リトミック保育リズム遊び
リトミック保育リズム遊びのねらい
リトミックは、音楽に合わせて身体を動かしたり道具で表現したりして、感性や表現力を引き出す音楽教育として保育に取り入れられています。
保育園でのねらいは、①音楽に親しみながらのびのび身体を動かす楽しさを味わう、②身体を使って自由に表現する面白さを知る、③友だちと表現する楽しさを共有する、のように整理すると指導案が組み立てやすくなります。
さらに、幼児期は「〜を味わう」「〜を感じる」といった方向付けを重視する考え方が示され、園ごとに子どもの発達を踏まえつつ「育ってほしい姿」を具体にイメージして日々の教育を行うことが求められます。
ここで大事なのは、「リズム感をつける」だけに寄せすぎないことです。リズム遊びの場面は、待つ・止まる・譲る・合わせる・真似るなどが自然に起き、協同性や自立心の芽生えを観察できる時間にもなります(“うまく踊れたか”より“どう関わったか”を見る)。
参考)保育園で楽しもう!リズムに合わせた遊びやゲーム15選をご紹介…
ねらいを現場で使える言葉に落とすなら、次のように短文化すると共有しやすいです。
・🎯ねらい短文化の例
- 「音の変化に気づき、動きを変える」
- 「自分の動きを選び、やり切る」
- 「友だちの動きを見て、合わせたり譲ったりする」
参考リンク(幼児期に育ってほしい姿の考え方の根拠に)。
文部科学省「幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿(参考例)」:園で「育ってほしい姿」を具体にイメージし教育活動を工夫する前提がまとまっています。
リトミック保育リズム遊びの年齢別
年齢別は「動き」「指示の長さ」「活動時間」をセットで調整すると破綻しにくいです。0〜2歳は短時間・反復、3〜5歳は役割や集団要素を少しずつ増やす、という大枠が使えます。
また、年齢が上がるほど“正確さ”を上げるより、“選べる余地”を増やす方が表現遊びとして豊かになります(同じリズムでも「歩く」「忍び足」「大きく歩く」を子どもが選ぶ等)。
・0歳児:スキンシップ中心
0歳児は自分で身体を動かすのが難しいため、抱っこで揺れる、手足をさする、握った鈴やマラカスに手を添えるなど、保育者が伴走する形が例として示されています。
活動は5〜10分程度の短時間にし、同じ活動を繰り返して音楽に慣れ親しめるようにするのがポイントです。
・1歳児:歩く・止まる・まねる
1歳児は音楽に合わせて身体を揺らすなどが見られる時期なので、「歩く・走る・止まる」や動物模倣、タンバリン等の簡単な打楽器で“鳴らす”を楽しむ例が挙げられています。
速い/遅いの変化を入れると、聴いて動きを変える経験になりやすいです。
・2歳児:ジャンプ・ステップ・友だち
2歳児は理解が進むので、ジャンプや片足跳び、ステップ、手拍子など少し複雑な動きが取り入れられます。
友だちと手をつなぐ、向かい合って動くなど「一緒にやる」要素を足すと、楽しさが増えやすいとされています。
・3歳児:行進・表現・布(パラバルーン等)
3歳児は複雑な動作ができるようになり、行進しながら手を振る・足踏みをするなどの活動例が示されています。
大きな布を音楽に合わせて上げ下げするなど、集団で一つのものを動かす活動も例として挙げられています。
・4歳児:楽器・劇・創作
4歳児は自己表現が豊かになり、打楽器を取り入れたり簡単な劇を演じたりして表現を広げるやり方が紹介されています。
グループで協力する活動が協調性につながる、という整理もしやすいです。
・5歳児:簡単な楽譜・ゲーム性
5歳児は身体能力が高まり、自主的にダンスやリズムをとる子も増えるため、自由に音楽を楽しめる機会をつくること、簡単な楽譜で演奏する活動を取り入れることが例に挙げられています。
ここでは「できた/できない」評価よりも、「工夫した」「友だちと合わせた」「最後まで続けた」などの姿に注目すると、園内共有がしやすくなります。
リトミック保育リズム遊びのポイント
運用のコツは「型を固定する部分」と「自由に揺らす部分」を分けることです。始まりと終わりで毎回決まった音楽を流すと、子どもが活動の見通しを持ちやすく、気持ちの切り替えにもつながるとされています。
途中は、子どもの動きや流れに合わせた即興性のある音楽が効果的で、ピアノ等で進行に合わせた音楽を入れる工夫が紹介されています。
現場で起きがちなつまずきを、先回りで手当てすると回りやすくなります。
・🧠「止まれない」対策
- “止まる”を叱る対象にせず、「フリーズの達人」などゲーム名にして成功体験へ。
- 音の合図を単純化(低い音=止まる、などルールを固定)。
・🧍「恥ずかしい」「やりたくない」対策
保育者が率先して表現を楽しむ姿を見せることが大切だとされ、安心して表現できる雰囲気づくりがポイントになります。
“参加=同じ動き”にしないで、「座って見ている」「鈴だけ鳴らす」も参加として扱うと、後から動き出す子が増えます。
・🧰道具を使うとき
マラカス・鈴・タンバリンのように操作が単純なものから入り、年齢が上がったら役割(合図係、片づけ係)を入れると、活動全体が締まりやすいです。
「道具を増やす=盛り上がる」ではなく、ねらいに対して必要な道具だけに絞る方が、集中が途切れにくいです。
リトミック保育リズム遊びの注意点
リトミックでは、子どもの自由な表現を尊重することが大切で、保育者が「こう動いてほしい」に寄せすぎず、感じたことを自分なりに表現する過程を受け止めることが強調されています。
そのため、保育者の声かけは「正解に誘導」よりも、「今の動き、どんな気持ち?」「その歩き方、雨みたいだね」など、表現の意味づけを広げる問いが相性が良いです。
安全面では、動きが大きくなるほど事故が起きやすいので、環境設定を“先に”やっておくと事故が減ります(特に3〜5歳で走る・回るが入るとき)。
・🛡️安全のチェック例
- 走る活動は「進行方向」を決め、壁際に座る子を作らない。
- 床の滑りやすさを確認し、靴下素材やマットの段差を調整。
- “止まる”合図が出たら、その場でしゃがむ等、衝突を避けるルールを固定。
運営面では、活動の「始まり/終わりの曲を固定」し、見通しを持たせる方法が紹介されています。
また、幼児期は学年ごとの一律目標設定が適切ではないという前提も示されるため、同じ年齢でも個人差を含めた運用(難易度の選択肢を用意)が実践向きです。
リトミック保育リズム遊びの独自視点
検索上位の定番は「ねらい」「年齢別」「おすすめ遊び」になりがちですが、現場で差が出るのは“観察の置き方”です。幼児期は「育ってほしい姿」を具体にイメージし、日々の教育を行うことが求められるため、リズム遊びを「評価の時間」ではなく「姿が見える時間」として設計すると、記録と改善が一気に楽になります。
つまり、活動内容を増やすより、「どの姿を見るか」を先に決める方が、保育の質につながります。
・🔍姿が見える“観察フレーム”例(そのまま記録に転用)
- 自立心:自分で場所を選ぶ/切り替える/片づけに戻れる。
- 協同性:友だちとテンポを合わせる/順番を待つ/役割を引き受ける。
- 豊かな感性と表現:音の強弱や速さの変化を動きで表す/自分のイメージを言葉にする。
・🎼“意外に効く”設計の小技(音楽の専門性が高くなくても可能)
- 速さを変えるより先に「音量」を変える:小さい音は集中が立ち上がりやすく、走り回りの暴走を抑えやすい。
- 同じ曲を“導入だけ固定”にする:始まりは安心、途中は変化で飽きにくい(固定曲の効果が示されています)。
- 子どもに「合図係」を渡す:保育者がすべて指示するより、クラスの空気が落ち着き、協同性の観察もしやすい。
最後に、リトミックは「保育者が率先して表現を楽しむ」ことが大切だとされるので、上手さではなく“楽しんでいる姿”を見せることが最優先です。
その上で、年齢別の発達に合わせた動きと、園として見たい「育ってほしい姿」を結びつけると、リトミック保育リズム遊びが行事の余興ではなく日々の保育の核として機能し始めます。

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