音楽番組と保育園で子どもの歌とリズム遊び

音楽番組と保育園と子どもの歌

音楽番組と保育園で子どもの歌を活かす概要
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ねらいを先に決める

「楽しい」だけで終わらず、リズム感・語彙・一体感など育てたい力を決めて選曲と活動を組み立てます(歌の正確さを強調しすぎないのも大切)。

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動画は“導入”として使う

音楽番組は集中を集めやすい反面、受け身になりがちなので、視聴後は手遊び・リズム遊び・楽器遊びへ必ず移行して主体性を作ります。

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安心・安全のルール化

音量、時間、姿勢、視聴距離、歌詞の扱い、行事での発表可否などを園内で共通化し、保護者説明もしやすい形に整えます。

音楽番組の子どもの歌を保育園のねらいに合わせる方法

 

音楽番組の「子どもの歌」は、子どもが知っている旋律・繰り返しの多い歌詞・視覚的なヒントが揃うため、保育園の導入として非常に使いやすい素材です。

ただし、番組の“人気曲だから”だけで選ぶと、活動が「視聴で終わる」「盛り上がるがねらいが曖昧」の状態になりやすいので、先に“育てたい力”を言語化してから当てはめるのがコツです。

保育の音楽活動では、歌やリズム遊びを通して心が安定し豊かになること、語彙が増えること、友達と一体感を味わうこと、のびのび体を動かしてリズム感が育つことなどが教育的意義として整理されています。こうした観点を持っておくと、番組の曲も「今日のねらいに合うか」で選べます。

参考:幼児教育の音楽活動(歌・リズム遊び)の教育的意義や留意点(“正確さを強調しすぎない”“一日のリズムに組み込む”など)

https://www.ocha.ac.jp/intl/cwed_old/eccd/report/hand_J/2_5-5.pdf

選曲の“見立て”例(園での使い分け)

  • 落ち着きたい時間:テンポが速すぎない歌、短いフレーズの反復が多い歌(息継ぎや間が作りやすい)。
  • 体を動かしたい時間:手遊び・ステップがつけやすい歌、合図(ストップ・ターン等)を入れやすい歌。
  • 行事につなげたい:季節・行事ワードが入った歌(季節感・行事への関心につながりやすい)。
  • 言葉遊びをしたい:擬音語・擬態語が多い歌、短い言い回しが続く歌(0~2歳にも展開しやすい)。

“意外と効く”小技として、番組の歌の「サビだけ」を使って活動を作る方法があります。フルで流すより、短い区切りで「歌う→動く→止まる→友達を見る→もう一回」を回すほうが、保育士の援助も入れやすく、子どもが“自分で参加している感”を持ちやすいです。

音楽番組の子どもの歌でリズム遊びを作る導入と活動例

音楽番組を使うときは、視聴をゴールにせず「視聴は導入、活動が本番」と位置づけると設計しやすくなります。

歌・リズム遊びでは、教師が表情豊かに楽しく歌うことで子どもが楽しさを感じ取りやすく、伴奏がなくても手拍子や足拍子など身近なものでリズムが作れる点が重要です(逆に、正確さを強調しすぎない配慮もポイントです)。上のPDFにある留意点は、音楽番組活用時にもそのまま当てはまります。

導入の型(3分で回せる)

  • ①予告:今日の歌の“合図”を1つだけ決める(例:止まる、しゃがむ、手を上げる)。
  • ②視聴:サビだけ流す(長くても1回)。
  • ③模倣:保育士が先に動きを見せ、子どもは真似する。
  • ④変化:テンポを少し変える、強弱をつける、音を止める。
  • ⑤言葉化:子どもに「どこが楽しかった?」「今のは速い?ゆっくり?」を短く聞く。

年齢別に作りやすいリズム遊びの例

  • 0歳:ガラガラ等で“鳴らすだけ”を許可し、擬音(トントン、ピカピカ等)に合わせて鳴らす。
  • 1歳:身近な道具を“たいこ”に見立てて、大小の音を聞き分ける遊びへ。
  • 2歳:乗り物系の歌に合わせて、右・左など歌詞のタイミングで動きを変える。
  • 3~5歳:音の違い(ゆったり・跳ねる等)に合わせて動物になりきる/合奏で役割分担する。

年齢別の指導案イメージ(ねらい・導入・援助方法まで)を確認したい場合は、リズム遊びの指導案例がまとまっている記事が参考になります。

参考:0~5歳のリズム遊び指導案(ねらい/導入/予想される姿/援助方法の具体例)

【0歳児~5歳児】リズム遊びの保育指導案を作成しよう!ねらい…

音楽番組の子どもの歌と楽器遊びをつなぐ工夫(手作り含む)

音楽番組の“耳に残る曲”は、楽器遊びに移行するときの共通言語になります。子どもは「知っている曲」だと、音を出すだけでも“参加している感”が出やすく、合奏の導入が軽くなります。

楽器遊びのポイントとして、幼稚園・保育の現場では打楽器(鈴・タンバリンカスタネット等)と旋律楽器(木琴・鍵盤ハーモニカ等)を年齢や発達に合わせて用いること、また“自由に叩く時期”も経験として捉えつつ、聞き比べやコントロールへ援助することが整理されています。さらに、素材の違いで音が変わることに気づく体験が創意工夫や美的感覚につながる、という視点も示されています。これを踏まえると、音楽番組の曲を「演奏する」より前に「音を探す」活動へ落とすのが効果的です。

音楽番組→楽器遊びへの“橋渡し”例

  • 歌のリズムを「手拍子→膝→床」と移し、最後に楽器へ移行する(いきなり楽器にしない)。
  • “役割”を固定しすぎない(鈴係・タンバリン係を毎回交代し、経験の幅を確保)。
  • サビだけを「みんなの音」タイム、Aメロは「1つの楽器だけ」タイムにして、音の重なりを体感させる。

手作り楽器の導入で“意外と効く”のは、同じ形でも中身(どんぐり・ビーズ等)を変えたガラガラを複数用意し、音の違いを当てるクイズにすることです。耳を澄ます姿勢が作れるので、その後の合奏が落ち着きます。こうした「身近な物を生かす」「体でリズムを取る」といった発想は、音楽活動の応用としても示されています。

保育で使える曲の“貯金”を作りたい場合は、園生活・季節・行事など目的別に収録曲が整理された資料があると便利です。

参考:園生活/季節/行事などカテゴリ別に「保育のうた・こどものうた」が整理された曲リスト

保育のうた・こどものうた120

音楽番組の子どもの歌を保育園の一日のリズムに組み込む(静と動)

音楽番組の曲は、活動の切り替え(静→動、動→静)にとても強い道具になります。なぜなら、言葉で「片付けよう」「集まろう」と言うより、歌の合図のほうが子どもが“流れ”として理解しやすいからです。

音楽活動の留意点として、活発に活動した後に休息を兼ねながら歌を歌うなど、幼稚園生活の一日のリズムを考えて歌の活動を組み込むことが効果的だと整理されています。つまり「歌は活動そのもの」でもあり「生活リズムの調整装置」でもあります。ここに音楽番組の曲を当てると、同じ歌を“場面別に違う目的”で使えるようになります。

場面別の使い分け(例)

  • 登園直後:短い“始まりの歌”を固定し、視聴はしない(生活の安定を優先)。
  • 活動導入:音楽番組のサビを1回だけ視聴→すぐに保育士の歌・手拍子へ。
  • 移動前:同じフレーズで「並ぶ」「歩く」「止まる」を練習(交通安全にもつながる)。
  • 帰りの会:子どもが“歌のリーダー”を交代で担当し、前に出る経験を作る(自信につながる)。

“あまり知られていないが便利”な視点として、歌の歌詞を紙に書いて掲示し、文字が読めない子も興味を持てるよう絵を添える方法が紹介されています。音楽番組で覚えた歌ほど「家でも歌う」ことが多いので、掲示を写真で保護者に共有すると家庭への橋渡しにもなります。

音楽番組の子どもの歌を“保護者共有”に変える独自視点(家庭連携・著作権・環境)

検索上位では「おすすめ曲」「行事向け」「年齢別遊び」が中心になりがちですが、現場で差が出るのは“保護者との共有設計”です。音楽番組の歌は家庭でも流れやすい一方で、園での扱いが曖昧だと「なぜこの曲?」「家で同じ動画を見せていい?」など相談が増えます。そこで、園内ルールを先に整え、説明しやすい形にしておくと安心です。

家庭連携に効く“共有テンプレ”例(配布文の骨子)

  • 今月の子どもの歌:曲名(園でのねらい:一体感、リズム感、言葉遊び など)。
  • 園での遊び方:手遊び/リズム遊び/楽器遊びのどれをしたか。
  • 家庭での声かけ:例「速い・遅いどっち?」「どの音が好き?」など短い質問。
  • お願い:音量、視聴時間、就寝前は避ける等(家庭状況に配慮した柔らかい表現)。

また、子どもの集中のためにも、音楽番組は“長時間の流しっぱなし”にしないほうが設計しやすいです。短い視聴→身体表現→楽器→クールダウン(歌)という流れにすると、番組を使いながらも保育の主体は園の活動に置けます。これは、歌やリズム遊びを生活の中に根づかせる、という考え方とも整合します。

最後に、行事で使用する場合は「録画・録音」「保護者配布」「SNS掲載」など、園の運用ルールに沿って確認が必要です(曲や映像の扱いは施設ごとに方針が異なるため)。迷いが出やすい部分なので、先に“園内で確認する項目リスト”を作っておくと、保育士の負担が減り、結果的に子どもへの援助が厚くなります。


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