うんてい 保育園 遊び
うんてい 保育園 遊びで育つ体幹・握力・協調運動
うんていは、ぶら下がって体重を支えるだけで「握る力」「腕で支える力」を自然に使う遊びです。いきなり最後まで渡り切ることを目標にすると、怖さが先に立ちやすいので、まずは“ぶら下がれたら成功”の小さな達成から始めると進みが安定します。
また、進むときは手だけでなく、体幹で姿勢を保ち、左右交互に手を出すリズム(協調運動)も必要になります。園でよくある「集中が続かない」「姿勢が崩れやすい」子に対しても、短時間の挑戦を積み重ねる形なら成功体験を作りやすいのが特徴です。
発達の見取りとしては、次のように“できた形”が増えるほど、運動の土台が整ってきたサインになります。
- ぶら下がって3秒→5秒→10秒と伸びる(握力・持久)
- 体が左右に大きく揺れなくなる(体幹・姿勢保持)
- 次のバーを見て手を伸ばせる(視線と手の連動)
- 途中で休む位置を選べる(自己調整・見通し)
「うんていが得意=運動が得意」と短絡せず、“挑戦の仕方が上手くなる”ことを保育の価値として捉えると、クラス全体の自己肯定感を守りやすくなります。
うんてい 保育園 遊びの安全:事故・ヒヤリハット予防
うんていは達成感が大きい一方で、転落などのヒヤリハットが起きやすい遊具でもあります。固定遊具の事故防止については、日本スポーツ振興センター(JSC)が「学校(園)における固定遊具による事故防止対策」をまとめ、事故の傾向と事故防止のための管理・指導のポイントを示しています。園の安全計画に“根拠のある基準”を入れたいときに役立ちます。
(固定遊具の事故防止の考え方・管理と指導のポイントの参考:JSC)
現場で効くのは、「ルール」だけでなく「環境」と「保育者の立ち位置」をセットで決めることです。特に、次の3点は“今日から点検できる”実務チェックとして機能します。
- 濡れ・霜・砂:濡れたバーは握りが滑り、服も汚れるため回避しやすい。朝の園庭確認に「バーの乾き」を入れる。
- 順番待ちの密集:後ろから押す・下に入り込む事故が増えやすい。待つ位置を線やコーンで明確化する。
- 着衣の引っかかり:フード紐・マフラー類は事故リスクが上がる。外遊び前の“身支度チェック”を短い合言葉にする。
さらに、自治体の「公園で遊ぶ時の約束」などは、子どもにも伝わりやすい表現で、服装や紐の扱い、濡れた遊具で遊ばない等の注意点を整理しています。園のルールを作るとき、言い回しのテンプレとして取り入れると、職員間の伝え方が揃い、子どもの理解も進みます。
(服装・紐・濡れた遊具などの具体的注意の参考:足利市)
安全指導のコツは、禁止を増やすより“安全にできる行動”を短く教えることです。たとえば「飛び降りない」は守れても、どこまで行ったら降りるかが曖昧だと迷います。降りる位置(端)を固定して、合言葉を「端でおりる」にすると、行動に落とし込みやすくなります。
うんてい 保育園 遊びの年齢別:できない子の段階
「できない」を“能力不足”にしてしまうと、子どもは遊具そのものを避けるようになりがちです。そこで、年齢や発達差に合わせて、段階を細かく刻むのが現実的です。以下は、園庭で実装しやすい段階の例です(クラスの実態に合わせて前後させます)。
| 段階 | 子どもの姿 | 保育者の援助 |
|---|---|---|
| ①触れる | バーに触る/握る | 「触れたね」で肯定。手洗い導線もセット(衛生面に配慮)。 |
| ②ぶら下がる | 足がついたまま→少し浮く | 「3秒チャレンジ」など短時間で区切る。 |
| ③1つ進む | 片手ずつで1本先へ | 「次は右手」など具体指示。下に入らない約束も同時に。 |
| ④数本進む | 途中で止まれる | 疲れのサイン(手が緩む)を見て声かけで降ろす。 |
| ⑤渡り切る | 最後まで到達 | 競争より“自分の記録”で達成感を支える。 |
「できない子」への実践で効くのは、補助を“持ち上げる”より“安心の情報を足す”ことです。例えば、怖い子には「どこで降りるか」を最初に決めて見通しを作ります。腕力が足りない子には、うんていだけで鍛えるのではなく、遊びの中で握る・支える機会を散りばめると伸びが早いです。
- 握る遊び:砂場のスコップ、雑巾しぼり、粘土ちぎり
- 支える遊び:四つ這いの動物歩き、平均台、マット山登り
- ぶら下がりの代替:低い鉄棒で“足つきぶらん”
うんていが苦手な子ほど、成功のハードルを下げた「入口」を用意すると参加が増えます。参加回数が増えると、体は必ず慣れていきます。うまくいった日だけでなく、怖がりながらも触れた日を「前進」として記録しておくと、保護者共有にも説得力が出ます。
うんてい 保育園 遊びの声かけ:達成感・ルール
うんていの指導で差が出るのは、声かけが“評価”になっていないかどうかです。「すごいね」「早いね」だけだと、速さや上手さが基準になり、慎重な子が離れていきます。代わりに、行動を言語化して返すと、子どもは次に何をすればいいかが明確になります。
- 動きの言語化:「今、左手がしっかり握れてる」
- 次の一手の提案:「次は右手を1本先」
- 選べる形:「今日は3本でおしまいにする?もう1本行く?」
- ルールの短文化:「下に入らない」「順番は線で待つ」「端でおりる」
ルールは文章で長く説明すると伝わりません。短い合言葉にして、掲示にも同じ言葉を使うと、職員間のズレが減ります。さらに、友だち同士の声かけも同じ言葉になっていくため、保育者が常に介入しなくても安全が保たれやすくなります。
また、達成感は“最後まで渡ること”だけではありません。途中で降りる判断ができた、順番を守れた、友だちの挑戦を待てた――これらも十分に価値のある成長です。うんていを「運動のテスト」にしないことが、遊びとして継続させる最大のコツです。
うんてい 保育園 遊びの独自視点:音・リズム
検索上位では「握力」「体幹」「安全」が中心になりがちですが、園で実際に伸びを感じやすいのは“音とリズム”を使った支援です。うんていは左右交互に手を出すため、動きが止まる子は「次のタイミング」が掴めていないことがあります。そこで、歌や手拍子を使い、動作にリズムを与えると、体の出力が揃いやすくなります。
具体的には、渡り切りを急がせず、次のような“リズム設計”にすると、怖さが和らぎやすいです。
- 合図を固定:「せーの」で1本進む
- 拍で支える:保育者が「タン・タン」と一定の手拍子
- 言葉を短く:「右」「左」だけで進む
- 止まる場所を作る:2本ごとに“休憩バー”を決める
意外な効果として、リズムを介すると、周囲の子どもも自然に“見守りモード”になり、押したり割り込んだりが減りやすい点があります。応援の声が大きすぎると集中が切れる子もいるため、クラスの雰囲気に合わせて「応援は小さな声」「順番の子だけ見る」などのルールと組み合わせると安定します。
うんていを「筋力強化の時間」にせず、遊びの流れの中で、音・リズム・合言葉を道具として使う。これが、苦手な子も巻き込みながら安全に継続するための、現場向けの工夫です。

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