湯山昭 保育 ピアノ曲
湯山昭 保育 ピアノ曲 こどものせかい 選曲
保育で「湯山昭のピアノ曲」を使うメリットは、子どもの日常の気持ちや場面が題名から想像しやすく、活動に接続しやすい点です。ピティナ・ピアノ曲事典の解説でも《こどものせかい》は子どもが体験する多様な場面や気持ちを描き、〈おでかけするひ〉〈どうして?〉〈おねだり〉など日々の暮らしからイメージできる題名が多いとされています。
また《こどものせかい》は1976~1977年に作曲された34曲の曲集で、手の小さい子どものためにオクターヴ奏法を使わずに書かれている点も特徴です。難易度もバイエルからソナチネ程度とされ、保育士が“背伸びしすぎずにレパートリーを増やす”入口として現実的です。
現場での選曲は「曲の良さ」だけでなく、「その場で成立する長さ」と「子どもの動き」が鍵になります。おすすめは、曲の題名(情景)→活動(動き)→演奏の工夫(テンポ・間)をセットにして候補を持っておくことです。例えば次のように整理すると、行事や日案が変わっても迷いにくくなります。
・落ち着き導入(朝の会・絵本前)。
・「ゆうぐれ」系の“静かな情景”を想像させる曲(題名が情景のもの)
・テンポはゆっくり、和音は軽く、休符は長めに
・「いまからお話の時間だよ」と言葉で場面転換
・切り替え(移動・片付け前)。
・「ちこく」「おでかけするひ」など“急ぐ/動く”題名の曲
・テンポを一定にし、最後の小節を少し強くして区切りを作る
・「ここまで来たらおしまい」の合図を音で作る
・遊びの広がり(リトミック風)。
・「ににんさんきゃくってむずかしい」など“遊びのルール”を想像させる曲
・手拍子→足踏み→2人組、の順で難度を上げる
保育士の目線では、曲を“作品として完璧に弾く”より、活動の目的に合わせて「使える形に整える」ほうが成果が出やすいです。湯山昭の曲は拍子の変化や手の交差などテクニックも含むとされるため、全部を原曲どおりに弾こうとせず、「導入8小節だけ」「A部分だけ」など短縮運用もしやすいです。
参考リンク(《こどものせかい》の作品概要、作曲年、34曲、オクターヴを使わない特徴、難易度などの根拠)

湯山昭 保育 ピアノ曲 こどものせかい ピアノ
《こどものせかい》が保育に向くもう一つの理由は、「現代的な和音の響き」や「日本の音の美しさ」「転調がもたらす色彩の変化」など、子どもが“言葉にできない気分”を音で体験できる要素がある点です。ピティナ・ピアノ曲事典でも、湯山昭の子どものための作品の特徴として、さまざまなリズム、現代的な和音の響きや日本の音の美しさ、転調による色彩の変化が挙げられています。
この特徴は、保育でよくある「子どもがザワつく」「話が入ってこない」場面に効きます。なぜなら、単純な童謡伴奏よりも音の変化量が多く、子どもの注意が“音の流れ”に吸い寄せられやすいからです。
ただし注意点もあります。保育室ではピアノの音が強すぎると、落ち着かせたい場面でも逆に刺激になります。そこで、次の3点を意識すると「湯山昭らしさ」を残しつつ保育向けに整えられます。
✅保育向けの弾き方(すぐ使える)
・音量:右手メロディは歌う、左手和音は“置く”くらい軽く(響きが濁るのを防ぐ)
・テンポ:子どもの歩行や手拍子が乗る速さに固定(急なルバートは避ける)
・休符:休符は指を鍵盤から離しすぎず、次の音へ“準備の間”を作る(合図になる)
さらに、曲の“つなぎ”を作ると現場が回ります。例えば「片付け→整列」のように、行動が二段階ある時は、同じ曲の中で次のように音で合図を作れます。
・片付け開始:mp(少し小さめ)で淡々と
・整列合図:最後の2小節だけ少し強く、終止感をはっきり
・整列後:同じ和音を弱く一回だけ鳴らして“静かにする合図”にする
この「同じ曲で、行動のフェーズを音で分ける」やり方は、子どもに指示の言葉を重ねすぎずに済むため、先生側の負担も減ります。
湯山昭 保育 ピアノ曲 お菓子の世界 発表会
湯山昭の曲集で保育の話題に出やすいのが《お菓子の世界》です。ピティナの特集記事では、《お菓子の世界》は1971年にNHK「ピアノのおけいこ」の番組のために最初の曲「お菓子のベルト・コンベヤー」が作曲され、その後1973年に全音楽譜出版社の委嘱で続く25曲が作曲された、と経緯が説明されています。
さらに同記事では、この曲集が「大人も子どもも弾いて楽しめ聴いて楽しめる曲集」として、音域に制限を設けずに書かれたこと、曲順もステージで効果が上がるように前の響きを受けて次へ続く工夫があることが述べられています。
つまり《お菓子の世界》は、保育の“日常BGM”というより、行事・参観・ミニコンサート・発表会の「見せ場」を作りやすい設計です。
保育での使い方は、次の2ルートが現実的です。
・行事で「聴かせる」:先生が1曲をしっかり弾き、子どもは絵や動きで参加
・日常で「遊ぶ」:短い部分を抜き出して、リズム遊び・言葉遊びに転用
特に意外と効くのが「お菓子」というテーマを、食育や言語活動に接続するやり方です。例えば“お菓子の名前→音の感じ→ことば”を結ぶだけで、子どもが自分の言葉で表現しやすくなります。
🍪活動アイデア(食育・言語)
・曲を聴く前に「今日のお菓子は何だと思う?」と予想させる
・聴き終わったら「サクサク?ねっとり?」「あまい?しょっぱい?」などの形容詞を引き出す
・最後に“お菓子の広告”ごっこ:子どもがその曲を紹介する言葉を作る
保育の現場では、上手さ以上に「子どもの発話が増えるか」「活動が続くか」が成果になります。《お菓子の世界》は題材が強いので、音楽活動が苦手な先生でも“話題の入口”を作りやすいのが強みです。
参考リンク(《お菓子の世界》の作曲経緯、NHK番組、委嘱、曲集の狙い、曲順の工夫など)

湯山昭 保育 ピアノ曲 童謡 作曲
「湯山昭=ピアノ曲集」という印象が強い一方で、保育で日常的に使うのは童謡の弾き歌い伴奏です。実際に、湯山昭が作曲した童謡として「あめふりくまのこ」は保育現場でも定番で、教育関係者向けに弾き歌い・伴奏として紹介している動画もあります。
この“童謡の湯山昭”と“ピアノ曲集の湯山昭”をつなげると、保育の音楽が一段ラクになります。やり方は簡単で、童謡の伴奏に「湯山昭の曲集っぽい音」を少し混ぜるだけです。
🎵童謡伴奏に混ぜるコツ(難しくしない)
・前奏を2小節だけ作る:主和音→属和音→主和音、のように短く
・間奏で一瞬だけ転調風にする:歌の邪魔にならない範囲で、和音の色を変える
・終わり方を“物語風”にする:最後の和音を小さくして、余韻を残す(子どもが次の言葉を出しやすい)
この工夫が効くのは、童謡の歌唱がマンネリ化してきたクラスです。先生の伴奏が少し変化するだけで、子どもは「いつもと違う」に反応します。結果として、歌う声量や集中が戻ることがあります。
また、湯山昭の作品には「日本の音の美しさ」や「さまざまなリズム」が特徴として挙げられています。童謡の伴奏も、リズムを“刻む”より“話す”ように弾くと、湯山昭らしい柔らかさが出やすく、弾き歌いでも無理が出にくいです。
湯山昭 保育 ピアノ曲 独自視点 こどものせかい
検索上位の記事では「難易度」「おすすめ曲」「発表会映え」に話題が寄りがちですが、保育士にとって本当に効く独自視点は「曲名を“保育の声かけ”に変換する辞書を作る」ことです。ピティナ・ピアノ曲事典の解説でも《こどものせかい》の題名は子どもの暮らしからイメージできるものが多いとされているため、曲名をそのまま保育の言葉に落とし込みやすい土台があります。
ここを仕組みにすると、ピアノの技術よりも「運用の再現性」で勝てます。忙しい日でも、辞書があればすぐに音楽活動の導線が作れます。
🗂️「曲名→声かけ」変換の例(テンプレ)
・「どうして?」→「どうしてだろうね、音が変わったら教えて」
・「おねだり」→「お願いの声はどんな声?小さい声?大きい声?」
・「また あした」→「おしまいの音が聞こえたら、気持ちを整えてね」
・「わらべうた」→「手遊びの動きを一つ決めて、音に合わせよう」
この辞書化のメリットは3つあります。
・先生が迷わない(毎回“何をするか”を考える負荷が減る)
・子どもが参加しやすい(正解が一つじゃない問いが増える)
・活動がぶれにくい(同じ曲を別の目的にも転用できる)
さらに、意外と効果が出るのが「同じ曲を“季節”に寄せて使う」発想です。例えば《こどものせかい》は題名が生活に近いので、同じ曲でも春は「はじまりの気分」、秋は「落ち着く気分」として扱えます。季節の会話と音の印象を結びつけると、子どもは音楽を“行事の飾り”ではなく“生活の言葉”として受け取りやすくなります。
保育でのピアノは、上達そのものより「子どもの生活を支える道具」になった時に強くなります。湯山昭の作品は、題名・情景・リズム・和音がそのまま保育の活動設計に使えるので、辞書化して積み上げる運用が最短ルートです。


