帰りの会 保育園 あいさつの歌
帰りの会 保育園 あいさつの歌のねらい
帰りの会は、ただ「帰る前の連絡」をする時間ではなく、1日の終わりを子どもが納得して閉じるための大事な区切りです。実際に、帰りの会のねらいとして「1日の保育園生活の振り返り」「翌日楽しみに登園できるようにする」が挙げられています。こうしたねらいがあるからこそ、締めくくりに“あいさつの歌”を置く意味が生まれます。
特に歌は、言葉だけの指示よりも、クラス全員に同時に伝わりやすい「合図」になります。「帰りの会で歌を毎日歌うことで、子どもたちも『もう帰る時間なんだな』と切り替えることができます」という整理は現場感覚に近く、導入の根拠として使いやすいでしょう。つまり、あいさつの歌は“儀式”ではなく、子どもの心の移行(遊び→降園)を支える具体的な支援です。
ねらいをさらに保育的に言い換えると、次の3つに整理できます。
- 🧠 見通し:一日の終わりの流れが安定し、次に何をするかが分かる。
- 🤝 所属感:みんなで歌い、同じ言葉であいさつすることで集団の一員だと感じる。
- 💬 言葉:定型のフレーズ(さようなら、またあした)を繰り返し経験し、表現が身につく。
ここでポイントは、「歌わせる」より「歌が自然に出る」環境づくりです。ねらいを達成しようとして声量や姿勢だけを評価すると、帰りの会が“点検”になりがちです。笑顔で終われることを優先し、参加の形(小さく口ずさむ、手拍子だけ、保育者の方を見るだけ)に幅を持たせると、クラス全体の安心につながります。
帰りの会 保育園 あいさつの歌の流れ
帰りの会の基本的な流れは、多くの園で共通しています。例として「あいさつ→手遊びや歌→1日の振り返り→帰りの歌→帰りのあいさつ」という構成が紹介されています。大切なのは、この順番を“固定しすぎない”ことではなく、“子どもに分かる形で安定させる”ことです。
具体的に、あいさつの歌を軸にした流れを、現場で回しやすい形にすると次のようになります。
- ⏰ ①集まる:手洗い・排泄・水分など最低限の生活面を整え、座る位置へ。
- 🎵 ②小さな導入:短い手遊び、または保育者の合図(鈴・手拍子)で注目を集める。
- 💬 ③振り返り:今日の活動を「一言」で拾う(子ども発表は2~3人でも十分)。
- 🎶 ④あいさつの歌:クラスの“いつもの歌”を歌う(ピアノでも手拍子でもOK)。
- 🙇 ⑤帰りのあいさつ:歌詞の「せんせい さよなら」「みなさん さよなら」等に合わせて、目を見て丁寧に。
ここで“歌”と“あいさつ”を二重にするのは無駄ではありません。ほいくisでは、「『せんせい さよなら』『みなさん さよなら』の部分では、子どもたちと一緒に挨拶を交わす」「曲の最後に改めて『さようなら』『またあした』と挨拶をするのも良い」とされています。歌の中のあいさつはリズムに乗って全員参加がしやすく、最後のあいさつは個々の表情を見ながら終われるため、役割が違います。
また、帰りの会が長くなると疲れて集中が切れやすい点も指摘されています。だからこそ、あいさつの歌は“短く確実に終われる装置”として便利です。テンポを崩さず、予定が押している日でも最低限の品質で締められるよう、歌の前に入れる「振り返り」を短文化しておくと、現場が回りやすくなります。
帰りの会 保育園 あいさつの歌の定番
保育現場で歌われる「帰りの会の歌」は、園や地域で差はありますが、定番として挙げられやすい曲があります。たとえば、帰りの会でよく歌われる曲として「おかえりのうた」「さよならのうた」を紹介する資料があり、帰りの会で使いやすい2曲として整理されています。定番があると、担任が変わっても子どもが戸惑いにくく、合同保育などにもつながりやすいという利点があります。
「おかえりのうた」は、帰りの会の定番曲として知られ、作詞が天野蝶、作曲が一宮道子であることが示されています。歌詞には「せんせい さよなら」「みなさん さよなら」などの定型あいさつが含まれ、歌の中で“関係を結び直して終わる”構造があるのが特徴です(※歌詞全文は著作権の都合で園内での扱いに注意し、媒体への掲載は避けましょう)。
一方、「さよならのうた」も帰りの会の歌として広く知られ、明るいメロディーで1日を締めくくれる曲として紹介されています。内容が「おもしろかったお遊びも 今日はおしまい」と終わりを受け止める言葉になっているので、活動から降園への気持ちの移行にフィットします。
定番曲を選ぶときの実務的な観点は、次の通りです。
- 🎹 伴奏の難易度:毎日続けるなら“簡単に弾ける・流せる”が正義。
- 👶 年齢適合:0~2歳は短く反復がある歌、3~5歳は歌詞の意味を拾いやすい歌。
- 🧑🤝🧑 クラス文化:元気系か、落ち着き系か(テンションを上げて降園すると、玄関が混みやすい園もあります)。
そして意外と盲点なのが、「園で統一」するか「クラスで変える」かです。帰りのあいさつは園によって違いがあるため、園で統一してクラスによる違いがないようにすると、合同保育の際も子どもが戸惑いにくいという指摘があります。クラスの工夫は残しつつ、核となる“歌(またはあいさつの言葉)”だけは揃える、という設計が現場では扱いやすいでしょう。
参考:帰りの会のねらいと流れ(帰りの歌・帰りのあいさつの位置づけ)
参考:「おかえりのうた」の扱い方(挨拶を交わすポイント、作詞作曲情報)
おかえりのうた|手遊び歌を保育士が実演|保育士・幼稚園教諭の…
帰りの会 保育園 あいさつの歌の声かけ
あいさつの歌を定着させるとき、子どもに「歌って!」と指示するだけでは、日によってムラが出ます。ポイントは、“歌う前”の声かけで安心と見通しを作ること、そして“歌っている最中”は矯正より同調を優先することです。帰りの会の締めには笑顔で元気にあいさつを交わし、明日への楽しみにつながるようにする、という基本の方向性が示されています。
現場で使いやすい声かけ例を、状況別にまとめます。
- 🧊 集中が散っているとき。
「今から帰りの会だよ。歌が始まったら、おくちとおみみを歌の方に向けようね。」
- 😢 気持ちが落ちている子がいるとき。
「今日は疲れたね。小さな声でもいいよ。聞いているだけでも一緒だよ。」
- 🔥 テンションが上がりすぎのとき。
「歌は“静かな声のかっこいいモード”でいこう。最後の『またあした』をそろえたいな。」
- 🧑🏫 保育者自身の立ち位置。
子どもの前に立って“指揮者”になるより、輪の一員として歌い、目線を配るほうが落ち着くクラスもあります。
また、あいさつの歌は「生活習慣」とセットにすると効果が出やすいです。たとえば「おりがみ つみきも かたづけて」のように片付けが歌詞に含まれる曲の場合、歌の直前に「片付けが終わった人から輪に入ろうね」と伝えるだけで、行動の整理がしやすくなります。帰りの会の歌が“片付けの結果発表”になり、叱責より肯定で進行できます。
歌の場面でありがちな困りごとは、「声が小さい」「ふざける」「歌わない」です。ここで効くのは、評価を“声量”に寄せないことです。帰りの会は、1日の終わりに子どもの体調や感情に気を配るという留意点が示されるように、締めくくりほど観察の時間でもあります。歌えない子がいる日は、無理に引き上げず、降園後の保護者連携につなげる視点も持っておくと、保育の質が安定します。
帰りの会 保育園 あいさつの歌の独自視点
検索上位では「流れ」「ねらい」「おすすめの歌」に話題が集まりやすい一方で、実務で効いてくるのは“歌を合図にしたマイクロ移行支援”です。つまり、帰りの会のあいさつの歌を「みんなで上手に歌う時間」ではなく、「別れが苦手な子・切り替えが難しい子のための設計図」として使う発想です。帰りの会は明日への期待につながるように進める、というねらいがあるからこそ、終わり方を丁寧に設計する価値があります。
意外と知られていない工夫として、「同じ歌でも“出口”を2種類作る」方法があります。
- 🚪 出口A(通常):全員で歌→一斉あいさつ→順に降園準備へ。
- 🚪 出口B(安心ルート):歌の最後の1フレーズだけ保育者の隣で一緒に口ずさむ→短い個別あいさつ→準備へ。
これを“特別扱い”ではなく「今日はBでもいいよ」と選択肢として提示すると、子どもが自分で整える経験になります。
さらに、歌を“記憶のフック”にして、振り返りを短く深くするやり方もおすすめです。たとえば、歌の前に「今日の“たのしかった”を1つだけ思い出して、心に入れてから歌おう」と声をかけます。すると、帰宅後に保護者へ話す内容が増えやすく、家庭との会話のきっかけにもなります(連絡帳の文章も書きやすくなります)。帰りの会の振り返りは、子どもの気持ちをゆっくり聞ける時間になりうる、という整理とも相性が良いです。
最後に、園全体の動線(玄関の混雑、保護者対応、合同保育への移行)を考えると、帰りの会の歌は「テンポ管理ツール」でもあります。歌のテンポを少し落とすだけで、子どもの動きも落ち着き、けがやトラブルの予防になります。逆に、雨の日など室内が混みやすい日は、歌を短縮し「あいさつ→歌のサビ(またあした)→終わり」のミニ版を用意しておくと、品質を落とさず運用できます。
こうした独自視点は、“うまく歌えるか”ではなく“明日につながる終わり方か”を評価軸にする点にあります。帰りの会のあいさつの歌を、クラスの文化として積み重ねるほど、子どもは「別れ」と「再会」を安心して繰り返せるようになります。


