合唱団 保育園 こどもの合唱
合唱団 保育園 こどもの合唱の行事 発表会のねらい
保育園で「合唱団」と聞くと、特別な団体を想像しがちですが、実態は“クラスや学年で作る合唱の場”を丁寧に運営していくことに近いです。
行事や発表会での合唱は、音程の正確さだけをゴールにすると苦しくなりやすく、子どもが「みんなの声が重なる心地よさ」や「一体感」を味わえる設計が土台になります。
まず、行事の目的を3つに分けると準備が楽になります。
- 見せ場(サビ、決めポーズ、ハモり“風”の掛け合いなど)を作る。
- 生活の延長(季節、行事、園のテーマ)とつなげる。
- 成功体験(最後まで歌い切った、友だちと合った)を拾う。
発表会でよく起きる“ズレ”は、練習量不足よりも「当日の環境変化(舞台・客席・照明)で、子どもが音を聴きにくくなる」ことです。
そこで、練習の後半からは“当日を小さく再現する”のが効きます。
- 並び方を固定しすぎず、立ち位置が変わっても歌える時間を作る。
- 拍手の後に歌い始める練習を入れる(静寂→歌の切替)。
- 司会の言葉が入る想定で、待つ・出る・歌うを通しでやる。
また、保育者側の準備として、「歌詞を貼っておく」「絵カードやペープサートで場面理解を助ける」など視覚支援は、記憶に自信がない子の不安を下げやすいです。
歌は“覚えさせる”というより、“毎日触れて自然に体に入る”状態を作ると、結果的に本番が安定します。
参考:子どもと歌う「意味・ねらい」「導入」「声かけ」「視覚支援」がまとまっています(合唱の導入・雰囲気づくりの参考)。
保育園での歌の教え方。選曲や導入など子どもに指導するポイント
合唱団 保育園 こどもの合唱の選曲 音域 声域の基準
園の合唱で失敗しやすいのが、人気曲や行事定番曲をそのまま使い「音域が合っていないのに頑張らせてしまう」ケースです。
音域が合わないと、子どもは“強く押す声”になりやすく、結果としてどなり声になったり、周りの音が聴けなくなったりします。
研究では、幼児の発声器官は未発達で、無理な発声は嗄声などにつながる可能性があること、また集団歌唱の場面でどなり声が起きやすいことが論じられています。
参考)https://rikkyo.repo.nii.ac.jp/record/12057/files/AN00026486_58_06.pdf
同資料では、幼児にとって無理のない声域・音程の目安として、年齢別に「一点ハ〜一点ト」付近を中心とした範囲が提示され、年齢が上がるほど音程幅が広がる整理もされています。
現場で役立つ“選曲のチェック”を、難しい音名を避けて運用に落とすと次の通りです。
- 高すぎる曲:サビで“叫ぶような声”が出やすい→移調(キー変更)や、サビを1段下げたバージョン検討。
- 低すぎる曲:歌詞がこもりやすく、音程が揺れる→伴奏だけ低い、歌は別メロにする等の工夫。
- 跳躍(音の上下)が激しい曲:音程が外れやすい→“掛け合い”や“語り”に分解して合唱化。
導入では、いきなりフルコーラスより「サビから」「短いフレーズから」が覚えやすく、クラス全体の成功体験が早く作れます。
また、長い曲(2番3番)を一気に仕上げようとせず、日を分けて積み上げる方が、結果的に集中が続きやすいです。
参考:幼児が無理なく歌える声域、どなり声の背景、移調の考え方などがまとまった学術資料です(声域・選曲の根拠に使えます)。
合唱団 保育園 こどもの合唱の指導 発声 声かけのコツ
園の合唱指導で重要なのは、「大きな声で!」を合図にしないことです。
強い指示は、子どもが“声を張り上げる=良い”と誤学習し、がなり声・どなり声を誘発しやすいと指摘されています。
代わりに、声かけは“身体の使い方”に寄せると安定します。
- 「お口をしっかり開けてね」:声量ではなく通り道を作る声かけ。
- 「まあるい声」「にこにこの声」:感情イメージを使い、力みを抜く誘導。
- 「ここは“ことば”を届けよう」:音程より発語の明瞭さに意識を寄せる。
どなり声が出たときは、頭ごなしに止めるより「気づき」を促す方が、表現意欲を折りにくいです。
実例として、子どもに「声がとげとげしてない?」「かいじゅうみたいかも」など比喩で自覚させ、次に「優しい声」を提示する流れが紹介されています。
また学術資料でも、どなり声を一律に抑え込むのではなく、歌う意欲や表現活動を妨げない配慮が必要だと論じられています。
合唱に“合う声”は、裏声を教えることより先に「周りの音を聴ける声量」に整えるのが近道です。
ピアノ伴奏が大きすぎると子どもは自分の声が聴こえず、さらに声を押し上げる悪循環が起きるので、伴奏音量は意識的に抑える方が安全です。
合唱団 保育園 こどもの合唱の練習 導入 イメージ共有
初めて歌う曲は、子どもが「どんな世界の歌か」を想像できるほど、歌詞の入りが速くなります。
そのため導入では、絵本・絵カード・ペープサートなどを使い、歌詞の場面を視覚化する方法が有効です。
練習手順は、園の現実(時間が短い、欠席がある、行事が挟まる)に合わせて、次の形が回しやすいです。
- 1日目:保育者が歌う→サビだけ一緒に歌う(“楽しい”で終える)。
- 2日目:Aメロを節ごとに区切る→意味を話す→短く歌う。
- 3日目:通して歌う→難しい箇所だけ部分練習→通し直す。
- 本番前:並び方と出入り、拍手後の入り、マイクや伴奏との距離まで通す。
「歌のイメージを膨らませる」ために、問いかけを使うと合唱が急に揃いやすくなります。
- 「ここって何してる場面?」
- 「どんな気持ち?」
こうした問いは、ただ覚えるだけの練習から、表現としての合唱に変えるスイッチになります。
また、子どもが苦手にしている部分は、全体練習で流さず“その部分だけ”をゆっくり、保育者がお手本を見せながら繰り返す方が自信につながるとされています。
「できた感」が積み上がると、クラスの雰囲気が整い、声も自然に優しくなりやすいです。
合唱団 保育園 こどもの合唱の独自視点:合唱団の環境 立ち位置 騒音
検索上位の“歌の教え方”は手順や声かけが中心になりがちですが、合唱が崩れる原因は「環境」に潜んでいることが少なくありません。
学術資料でも、保育室が騒がしいことや、伴奏が騒がしいために自分の声が聴こず、子どもがどなる要因になる点が挙げられています。
そこで、園で実装しやすい“環境チューニング”を合唱団運営として組み込みます。
- 立ち位置:壁際やコーナーは反響で声が大きく感じ、子どもがさらに押すことがある→中央寄り・扇形で「聴き合い」優先。
- 間隔:詰めすぎると隣の声に引っ張られて音程が乱れる→肩が触れない程度の間隔を確保。
- 伴奏:ピアノ音量を下げ、テンポだけ支える→子どもが自分の声を聴ける状態に戻す。
- 練習場所:廊下や園庭の音が入る時間帯は避ける→“声を押す癖”がつきにくい。
さらに、合唱を「全員で同じことを同時にやる」だけにしないのも独自の効き方があります。
- 低年齢:サビだけ合唱、他は手拍子・簡単な動きで参加感を担保。
- 高年齢:一部だけ掛け合い(男女・左右・前後)にして、音量でなく“聴く集中”を育てる。
“どなり声”を直す最短ルートは、注意の言葉を増やすことではなく、「子どもが自分の声を聴ける環境」と「優しい声が正解だと分かる経験」を増やすことです。
環境が整うと、保育者の声かけも少なく済み、結果として行事・発表会の練習が日常保育の中に自然に溶け込みます。
| よくある困りごと | 原因の仮説 | 園での対策例 |
|---|---|---|
| 声が大きすぎて“合っていない” | 自分の声が聴こえない/伴奏が大きい/音域が高い | 伴奏音量を下げる、キーを下げる、立ち位置を扇形にする |
| サビだけ盛り上がって他が崩れる | サビ以外の言葉が曖昧/息継ぎが揃っていない | 難所だけ部分練習、歌詞の意味を短く共有する |
| 覚えるのが遅い子が不安そう | 聴覚だけだとイメージがつきにくい | 絵カード・ペープサート、歌詞掲示を使う |


