ゆうやけこやけ 保育園 童謡
ゆうやけこやけ 保育園 童謡:歌詞と作詞作曲と由来
保育園で「ゆうやけこやけ」を扱うとき、まず押さえたいのは“誰が作り、どんな時代に広まった歌か”という背景です。一般にこの童謡は、作詞が中村雨紅、作曲が草川信とされ、1919年に詞が発表され、1920年代に曲が付けられた流れで知られています。少し硬い知識に見えますが、保育では「先生が本気でその歌を好きでいる」ことが伝わるほど、子どもは歌に乗ってきます。由来を知っていると、歌う前の一言が変わり、日常の歌が“今日の物語”になります。
子どもに背景を長く説明する必要はありません。むしろ、導入は短く、情景に焦点を当てるのが効果的です。例えば「今日は空が赤いね。夕方の色、歌にしてみようか」というように、今この瞬間の空と歌を結びます。歌詞の世界には、夕暮れ、山、寺の鐘、そして子どもの帰路が描かれますが、園生活で言えば“昼から夜へ移る境目”そのものです。だからこそ、行事の歌ではなく、生活の歌として強い力があります。
意外な視点として、地域の“夕方の合図”と結びついている点も、保育の導入に使えます。多くの自治体では夕方にメロディやチャイムを流すことがあり、その一つとして「夕焼け小焼け」が採用されることがあるため、子どもが園外で聴いて「知ってる!」となることがあります。夕方の放送は、防災行政無線(同報系防災行政無線)の点検放送として行われることがある、と説明されます。歌が“外の世界の音”とつながると、室内の歌が急に現実味を帯び、子どもの参加が増えることがあります。
参考リンク(施設の由来・展示が参考/由来の語りに使える)
ゆうやけこやけ 保育園 童謡:ねらい(情緒・生活・言葉)
「ゆうやけこやけ」のねらいは、音楽表現だけに置かない方が、保育園の日常では活きます。いちばん分かりやすいのは、夕方の生活(片付け・帰りの支度・降園)に向けた“気持ちの切り替え”を支えることです。夕方は疲れも出やすく、遊びを終えることが難しい子が増えます。そこで、保育者の号令や注意で止めるのではなく、歌で空気を変えると、切り替えの摩擦を減らせます。
情緒面では、「きょう一日が終わる」ことを穏やかに受け止める体験につながります。日常のルーティンが“終わり方まで丁寧”だと、子どもは安心して明日に向かえます。また、歌詞に登場する情景語(夕焼け、山、鐘など)は、語彙としては少し古風です。だからこそ、絵本や写真、実際の園庭の景色と結びつけて言葉を育てる素材になります。例えば、散歩帰りに西日が当たる場所を見つけたら「夕やけの色って、何色に見える?」と問いかけ、感じたことを言葉にしてもらいます。
さらに、集団の“同じテンポに乗る”経験にもなります。歌は、個々の興奮や不安を、同じ拍の中に入れて整える働きがあるため、帰りの会前などに向いています。テンポを速くして盛り上げるのではなく、落ち着きが必要な場面ではゆっくり目にするなど、目的に合わせてテンポを扱うことがポイントです。
ゆうやけこやけ 保育園 童謡:ピアノと楽譜と弾き歌い
「ピアノが苦手で、夕方はバタバタして弾く余裕がない」という悩みは現場でよく出ます。ここで大事なのは、完成度より“継続できる型”を作ることです。伴奏が難しい場合は、①片手だけ(左手の和音を最小限)、②メロディだけ、③短い前奏だけ決めて入る、という順で簡略化しても成立します。子どもは伴奏の難易度より「始まりが分かる」「先生が迷わない」ことに安心します。
また、弾き歌いで困りやすいのが音域です。子どもの声と保育者の声の出しやすさが合わないと、歌が小さくなり、結果的に“夕方の切り替えツール”として弱くなります。園でよく使うキーに移調する、前奏の出だし音を低すぎない位置に置く、といった工夫が効きます。さらに、毎日歌うならテンポも固定しすぎない方がよい場面があります。雨の日で室内が騒がしい日は、少しテンポを落として“空気を沈める”方向に調整するなど、日々の子どもの状態に合わせると、歌が単なるルーティンではなく保育技術になります。
園の練習用には、保育向けに整理された楽譜が公開されていることがあります。たとえば「弾き歌いで園でも使える」とされるピアノ楽譜が配布されている例があり、レパートリー化のきっかけになります。テンポや伴奏形がシンプルなものを選ぶと、夕方でも崩れにくいです。
参考リンク(歌詞付きで歌う場合の申請注意/BGM利用の注意が参考)
ゆうやけこやけ 保育園 童謡:活動(絵・散歩・制作・表現)
「ゆうやけこやけ」は、歌唱活動から他領域へ展開しやすい童謡です。おすすめは“夕方の自然”に触れる活動とセットにすることです。例えば散歩で西日や影の伸び方を観察し、園に戻ってからクレヨンで「夕方の色」だけを塗ってみる、という単純な活動でも、歌詞の情景理解が深まります。夕方は時間が短いので、制作は大作にしないのがコツです。
絵本・写真・実景の合わせ技も効きます。歌詞に出てくる「山」「鐘」を、そのまま実物で体験できる園は少ないですが、写真で見せるだけでも“言葉が指すもの”が具体化します。保育者が一方的に説明するより、子どもに「どんな音だと思う?」「鐘の音、どこから聞こえそう?」と問い、想像を引き出す方が表現につながります。
遊びとしては、歌に合わせて身体表現を入れる方法もあります。例として、1番は“夕日が沈む”動き、2番は“帰り道”の足踏み、最後は“お月さま”を見上げる、など、簡単な所作を決めます。夕方の導線を妨げないよう、動きはその場で完結するものが向きます。動きが決まると、ピアノが不安定な日でも、子どもの集中が動作に乗って保ちやすくなります。
ここで意外性を入れるなら、“園の夕方ルール”を子どもと共同編集する活動が面白いです。例えば「夕方にこの歌が始まったら、何をする時間?」を子どもに話し合ってもらい、以下のように短い“約束カード”を作ります。
- 歌が始まったら、いったん手を止めて先生を見る。
- 歌の間に、使ったおもちゃを元の場所へ戻す。
- 歌が終わったら、帰りの支度に移る。
歌を“先生の合図”ではなく、“みんなの合図”にできると、夕方の衝突が減りやすくなります。大人が決めたルールより、子どもが言語化に参加したルールの方が守られやすい場面が多いからです。
ゆうやけこやけ 保育園 童謡:著作権(歌詞・曲・音源)と行事配信
最後に、現場が地味に困りやすい著作権を整理します。ポイントは「曲」と「歌詞」と「音源」を分けて考えることです。たとえば、あるフリーBGM配布サイトでは、「曲は日本での著作権保護期間が終了しているため利用申請は不要」だが、「原曲の歌詞をつけて歌う場合は作詞家の権利が存続しているので別途申請が必要」と明記されています。園内で歌うだけなら問題化しにくくても、動画配信・SNS・行事のDVD化など“複製と公衆送信”が絡むと確認が必要になります。
また、同じ「夕焼け小焼け」でも、録音音源には別の権利(実演家やレコード製作者の権利など)が発生します。つまり、曲自体が古いからといって、市販CDの音源をそのまま動画のBGMに載せてよいとは限りません。園として安全に運用するなら、「園内の対面の歌唱」「園が権利処理済みの音源」「規約で利用範囲が明示されたフリー音源」など、利用形態ごとに線引きを作ると混乱が減ります。
実務で使えるチェック項目を、園内向けに簡潔にまとめます。
| 場面 | 確認ポイント | 現場の工夫 |
|---|---|---|
| 保育室で歌う | 基本は日常保育内で完結しやすい | 歌詞カード配布の有無、行事冊子への掲載は園ルールで確認 |
| 園だより・配布物に歌詞を載せる | 歌詞は権利が残る場合がある | 歌詞は全文転載を避け、活動の様子・子どもの言葉で紹介する |
| 行事動画・SNS投稿 | 音源・歌詞・映像が公衆送信に該当しうる | 利用可能な音源や申請要否を事前確認、園として統一 |
この整理を先に作っておくと、制作担当が変わっても事故が起きにくくなります。保育の質を上げるために歌を使っているのに、権利の不安で活動が縮むのはもったいないので、園の運用として“安心して使える形”にしておくのが現実的です。


