フルコーラス保育童謡歌詞楽譜動画

フルコーラス保育童謡

フルコーラスで童謡を使うときの要点
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まず「何をフルで歌うか」を決める

童謡は1番だけでも成立しますが、行事・お別れ会・卒園式などはフルコーラスが映えます。目的と子どもの年齢で選び方が変わります。

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歌詞の全文掲載は特に注意

園だより・ブログ・配布プリントに歌詞を載せるときは、教育現場の例外があっても範囲外になりやすいので、扱いを整理してから進めます。

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動画は「練習用」に強い

フルコーラス練習の近道は、歌詞字幕つきやピアノ伴奏つきの動画。園内での使い方と、公開・配信の線引きがポイントです。

フルコーラス保育童謡の動画で練習するコツ

保育の現場で「フルコーラス」を必要とする典型は、行事(発表会・卒園式・お別れ会)や、歌を“作品として届けたい”場面です。1番だけだと短くまとまる一方、フルで歌うと物語や感情の起伏が出やすく、子どもも「次はこうなる」を予測しながら参加できます。

練習の入口として使いやすいのが、保育向けにフルコーラスを公開している動画です。たとえば「保育のレシピ」系のフルコーラス動画は、“式などでしっかり歌いたい時の練習用”としての意図が説明されているものがあり、テンポ感や間の取り方の参考になります。実際にフルバージョンを掲げる動画が複数あり、卒園式向け(みんなともだち等)や季節・行事向けの導線が作られています。

参考:保育向けフルコーラス動画例(卒園式など)

YouTube:みんなともだち【フルコーラスバージョン 卒園式】

動画練習を「現場で使える形」にするためのコツは、次の3点です。

  • 🎧 まず“歌詞を見ずに”1回聴く:メロディの山(盛り上がり)と息継ぎ位置を先に把握します。
  • 📝 次に“サビだけ”口ずさむ:フルコーラスは長いので、まずサビを固定すると全体が安定します。
  • 🎹 最後に“伴奏を簡略化”して通す:ピアノがある園でも、最初は和音少なめで最後まで止まらず通すのが近道です。

意外と効くのが「子どもが歌いやすいキー(高さ)」の確認です。動画は原曲キーのことが多いので、歌ってみて喉がきつい場合は、伴奏側を移調して“保育者が笑顔で歌える高さ”に寄せます。保育者の声が安定すると、子どもの音程も落ち着き、クラス全体の一体感が上がります。

フルコーラス保育童謡の歌詞と著作権の注意点

フルコーラスを扱う記事で最重要の注意は、「歌詞を全文載せる」「楽譜をそのまま載せる」は、原則として著作権の許諾が必要になりやすい点です。特にブログや園のWebサイトは“公衆送信”の領域に入りやすく、園内で歌うのとは扱いが変わります。

教育機関での音楽利用には、一定条件で許諾なく利用できるケースがあることが示されていますが、何でも自由という意味ではありません。JASRACの教育機関向け案内でも、教育機関での利用は著作権法上の扱いがあることを前提に、利用態様ごとに考える必要があると説明されています。

参考:教育機関での音楽利用の考え方(JASRAC)

JASRAC:学校など教育機関での音楽利用

さらに、園だより・学級通信などに歌詞を掲載する話題は、JASRAC側の解説記事でも具体例として触れられています。ここで大事なのは「誰に配るか」「どこに載せるか」で、保護者向け配布やWeb掲載が混ざると範囲外になり得ることです。

参考:学校で音楽を使うときの具体例(歌詞掲載など)

JASRAC:学校で音楽を使うときには

保育士向けブログ記事として安全に書くなら、次の運用が堅実です。

  • ✅ 歌詞は「全文掲載しない」:必要なら“短い引用”に留め、引用要件(主従関係・出所明示など)を確認します。
  • ✅ 楽譜画像を貼らない:特に市販楽譜の撮影掲載は避け、購入先や公式情報へ誘導します。
  • ✅ フルコーラス動画を「埋め込み・リンク」する場合も、公開範囲や利用規約を確認します。

「童謡だから大丈夫」と思われがちですが、童謡・唱歌の中にも著作権保護期間内のものが混在します。出版物で歌詞を扱うFAQでも、童謡等にも保護期間内のものがあるため事前確認が必要、という趣旨が明記されています。

参考:歌詞掲載の可否(出版物FAQの注意点)

お手軽出版:歌詞を入れたい場合の注意

フルコーラス保育童謡の楽譜と伴奏(ピアノ)準備

フルコーラスは、1番だけの伴奏よりも「構成の迷子」が起きやすいです。たとえば、2番以降で歌詞の言葉数が増減すると、伴奏のパターンが同じでも“歌の入り”がズレたように感じ、クラスが一瞬崩れます。そこで、伴奏準備は「間違えない」より先に「戻れる」設計にしておくと事故が減ります。

具体的には、次のチェックが効きます。

  • 🎹 イントロの長さ:子どもが吸って入れる長さか(短すぎると置いていかれます)。
  • ⏸ 間奏の役割:2番へ切り替える“合図”として弾けているか。
  • 🔁 ループ可能性:集中が切れたら1番に戻す/サビだけ繰り返すなどの逃げ道があるか。

また、園でよく起こるのが「伴奏者が歌詞を追ってしまって手が止まる」問題です。フルコーラスほど歌詞量が増えるので、伴奏者は“歌詞ではなく構造”を覚える方が安定します。

  • Aメロ(語り)→Bメロ(展開)→サビ(みんなで)→間奏→2番…のように、パート名で記憶します。

フルコーラスの“練習素材”としては、童謡唱歌メドレーや歌詞付き動画も役立ちます。保育士・教師向けの童謡メドレーは収録曲やタイムスタンプが示されているものがあり、曲の切り替えや季節の導入の参考になります。

参考:童謡唱歌メドレー(教材的に使いやすい形式の例)

YouTube:春夏秋冬 童謡唱歌メドレー(収録曲一覧つき)

フルコーラス保育童謡の選び方(年齢・季節・行事)

「フルコーラスにする価値が高い童謡」は、実は“盛り上がる曲”より“情景が深まる曲”に多いです。1番は導入、2番で視点が変わり、3番で気持ちが着地する、という構造だと、子どもは最後まで歌うことで「お話が終わった」感覚を持てます。

選び方の実務ポイントは次の通りです。

  • 🌸 季節:春夏秋冬で曲を固定化すると、子どもが「季節のサイン」として歌を覚えやすいです。
  • 🎓 行事:卒園式・お別れ会は、フルで歌うと“記憶に残る尺”になりやすいです。
  • 👶 年齢:低年齢は“繰り返しが多い歌”をフルにしても負担が少なく、年長は物語性のある曲が合います。

現場では「そのクラスの呼吸」に合うかが最優先です。テンポが速いフルコーラスは、後半に疲れが出て声が小さくなることがあります。そういうときは、フルで歌う前提のまま、サビ前だけテンポを少し落とす、語尾を揃える、など“音楽的な配慮”を入れると成功率が上がります。

また、フルコーラス選定の隠れた基準が「保護者の理解」です。行事で歌う曲は、保護者が撮影・共有する可能性が高いので、園内利用と外部公開の線引き(動画を配布するのか、園のサイトに載せるのか)を早めに決めておくと、後から慌てません。オンライン配信や公開に関しては、JASRAC管理曲なら許諾で利用できること、管理曲検索(J-WID)で確認できることが解説されています。

参考:学校行事と配信での許諾の考え方(J-WID言及あり)

有斐閣note:学校行事と配信の著作権の考え方

フルコーラス保育童謡を「切り替え」に使う独自視点(手遊び歌の変化)

検索上位の多くは「おすすめ曲」「フルコーラス動画」「歌詞付き」など“曲そのもの”に焦点が当たりがちですが、保育の実装では「歌を活動の切り替え装置にする」視点が効きます。フルコーラスは長いので、あえて“全部歌い切らない使い方”を設計しておくと、現場が回ります。たとえば、1番は移動、2番は整列、サビで着席、というように役割を割り振ると、子どもは言葉の指示よりスムーズに動けることがあります。

この文脈で面白いのが、手遊び歌がインターネット上で変化し、現場のニーズ(集中させたい、切り替えたい)に合わせて歌詞が変形して広がる、という研究の指摘です。J-STAGEの論文では、変化形の歌詞として「すわりましょう」「手はおひざ」などが多いことから、活動の切り替えや集中させたい場面での活用がうかがえる、と述べられています。つまり、保育の歌は“作品鑑賞”だけでなく“場を動かす技術”として進化している、という見方ができます。

参考:手遊び歌の変化と保育現場での機能(研究)

J-STAGE:インターネットで配信される創作手遊び歌の変化について(PDF)

フルコーラス童謡を切り替えに活かす具体案です。

  • 🧩 1番=導入(歩く・集まる)、2番=活動(手遊び・表現)、サビ=着地(深呼吸・姿勢)。
  • 🎯 ねらいを1つに絞る:音程より「語尾をそろえる」「最後まで止まらない」など、達成感が出る目標にします。
  • 📣 子どもの“合図役”を作る:間奏で鈴を鳴らす、サビ頭だけリーダーが立つなど、フルの構造を体で覚えられます。

この使い方なら、フルコーラス=長いから大変、ではなく、フルコーラス=切り替えが自然に起きる、に変わります。しかも、子どもは「音楽で動く」経験を積めるので、行事練習の土台にもなります。