ドレミソラと保育と音階あそび
ドレミソラの保育 音階あそび:音の高低を体で伝えるコツ
音階あそびで最初につまずきやすいのは、「音が高い・低い」を言葉で説明しすぎてしまい、子どもが“感じる前に覚える”状態になることです。そこで、保育では「音が上がる=手が上がる」「音が下がる=手が下がる」のように、身体感覚へ翻訳してあげると入り口が広がります。
実践例として、ドレミの歌とボディサインを組み合わせる方法は、歌の親しみやすさと動きの分かりやすさが両立しやすいです(例:ドは低い位置、レは少し上、ミはさらに上…のように高さを段階化)。音階を「正解・不正解」で裁かず、ズレも笑いに変えながら続ける設計が、結果的に音の高低へ注意を向ける習慣づくりになります。
ポイントは「段階化」です。いきなりドレミファソラシド全部を扱うより、最初はドレミソラのように音数を絞っても成立します。音数が少ないほど、子どもは“耳で追う余裕”が生まれ、保育者は観察(誰が高低を聴き取れているか、誰が動きで理解しているか)に集中できます。
ここで、遊びを深める観点として「リズム」「音の高低」「音の強弱」を分けて捉えると、保育者側の言葉かけが整理されます。例えば今日は高低に焦点を当て、手拍子の正確さ(リズム)は“できたらラッキー”くらいにすると、取り組みやすさが上がります。
音の高低を扱うときの現場あるあるは、「子どもが大きな声=高い音」と混同しやすい点です。大きい・小さい(強弱)と、高い・低い(高低)は別ものなので、言葉かけは「高い音」「低い音」を統一し、声量の話は別の日に回すと混乱が減ります。
参考(ドレミの歌×ボディサイン、即時反応、年齢別の取り入れ方の考え方)。
音の高低(Pitch)をボディサインや即時反応あそびに落とし込む具体例

ドレミソラの保育 音階あそび:ドレミの歌とボディサイン実践
ドレミの歌は、子どもも保育者もメロディの見通しが立ちやすく、音階あそびの“共通言語”になりやすい教材です。ボディサインを使うと、耳(聴覚)だけでなく目(視覚)と体(運動感覚)も同時に働くため、「音の上がり下がり」を理解する入口が増えます。
進め方は、以下の順にすると事故が少ないです。
- ①まず歌う(CDでも保育者の声でもOK。歌詞を覚える回)
- ②各音のポーズを確認する(ド・レ・ミ…の“高さ”の約束を共有する回)
- ③ゆっくり歌いながら合わせる(テンポを落として成功体験を作る回)
- ④ピアノや音源に合わせてやってみる(他者の音に反応する回)
- ⑤慣れたらクイズ化(音階カードや“無音のサイン”で当てっこ)
さらに工夫するときは、「ドは足首」「レは膝」「ミは腰」のように“身体の部位”で高さを固定すると、子どもが迷いにくくなります。ここで大切なのは、ボディサインの形を厳密に統一することより、「高い位置=高い音」という対応関係が体に入ることです。
年齢別にみると、2〜3歳児は“まねるだけでOK”に寄せるのが現実的です。4〜5歳児は、同じ曲でもパート分けや簡単な輪唱風にするなど、遊びのルールを足して集中を作ると伸びやすいです。
準備物を増やしたくない日でも、音階カードを印刷して掲示するだけで、視線の拠り所ができて活動が締まります。カードは「音符だけ」「音名+ポーズ」の両面にしておくと、音符→音名当てのクイズにも転用できます。
ドレミソラの保育 音階あそび:わらべうたのドレミソラで導入
音階あそびの導入として、わらべうたの「ドレミソラ(5音)」という特徴はかなり扱いやすい素材です。半音がなく、子どもが口ずさみやすい音で構成されるため、“音程が取りにくい子”が混ざっても活動が崩れにくいのが現場向きです。
わらべうたは、歌と遊び(手足を使う動き、スキンシップ)がセットになっていることが多く、音階を「学習」に寄せすぎずに始められます。さらに、同じ言葉とリズムを繰り返すものが多いので、見通しが立ちやすく、初回から参加しやすいのも利点です。
ドレミソラの活動設計例は、こんな流れが安定します。
- 導入:手遊びのわらべうた(まずは安心して声を出す)
- 展開:ドレミソラの“高さ”だけを、ボディサインで表す(ドレミソラに限定)
- 接続:ドレミの歌に移行し、ファシまで広げる(できる子だけ先に遊べる構造に)
意外と見落としがちなポイントは、わらべうたは「童謡」と違って“大人が作った歌”ではなく、子どもたちに伝承されてきた歌遊びである点です。背景を知っておくと、保育者の声色やテンポが“教える”より“一緒に遊ぶ”に寄り、結果的に子どもがよく声を出します。
参考(わらべうたの基本、ドレミソラ5音、童謡との違い)。
わらべうたの定義やメリット、ドレミソラ5音の説明

ドレミソラの保育 音階あそび:即時反応で集中力を伸ばす
音階あそびを「歌う活動」だけで終わらせず、即時反応(音の変化に合わせてすぐに動きで反応する)を入れると、クラス全体の集中が立ち上がりやすくなります。椅子取りゲームやストップゲームは、すでに園で馴染みがあるため、“リトミック感”が強すぎず導入しやすいのが利点です。
即時反応に音の高低を混ぜるときは、ルールを2つまでに絞るのがコツです。例えば次のように単純化します。
- 高い音:手を上にあげる
- 低い音:しゃがむ
- 音が止まる:動きを止める(または座る)
ここで大切なのは、ピアノがなくても成立させることです。保育者の声(高い声・低い声)、鉄琴やハンドベルなどでも代替できますし、音源でもOKです。音の高低を“動きの高さ”へ落とし込むだけで、子どもが自然に耳を澄ませます。
また、即時反応は「正解できる子が勝つ」設計にしない方が長続きします。あえて勝敗を曖昧にして、反応が遅れた子も“次は当てよう”と前向きに参加できるようにすると、活動が荒れにくいです。
ドレミソラの保育 音階あそび:独自視点の環境設定と観察
検索上位の解説では「やり方」に焦点が当たりやすい一方、現場では“環境設定”が結果を左右します。ここは独自視点として、音階あそびの成功率を上げるための「配置」「見える化」「観察メモ」を提案します。
まず配置です。音の高低を体で表す活動は、横一列より円の方が“真似の連鎖”が起きやすく、参加が広がります。保育者が中心に立つのではなく、あえて子どもと同じ円周に入り、隣の子に動きが伝わるようにすると、できない子が取り残されにくいです。
次に見える化。音階カードがある場合は、壁に貼るだけでなく「床に置いて動線にする」と理解が早まります。例えば床にド→レ→ミ→ソ→ラのカードを並べ、音が上がったら前へ進む、下がったら戻る、という“音の階段”を体験に変換できます。動くことで、歌えない子でも参加でき、クラス内の差がやわらぎます。
最後に観察メモです。音階あそびは、短時間で繰り返すほど伸びますが、何を伸ばしたいかが曖昧だと活動が散ります。そこで、観察は以下の3項目だけに絞ると記録しやすいです。
- 👂「高い/低い」で反応が変わったか(耳が向いたか)
- ✋ ボディサインの高さが近づいたか(身体で理解したか)
- 🧑🤝🧑 友達の動きを見て参加できたか(模倣で入れたか)
この3点を週1回だけでもメモすると、「次はドレミソラに戻す」「今日は即時反応を短くする」「歌よりカードを増やす」など、次の一手が具体的になります。音階あそびは“才能”より“設計”で伸びる領域なので、保育者が扱いやすい形に整えるほど、子どもは自然に音の世界に入っていきます。


