ボール遊び保育園のボール歌
ボール遊び保育園のねらい
ボール遊びは、保育園・こども園の活動の中でも「0歳児から5歳児まで幅広い年齢で取り入れられる」「室内遊び・外遊びの両方で扱える」という強みがあります。特に“毎日の遊び”として繰り返しやすい分、ねらいを意識しておくと月案・指導案にもつなげやすくなります。
ねらいの立て方は、まず「身体操作」「社会性」「認知」を分けて考えるとスッキリします。ほいくisのボール遊び紹介でも、ねらいとして「投げる・取るなど全身を動かすことを楽しむ」「友だちと協力する楽しさを知る」などが示されています。加えて期待される姿として、距離感覚・方向感覚、集中力・瞬発力、協調性などが挙げられています。
ここでは、現場で書きやすい言葉に“翻訳”して、すぐ使える形に落とします。
【ねらい(例)】
- 運動面:転がす・投げる・受ける動きを通して、目と手の協応、体幹、バランス感覚を育てる。
- 認知面:ボールの軌道(転がる/跳ねる)を見て予測し、距離感覚・方向感覚を経験する。
- 社会面:順番、相手への渡し方、力加減を学び、友だちと「同じルールで遊ぶ」経験を積む。
- 情緒面:できた/できないを含めて、繰り返し挑戦し、達成感や自信を得る(成功基準を調整する)。
意外と見落としやすいのは、「運動が得意な子の遊び」にならない工夫です。たとえば“投げる”が苦手な子も、転がしドッジボールのように「転がす」動きからなら参加しやすい、という段階づけが可能です(年齢や経験に応じてステップを用意する考え方)。ボール遊びが得意ではない子にも安心して楽しめる形が提示されています。
ボール遊び保育園の年齢別
年齢別は「何ができるか」だけでなく、「どんなボールが安全に扱えるか」がセットです。特に乳児は、ボールそのものに触れる感触遊びが中心になりやすく、そこで“歌”を添えると、保育者の合図が伝わりやすくなります。
ほいくisでは、0〜1歳児向けとして「ボール叩き」「コロコロボールキャッチ」「ボールプール」などが紹介され、まずは触れる・掴む・落とす・音を楽しむといった入り口が強調されています。さらに1歳児に関しては、インタビュー形式の記事で、ねらいとしてコミュニケーション、反射神経、空間認知、距離感覚・方向感覚、想像力などが挙げられ、ボール選びのポイントとして大きさ・やわらかさ・素材が示されています。
ここでは“クラス運用”として組み替えた例を提示します。
【0歳児】
- おすすめ:ボール叩き、ボールプール、転がし受け渡し。
- コツ:保育者が先に見せる→子どもが真似する、の順で安心を作る(模倣が入口)。
- ボール:布・スポンジなど柔らかい素材を中心にする。
【1歳児】
- おすすめ:コロコロで渡す、袋(カゴ)に集める、フープ(輪)入れ、ボーリング風。
- コツ:「持ってくる」「入れる」など、成功が見えやすい課題が合う。
- 注意:月齢差が大きいので、同じ活動内で“難易度違い”を併設する(転がす→投げる)。
【2〜3歳児】
- おすすめ:的当て、転がしドッジボール、バウンドパスの導入(保育者とペア)。
- コツ:ルールは短く、場の境界(線・コーン)を視覚化して混乱を減らす。
【4〜5歳児】
- おすすめ:ドリブルリレー、ボール運びゲーム、ボール鬼など“スピード×協力”の要素。
- コツ:勝ち負けの納得感が大きくなる時期なので、ルール説明を歌の合図に寄せると揉めにくい。
参考リンク(ボール遊びの対象年齢・遊び方・ねらいの整理に有用)

参考リンク(1歳児のねらい・ボール選び・月齢差への配慮の整理に有用)

ボール遊び保育園のわらべうた
「ボール歌」を保育で扱うとき、定番で外しにくいのが“わらべうた”です。理由はシンプルで、歌の区切りが動作の合図になり、集団の動きが揃いやすいからです。動きが揃うと、結果として安全管理もしやすくなります。
代表例として「あんたがたどこさ」は、わらべうたに合わせてボールをバウンドさせ、歌詞の「さ」のタイミングで足の間にボールを通す(または足を上から通す)という遊び方が紹介されています。ねらいとしては、片足立ち・ジャンプでバランス感覚を育てる、歌に合わせて動いてリズム感覚を養う、繰り返し最後までやり切る達成感を得る、などが整理されています。さらに、室内版として“二人組で手拍子→「さ」でハイタッチ”のように、ボールなしでも成立するバリエーションが示されています。
ここが保育園で使いやすいポイントです。天候・スペース・人数で「ボールあり/なし」を切り替えられると、活動が途切れません。
【導入のしかた(3〜5分で雰囲気を作る)】
- まず歌だけ:円になって手拍子、合図の「さ」だけ強調する。
- 次に動きだけ:ジャンプ、足の間を通す“まね”をボール無しで。
- 最後にボール:できる子だけ難易度を上げ、他の子は“バウンドだけ”でもOKにする。
【難易度調整の例】
- 初級:バウンドして止める(足は使わない)。
- 中級:「さ」で足を上から通す(失敗しても続けてOK)。
- 上級:「ちょいとかぶせ」の「せ」で高くバウンド→前でキャッチ(背中キャッチは無理に狙わない)。
この“段階づけ”は、運動が苦手な子の自己効力感を守りつつ、得意な子には挑戦を残す、現場向きの設計です。
参考リンク(わらべうた×ボールのルール・ねらい・室内バリエーションが具体的)

ボール遊び保育園の安全
ボール遊びは盛り上がるほど、事故の芽も増えます。だからこそ「子どもに注意する」より先に「環境で事故を減らす」設計が有効です。
安全の基本は、①ボールの素材とサイズ、②人数とスペース、③動線、④ルールの短さ、の4点です。1歳児向けの解説では、柔らかなボールを使うこと、ボールの量を部屋の広さに合わせること、狭い場所で大量に出すと転倒などにつながることが示されています。ほいくisのボール遊びでも、乳児は布・スポンジなど柔らかいボールが扱いやすいことが繰り返し言及されています。
【安全のチェック(活動前に30秒で確認)】
- スペース:走る活動なら壁から距離を取る/室内は“転がす中心”に切り替える。
- ボール:硬球は避け、柔らかい素材を基本にする(年齢が低いほど優先)。
- 境界:線・マット・コーンで「ここから外は待つ」「ここで投げる」を視覚化する。
- ルール:禁止事項を増やすより、“合図”を歌にして動きを揃える。
【室内で特に起きやすい困りごとと対策】
- ボールが増えて興奮:最初は“人数より少ない数”から始め、追加はごほうび方式にする。
- ぶつかり:輪(サークル)や立ち位置マークで“定位置”を作る。
- 投げが強い:転がしルールに戻し、成功体験を作ってから投げに移行する。
ここで一つ、現場の“意外な盲点”として、歌を流す音量があります。歌が聞こえないと合図が崩れ、周りが見えなくなって衝突が増えます。音量は上げすぎず、保育者の声と手拍子が通る程度が、結果として安全に寄与します(BGMが主役にならない設計)。
ボール遊び保育園の独自視点
検索上位で多いのは「ねらい」「年齢別」「遊び方」ですが、現場で差が出るのは“ボール歌を使った観察”です。歌は盛り上げ道具であると同時に、子どもの発達をさりげなく見取る「観察の枠」になります。
たとえば「あんたがたどこさ」の場合、「さ」のタイミングで足を動かすのは、単に器用さだけでなく、聴覚情報(歌)→運動指令(足)→タイミング調整(バウンド)という複合課題です。ねらいとしてリズム感覚や達成感が示されている通り、歌に合わせる課題は“繰り返し”で伸びが見えやすく、子ども自身も上達を感じやすい構造です。
【歌×観察で見えるポイント(記録がラクになる)】
- リズム:歌の区切りで動けるか(早取り/遅れ/途中で止まる)。
- 視線:ボール→足→友だちへ視線が移るか(周囲を見る余裕)。
- 力加減:バウンドが高すぎる/低すぎるの調整が起きるか。
- 社会性:順番待ち、友だちへの声かけ、失敗した子への反応。
【保育の言葉かけ(活動が崩れにくい)】
- 禁止より合図:「投げない!」より「コロコロでいくよ〜」の統一フレーズ。
- 成功基準の調整:「背中キャッチ」固定ではなく「前でキャッチでもOK」にして達成感を守る(難易度調整の例が提示されています)。
- 役割を作る:「歌係」「ボール集め係」など、参加の入口を増やす。
歌を“演出”としてだけで終わらせず、活動全体のリズム(合図)と、発達の見取り(観察枠)に二重で使うと、同じボール遊びでも保育の質が一段上がります。今日のクラスの子どもたちには、どの合図なら一番揃いそうでしょうか。


