月の沙漠 保育園 童謡
月の沙漠の歌詞 物語と情景
「月の沙漠」は、月夜の“沙漠”を二頭の駱駝がとぼとぼ進み、前の鞍に王子様、後ろの鞍にお姫様が乗っている、という映像的な情景が中心です。
結末や目的地が明示されないため、子どもが「どこへ行くの?」「どうして黙ってるの?」と自然に想像を動かしやすい構造になっています。
保育では、この“余白”を強みにして、正解探しではなく「自分はこう思う」を言葉にする場を作ると、発表が得意でない子も絵や動きで参加しやすくなります。
活動の導入に使える、歌詞のキーワード(言葉カード例)
- 「沙漠(さばく)」=砂の広がる場所、歌では月の夜の景色。
参考)「月の沙漠」の歌詞の意味が怖い?異国情緒あふれる童謡に描かれ…
- 「駱駝(らくだ)」=旅をする動物、対(つい)で出てくる。
- 「鞍(くら)」=背中にのせる道具、金と銀が出てくる。
- 「甕(かめ)」=入れ物、金の鞍に銀の甕、銀の鞍に金の甕。
月の沙漠の「沙漠」 理由と漢字
「月の沙漠」は「月の砂漠」と書かれがちですが、作品では“沙漠”が用いられており、「沙」には砂浜の意味合いがあるため、エジプトの砂漠というより“海岸の砂地”のイメージにもつながります。
研究者の解説では、曲名の「月の沙漠」は“月にある沙漠”ではなく「沙漠を照らす月」のことで、アラビアンナイトの世界を想像させる、と整理されています。
ここを丁寧に扱うと、子どもの「同じ“さばく”でも、書き方で景色が変わるんだね」という言葉への気づきに結びつき、就学前の言語経験としても価値が出ます。
保育での伝え方(短い言い換え例)
- 「今日は“さばく”って言うけど、カラカラの砂だけじゃなくて、海の近くの砂みたいな感じもあるんだって。」
- 「“月の夜の景色”が主役の歌だよ。」
月の沙漠 保育園の年齢別ねらい
年少は、異国っぽい雰囲気や短調の響きを「なんだか不思議」「きれい」と感じるだけで十分で、歌詞理解より“繰り返しのフレーズ”を口ずさむ経験を優先しやすい曲です。
年中は、「駱駝」「鞍」「甕」などの語を、絵カード→まねっこ(背中に“鞍”をのせる動き)→歌、の順でつなぐと、言葉と身体感覚が結びつきやすくなります。
年長は、4番の「二人はどこへゆくのでしょう」「黙って越えて行きました」など“問い”と“余白”を材料に、子どもたち自身が物語を補う(目的地・気持ち・持ち物の理由)活動へ発展させやすいです。
ねらい例(書類に転記しやすい文)
- 豊かな言葉に触れ、歌詞から情景を想像して表現する。
- 友だちの想像の違いを知り、多様な見方を楽しむ。
- 音の雰囲気(短調)を感じ、声量・速度・間を工夫して歌う。
月の沙漠の保育園 表現あそび(ごっこ・造形・音)
ごっこ遊びは、歌詞に登場する“道具”が多い曲ほど立ち上がりが早く、「鞍」「甕」「白い上衣」などを簡単な小道具で作ると役割が自然に生まれます。
造形は、砂丘(さきゅう)を“紙のしわ”や“段ボールの起伏”で表し、月は「朧にけぶる」を、ティッシュ・薄紙・白クレヨンの重ねで“ぼんやり”にするなど、歌詞の言葉を素材に翻訳できます。
音遊びは、4番の「とぼとぼと」を足踏みや小太鼓の弱い拍で表し、「だまって越えて行きました」を“無音”で演出すると、音楽の中の間(ま)を体験でき、発表会の表現にも転用しやすいです。
活動例(準備が少ない順)
- 絵カードで語彙(駱駝・鞍・甕・砂丘)→歌詞の該当箇所で指さし。
- 「とぼとぼ」歩き→止まる→また歩く、で“間”を遊ぶ。
- 金・銀の色紙で鞍飾りを作り、「金の鞍には銀の甕」の“入れ替え”を楽しむ(認知の揺さぶり)。
月の沙漠の独自視点:保育園で「現実の批判」を創造に変える
「月の沙漠」には、現実の砂漠では金属の甕は水が熱くなる、砂漠で月が朧にけぶるのは砂嵐の時くらい、といった“現地目線の批判”が紹介されています。
しかし作詞者は、沙漠を見たことがなくても憧れをもって歌を作った、と語ったとされ、事実性より“憧れが生むイメージ”が作品の核だと読み取れます。
保育では、このズレを否定せず、「ほんとうの沙漠だったら?」「海の砂浜だったら?」と仮説遊びに変換すると、子どもが“想像と現実の違い”を学びつつ、創作(別バージョンの歌詞・絵本・劇)に展開できます。
展開案(年長向け・話し合いが苦手でも回る形)
- ①保育者が2案を提示:「本当の沙漠案」「砂浜(沙)案」→②多数決ではなく、どちらも絵にする→③最後に“同じ歌が別の景色になる”を共有。
- 「二人はどこへ?」の答えを、子どもが1枚絵で提出(文字が苦手でも可)→並べてギャラリー。
歌の背景(権威性のある根拠として触れやすい点)
- 大正12年3月に「少女倶楽部」誌上で発表され、同年に若手作曲家だった佐々木すぐるが曲を付け、その後ラジオ放送で評判になった、という流れが大学の解説で整理されています。
背景や解釈の参考(発表時期・批判への言及・御宿海岸の話題)
同志社女子大学の解説:発表時期、ラジオ放送、歌詞解釈、現実の砂漠批判、御宿海岸との関係がまとまっています
歌詞確認(語彙カード作り・読み仮名の参考)


