扱いが軽くなってしまうからです。逆に、日本語歌詞の内容(束縛からの解放、闇を照らす光、しぼめる心が花開く、など)を踏まえると、同じ明るい曲でも“希望の勝利”の陰影が付き、声の色に奥行きが出ます。
また、英語の “Joy to the World” の歌詞は詩篇98編を元に作られたという説明もあり、日本語で一般に歌われる内容と主題の置き方がずれる点も、混同が起きやすい理由です。学習用に、どの歌詞(どの原詞)を歌っているのかを最初に確認しておくと、練習の方向性がぶれません。
もろびとこぞりて 歌詞 日本語 を暗譜する(独自視点:語尾の設計)
ここからは検索上位の解説があまり触れない、声楽学習者向けの“暗譜の設計”の話です。暗譜は根性ではなく、語尾(終止)と助詞の処理を整理すると、驚くほど短時間で安定します。
この歌詞は、各節が「描写(名詞句)」→「行為(動詞句)」→「結論(主は来ませり/ほめたたえよ)」で組まれています。つまり、暗譜の鍵は「結論句」を柱にし、そこへ向かって前半の描写を“意味の矢印”でつなぐことです。たとえば2節なら、
「悪魔のひとや(閉じ込め)」→「打ち砕きて(破壊)」→「とりこをはなつ(解放)」→「主は来ませり(到来)」
という因果の並びになります。意味の流れが一本線になると、言葉が前へ転がるので、息と発音が自然に整います。
さらに、語尾に注目します。日本語歌詞は、語尾に命令形・完了・勧奨が混ざります。
- 「迎えまつれ」:命令・勧めのニュアンス。ここは言葉として前に投げるので、音価を短くしすぎず、語尾の母音を“相手に渡す”ように響かせる。
- 「来ませり」:完了(来た)のニュアンス。ここは着地なので、響きを残し、次の反復へ焦って繋げない。
- 「ほめたたえよ」:勧奨のニュアンス。ここは集団性が出るので、子音を揃え、母音を明るく保つ。
この“語尾の役割”を理解すると、同じ音形の繰り返しでも身体の使い方が変わり、結果として暗譜も安定します。
最後に、練習の小さな工夫を置いておきます。意味に基づく暗譜は、発声にも効きます。
✅おすすめ練習(5分)
- ① 歌詞を朗読:句読点を自分で付け、「結論句(主は来ませり)」の前に必ず1拍ぶんの間を置く。
- ② 子音だけで読む:「m-r-b-t k-z-r-t…」のように完全にする必要はなく、“子音が多い箇所だけ”でOK。
- ③ 母音だけで歌う:「o-o-i-o-o-i-e…」のように母音列にして旋律を流し、響きの芯が切れないか確認。
- ④ 通し歌唱:最後に普通に歌い、②③の感覚が残っているかを確認。
この曲は「誰でも知っている」からこそ、語の意味と語尾の働きまで踏み込んだ人の歌が、静かに目立ちます。声楽を学んでいる今だからこそ、「日本語歌詞の言葉が持つ重さ」を声の響きへ変換してみてください。


